IAAF世界リレー大会

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IAAF世界リレー大会
Tommy Robinson National Stadium.jpg
会場のトーマス・ロビンソン・スタジアム
主催 国際陸上競技連盟
創立 2014年
開催時期 4月(2017年大会)
開催地 バハマの旗 バハマナッソー
実施種目 トラック競技リレー種目
種目数 9種目(2017年大会)
サイト IAAF世界リレー大会
備考 前回大会総合優勝国
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

IAAF世界リレー大会IAAF World Relays)は、国際陸上競技連盟が主催するリレー種目の国際競技大会である。ワールドリレーズ世界リレー選手権大会とも呼ばれる[1][2]

概要[編集]

リレー種目だけの世界大会として2014年に新設された[3][4]。開催時期は4月か5月で、2日間の日程で開催される。現在のところ開催地は全てバハマナッソーで、2019年の第4回大会までバハマでの開催が決まっている[5]。第2回大会までは2年連続で開催されたが、第3回大会以降は隔年で奇数年毎に開催される。

種目[編集]

大会ではオリンピック世界陸上競技選手権大会の正式種目である4×100mリレー4×400mリレー、主要国際大会では実施されない4×200mリレー4×800mリレーなど、男女計10種目ほどが行われる。基本的に予選と決勝の2ラウンド制で行われるが、短距離(4×100mリレー、4×200mリレー、4×400mリレー)以外の種目はエントリーチーム数が多くないため、決勝だけの1ラウンド制となっている。4×100mリレーと4×400mリレーの2種目は、決勝で8位以内に入ればオリンピックか世界陸上競技選手権大会の出場権を早期獲得できる(男女混合4×400mリレーを除く)。なお、この2種目に限りB決勝が行われ、A決勝において失格や棄権など順位がつかなかったチームが出た場合、B決勝1位のチームから順に出場権が与えられる[6]

出場資格[編集]

世界大会の出場権がかかる男女の4×100mリレーと4×400mリレーには参加標準記録が設けられている。しかし、参加標準記録を破ったチームが22(最大24)に満たない場合は、有効期間内の世界ランキング上位のチームから出場権が与えられる。オリンピックや世界陸上競技選手権大会と同様に、大会が開催される年の12月31日時点で16歳未満の選手は出場できない[6]

賞金[編集]

大会では各種目8位以内のチームにUSドルの賞金と得点が与えられる。賞金は1位に5万ドル、2位に3万ドル、3位に2万ドル、4位に1万2千ドル、5位に1万ドル、6位に8千ドル、7位に6千ドル、8位に4千ドルで、更に世界新記録を出したチームにはボーナスとして5万ドルが与えられる[6]

対抗戦[編集]

大会では順位に応じて得点が与えられる。1位に8点、2位に7点、3位に6点、4位に5点、5位に4点、6位に3点、7位に2点、8位に1点で、男女総合得点1位のチームには「ゴールデンバトン」と呼ばれるバトンを型どったトロフィーが授与される[7][6]

大会一覧[編集]

回数 開催日程 開催国 開催都市 開催会場 種目数 参加国 競技者数 総合優勝国
第1回英語版 2014年5月24日 - 25日 バハマの旗 バハマ ナッソー トーマス・ロビンソン・スタジアム 10 43 576 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第2回英語版 2015年5月2日 - 3日 バハマの旗 バハマ ナッソー トーマス・ロビンソン・スタジアム 10 43 669 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第3回英語版 2017年4月22日 - 23日 バハマの旗 バハマ ナッソー トーマス・ロビンソン・スタジアム 9 35 509 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
第4回 2019年 バハマの旗 バハマ

実施種目[編集]

2017年大会で実施される種目[編集]

参加標準記録:男子39秒00、女子44秒00(記録有効期間:2016年1月1日 - 2017年4月3日)
参加標準記録:男子3分04秒10、女子3分34秒00(記録有効期間:2016年1月1日 - 2017年4月3日)

過去の大会で実施された種目[編集]

  • 4×1500mリレー:2014年大会
  • ディスタンスメドレーリレー(1200m + 400m + 800m + 1600m):2015年大会

過去の大会の参加標準記録[編集]

  • 2014年大会(記録有効期間:2013年1月1日 - 2014年5月12日)
4×100mリレー:男子38秒90、女子43秒80
4×400mリレー:男子3分04秒10、女子3分33秒00
  • 2015年大会(記録有効期間:2014年1月1日 - 2015年4月20日)
4×100mリレー:男子39秒00、女子44秒00
4×400mリレー:男子3分04秒10、女子3分33秒50

