JATI協会

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一般社団法人JATI協会(ジェイエイティーアイ協会[1]、ジャティー協会[1])は、石綿製品製造の業界団体[2]2012年4月1日に前身である社団法人日本石綿協会から移行して発足した[3]。名称は"Japan Asbestos Abolition Technology & Information Association"の略称が由来[1]

「旧日本石綿協会の近年の活動内容は、過去に使用された石綿製品を安全に処理する技術とその情報に関することが主体となっているため、協会の名称もこれに沿ったものにいたしました[1]」と主張しているが、旧日本石綿協会時代に社会における石綿利用を促進してきた団体が、日本で使用禁止となった後に「被害の抑止」や「予防」を謳う形で新たな事業を展開していることに対しては被害者団体からの批判がある[2][4][5]

旧日本石綿協会は、石綿が原則使用禁止となる2004年まで「管理して使用すれば安全」と主張していた[2][5]。例えば、1996年に同協会が発行した『せきめん読本』では「一般環境では石綿によるリスクが他のリスクに比べて決して高いものではない」としていたが[6]2005年クボタ・ショックによって一般環境住民にも多数の被害が発生していることが明らかとなった[7]

同協会は2005年にアスベスト診断士という資格認定制度を発足させ、既存建築物等に使用されている石綿のリスクを診断する者を養成しているが、資格試験に関して実地研修が無い点[2]などから制度の杜撰さ[5]が指摘されている。受講料に10万円以上[8]、更新研修費用に2万円を要することによって[9]新たに利益が生み出されている点にも被害者団体からの批判がある[2][4][5]2013年12月6日現在で965人がアスベスト診断士として登録されている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 協会の案内” (日本語). JATI協会. 2014年3月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e 大島秀利 (2012年7月18日). “石綿調査「診断士」除外を 被害者団体申し入れ 厚労省通達に反発” (日本語). 毎日新聞: p. 2 
  3. ^ “石綿協会が一般社団化し、JATI協会に称変” (日本語). 建通新聞. (2012年4月10日). http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/120410500031.html 2014年3月24日閲覧。 
  4. ^ a b 井部正之 (2014年2月13日). “原因究明めぐり異常な工事委託が浮上 名古屋市地下鉄アスベスト飛散事故で続く混乱(DOL特別レポート)” (日本語). ダイヤモンドオンライン. ダイヤモンド社. 2014年3月24日閲覧。
  5. ^ a b c d 井部正之 (2012年8月1日). “すべては地下茎で繋がっている 霞が関で見た環境汚染をめぐる符合(環境汚染大国ニッポン)” (日本語). ダイヤモンドオンライン. ダイヤモンド社. 2014年3月24日閲覧。
  6. ^ 日本石綿協会. “5.7 石綿による健康へのリスク(THE ASBESTOS/せきめん読本)” (日本語). WS&H Asbestos Database. 産業医科大学 産業生態科学研究所 作業病態学研究室. 2014年3月24日閲覧。
  7. ^ 畑明郎. “アスベストのクボタ・ショック” (日本語). コトバンク知恵蔵2014』. 朝日新聞社. 2014年3月24日閲覧。
  8. ^ 「アスベスト診断士」養成研修会について” (日本語). JATI協会. 2014年3月24日閲覧。
  9. ^ 「アスベスト診断士」資格認定制度の概要” (日本語). JATI協会. 2014年3月24日閲覧。

外部リンク[編集]