JUNK LAND

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JUNK LAND
玉置浩二スタジオ・アルバム
リリース
録音 ソニー信濃町スタジオ
セディックスタジオ
ジャンル ロック
AOR
フォークロック
時間
レーベル Sony Records
プロデュース 須藤晃
玉置浩二
チャート最高順位
玉置浩二 アルバム 年表
EARLY TIMES〜KOJI TAMAKI IN KITTY RECORDS
(1997年)
JUNK LAND
(1997年)
GRAND LOVE
1998年
EANコード
『JUNK LAND』収録のシングル
  1. MR.LONELY
    リリース: 1997年8月6日
  2. しあわせのランプ
    リリース: 2004年6月9日
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JUNK LAND』(ジャンクランド)は、日本のシンガーソングライターである玉置浩二の6枚目のオリジナル・アルバム

1997年9月21日Sony Recordsからリリースされた。前作『CAFE JAPAN』(1996年)より1年ぶりとなるオリジナル・アルバムである。ほぼ作詞・作曲を玉置が行い、須藤晃が数曲で玉置と詞を共作している。プロデュ-スは須藤と玉置が担当している。

レコーディングは日本国内で行われ、玉置、須藤、安藤さと子の3名でほぼ全てのレコーディングが行われた事や、前作に増して玉置の作詞の割り合いが増している事を特徴としている。音楽性としては様々なジャンルの楽曲が取り入れられており、歌詞に関しては玉置による生活環境の変化を求めたものとなっている。

先行シングルとしてリリースされ、フジテレビ系木曜劇場こんな恋のはなし』(1997年)の主題歌として使用された「MR.LONELY」を収録している他、本作のリリースから約7年後の2004年リカットシングルとしてリリースされ、テレビ朝日系バラエティ番組『いまどき!ごはん』(2004年 - 2007年)のエンディングテーマとして使用された「しあわせのランプ」を収録している。

オリコンチャートでは最高位9位となった。

1993年から4年間在籍したSony Recordsからの最後のオリジナル・アルバムとなった。

背景[編集]

前作『CAFE JAPAN』(1996年)リリース後、玉置は「Concert Tour 1996 CAFE JAPAN」と題したライブツアーを9月13日の和光市民文化センターサンアゼリア 大ホールから翌1997年2月3日北海道厚生年金会館まで全国42都市45公演におよんで敢行した[2][3]。しかし、同ツアー中の11月29日、腹部に異常を感じた玉置はそのままライブを行ったものの、ライブ終了後に激痛を訴え入院する事となった[4]。病名は憩室炎と診断され、腸の病気のため食事が出来ず、点滴のみで10日間過ごしたために15キロも体重が減少する事態となった[4]12月31日にはNHK総合音楽番組『第47回NHK紅白歌合戦』に出演し、バックバンドをTOKIOが担当した上で「田園」を歌唱し59.9%の歌手別最高視聴率となった。

1997年に入り、俳優業としては1月5日から3月30日まで放送されたTBS系東芝日曜劇場メロディ』に出演した[5]他、5月17日公開の長谷川康夫監督による映画『恋は舞い降りた。』に出演[6]、さらに7月3日から9月18日まで放送されたフジテレビ系木曜劇場『こんな恋のはなし』に出演した[7]。同ドラマの主題歌として使用された「MR.LONELY」を8月6日にリリース、オリコンチャートでは最高位15位であったが売上枚数が25.9万枚となるヒット曲となった。その他に10月9日放送のフジテレビ系テレビドラマ『コーチ』(1996年)の特番となる『コーチ スペシャル』に出演[8]、さらに10月11日放送のNHK総合土曜ドラマ『もうひとつの心臓』に出演した[9]

録音[編集]

『JUNK LAND』はまったくデモ・テープのまま。全部の楽器のリズムがきちんと合ってないんだけど、それが嬉しくてしょうがない。合ってないのに、こんなに気持ちよいサウンドってないでしょ?
玉置浩二,
玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから[10]

本作のレコーディングは1997年にソニー・ミュージック信濃町スタジオおよびセディックスタジオにて行われた。本作は前作に続き須藤晃と玉置の共同プロデュース作品となっている。

本作のレコーディングはほぼ全て玉置と安藤さと子、須藤の3名で進められた[10]。ほぼ全ての楽器を玉置が単独で担当しており、キーボードは全て安藤が担当、部分的に須藤がベースで参加している。また本作収録曲はデモテープの段階で玉置が「狙って作れるものじゃない」と非常に気に入っていたため、デモテープのままアルバムに収録される事となった[10]

