DisplayPort

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DisplayPortディスプレイポート)は、液晶ディスプレイなどのデジタル・ディスプレイ装置の為に設計された映像出力インタフェース規格である。

DVIの後継を狙った規格であり、標準化団体であるVESAによって策定された。二次的な仕様ではあるが音声信号や汎用データの転送も可能である。音声信号伝送に関してはオプションである為、機器によって対応/非対応のものがある。

DisplayPort端子 オス
DisplayPortのピンレイアウト

歴史[編集]

CRTディスプレイの時代から長年使われてきたアナログVGAインタフェースは、1999年4月にデジタル信号を扱うDVIの登場によって置き換えが進むかに思われたが、実際には両者の切り替わりには時間が掛かっていた。

その後、21世紀に入りノートパソコンでのDVI端子の厚さに対する不満や、デジタル家電でのHDMIの登場によって据え置き型のPCでもDVIからHDMIに対応するようになるなど、PC業界からはDVIやHDMIでは満たせない小型化やコスト低減、今後の高速化への余地を確保できるような新たなインタフェースが求められた。

こういった背景でDisplayPortはそれまでのDVIを置き換える目的で開発され、2006年5月の最初の規格である1.0が、VESA (Video Electronics Standards Association)[注 1] によって発表され、2008年1月にはVersion 1.1aが策定された[注 2]。特に2007年1月にそれまでUDI (Unified Display Interface) 規格を推進してきた米インテル社がDisplayPortの支持に転向してからは、PC用ディスプレイで今後の利用が進むと考えられ、ビジネス用のPCではDisplayPortが、AVパソコンと呼ばれるPCではHDMIが採用されるというのが主流である[注 3][1]

またDisplayPortではHDMIやDVIでは想定していなかった超高解像度での利用を視野に入れており、特定のビジネス用途(医療分野やCAD等)では他に選択肢がない。なお、この超高解像度のサポートは元々マルチディスプレイ環境下での解像度の合計値を想定して定められたものである。

特徴[編集]

  • ライセンス料が必要なHDMIに対して、VESAはDisplayPortを無償で使用できるように策定していた[2][3]。2015年になってMPEG LA社がDisplayPortライセンスを策定しライセンス料の支払いを要求している[4]がVESAは認めていない[5]。VESAの公式サイトのFAQによれば、2017年10月現在、ライセンス料は支払われていないようである。
    MPEG LAのプレスリリースによれば、MPEG LAライセンスプールの一つ以上の特許が含まれている地域で製造または販売された場合、1製品当たり0.20ドルのライセンス料が発生するとしている[4]。2015年9月現在、MPEG LAのライセンスには日立マクセルPhilipsラティスセミコンダクターRambusSonyの特許が含まれる[6]
    またDisplayPortはケーブルの両端に制御ICが必要なため、ケーブルの製造コストはHDMIより高い。
    DisplayPort規格は無料で利用できるが、規格へのアクセスにVESAの会員資格を必要とし[7]年会費は安い場合で5,000ドルである[8]
  • 複数のディスプレイを数珠つなぎにし、今までよりも簡単にマルチディスプレイ環境を構築することが出来る。
  • PCセットトップボックスはソース機器、モニタ・プロジェクタなどはシンク機器として定義されている。
  • ソース機器の対応次第で、DisplayPort-DVI/DisplayPort-HDMI変換アダプタを利用し、DVI/HDMIシンク機器への接続も可能になり、その逆も可能である。
  • 著作権保護技術HDCPに対応しており、これを利用した映像信号と音声信号の伝送が可能である。
  • 音声伝送に関してはOptionalとして定義されているため、対応している機器とそうでない機器がある。
  • 外付けのディスプレイだけではなく、ノートパソコンといった内蔵型ディスプレイの為の伝送技術としての利用も想定している[注 4]
  • 1.0Mbpsの双方向通信用の外部チャネルラインを持つ[注 5]
  • 音声は8チャンネルのLPCMS/PDIFを伝送可能である。
  • 規格はパソコン関連メーカー主導で決められた。
  • DisplayPort Version 1.2では伝送速度が倍の21.6Gbpsとなった。[注 6][1]
  • パイオニアが発売したプラズマテレビKUROではセパレートされたチューナー部分とディスプレイ部分の接続に同規格が採用されている。
  • Version 1.4 では非可逆圧縮であるDisplay Stream Compression (DSC) 1.2 に対応、最高8K/60 Hz, 4K/120Hzやハイダイナミックレンジ(HDR)信号にも対応した。
  • DisplayPort Alt ModeでUSB Type-Cに対応している[9](Version 1.4, 両端に制御ICは必要ない)。
  • 8K対応のDP8KにおいてもDisplayPort High Bit Rate 3に対応し、USB Type-Cを用いることが出来る[10]

