Bodoni
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| 様式 | セリフ体 |
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| 分類 |
Vox-ATypI: Didone British: Didone Bringhurstian: Romantic |
| デザイナー | ジャンバティスタ・ボドニ |
| 制作会社 | Bauer Type Foundry、Mergenthaler Linotype Company、URW Type Foundry、Monotype Imaging、Bitstream Inc.、International Typeface Corporation、H. Berthold AG |
| 制作年月日 | 1790年 |
| 派生品 |
Berthold Bodoni Antiqua LTC Bodoni 175 Linotype Bodoni Bauer Bodoni Filosofia ITC Bodoni |
| 上記表示フォント | Bauer Bodoni |
Bodoni(ボドニ)は、イタリアの印刷工、ジャンバティスタ・ボドニに由来するディドニ(モダン・ローマン)体の書体群である。Didot(ディド)やWalbaum(ヴァルバウム)と並び、古典主義書体を代表するものとして知られる。
ストローク(画)の太さを均一に保つなど、幾何学的に構成されており、カリグラフィー的要素を排除しているのが特徴。広告やメディア制作の現場では優雅さの象徴とされ人気が高い反面、極端なストロークのコントラストから、組版における扱いが難しい書体ともみなされている。
発祥
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現在使われているBodoniのバリエーションの大部分は、イタリアの印刷業者であり書体デザイナーでもあったジャンバティスタ・ボドニに由来する。パルマ公国宮廷の印刷業者として、彼はそこで用いられていた印刷技術と書体の両方を高度に洗練させた[1]。彼自身の言葉によれば、その制作の根底には4つの基本原則があった。すなわち、形状選択における均一性と規則性、鮮明さと滑らかさ、最高の美しさへの探求、そして字形における優雅さと自然さである[2]。
その生涯において彼が制作した書体は優に100を超え、様々なサイズのアンティクア体をはじめ、スクリプト体、スラブセリフ(エジプシャン)体、さらにはギリシア文字やキリル文字の活字も含まれる[3]。ボドニが最も強く影響を受けたのは、イギリスの同業者ジョン・バスカヴィルによる書体であった。また、パリの印刷業者・活字鋳造家であるディド家やピエール=シモン・フルニエの書体からも影響を受けている。ボドニの業績を代表する書体見本帳として、その死後に妻が再版した『印刷術便覧』(Manuale Tipografico) が挙げられる[4]。

ボドニの書体デザインにバスカヴィルの影響が及んでいることは明らかである。しかし、縦線と横線(ヘアライン)の強いコントラスト、水平で直線的なセリフ、そして幾何学的に設計された字形は、フィルマン・ディドやユストゥス・エーリヒ・ヴァルバウムの書体と同様に、古代やルネサンスの規範とは直接結びつかない新しい書体様式を生み出した。これは当時の人々から、すでにして理性主義や啓蒙思想、近代性の象徴として受け止められた。彼の遺作である『印刷術便覧』に基づき、タイポグラフィの専門家は彼の書体を、バロック・アンティクアの影響を残す初期のものと、新古典主義的な様式が完全に開花した後半のものとに分類している[4]。
ボドニの生前、その書体は成功を収めたものの、19世紀後半になると次第に忘れ去られていった。その復興の契機となったのは、モリス・フラー・ベントンが設計し、1911年に発表された「ATF Bodoni」である。1931年よりモノタイプ社が販売したバリエーションも、大部分においてこのATF版を基礎としている[5]。現在では、このATF版に準拠するものだけでなく、他の原字を参考にしたものや、独創的な解釈を加えたものなど、数多くのBodoni書体が存在している[1][4]。
特徴
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「Bodoni」と言うとき、大抵はアメリカン・タイプ・ファウンダーズ (ATF) 社のBodoniを起源とする主流のバリエーションを指す。しかし、Bodoniを特徴づける要素は、程度の差こそあれ、すべてのバリエーションに見られる。最も際立った特徴は、ディドニ(モダン・ローマン)体の典型である、非常に強調された太い縦画と、それに比べて極端に細く控えめなヘアライン(極細の線)とのコントラストである。また、セリフは通常、ヘアラインと同等かそれに近い太さの線を持つ。このセリフは文字の一部というよりは装飾的要素として機能しており、オールド・ローマン体やトランジショナル・ローマン体に見られるような、縦画とセリフを滑らかに繋ぐブラケット(付け根のカーブ)は存在しない[4]。
