JRゲートタワー

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JRゲートタワー
JR GATE TOWER
名古屋駅桜通口から望むJRゲートタワー (手前:低層棟・奥:高層棟、2023年5月)
名古屋駅桜通口から望むJRゲートタワー
(手前:低層棟・奥:高層棟、2023年5月) 地図
施設情報
所在地 450-66XX[注 1]
愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番3号
座標 北緯35度10分19.5秒 東経136度52分58秒 / 北緯35.172083度 東経136.88278度 / 35.172083; 136.88278座標: 北緯35度10分19.5秒 東経136度52分58秒 / 北緯35.172083度 東経136.88278度 / 35.172083; 136.88278
状態 完成
着工 2012年10月
建設期間 2012年10月 - 2017年2月
竣工 2017年3月[4]
開業 2016年11月(オフィス)
2017年4月(商業施設)[1][2]
用途 オフィス商業施設ホテルバスターミナル駐車場駅施設
建設費 約1200億円(総事業費)
地上高
高さ 約220m
最上階 46階
各種諸元
階数 地上46階、地下6階(高層棟)
地上18階、地下6階(低層棟)
敷地面積 11,695.14 [6]
建築面積 10,492.78 [6]
延床面積 265,575.95 [6]
構造形式 S造(一部RC造SRC造CFT造
エレベーター数 全61基(商業部分24基、オフィス部分15基、ビル共用部19基、駐車場用1基、荷物用2基)[5]
駐車台数 約300台
関連企業
設計 デザイン・アーキテクト:コーン・ペダーセン・フォックス
企画・調査設計・基本計画:ジェイアール東海コンサルタンツ(マスターアーキテクト)
基本設計:名古屋駅北部開発ビル(仮称)基本設計共同企業体(ジェイアール東海コンサルタンツ・日建設計
実施設計:名古屋駅新ビル(仮称)実施設計共同企業体(大成建設・日建設計・ジェイアール東海コンサルタンツ)
施工 名古屋駅新ビル(仮称)新設他工事共同企業体(大成建設・鹿島建設
デベロッパー 東海旅客鉄道
ジェイアールセントラルビル
管理運営 ジェイアールセントラルビル
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JRゲートタワー(ジェイアールゲートタワー)は、愛知県名古屋市中村区名駅にある超高層ビルである。高さは約220m[7]中部地方で4番目に高い超高層ビル。

概要[編集]

東海旅客鉄道(JR東海)が2008年に発表した名古屋ターミナルビル再開発計画「JRゲートタワー建設事業[注 2]」に基づいた建造物で、建設は北隣の名古屋中央郵便局名古屋駅前分室跡地の再開発事業「JPタワー名古屋建設事業[注 3]」によって完成した「JPタワー名古屋」と同時期に進行した[8][9][10]オフィス部分が2016年11月7日に先行開業し[1][11]商業施設(一部除く)・ホテル2017年4月17日にオープンした[12]

当初の計画では、高層棟は地上55階・地下5階・高さ約260m、低層棟は地上16階・地下5階・高さ約80mで延面積は約28万m2を予定していたが[13]2010年にオフィス需要等を再検証した結果、高層棟は地上46階・地下6階・高さ約220m、低層棟は地上18階・地下6階・高さ約90mで延面積は約26万m2に計画を変更した[14][15]

地上46階、地下6階、高さ約220mの超高層ビルであり[15]、地上15階までの低層階(商業施設部分)がJRセントラルタワーズジェイアール名古屋タカシマヤ[注 4])と接続される以外に、地上2階の歩行者用通路ではJPタワーからセントラルタワーズまでが一続きになり、名古屋駅ペデストリアンデッキ部)からJPタワーのオフィスエントランスへのアクセスを確保した形となる。

従来2層に渡っていたバスターミナルは1階に集約され、新たに「名古屋駅バスターミナル」となった。当ビルの工期中、各バスのりばは周辺の大通りに分散させており、これに伴って歩道を拡幅し道路上に臨時バス停を設けるなどの改修が行われた。また、高速バスなどの長距離路線は名古屋駅西側の太閤通口に全面移転させた上で、新たに同路線向けの仮設施設を建設して運用している。

地階は6階層(基礎底:GL(地盤面)-35.2m)まで建設されているが、地下5・6階を2027年開業予定のリニア中央新幹線名古屋駅の一部として利用する[11][16]。その他は機械室や集荷施設以外に使用用途を明らかにしていない。なお、地下1階で接続する地下街は2015年7月に「テルミナ」から「ゲートウォーク」に名称を変更している。