仕様・バージョン[編集]

仕様沿革[編集]

  • 2006年5月 1.0
  • 2007年3月 1.1
  • 2008年1月 1.1a
  • 2009年12月 1.2[注 7][1][11]
  • 2014年5月 1.2a
  • 2014年9月 1.3
  • 2016年3月 1.4[12]
  • 2018年4月 1.4a

基本仕様[編集]

  • レーン数:4組(1差動信号ペア(1レーン)の最大データ・レートは2.7Gbps、ペアごとにシールドされる)
  • 各色コンポーネントの最大階調数 (RGB):16ビット
  • クロック信号:データに埋め込み
  • 音声信号:[オプション] 8チャンネル192kHz/24bitまでのオーディオストリームに対応
  • データ形式:パケット
  • 伝送方式:8b/10b
  • 線路結合:AC結合
  • 波形制御:プリエンファシス使用
  • コンテンツ保護:128bit AESによる DPCP[注 8] / [1.1以降] 40bit HDCP[注 9]
  • HDCP 1.3に対応[13]
  • コネクタ寸法:約15.9mm×4.66mm
  • 最大ケーブル長:15m
バージョン リリース日 データ・レート
(実効最大)
追加機能
1.0 2006年5月3日 8.64 Gbps
(2.7 Gbps×4レーン)
1.2 2009年12月22日 17.28 Gbps
(5.4 Gbps × 4レーン)
マルチストリーム転送 (MST)、MSTトポロジー管理のサポート、Fast AUX-CH、3D映像のサポート、広色域サポート、

miniDisplayportのサポート

1.3 2014年9月15日 25.92 Gbps
(8.1 Gbps × 4レーン)
デュアルモードのサポート、ピクセルサブサンプリング4:2:0のサポート
1.4[14] 2016年3月1日 ディスプレイストリーム圧縮(DSC)1.2、HDR静的/動的メタデータ転送、前方誤り訂正、Rec.2020色空間のサポート、
拡張オーディオ転送: 32チャンネル 1536 kHz/24bit までのオーディオストリームに対応、USB TYPE-Cのサポート

解像度・フレームレート[編集]

総称 解像度 色空間 バージョン / Gbps/8bit depth
RGB 8bit 10bit 1.0 & 1.1 1.2 1.3 1.4
フレームレート

(Hz)

Gbps (CVT-R2) 8.64

(HBR)

17.28

(HBR2)

25.92

(HBR3)

25.92

(HBR3)

1080p 1920 x 1080 30 1.58 1.97 Yes Yes Yes Yes
60 3.20 3.99 Yes Yes Yes Yes
120 6.59 8.24 Yes Yes Yes Yes
144 8.00 10.00 Yes Yes Yes Yes
165 9.26 11.57 No Yes Yes Yes
240 14.00 17.50 No Yes Yes Yes
1440p 2560 x 1440 30 2.78 3.47 Yes Yes Yes Yes
60 5.63 7.04 Yes Yes Yes Yes
120 11.59 14.49 No Yes Yes Yes
144 14.08 17.60 No Yes Yes Yes
165 16.30 20.37 No Yes Yes Yes
180 17.91 22.38 No No Yes Yes
4K 3840 x 2160 30 6.18 7.73 Yes Yes Yes Yes
60 12.54 15.68 No Yes Yes Yes
75 15.79 19.74 No Yes Yes Yes
120 25.82 32.27 No No Yes Yes
144 31.35 39.18 No No No Yes¹
5K 5120 × 2880 30 10.93 13.67 No Yes Yes Yes
60 22.18 27.72 No No Yes Yes
120 45.66 57.08 No No No Yes¹
8K 7680 x 4320 30 24.48 30.60 No No Yes Yes
60 49.65 62.06 No No No Yes¹
¹ 要ディスプレイストリーム圧縮 (DSC)

コネクタ[編集]

  • USBコネクタと同程度の大きさ
  • 20端子
DisplayPortのコネクタ
水色部分が凹、中央の黒い横棒部分が凸になっており、プラグ側中央部の凹に嵌まり込む。接続端子は千鳥配列になっている。高速伝送での損失を抑える為にケーブルは太く、コネクタ側にツメが出て引き抜け防止となるオプション規定もある。
Mini DisplayPortのコネクタ
白色部分が凹、中央の黒い横棒部分が凸になっており、プラグ側中央部の凹に嵌まり込む。Appleが開発・提案し、DisplayPort Standard Version 1, Revision 1a規格で標準化されている[15]

ピン配列[編集]