この時期に玉置はスタジオの近辺に自宅があったため、自宅へは寝るために帰る程度であり、ほぼスタジオに缶詰めとなる生活であった[11]。玉置は自宅へ招いた人物と共に風呂に入る習慣があり、須藤も毎日のように風呂に入っていたという[12]。須藤はこの件に関して「もう大変でしたよ。仕事してんのか風呂入ってんのかわからない」とコメントしたが、「しんどいと思ったことはないです。楽しかったですよ」ともコメントし、24時間体制で付きっ切りになったアーティストは玉置と尾崎豊だけであると述べている[13]

しかし親密になりすぎた事もあり、須藤と玉置は「しばらくいっしょに仕事をするのやめましょう」と確認し合い、本作を以て須藤は玉置との共同作業から離れる事となった[14]

音楽性[編集]

俺が病気で倒れたのがきっかけですね。自分の中で生き方を変えないともう無理だと思った。
玉置浩二,
玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから[15]

本作の製作には前述のライブツアー中の急病による入院が影響しており、入院後の玉置は生活環境を大きく変える事となった[16]。本作において玉置は生活を変更する意思を明確にしており、前作『CAFE JAPAN』と共通したジャケット・コンセプトを持つ事から連作のような作品となった[10]。この件に関して安全地帯のメンバーである矢萩渉は「生き方に直結してますよね。すごく正直なんですよ。その時にしか作れないものですよね」とコメントしている[15]

少人数で制作された作品でもあり、生活の環境を変えようとしていた玉置自身の思惑がストレートに反映されたアルバムとなった[15]。この後玉置は東京を離れて活動拠点を軽井沢へと移転する事となった[17]

リリース[編集]

1997年9月21日Sony RecordsよりCDMDの2形態でリリースされた。

2018年8月15日にはBlu-spec CD2紙ジャケット仕様で再リリースされた[18][19]

アートワーク[編集]

本作のジャケット写真に関して玉置は、病気になった事に影響され全裸の姿にした事や、右上に『CAFE JAPAN』のジャケットに登場した建物がある事を指摘、『CAFE JAPAN』の裏側の土地は荒れ果てた大地であった事を表現しており、積まれたスクラップの山は東京を表しているという[16]。玉置は音楽と続けていく土地として東京は相応しくないと判断し、本作を最後に一度東京を離れる事となった[10]

ツアー[編集]

本作を受けてのツアー「CONCERT TOUR 1997 "JUNK LAND"」は同年9月から12月まで全37公演が行われた。また、ツアーの中から11月22日東京国際フォーラム公演の模様を収録したライブ・ビデオ『WE CAN BELIEVE IN OUR "JUNK LAND"』が1998年3月21日にリリースされた。

批評[編集]

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[20][21]
TOWER RECORDS ONLINE肯定的[22]
  • 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、同時期の玉置が役者としても高評価を得ていた事を指摘した上で、音楽家としても好調であった事を示唆し、本作がバラエティに富んだ構成でありながらポップミュージックの基本である「いい楽曲といい歌」から外れていない事を指摘、「楽しみながら音楽を作っている様子が伝わってくる」と肯定的に評価した[20]。また複雑なアレンジや技巧に凝ったフレーズなども玉置の手にかかればカタルシスが生まれる事やダイレクトに響く事を指摘し、「泣きのギターもブルースハープも、今まで聴いたことのない音色と情感と激しい意思を持っている」と称賛した[21]。さらに本作がJ-POPの枠では括れない作品であるとも主張した[21]
  • 音楽情報サイト『TOWER RECORDS ONLINE』では、『CAFE JAPAN』と共通したジャケット・コンセプトがある事を指摘した上で、「『CAFE JAPAN』と並び、90年代の名盤、日本ロック史上の最高傑作と称される作品」と絶賛した[22]

チャート成績[編集]

オリコンチャートでは最高位9位、登場回数6回となり、売上枚数は10.6万枚となった。

収録曲[編集]