歴史[編集]

陸上競技の普及と新分野のマーケット拡大を目的に2014年に新設された。国際陸上競技連盟が世界大会を新設したのは、1999年の世界ユース選手権以来15年ぶりだった[7]

2014年大会

記念すべき第1回大会は2014年5月にバハマナッソーで開催され、43カ国から576人が参加した。カリブ諸国で陸上競技の世界大会が開催されたのは、世界ジュニア選手権ジャマイカキングストンで開催)以来、12年ぶり2度目だった。今大会では男女の4×100mリレー4×200mリレー4×400mリレー4×800mリレー4×1500mリレーの計10種目が実施された。男女の4×100mリレーと4×400mリレーには参加標準記録が設けられ、この種目の上位8カ国には翌年の北京世界選手権の出場権が与えられた[8]。今大会は男子4×200mリレーにおいてジャマイカ、男女の4×1500mリレーにおいてケニアが世界新記録を樹立。ゴールデンバトン(男女総合優勝)は5種目で優勝したアメリカが獲得した。なお、今大会ではオリンピック世界選手権のようなメダルセレモニーは行われず、代わりにフラワーセレモニーが行われた[7]

2015年大会

第2回大会は4×1500mリレーが廃止された代わりにディスタンスメドレーリレー(1200m + 400m + 800m + 1600m)が採用され、計10種目が実施された。男女の4×100mリレーと4×400mリレーの上位8カ国には翌年のリオデジャネイロオリンピックの出場権が与えられた[9]。今大会はウサイン・ボルトが初めて参加して注目を集めたが、出場は男子4×100mリレーだけに留まった。その4×100mリレーではアメリカに敗北を喫したが、決勝では非公式ながら世界最高スプリットとなる8秒65をマークした[注 1][10][11]。今大会は男女のディスタンスメドレーリレーにおいてアメリカが世界新記録を樹立し、ゴールデンバトンも7種目で優勝したアメリカが2大会連続で獲得した。

2017年大会

第3回大会は初めて4月開催となり、ディスタンスメドレーリレーが廃止された代わりに男女混合4×400mリレーが採用され[注 2]、計9種目が実施された。男女の4×100mリレーと4×400mリレーの上位8カ国には今年のロンドン世界選手権の出場権が与えられた[6]。今大会では開催国のバハマが最終種目の男女混合4×400mリレーで優勝し、3大会目にして初の金メダルを獲得した。ゴールデンバトンは5種目で優勝したアメリカが3大会連続で獲得した。

国別メダル獲得数[編集]

国・地域
1 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 17 5 2 24
2 ジャマイカの旗 ジャマイカ 5 6 5 16
3  ケニア 3 4 0 7
4 バハマの旗 バハマ 1 2 0 3
5 ドイツの旗 ドイツ 1 1 2 4
6 ナイジェリアの旗 ナイジェリア 1 0 1 2
7 カナダの旗 カナダ 1 0 0 1
8 ポーランドの旗 ポーランド 0 4 2 6
9 イギリスの旗 イギリス 0 1 3 4
10 トリニダード・トバゴの旗 トリニダード・トバゴ 0 1 2 3
11 フランスの旗 フランス 0 1 1 2
12 セントクリストファー・ネイビスの旗 セントクリストファー・ネイビス 0 1 0 1
12  ベラルーシ 0 1 0 1
12 バルバドスの旗 バルバドス 0 1 0 1
12 ボツワナの旗 ボツワナ 0 1 0 1
16 オーストラリアの旗 オーストラリア 0 0 5 5
17 中華人民共和国の旗 中国 0 0 2 2
18  ベルギー 0 0 1 1
18 エチオピアの旗 エチオピア 0 0 1 1
18 日本の旗 日本 0 0 1 1
18 ロシアの旗 ロシア 0 0 1 1
Total 29 29 29 87

大会記録[編集]

太字の記録は世界記録も兼ねる

男子[編集]