DisplayPort Connector.svg

ピン配置
ピン 名称
1 MainLane0+
2 Gnd
3 MainLane0-
4 MainLane1+
5 Gnd
6 MainLane1-
7 MainLane2+
8 Gnd
9 MainLane2-
10 MainLane3+
11 Gnd
12 MainLane3-
13 Gnd
14 Gnd
15 Aux+
16 Gnd
17 Aux-
18 ホットプラグ検出
19 Gnd
20 3.3V

回路[編集]

DisplayPortとMini DisplayPortの差動高速データ信号線と制御信号線の回路概要
データ信号線(図上)と制御信号線(図下)はともに差動回路で50Ωの抵抗を介してバイアス電圧にプルアップされている。出力側は直列にコンデンサを入れ、DC成分が遮断されている。制御信号線は1組の差動信号線を双方向で使用し、100kΩの抵抗を介して電源とグランドにプルアップとプルダウンされており、最高1Mbpsまでの速度に対応する。

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ VESAは、HPデルといったPCメーカーなどで構成されるディスプレイ関連の標準化などを手掛ける標準化団体である。
  2. ^ DisplayPortに似た規格にLVDSがある。
  3. ^ 小型の端子を武器にモバイル用途での採用を狙うDisplayPortだが、HDMIもVer. 1.4でマイクロHDMI(タイプD)プラグが制定されており、また新たに携帯機器用の高速画像インタフェースとしてMHLが登場している。
  4. ^ 2009年3月現在は、LVDSがノートパソコン内部のヒンジ部分をつなぐ信号線として採用されている場合が多いが、DisplayPortではLVDSより信号線が少なくDC結合が無く電圧も低く消費電力も少なくて済むので、送受信回路をグラフィックスLSIとタイミング・コントローラーLSIに統合しやすく、コスト削減と小面積化に貢献すると期待される。
  5. ^ DisplayPortの制御線はHDMIでのCECと同様にAVシアター・システムのような複数の映像機器を連動させる用途で、使用者のリモコン操作を一元的に扱う高機能な映像情報システムを組めるようになる。
  6. ^ DisplayPortに限らず、通信ケーブルの信号線を太くしてノイズ・シールドを十分に確保すれば伝送速度は今後も高められる。すでに光配線技術が成熟してきており、コストと消費電力でも電気配線に対抗できるレベルに近づきつつある。
  7. ^ 2009年12月に正式規格となったVersion 1.2では、3D映像と3,840×2,160画素映像への対応のため4レーン合計で5.4Gbit/秒の最大転送速度、現行1Mbpsの制御信号線を高速化、ミニ・コネクタを正式化、複数モニターへのマルチ出力対応、などが加わった。
  8. ^ DisplayPort Content Protection
  9. ^ High-bandwidth Digital Content Protection

出典[編集]

  1. ^ a b c 根津禎著 『モバイルを目指す 次世代インターフェース 第2部』 日経エレクトロニクス2009年2月23日号 51-52頁
  2. ^ 第2回 DisplayPortからD-Subまで――液晶ディスプレイの「映像入力インタフェース」を網羅する”. EIZO. 2017年4月7日閲覧。
  3. ^ 元麻布春男の週刊PCホットライン”. Impress Watch. 2017年4月7日閲覧。
  4. ^ a b MPEG LAがディスプレイポートのライセンスを導入”. Business Wire. 2017年4月7日閲覧。
  5. ^ FAQs”. VESA. 2016年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月7日閲覧。
  6. ^ “DisplayPort Attachment 1”. (2015年9月23日). http://www.mpegla.com/main/programs/DisplayPort/Documents/displayport-att1.pdf 2015年9月23日閲覧。 
  7. ^ “VESA standards purchasing page”. https://www.vesa.org/vesa-standards/ 
  8. ^ “VESA membership application”. https://fs16.formsite.com/VESA/form70/index.html 
  9. ^ VESA、DisplayPortコネクタのフェードアウトを示唆。将来的にはUSB Type-Cに集約~DisplayPort 1.4規格の現況を報告 2017年6月19日
  10. ^ VESA Strengthens 8K Video Resolution Ecosystem with Market-ready DP8K Certified DisplayPort Cables 2018年1月3日
  11. ^ DisplayPort® Developer Conference Presentations Posted | vesa
  12. ^ VESA Publishes DisplayPort™ Standard Version 1.4 | VESA 2016年3月1日
  13. ^ 志田晟著 『ディジタル信号の性質と高速伝送技術 第12回 ギガ・ビット伝送を拡張する工夫』 トランジスタ技術2009年2月号 232-239頁
  14. ^ 8K/60Hz、4K/120HzやHDRに対応した「DisplayPort 1.4」
  15. ^ VESA® Issues Mini DisplayPort™ Standard; Small Connector Supports Full Range of Capabilities Defined in DisplayPort Version 1, Rev. 1a

関連項目[編集]

外部リンク[編集]