2018年度には隣接するJPタワー名古屋とともに、日本建設業連合会が主催する第59回BCS賞を受賞した[17]

建物概要[編集]

以下は「大深度地下構造を有する超高層ビルの設計と施工」[18]等による。

  • 建物名称:JRゲートタワー
  • 建物用途:オフィス商業施設ホテルバスターミナル駐車場駅施設
  • デザインアーキテクト:Kohn Pedersen Fox Associates PC
  • 実施設計:名古屋駅新ビル(仮称)実施設計共同企業体(大成建設日建設計ジェイアール東海コンサルタンツ
  • 施工:名古屋駅新ビル(仮称)新設他工事共同企業体(大成建設・鹿島建設
  • 基礎構造:パイルド・ラフト基礎[注 5](場所打ち鉄筋コンクリート杭地業、場所打ち鉄筋コンクリート地中壁地業)
  • 上部構造:S造(柱一部CFT造)、座屈拘束ブレース付ラーメン構造
  • 下部構造:SRC造RC造(一部S造)、耐震壁付ラーメン構造
  • 制振部材:オイルダンパー同調粘性マスダンパー
  • 階数:地上46階、地下6階(高層棟)、地上18階、地下6階(低層棟)
  • 建物高さ:220m
  • 基礎深さ:基礎底 GL(地盤面)-35.2m(直接基礎)、杭先端 GL-76.0m(場所打ちコンクリート杭及び地中壁)
  • 敷地面積:11,695.14m2[6]
  • 建築面積:10,492.78m2[6]
  • 延床面積:265,575.95m2[6]
  • エレベーター:61台(商業部分24台、オフィス部分15台、ビル共用部19台、駐車場用1台、荷物用2台)[5]
  • エスカレーター:85台(ペデストリアンデッキ3台、ビル共用(都市貢献)12台、商業部分68台、オフィス部分2台)[5]

テナント[編集]

主なテナント構成[編集]

地下1階~8階部分には、セントラルタワーズへ入居しているジェイアール名古屋タカシマヤの増床店舗「タカシマヤ ゲートタワーモール」が出店している。タカシマヤ ゲートタワーモールは百貨店というより若者向けのアパレルやカフェなどを中心としたファッションビルのようなテナント構成の専門店街である。9・10階にはビックカメラ[注 6][19][20]、11階にユニクロジーユーが揃って出店。12・13階はJRセントラルタワーと連続する形で、37の飲食店で構成される「ゲートタワープラザ レストラン街」[21]、15階をJRセントラルタワーズと接続されるスカイストリート、オフィスエントランス、ホテルフロント及びホテルレストラン、18~24階をジェイアール東海ホテルズ系列のホテル「名古屋JRゲートタワーホテル」、26~44階はオフィスフロアとした。

写真集[編集]

主なオフィステナント[編集]

沿革[編集]

年表[編集]

写真集[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ JRゲートタワーには「450-66XX」(XXは階層を表す。地階・階層不明は「90」)の超高層テナントビル向け郵便番号が割り当てられている[3]
  2. ^ ビル名称の決定以前は「名駅一丁目1番計画南地区(仮称)建設事業」の呼称を使用。
  3. ^ 当初は「名駅一丁目1番計画北地区(仮称)建設事業」の呼称を使用。
  4. ^ 名古屋ターミナルビル時代には松坂屋「名古屋駅店」が入居しており、当初はJRゲートタワーにも入居を希望していた。しかし、条件面で折り合わなかったほか、JRセントラルタワーズの建設時にも栄の本店との競合を恐れて松坂屋が出店を辞退し、その際にJR東海との間で軋轢があったという経緯により再進出には至らず、ジェイアール名古屋タカシマヤの増床が決定した。
  5. ^ パイル(杭基礎)とラフト(直接基礎)を併用した基礎工法。
  6. ^ 当初はヨドバシカメラが入店する予定であったが、ビル自体の工期に遅れが発生したことから2015年(平成27年)5月24日に出店の取り止めを発表した。その後、ヨドバシカメラは松坂屋名古屋本店南館の一部フロアへ出店を発表、同年10月29日に開店した。なお、ヨドバシカメラは出店を中止した際に満足のいく対応を取らなかったとして、JR東海に対して違約金などの支払いを求める訴訟を起こしたが、一審・二審ともに請求を棄却された。

出典[編集]