全作詞・作曲・編曲: 玉置浩二(特記除く)。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.太陽さん玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
2.闇をロマンスにして玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
3.NO GAME玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
4.さよならにGOOD BYE(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
5.JUNK LAND(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
6.ラストショー玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
7.スイスイ玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
8.我が愛しのフラッグ (Instrumental)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
9.風にさらわれて(作詞: 須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
10.CHU CHU玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
11.金持ちさんちの貧乏人(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
12.MR.LONELY玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
13.おやすみチャチ (Instrumental)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
14.しあわせのランプ(作詞: 玉置浩二、須藤晃)玉置浩二(特記除く)玉置浩二(特記除く)
合計時間:

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 須藤晃 - プロデューサー、ミックス・エンジニア(2 - 8,10,11曲目)
  • 玉置浩二 - プロデューサー、ミックス・エンジニア(2 - 8,10,11曲目)
  • 田中邦明 - レコーディング・エンジニア
  • 松尾順二 - レコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニア(1,9,12,13,14曲目)
  • 藤原成文 - レコーディング・エンジニア、アシスタント・エンジニア
  • 田中三一 - マスタリング・エンジニア
  • 甲斐俊郎 - アシスタント・エンジニア
  • 徳永陽一 - アシスタント・エンジニア
  • RIGHT STAFF - マネージメント
  • PRESTAGE - マネージメント
  • 佐藤喜代美 - マネージャー
  • 安田洋文 - マネージャー
  • 山下昭和 -マネージャー
  • 大津“O2”敏博 - プロモーション・スタッフ
  • 金子“YODEL”洋明 - エグゼクティブ・プロデューサー
  • 濱野啓介 - エグゼクティブ・プロデューサー

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1997年9月21日 Sony Records CD
MD
SRCL-4046
SRYL-7318
9位
2 2018年8月15日 GT music Blu-spec CD2 MHCL-30524 - 紙ジャケット仕様

脚注[編集]

  1. ^ ORICON STYLE”. オリコン. 2013年5月17日閲覧。
  2. ^ 志田歩 2006, p. 132- 「第7章 生きていくんだ!」より
  3. ^ 玉置浩二 - Concert Tour 1996 CAFE JAPAN”. LiveFans. SKIYAKI APPS. 2020年1月2日閲覧。
  4. ^ a b 志田歩 2006, pp. 132–133- 「第7章 生きていくんだ!」より
  5. ^ メロディ - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2020年1月2日閲覧。
  6. ^ 恋は舞い降りた。”. Movie Walker. ムービーウォーカー. 2020年1月2日閲覧。
  7. ^ こんな恋のはなし - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2020年1月2日閲覧。
  8. ^ コーチ スペシャル - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2020年1月2日閲覧。
  9. ^ もうひとつの心臓 - ドラマ詳細データ”. テレビドラマデータベース. キューズ・クリエイティブ. 2020年1月2日閲覧。
  10. ^ a b c d e 志田歩 2006, p. 134- 「第7章 生きていくんだ!」より
  11. ^ 志田歩 2006, pp. 134–135- 「第7章 生きていくんだ!」より
  12. ^ 志田歩 2006, p. 135- 「第7章 生きていくんだ!」より
  13. ^ 志田歩 2006, p. 136- 「第7章 生きていくんだ!」より
  14. ^ 志田歩 2006, pp. 136–137- 「第7章 生きていくんだ!」より
  15. ^ a b c 志田歩 2006, p. 133- 「第7章 生きていくんだ!」より
  16. ^ a b 志田歩 2006, pp. 133–134- 「第7章 生きていくんだ!」より
  17. ^ 志田歩 2006, p. 137- 「第7章 生きていくんだ!」より
  18. ^ mio (2018年5月24日). “玉置浩二 オリジナルアルバム 紙ジャケットコレクション発売”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2019年9月7日閲覧。
  19. ^ 玉置浩二のソロアルバム13作品を紙ジャケ再発”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2018年8月15日). 2019年2月3日閲覧。
  20. ^ a b 玉置浩二 / JUNK LAND”. CDジャーナル. 音楽出版. 2020年1月2日閲覧。
  21. ^ a b c 玉置浩二 / JUNK LAND [紙ジャケット仕様][Blu-spec CD2][限定]”. CDジャーナル. 音楽出版. 2020年1月2日閲覧。
  22. ^ a b JMD (2018年6月4日). “玉置浩二/JUNK LAND<完全生産限定盤>”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2020年1月2日閲覧。

参考文献[編集]

  • 志田歩『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』雲母書房、2006年4月30日、132 - 137頁。ISBN 9784876722006 

外部リンク[編集]