JR東日本E991系電車 (初代)

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水戸駅におけるイベントで展示されるE991系電車(1996年10月)
先頭は仙台方先頭車のクモヤE991-1[1]

E991系電車(E991けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が1994年平成6年)に製作した、在来線交流直流両用試験電車である。愛称は「TRY-Z」(トライゼット)。

概要[編集]

在来線の理想的な鉄道システムの実現を目標として製作された[2]。3種類の構造で製作されたアルミニウム合金製の構体や新構造の台車に加え、新設計のVVVFインバータや、出入口構造等で種類の異なる方式を採用し性能の比較を可能とした。愛称の"TRY-Z"は「在来線において、究極の技術開発に挑戦する試験電車」を意味している[2]

仙台側よりクモヤE991-1、サヤE991-1、クモヤE990-1からなる3両編成を組んでいた[2]。両先頭車はいずれもワンハンドル式コントローラーで制御するという点では共通するもののそれぞれ運転席のデザインが違ったものとなっており[2]、外観も大きく異なる。

特異点としてはブレーキ制御方式に日本の鉄道車両としては珍しい油圧式ブレーキ・レールブレーキを採用したことと、アクティブサスペンションシステムを利用した強制式車体傾斜制御を採用した点である[2]。これは制御式自然振子式車輌に次ぐ第3世代の車体傾斜方式の開発を目指したものである[2]。またアルミ素材を多用するなど徹底した軽量化を図り、床下機器全体を覆うスカートなど車内・車外騒音対策を施し、安全性向上に向けた新構造を取り入れているほか、車内の座席も新開発のものが搭載された[2]。これは比較用として異なるものが数種類設置され、後のE653系等に反映された。

1992年(平成4年)に成田線で発生した大菅踏切事故の教訓を踏まえ、運転士の安全を確保するため先頭車は衝撃吸収構造となっており、強固な構造で乗務員を保護する「サバイバルゾーン」、潰れることで衝撃を吸収する「クラッシャブルゾーン」があった。事故の影響で設計変更をしたため予定より落成が半年程度遅れた。

交直両用機器とパンタグラフは中間車にあり、前者の多くは床置き式となっていた。

落成後、勝田電車区(現・勝田車両センター)に配置され、常磐線中央本線で最高 160 km/h までの、また半径 300 m を含む曲線区間で本則 + 45 km/h の走行試験を実施した。試験終了に伴い1999年3月に廃車となり、6月に解体された[3]

その後209系と類似構造の研修用機械がE991系として竣工したが、このE991系とは無関係である。

仕様[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 松本典久、荒川好夫、池口英司、生方良雄、清水美絵、高野陽一「最新車輌カタログ E991系TRY-Z」『日本と世界の鉄道カタログ'95〜'96』、成美堂出版、1995年8月20日、51頁。
  2. ^ a b c d e f g h i 松本典久、荒川好夫、池口英司、生方良雄、清水美絵、高野陽一「最新車輌カタログ E991系TRY-Z」『日本と世界の鉄道カタログ'95〜'96』、成美堂出版、1995年8月20日、53頁。
  3. ^ 廃車後衝突試験に用いられたとする資料もある(杉山淳一の「週刊鉄道経済」:信州特急「あずさ」に新車が入ると伊豆特急「踊り子」が快適に? (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン)が、実際には一般車両と同様に解体された模様。

外部リンク[編集]