HD 69830

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HD 69830
HD 69830 Planet.jpg
HD 69830の想像図。
星座 とも座
視等級 (V) 6.76(Vバンド)[1]
変光星型 なし
分類 G型主系列星またはK型主系列星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 08h 18m 23.95s[1]
赤緯 (Dec, δ) -12° 37′ 55.8″[1]
視線速度 (Rv) 29.8±0.1 km/s[1]
固有運動 (μ) RA:280.3±1mas/yr[1]
DEC:-989.5±0.9mas/yr[1]
年周視差 (π) 80.04±0.35ミリ秒[2]
距離 41.0±0.4 ly
(12.58±0.12 pc[1])
物理的性質
半径 0.9058±0.019 R[2]
質量 0.863±0.043 M[2]
表面重力 4.49±0.06 cgs[2]
自転周期 35.1±0.8 [3]
スペクトル分類 K0V[1]
G8V[2]
光度 0.622±0.014 L[2]
表面温度 5394±62 K[2]
色指数 (B-V) 0.753[要出典]
色指数 (U-B) 0.34[要出典]
金属量[Fe/H] -0.04±0.03[2]
年齢 10.6±4 Gyr[2]
別名称
別名称
HR 3259, グリーゼ302, HIP 40693, SAO 154093, LHS 245, BD−12°2449.
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HD 69830とも座に位置する恒星である。海王星サイズの太陽系外惑星3つ[4]塵円盤[5]を持つことが知られている。

概要[編集]

大きさの比較
太陽 HD 69830
太陽 Exoplanet

HD 69830は太陽の0.863倍の質量、0.9058倍の半径を持つ、太陽よりやや小ぶりな恒星である[1]スペクトル型はG8V[2]またはK0V[1]である。表面温度は5395Kと太陽よりやや冷たい[2]。地球から約41光年離れている[1]

HD 69830のハビタブルゾーン(HZ、液体の水が存在できる領域)の範囲は最も狭い場合で0.767AUから1.368AU、最も広い場合で0.605AUから1.442AUとなる[2]。惑星HD 69830 d(0.63AU)はこのハビタブルゾーンの内側の縁付近を公転している。

惑星系[編集]

HD 69830系の惑星の軌道を表した図。惑星dの外側の紫色の部分に塵円盤がある。

HD 69830は太陽に似た恒星であるが、系内には木星型惑星が発見されていない。このようなタイプの惑星系としては最初に発見されたものである。発見された3つの惑星のうち最も外側にあるHD 69830 dは先述のとおり、ハビタブルゾーン内にあり、液体のが安定して存在し得る。この惑星は後述する塵円盤にとって外側の「羊飼い惑星」であると信じられている。これらの惑星は自身の重力により主星のHD 69830を揺さぶりを検知する、ドップラー分光法によって発見された。ただし、ドップラー分光法は惑星を「間接的」に発見する手法のため、得られる物理的特徴は下限質量のみとなる。各々の惑星の下限質量は地球の10.2、11.8、18.1倍であり、どれも海王星クラスの下限質量を持つが、あくまで下限なので実際の値はもっと大きい可能性もある。公転周期は8.667、31.56、197地球日である。惑星はチリにあるヨーロッパ南天天文台の望遠鏡を使って発見された[1][2]

HD 69830の惑星[1][3]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b >10.2 M 0.0785 8.667 ± 0.003 0.1 ± 0.04 13+27
−13
°
c >11.8 M 0.186 31.56 ± 0.04 0.13 ± 0.06 13+27
−13
°
d >18.1 M 0.63 197 ± 3 0.07 ± 0.07 13+27
−13
°
塵円盤 0.93—1.16 AU

塵円盤[編集]

地球から見た黄道光(下)とHD 69830の惑星から見た塵円盤(上)の比較。

2005年、スピッツァー宇宙望遠鏡によって塵円盤らしきものが検出された。この円盤は後に発見された惑星dの外側にあり、太陽系小惑星帯にくらべ20倍もの総質量を持つと考えられている。主星からの距離は太陽系でいうと金星軌道から地球軌道付近にあたる。近くの惑星からは、地球からみた黄道光の1000倍の明るさで輝いて見えるとされている。これは天の川よりも明るい。

塵円盤は冥王星サイズの彗星が重力的に軌道を乱されて主星の近くを通過し、構成成分が蒸発したために塵が撒き散らされて一時的に形成されている可能性がある[6]。塵円盤はカンラン石を含んでおり、ヘール・ボップ彗星と組成が似ている。しかし、超巨大彗星が恒星へ落ちていくという希少な現象が、たまたまスピッツァーによる短い観測時間で捉えられる可能性はわずかである。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]