種目 記録 選手 国籍 年月日 大会
4×100mリレー 37秒38 マイク・ロジャース
ジャスティン・ガトリン
タイソン・ゲイ
ライアン・ベイリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2015年5月2日 第2回
4×200mリレー 1分18秒63 ニッケル・アシュミード
ウォーレン・ウィア
ジャーメイン・ブラウン
ヨハン・ブレーク
ジャマイカの旗 ジャマイカ 2014年5月24日 第1回
4×400mリレー 2分57秒25 デイヴィッド・ヴァーバーグ
トニー・マッケイ
クリスチャン・テイラー英語版
ラショーン・メリット
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2014年5月25日 第1回
4×800mリレー 7分04秒84 デュエイン・ソロモン英語版
Casimir Loxsom(英語版)
ロビー・アンドリューズ英語版
エリック・ソウィンスキー英語版
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2015年5月2日 第2回
4×1500mリレー 14分22秒22 コリンズ・ケンボイ英語版
サイラス・キプラガト英語版
ジェームス・キプラガト・マグト英語版
アスベル・キプロプ
 ケニア 2014年5月25日 第1回
ディスタンスメドレーリレー
(1200+400+800+1600m)
9分15秒50 カイル・メルバー英語版
Brycen Spratling
ブランドン・ジョンソン英語版
Ben Blankenship(英語版)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2015年5月3日 第2回

女子[編集]

種目 記録 選手 国籍 年月日 大会
4×100mリレー 41秒88 ティアナ・バートレッタ
アレクサンドリア・アンダーソン英語版
ジェネバ・タモー英語版
ラキーシャ・ローソン英語版
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2014年5月24日 第1回
4×200mリレー 1分29秒04 Jura Levy(英語版)
シェリカ・ジャクソン英語版
Sashalee Forbes(英語版)
エレイン・トンプソン
ジャマイカの旗 ジャマイカ 2017年4月22日 第3回
4×400mリレー 3分19秒39 フィリス・フランシス英語版
ナターシャ・ヘイスティングス英語版
サーニャ・リチャーズ=ロス
フランセナ・マッコロリー
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2015年5月3日 第2回
4×800mリレー 8分00秒62 Chanelle Price(英語版)
マギー・ヴェッセイ英語版
Molly Beckwith-Ludlow(英語版)
アリシア・ジョンソン・モンタノ英語版
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2015年5月3日 第2回
4×1500mリレー 16分33秒58 メルシー・チェロノ英語版
ファイス・キピエゴン英語版
イレナ・ジェラガト英語版
ヘレン・オンサンド・オビリ英語版
 ケニア 2014年5月24日 第1回
ディスタンスメドレーリレー
(1200+400+800+1600m)
10分36秒50 サーニャ・リチャーズ=ロス
Treniere Moser(英語版)
シャノン・ロウベリー英語版
アジー・ウィルソン英語版
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 2015年5月2日 第2回

日本代表の成績[編集]

種目 → 4×100mリレー 4×200mリレー 4×400mリレー
大会 ↓ 男子 女子 男子 女子 男子 女子
第1回(2014年) 5位
(38秒40)
予選敗退
(44秒66)
予選敗退
(1分23秒87)
- B決勝2位
(3分03秒24)
-
第2回(2015年) 3位
(38秒20)
予選失格
DQ
- - 予選敗退
(3分06秒38)
B決勝2位
(3分34秒65)
第3回(2017年) B決勝7位
(40秒31)
- - - 予選途中棄権
DNF
-

第1回大会から毎回出場している。基本的に世界大会の出場権がかかった種目(男女の4×100mリレーと4×400mリレー)にしか出場しないが、第1回大会の男子4×200mリレーには4×100mリレーと4×400mリレーの補欠の選手で出場した。

2014年大会

第1回大会の女子4×400mリレーは参加標準記録を破れなかったため出場できなかった。

2015年大会

第2回大会の男子4×100mリレーでは日本勢初のメダルとなる銅メダルを獲得した。この種目はメンバー選考の段階で怪我人や辞退者が相次いだため、日本陸上競技連盟の強化委員会からは派遣を見送る案も出たという。更に現地入り後もレギュラーメンバーが怪我のため戦線離脱。そんな逆境の中、大瀬戸一馬藤光謙司桐生祥秀谷口耕太郎のオーダーで臨み、シニア世界大会のリレー種目では2008年北京オリンピックの男子4×100mリレー(当時銅メダル)以来、日本史上2つ目のメダルを獲得した[13]

2017年大会

第3回大会の女子4×100mリレーと4×400mリレーは参加標準記録を突破していたものの、現時点では世界で勝負できないとの理由で派遣を見送った[注 3]。男子4×100mリレーは既にロンドン世界選手権の出場権獲得が濃厚のため[注 4]、今回は若手主体の選手(全員大学生)を派遣した。

日本でのテレビ中継[編集]

