西アフリカ諸国経済共同体

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西アフリカ諸国経済共同体の加盟国（緑色）
加盟資格停止国は薄緑色で表示（脱退宣言国含む）

西アフリカ諸国経済共同体（にしアフリカしょこくけいざいきょうどうたい、英: Economic Community of West African States、仏: Communauté économique des États de l'Afrique de l'Ouest）は、1975年のラゴス条約に基づき設立された経済共同体。略称は英語でECOWAS、仏語ではCEDEAO。

目的[編集]

関税障壁の撤廃や貿易振興などを通じた経済協力、独立の保障などを通じて、加盟国の経済・生活水準向上や政治的安定を図ることを目的とする。また域内の治安維持、紛争防止などの抑止力及び実際に使用される実力として、一定の統合軍事力を保有。加盟国間の経済統合や政治的協調をさらに推し進めるため、1993年に修正西アフリカ諸国経済共同体条約が調印された。

加盟国[編集]

12ヶ国（資格停止含む）。ナイジェリアの旗 ナイジェリア、ガーナの旗 ガーナ、セネガルの旗 セネガル、コートジボワールの旗 コートジボワールの4ヶ国が指導的地位にあるが、近年の内戦でコートジボワールがこの地位から脱落したともいわれる。

2000年12月にモーリタニアが脱退した。また2009年にはニジェールが、2021年にはマリ共和国とギニア、2022年にはブルキナファソ[1]がクーデターを理由に資格を停止されている。2010年にはコートジボワールが大統領選挙の結果を認めないとして資格を停止された[2]。

2024年1月にマリ、ブルキナファソ、ニジェールが脱退を宣言した。

加盟資格停止国[編集]

脱退宣言国[編集]

機構[編集]

  • 首脳会議：西アフリカ諸国経済共同体の最高意思決定機関。少なくとも年1回開催され、議長国は互選。
  • 委員会：西アフリカ諸国経済共同体の事務局。
  • 閣僚会議：年2回開催。西アフリカ諸国経済共同体の実務的運営を担当。
  • 西アフリカ諸国経済共同体監視団 (平和維持軍、ECOMOG) ：域内安定のために各国が編成する統合軍事力。紛争を抱える加盟国に派遣され、紛争予防や平和維持を図る。

本部[編集]

本部はナイジェリアの首都であるアブジャで三つの建物に分かれていたが、2018年3月に中国の援助で一つに統合した新本部を建設することが決まった[8]。

活動[編集]

1993年西アフリカ経済条約調印される。 2002年10月、コートジボワール内戦の調停に入り、反乱軍のコートジボワール愛国運動 (MPCI) との間に休戦協定が成立した。 2003年以来、リベリアやコートジボワールの紛争に西アフリカ諸国経済共同体監視団 (ECOMOG) を派遣するなど、経済統合より域内での紛争解決の役割が目立っている。

2012年のマリにおける軍事クーデターでは、制裁を課した。クーデターの収束後は、マリ北部紛争対応のため、アフリカ主導マリ国際支援ミッションを編成しマリ政府を支援している。

2016年12月のガンビア大統領選挙で当選したアダマ・バロウに対してヤヒヤ・ジャメ大統領が政権交代を拒否したことを受け、翌2017年1月にガンビアへの軍事介入を開始してナイジェリアの軍艦（056型コルベット）を展開させ[9]、セネガル、ガーナ、マリ、トーゴ、ナイジェリアの地上部隊も進駐させてジャメ大統領を退陣に追い込んだ[10]。

2019年6月29日、ナイジェリアの首都アブジャで首脳会議が行われ、2020年までに共通通貨の導入を目指すとしており、共通通貨の名称を「ECO」にすると決定した[11]。そのうち8カ国はCFAフランを使用していたが、2019年12月21日、8カ国とフランスは、ECO移行後はCFAフラン使用国に課せられている、外貨準備高のうち50%をフランスの管理下に置くという規定から外すことで合意した[12]。

2020年8月18日に発生したマリにおける軍事クーデターでは、発生当初からクーデター勢力を非難。大統領や首相など拘束した全員の即時解放を求めるとともに、加盟国がマリとの国境を閉鎖することとした[13]。

歴代議長[編集]