  1. ^ a b c 「JR東海 JRゲートタワーが開業」『交通新聞交通新聞社、2016年11月7日。
  2. ^ JRゲートタワーの進捗等について』(プレスリリース)JRゲートタワー公式サイト、2016年12月14日。 オリジナルの2017年3月8日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170308044611/https://www.towers.jp/topics/uploads/contents/2412 
  3. ^ 愛知県 名古屋市中村区の郵便番号 - 日本郵便
  4. ^ a b JR東海ら2社/JRゲートタワー(名古屋市中村区)が完成/施工は大成建設ら」『日刊建設工業新聞』日刊建設工業新聞社、2017年3月31日。2017年4月10日閲覧。オリジナルの2017年7月3日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ a b c 兼子忠幸「JRゲートタワー」『Elevator Journal』No.19、一般社団法人日本エレベーター協会、2018年4月、8-11頁。 
  6. ^ a b c d e f 都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画の認定について』(プレスリリース)国土交通省都市局 まちづくり推進課、2013年2月13日https://www.mlit.go.jp/common/000987620.pdf 
  7. ^ 概要” (JRゲートタワー). 2024年4月25日閲覧。
  8. ^ a b 名駅一丁目1番地区における「まちづくり基本構想」について』(プレスリリース)東海旅客鉄道。 オリジナルの2009年2月21日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20090221174122/http://jr-central.co.jp/news/release/nws000233.html2008年12月22日閲覧 
  9. ^ 名駅一丁目1番地区における「まちづくり基本構想」について』(プレスリリース)東海旅客鉄道、2008年12月22日http://company.jr-central.co.jp/company/business/nagoya-building/_pdf/info_01.pdf 
  10. ^ 【開発】名古屋駅前にタワービル2棟が出現、総延べ床は47万m2」『日経不動産マーケット情報』日経BP、2009年1月15日。2009年5月27日閲覧。
  11. ^ a b c 名駅前に「立体都市」 JRゲートタワー、一部開業へ」『中日新聞 (CHUNICHI Web)』、2016年10月30日。オリジナルの2016年10月30日時点におけるアーカイブ。
  12. ^ 名古屋駅の新たな名所に JRゲートタワーが全面開業」『朝日新聞デジタル』、2017年4月18日。2017年5月1日閲覧。オリジナルの2017年4月18日時点におけるアーカイブ。
  13. ^ a b 名駅一丁目1番計画南地区(仮称)建設事業に係る環境影響評価報告書”. 名古屋市役所 (2009年1月). 2023年6月9日閲覧。
  14. ^ a b 「JR、「名古屋駅新ビル」計画縮小 40メートル低く」『朝日新聞朝日新聞社、2010年2月11日。
  15. ^ a b 「JRゲートタワー建設事業に係る事後調査計画書(供用開始後)」、2頁
  16. ^ 「JRゲートタワー建設事業に係る事後調査計画書(供用開始後)」、7頁
  17. ^ 第59回受賞作品 名駅一丁目1番計画(JRゲートタワー、JPタワー名古屋)”. 日本建設業連合会. 2018年9月2日閲覧。
  18. ^ a b 二宮利治、杉村真智子、吉野雄一郎、小室努「大深度地下構造を有する超高層ビルの設計と施工」『コンクリート工学』第55巻第6号、公益社団法人日本コンクリート工学会、2017年6月、523-528頁、doi:10.3151/coj.55.6_523 
  19. ^ JR東海の名駅前新ビルにビックカメラ”. 東海地方のニュース. 名古屋テレビ (2015年5月14日). 2015年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月31日閲覧。
  20. ^ ビックカメラ、名古屋駅前JR高層ビルに出店 ヨドバシが断念」『日本経済新聞』、2015年5月14日。
  21. ^ JRゲートタワーの進捗等について(レストラン、スクールの入居について)”. 東海旅客鉄道株式会社 / ジェイアールセントラルビル株式会社 (2015年11月11日). 2016年5月4日閲覧。
  22. ^ 「JRゲートタワー建設事業に係る事後調査計画書(供用開始後)」、7-8頁
  23. ^ JRゲートタワーの上棟について 東海旅客鉄道、2015年12月7日(2015年12月9日閲覧)
  24. ^ 日本で一番高い場所にある「スタバ」、名駅・JRゲートタワーに、名駅経済新聞、2017年2月20日
  25. ^ 地上70メートル、日本一高いスタバ 名古屋駅前ビルに3日オープン日本経済新聞、2017年3月1日
  26. ^ 「JR東海 「JRゲートタワー」が竣工」『交通新聞』交通新聞社、2017年4月3日。
  27. ^ “名古屋駅新駅ビル「JRゲートタワー」にビックカメラオープン。擬人化“なごやげーとたん”も”. AV Watch. (2017年4月3日). https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1052791.html 2017年4月10日閲覧。 

参考資料[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]