地上波では第1回大会からTBS関東ローカル)で放送されているが、放送枠は2時間程の録画中継となっている[15]。第2回大会は日本が男子4×100mリレーで銅メダルを獲得したこともあってか、2ヵ月後にCS放送TBSチャンネルでも放送された[16]。第3回大会は関東地域以外の一部のTBS系列でも放送される(2日目のみ)。

放送日

上段は1日目、下段は2日目。

大会 放送日 放送時間
第1回 2014年5月25日 15:00 - 17:00
2014年5月25日 23:53 - 25:53
第2回 2015年5月3日 25:00 - 27:00
2015年5月4日 13:57 - 15:53
第3回 2017年4月23日 15:15 - 17:00
2017年4月24日 23:56 - 25:56

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ それまでの世界最高スプリットは、2008年北京オリンピックでジャマイカのアサファ・パウエルがマークした8秒68。以前のボルトの最高スプリットは、2012年ロンドンオリンピックでマークした8秒70だった。
  2. ^ 男女混合4×400mリレーは、国際陸上競技連盟主催の大会では2015年世界ユース選手権で初めて実施された[12]
  3. ^ リレー種目に日本代表として出場するにはナショナルチーム入りする必要があり、日本陸上競技連盟は女子のナショナルチームに入るための目標記録を設定。100mは11秒55、200mは23秒50、400mは53秒10で、これを満たしているのは福島千里(100mと200m)、齋藤愛美(200m)、青山聖佳(400m)の3人しかいなかった。日本陸上競技連盟は、チームを組める段階になったら改めて世界に挑戦するという意図を明らかにしている[14]
  4. ^ ロンドン世界選手権のリレー種目の出場権を獲得するには、2017年世界リレー大会の上位8カ国に入るか、有効期間内の世界ランキングで上位8カ国に入る必要がある。日本は有効期間内である昨年のリオデジャネイロオリンピックで好記録をマークしている。

出典[編集]

  1. ^ 大会情報一覧 第3回ワールドリレーズ”. 日本陸上競技連盟 (2017年). 2017年3月11日閲覧。
  2. ^ 大会情報一覧 第1回世界リレー選手権大会”. 日本陸上競技連盟 (2014年). 2017年3月11日閲覧。
  3. ^ IAAF Council creates new World Relays competition”. 国際陸上競技連盟 (2012年8月10日). 2015年5月8日閲覧。
  4. ^ 「世界リレー」新設/陸上”. サンケイスポーツ. 2012年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月8日閲覧。
  5. ^ Iaaf Approves The Bahamas World Relays In 2019”. The Tribune(www.tribune242.com) (2016年8月31日). 2017年3月15日閲覧。
  6. ^ a b c d e Team Manual - Nassau 2017 国際陸上競技連盟 (PDF, 1.26 MB) 2017年04月06日閲覧
  7. ^ a b c 「IAAF World Relays」、『月刊陸上競技』第48巻第8号、講談社、2014年7月号、 102-106頁。
  8. ^ Team Manual - Nassau 2014 国際陸上競技連盟 (PDF, 1.47 MB) 2017年03月13日閲覧
  9. ^ Team Manual - Nassau 2015 国際陸上競技連盟 (PDF, 2.12 MB) 2014年11月07日閲覧
  10. ^ Usain clocks fastest ever relay split of 8.65 secs”. ウサイン・ボルト公式サイト (2015年5月4日). 2017年3月14日閲覧。
  11. ^ Usain Bolt Ran History's Fastest Anchor Leg at World Relays”. Watch Athletics (2015年5月4日). 2017年3月14日閲覧。
  12. ^ Mixed 4x400m preview – IAAF/BTC World Relays Bahamas 2017”. 国際陸上競技連盟 (2017年4月19日). 2017年4月21日閲覧。
  13. ^ 「世界リレー」、『月刊陸上競技』第49巻第7号、講談社、2015年6月号、 6-12頁。
  14. ^ 「トラックシーズン展望」、『月刊陸上競技』第51巻第6号、講談社、2017年5月号、 48頁。
  15. ^ JAAF主催大会放送予定を公開しています”. 日本陸上競技連盟 (2017年3月13日). 2017年3月13日閲覧。
  16. ^ マンスリーガイド(2015年7月) TBSチャンネル (PDF, 8.3 MB) 2017年03月12日閲覧

関連項目[編集]

いずれもトラック競技リレー種目が実施されるシニアの世界大会。

外部リンク[編集]