Didot(あるいはその様々なバリエーション)とBodoniの違いは、(一般的に)Bodoniの方がヘアラインがわずかに太く、文字のプロポーションが幾何学的ではない点にある。いくつかの特徴は、具体的なBodoniのバリエーションによって異なる。文字の上端に平らなアセンダー(上部へ伸びる線)を持つものもあれば、屋根型のわずかに傾斜したものを持つものもある。テキスト全体の印象は、線の太さ・細さのコントラストと、その結果生じる垂直方向の強調によって強く決定づけられる。このため、著述家のハンス・ペーター・ヴィルベルクは自身の分類モデルにおいて、Bodoniを静的な書体に分類している[6]。


Didotと同様に、Bodoniも「エレガンス」が主な特徴とされている。書体「WTC Our Bodoni」の開発に携わったイタリアの建築家兼インダストリアルデザイナーのマッシモ・ヴィネッリは、Bodoniを「これまでにデザインされた中で最もエレガントな書体の一つ」と評した[7]。しかし、印刷や可読性の観点からは、その使用には問題がないわけではない。主な原因は線の太さ・細さの極端なコントラストであり、これはほとんどのディドニ体に共通する問題である。文字サイズに合わせて活字を調整・制作する手法は、デジタル化の進展とそれに伴うフォント作成技術の発展によって再び注目されるようになった。一般的には、異なる文字サイズに最適化されたフォントのバリエーションを用意することで対応している。可読性の問題に対するもう一つの対処法として、おおよそ9から14ポイントの本文サイズに特化して設計された「Book」などのウェイトのバリエーションがある[8]。
タイポグラフィの専門家の間でも、Bodoniに対する評価は、そのデザインを高く評価・絶賛する声から、本文用書体としての使用に対する批判的な意見まで様々である。タイポグラファーのエリック・シュピーカーマンは、その視覚的な印象について「信じられないほど威厳があり、王室のような風格がある」と語っている。しかし同時に、組版における扱いの難しさも指摘している。シュピーカーマンによれば、Bodoniは小さな文字での印刷には全く適しておらず、「活版印刷では細い線が物理的に欠けてしまい」、画面上でも「大きな問題を生じる」という[9]。オーストリア・タイポグラフィ協会の創立メンバーであるマルティン・ティーフェンターラーは、高級ライフスタイル誌においてディドニ体は不可欠であり、その使用が極めて強力なスタイルを形成すると主張している。さらにティーフェンターラーは、書体史の観点から見れば、ボドニは完璧な書体を完成させたが、ローマン体の発展はそこで終焉を迎え、それ以降は全く新しいものを生み出すしか道は残されていなかったと述べている[9]。
Bodoniの派生書体
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現在では、見出し用のディスプレイ書体から本文サイズに最適化された書体まで、多種多様なBodoniの派生書体が存在する[10]。今日「Bodoni」の名で流通している書体の大半は、1911年にモリス・フラー・ベントンがアメリカン・タイプ・ファウンダーズ (ATF) 向けにデザインした「ATF Bodoni」をベースとしている。ベルリンの活字鋳造所であるベルトルト社 (H. Berthold AG) が販売し、「Berthold Bodoni」の名でも知られる「Bodoni Antiqua」についても、基本的には同様である。一方、ジャンバティスタ・ボドニの初期の活字をより忠実に再現したバリエーションとして、同じくベルトルト社から発売された「Bodoni Old Face」がある。これは同社のチーフデザイナーであったギュンター・ゲルハルト・ランゲが設計したもので、一般的なBodoni系書体よりもセリフがやや太く、全体的に幾何学的な印象が抑えられているのが特徴である[11]。
支配的なATF Bodoniに対する有力な選択肢として、ドイツ語圏のメディア制作現場で高く評価されているのが「Bauer Bodoni」である。1921年にハインリヒ・ヨストがフランクフルトのバウアー活字鋳造所向けに開発したこの書体ファミリーは、特に繊細に描かれたセリフが際立っている。また、ニューヨークのインターナショナル・タイプフェイス・コーポレーション (ITC) は、本文組版に特化したBodoniのバリエーションを発表した。この「ITC Bodoni Six」「ITC Bodoni Twelve」「ITC Bodoni Seventy-Two」は、それぞれBodoniの異なる原字サイズを元に制作されている点に特色がある。そのほかのアメリカ製派生書体としては、1992年にワールドトレードセンター向けに設計された「Our Bodoni」が挙げられる。この書体は、サンセリフ体であるHelveticaと文字のプロポーションが統一されている点が特徴である[12]。