代 名前 出身国 就任日 退任日
1 ニャシンベ・エヤデマ トーゴの旗 トーゴ 1977年 1978年
2 オルシェグン・オバサンジョ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 1978年 1979年
3 レオポール・セダール・サンゴール セネガルの旗 セネガル 1979年 1980年
4 ニャシンベ・エヤデマ トーゴの旗 トーゴ 1980年 1981年
5 シアカ・スティーブンス シエラレオネの旗 シエラレオネ 1981年 1982年
6 マチュー・ケレク ベナンの旗 ベナン 1982年 1983年
7 セク・トゥーレ ギニアの旗 ギニア 1983年 1984年
8 ランサナ・コンテ ギニアの旗 ギニア 1984年 1985年
9 ムハンマド・ブハリ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 1985年 1985年8月27日
10 イブラヒム・ババンギダ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 1985年8月27日 1989年
11 ダウダ・ジャワラ ガンビアの旗 ガンビア 1989年 1990年
12 ブレーズ・コンパオレ ブルキナファソの旗 ブルキナファソ 1990年 1991年
13 ダウダ・ジャワラ ガンビアの旗 ガンビア 1991年 1992年
14 アブドゥ・ディウフ セネガルの旗 セネガル 1992年 1993年
15 ニセフォール・ソグロ ベナンの旗 ベナン 1993年 1994年
16 ジェリー・ローリングス ガーナの旗 ガーナ 1994年 1996年7月27日
17 サニ・アバチャ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 1996年7月27日 1998年6月8日
18 アブドゥルサラミ・アブバカール ナイジェリアの旗 ナイジェリア 1998年6月9日 1999年
19 ニャシンベ・エヤデマ トーゴの旗 トーゴ 1999年 1999年
20 アルファ・ウマル・コナレ マリ共和国の旗 マリ 1999年 2001年12月21日
21 アブドゥライ・ワッド セネガルの旗 セネガル 1989年12月21日 2003年1月31日
22 ジョン・アジェクム・クフォー ガーナの旗 ガーナ 2003年1月31日 2005年1月19日
23 タンジャ・ママドゥ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 2005年1月19日 2007年1月19日
24 ブレーズ・コンパオレ ブルキナファソの旗 ブルキナファソ 2007年1月19日 2008年12月19日
25 ウマル・ヤラドゥア ナイジェリアの旗 ナイジェリア 2008年12月19日 2010年2月18日
26 グッドラック・ジョナサン ナイジェリアの旗 ナイジェリア 2010年2月18日 2012年2月17日
27 アラサン・ワタラ コートジボワールの旗 コートジボワール 2012年2月17日 2014年3月28日
28 ジョン・ドラマニ・マハマ ガーナの旗 ガーナ 2014年3月28日 2015年5月19日
29 マッキー・サル セネガルの旗 セネガル 2015年5月19日 2016年6月4日
30 エレン・ジョンソン・サーリーフ リベリアの旗 リベリア 2016年6月4日 2017年6月4日
31 フォール・ニャシンベ トーゴの旗 トーゴ 2017年6月4日 2018年7月31日
32 ムハンマド・ブハリ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 2018年7月31日 2019年6月29日
33 マハマドゥ・イスフ ニジェールの旗 ニジェール 2019年6月29日 2020年6月2日
34 ナナ・アクフォ＝アド ガーナの旗 ガーナ 2020年6月2日 2022年7月3日
35 ウマロ・シソコ・エンバロ ギニアビサウの旗 ギニアビサウ 2022年7月3日 2023年7月9日
36 ボラ・ティヌブ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 2023年7月9日 （現職）

出典[編集]

  1. ^ “Burkina Faso restores constitution, names coup leader president”. Al Jazeera English. アルジャジーラ. (2022年1月31日). https://www.aljazeera.com/news/2022/1/31/burkina-faso-restores-constitution-names-coup-leader-president 2022年2月2日閲覧。 
  2. ^ “Cote d'Ivoire expelled from Ecowas” (英語). Al Jazeera. (2010年12月7日). http://english.aljazeera.net/news/africa/2010/12/20101272090983941.html 2010年12月9日閲覧。 
  3. ^ “African Union suspends Guinea after military coup”. ドイチェ・ヴェレ (2021年9月10日). 2021年9月19日閲覧。
  4. ^ “African Union announces 'immediate suspension' of Mali after second coup”. France 24. (2021年6月2日). https://www.france24.com/en/africa/20210602-african-union-announces-immediately-suspension-of-mali-after-second-coup 2021年9月19日閲覧。 
  5. ^ a b c “ニジェールなど3カ国、西アフリカ共同体脱退　地域緊張高まる恐れ”. ロイター. (2024年1月29日). https://jp.reuters.com/world/security/B7GXGLHXC5MNTD3UAU25XLT6DE-2024-01-29/ 2024年1月29日閲覧。 
  6. ^ “AU suspends Burkina Faso after coup as envoys head for talks”. アルジャジーラ. (2022年1月31日). https://www.aljazeera.com/news/2022/1/31/africa-union-suspends-burkina-faso-after-coup-as-envoys-head-for-talks 2022年2月1日閲覧。 
  7. ^ “アフリカ連合、ニジェールの資格停止　軍事介入には慎重”. 日本経済新聞. (2023年8月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2327X0T20C23A8000000/ 2023年9月1日閲覧。 
  8. ^ “Free gift? China extends influence in Africa with $32M grant for regional HQ”. CNN. (2018年3月30日). https://edition.cnn.com/2018/03/27/asia/ecowas-china-headquarters-intl/index.html 2018年7月24日閲覧。 
  9. ^ “The Gambia's president declares state of emergency” (英語). BBC News. (2017年1月17日). オリジナルの2017年1月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170118000324/http://www.bbc.com/news/world-africa-38652939 2020年1月7日閲覧。 
  10. ^ “Gambia: Defeated leader Yahya Jammeh faces military showdown”. CNN (2017年1月20日). 2020年1月7日閲覧。
  11. ^ “西アフリカ15か国、2020年に単一通貨「ECO」導入へ”. フランス通信社. (2019年6月30日). https://www.afpbb.com/articles/-/3232875 2019年7月5日閲覧。 
  12. ^ “West African Countries Take a Step Away From Colonial-Era Currency”. ニューヨーク・タイムズ. (2019年12月21日). https://www.nytimes.com/2019/12/21/world/africa/west-africa-currency-france-franc.html 2019年12月23日閲覧。 
  13. ^ “マリでクーデターか、大統領が拘束後に辞任　政府と議会も解散”. BBC (2020年5月19日). 2020年8月20日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

[1]

×は消滅・｛ ｝は構想段階
アジア
オセアニア
ヨーロッパ
アフリカ
アメリカ
大州間
国際連合（憲章）
アジア太平洋
インド太平洋
北米・ユーラシア
アラブ・アフリカ
アメリカ
  1. ^
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