Folding@home

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Folding@home
F@H Logo 2012.png
作者 Vijay S. Pande
開発元 Pande Laboratory, ソニー, NVIDIA, ATI, Joseph Coffland, Cauldron Development[1]
初版 2000年10月1日(19年前) (2000-10-01
最新版 7.5.1 / 2018年5月31日(21か月前) (2018-05-31[2]
プラットフォーム クロスプラットフォーム
対応言語 英語
種別 分散コンピューティング
ライセンス プロプライエタリ [3]
公式サイト foldingathome.org
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Folding@home(FAH、フォールディング・アット・ホーム[4])は、分子動力学シミュレーションによりタンパク質のフォールディングを解析するための、ボランティア分散コンピューティングプロジェクト。

概要[編集]

Folding@homeは、世界中の家庭にあるパーソナルコンピュータゲーム機スマートフォンなどの身近なマシンを、分散コンピューティング技術によって科学研究に利用するプロジェクトである。参加者は無償のボランティアであり、おのおの所有するマシンに専用ソフトウェアをインストールし、アイドル時に余る計算リソースを提供する。研究者は、本プロジェクトの成果であるタンパク質の解析情報を手がかりにスクリーニング(ふるい分け)することで、アルツハイマー病ハンチントン病パーキンソン病・各種ウイルス対策などの研究効率を上げることができる。

本プロジェクトは、分散コンピューティングモデルとしても先駆的な取り組みをしている。クライアント(参加者のマシン)はそれぞれシミュレーションの一部(ワークユニット、WU)を受け取り、計算により完成させ、プロジェクトのサーバーに返す。先進的な統計シミュレーション手法により、有力な予測結果をクライアント間で共有して効率を高める。個人やチームの計算累積をウェブサイトに掲示することで参加者の達成感や競争心を刺激し、積極的かつ長期的な貢献を促す。

本プロジェクトはビジェイ・S・パンデ教授の指揮のもと、2000年10月1日にスタンフォード大学で発足した。2019年以降は、ワシントン大学セントルイス校医学部に拠点を置き、パンデ教授の元教え子であるグレッグ・ボーマン博士が指揮している。発足以来、直接の成果として200以上の科学研究論文を発表してきた[5]。シミュレーションと実験の結果はよく一致している。

2020年2月末より新型コロナウイルスに対する取り組みを始めると、参加者が著しく増加し、同年3月25日には本プロジェクトの演算能力は1EFLOPSを優に超え、1.5EFLOPSにも達した[6][7]TOP500の上位100スーパーコンピュータの合算を上回る能力を獲得し、これまでの数千倍長いタンパク質を対象とするシミュレーションが可能となっている。

経過[編集]

  • 2000年10月1日、プロジェクトを開始。
  • 2007年3月22日、PlayStation 3(PS3)に対応[8]。3日後には700T(テラFLOPS以上の演算能力を獲得し、従来1年以上かかっていた複雑なシミュレーションが数週間で完了した[9]
  • 2007年9月16日、分散コンピューティング史上初となる1P(ペタ)FLOPSに到達(1秒間に1000兆回の演算能力)。
  • 2007年9月24日、PS3クライアントのみの合計で当時のスーパーコンピュータの能力に匹敵する1PFLOPSに到達[10]
  • 2007年11月1日、世界一強力な分散コンピューティングネットワークとしてギネスブックに認定[11][12]
  • 2008年11月9日現在、計4.247PFLOPS、うちGPUの処理能力は2.226PFLOPS、PS3による処理能力は1.733PFLOPS。
  • 2012年3月23日現在、計5.427PFLOPS。
  • 2012年10月22日、PS3クライアントの終了を発表(2012年11月6日終了、延べ1500万人のユーザーが参加した)[13]
  • 2015年1月13日、Android4.4以上搭載のスマートフォン/タブレット向けクライアントアプリをリリース。当初はXperiaシリーズのみ対応、のち条件を満たす他機種にも対応。
  • 2016年1月6日現在、計80.79PFLOPS、うちGPUの処理能力は78PFLOPS(96%)。GPUはNVIDIAのFermiが8割を占める。
  • 2020年2月27日、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する取り組みを発表[14]
  • 2020年3月25日、分散コンピューティング史上初となる1E(エクサ)FLOPSに到達(1秒間に100京回の演算能力)。

脚注[編集]

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  1. ^ foldingathome.org (2016年9月27日). “About Folding@home Partners”. 2020年4月4日閲覧。
  2. ^ Folding Forum: New FAHClient - New released client”. 2019年3月4日閲覧。
  3. ^ Folding@Home distributed computing client”. スタンフォード大学. 2010年8月26日閲覧。
  4. ^ 疾病原因究明に貢献するCell Broadband Engine™(Cell/B.E.)技術”. ソニー (2010年8月31日). 2012年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月27日閲覧。
  5. ^ PAPERS & RESULTS”. 2020年3月29日閲覧。
  6. ^ Pande lab. “Client Statistics by OS”. Archive.is. 2020年3月25日閲覧。
  7. ^ 佐藤 岳大 (2020年3月26日). “新型コロナ解析で分散処理プロジェクト「Folding@home」が1EFLOPS超え”. PC Watch. 2020年4月4日閲覧。
  8. ^ 僕らの知らない間にPS3が医療に貢献――米国スタンフォード大学の「Folding@home」提供開始
  9. ^ 「1年以上かかるはずだった計算も数週間」--Folding@homeにPS3ユーザー25万人以上が登録
  10. ^ 小堀龍之「ネットはいま 第2部 つながる――ゲーム機を持ち寄る(5)」『朝日新聞』2009年2月6日付夕刊、第3版、第3面。
  11. ^ Joshua Topolsky (2007年10月31日). “Folding@Home recognized by Guinness World Records”. engadget. 2020年4月4日閲覧。
  12. ^ 「プレイステーション 3」がスタンフォード大学の「Folding@home™」のギネス世界記録樹立に大きく貢献~「Folding@home™」が世界で最も強力な分散コンピューティングネットワークとして認定~
  13. ^ 「Life with PlayStation®」終了のお知らせ
  14. ^ Greg Bowman (2020年2月27日). “Folding@home takes up the fight against COVID-19 / 2019-nCoV”. Folding@home. 2020年4月4日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]