「Bodoni」という名称を冠した書体がある一方で、独自の名称を与えつつ、現代的な新解釈を試みた書体も常に存在してきた。例えばライノタイプ社の「Gianotten」は、主に小さな文字サイズでの可読性に重点を置いた書体である。また、「Questa」や「Abril」といったその他の新しいモダン・ローマン体(新古典主義書体)も、デジタル環境下における技術的・タイポグラフィ的な要求に応えようとしているが、これらは必ずしもBodoniの直接的な発展形を標榜しているわけではない。フォントの利用事例を収集するウェブサイト「Fonts in Use」では、2024年1月現在、Bodoniまたはそれに近い書体として次のものを挙げている。Bauer Bodoni、Berthold Bodoni Old Face、ルートヴィヒ&マイヤー活字鋳造所のBodoni、Bodoni Antiqua、Bodoni Classic、Bodoni Classico、Bodoni-Antiqua (Weisert)、Detroit Bodoni、Donna、Empiriana Antikva、Endicott Bodoni、Eugenio Serif、FF Cellini、FF Holmen、Filosofia、Heneczek、ITC Bodoni Twelve、Karloff Positive、LTC Bodoni、LTC Bodoni 26、Monotype Bodoni、NWT Bodoni、Parmigiano、Pergamon、URW Bodoni、WTC Our Bodoni[10]。
さらに特筆すべきは、「Bodoni」の名を冠した極太(ウルトラ・ボールド)書体の存在である。ファット・フェイス(極太)書体が流行し始めたのはジャンバティスタ・ボドニの晩年であったため、これらは後年に新しく開発された書体である。ファット・フェイスBodoniとして最も有名なものの一つが、1929年にチョーンシー・H・グリフィスがデザインした「Bodoni Poster」である。これは現在、ライノタイプ、モノタイプ、アドビなどの主要なBodoniバリエーションの基本ウェイトに組み込まれており、イタリック体やコンプレスド体(幅狭)のバリエーションも用意されている。他の極太Bodoniとしては、モリス・フラー・ベントンによる「Bodoni No. 2」(1928年)や、R・ハンター・ミドルトンによる「Bodoni Black」(1930年)がある。このほかにも「Bodoni風」のファット・フェイス書体が市場に出回っており、ドイツの書体デザイナー、インゴ・プロイスによる「Battista」などがその例である[13]。
使用例
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優雅さや高級感を放つ書体であるため、Bodoniの派生フォントは主に広告、雑誌のタイトルデザイン、高級誌の見出し、ロゴデザインなどで頻繁に用いられる。例えば、イタリアの自動車メーカーであるフィアット系列のランチアやフェラーリにおいて、長年にわたりコーポレートフォントとして使用された[14]。さらに、IT企業であるIBMでも長期にわたって専用書体に採用されていた。その他の著名な例としては、ファッションブランドのカルバン・クラインやエリザベス・アーデンのロゴが挙げられる[15]。一般的な認識とは異なり、世界的に有名なライフスタイル誌『ヴォーグ』および『ハーパーズ バザー』のロゴはBodoniをベースにしていない。両誌とも数十年にわたりロゴデザインの変更を繰り返して試行錯誤したが、最終的には競合する書体であるDidotを独自にアレンジしたものに落ち着いた。具体的には、『ハーパーズ バザー』はニューヨークの書体デザイナー、ジョナサン・ヘフラーによる「HTF Didot」を採用している[16]。
タイポグラフィのアーカイブサイト「Fonts in Use」では、様々なバージョンのBodoniについて300以上のデザイン例が紹介されている。その中には、派生フォント「Bodoni Poster」を取り入れた2018年のポスター『フランスの歴史における重要な日付』(Les Grandes dates de l’histoire de France) や、1993年から2006年までのミュンヘン・バイエルン国立歌劇場の標準的なポスターデザインのほか、レストランのロゴ、装丁、その他類似の方向性を持つデザイン作品が含まれる[10]。一方、超極太のBodoni派生フォントは、主に第二次世界大戦後のポップカルチャー製品のデザインにおいて定期的に使用された。具体例としては、ポップデュオであるロクセットのアルバム『Pearls of Passion』(1986年、コンプレスド幅のBodoni Posterを使用)のカバーアートや、テネシー・アーニー・フォード(1961年)、イージーリスニングの音楽家・映画作曲家のトニー・モットーラ(1962年)、ソウルグループのテンプテーションズ(1966年)のカバーアート(Bodoni No. 2またはBodoni Ultraを使用)などが挙げられる[17]。
脚注
[編集]- 1 2 Bodoni, Giambattista, Wolfgang Beinert, typolexikon.de, 27 March 2023.
- ↑ Albert Kapr: Schriftkunst: Geschichte, Anatomie und Schönheit der lateinischen Buchstaben. Verlag der Kunst, Dresden 1971/1996, ISBN 978-3-598-10463-3, p. 182.
- ↑ See Bodoni Script Pro, slanted.de, 1 November 2008 (in English) and Bodoni Egyptian, Antje Dohmann, page-online.de, 2 January 2011; both retrieved 30 January 2024.
- 1 2 3 4 Schriftportrait Bodoni, schriftgestaltung.com, retrieved 30 January 2024.
- ↑ Bodoni MT, Fonts in Use, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ Hans Peter Willberg: Wegweiser Schrift: Was passt – was wirkt – was stört? Verlag Hermann Schmidt, Mainz 2001, ISBN 3-87439-569-3, p. 56.
- ↑ Bodoni, the Italian Stallion, Soninke Combrinck, medium.de, 24 February 2018, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ Bodoni, typeface information at linotype.com, retrieved 28 October 2023.
- 1 2 Typo Stories: Eine Schriftart und ihre Geschichte, text contribution on the web portal of Österreich 1, 8 April 2017, retrieved 30 January 2024.
- 1 2 3 Bodoni, Fonts in Use, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ Differences Berthold Bodoni and Bodoni (BT), identifont.com, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ WTC Our Bodoni, Fonts in Use, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ See Poster Bod., Bodoni 2 U., Bodoni Black, and Battista, Fonts in Use, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ Lancia mit überarbeitetem Markenlogo in die Zukunft, press release on media.stellantis.com, 26 June 2007, retrieved 30 January 2024.
- ↑ See Bodoni, fonts.com (in English) and Über die Schriftfamilie Berthold Bodoni, myfonts.com (in English); both retrieved 30 January 2024.
- ↑ See The History of the Vogue Logo, Mosi A., hatchwise.com, retrieved 30 January 2024 (in English) and The Timeless Typography of Harper’s Bazaar, Jonathan Hoefler, typography.com, 1 November 2007, retrieved 30 January 2024. (in English)
- ↑ See individual entries Roxette – Pearls of Passion album art, Tennessee Ernie Ford – Sings Civil War Songs of the North album art, Tony Mottola and His Orchestra – Spanish Guitar album art, and The Temptations Sing Smokey album art, Fonts in Use, retrieved 30 January 2024. (in English)
外部リンク
[編集]- König der Drucker und Drucker der Könige(印刷業者の王にして王の印刷業者), bodoni.org, 2024年1月30日閲覧
- Schriftportrait Bodoni(書体ポートレート:Bodoni), schrifgestaltung.com, 2024年1月30日閲覧
- Bodoni von Giambattista Bodoni(ジャンバティスタ・ボドニによるBodoni), typografie.info.de, 2014年3月26日, 2024年1月30日閲覧