AutoDock

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AutoDockおよびAutoDock Vina
開発元 スクリプス研究所
初版 1989年 (33年前) (1989)
最新版
4.2.6 (AutoDock), 1.2.2 (AutoDock Vina) / 2014年8月4日 (7年前) (2014-08-04) (AutoDock), 2021年8月16日 (9か月前) (2021-08-16) (AutoDock Vina)
プログラミング
言語
C++, C
対応OS Linux, Mac OS X, SGI IRIX, Microsoft Windows
プラットフォーム 多数
対応言語 英語
種別 タンパク質-リガンドドッキング
ライセンス GPL (AutoDock), Apache License (AutoDock Vina)
公式サイト autodock.scripps.edu (AutoDock) github.com/ccsb-scripps/AutoDock-Vina (AutoDock Vina)
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AutoDock分子モデリングシミュレーションソフトウェアの一つである。2009年からオープンソースとなり、非商業的利用に関しては無料である。タンパク質–リガンドドッキングに利用される。AutoDock 4はGNU General Public Licenseの下で利用可能である。AutoDock VinaはApache Licenseの下で利用可能である。

解説[編集]

AutoDockは研究分野において最も多く引用されたドッキングソフトの一つである[1]。AutoDockはWorld Community Gridによって運営されているFightAIDS@HomeOpenPandemics - COVID-19[2]プロジェクトの基礎となっており、HIV/AIDSCOVID-19に対する抗ウイルス剤を検索するためのものである。2007年2月のISI Citation Indexでは、1100以上の論文がAutoDockの主要な論文を引用している。2009年では、1200を上回っている。

AutoDock VinaはAutoDockの後継であり、精度と性能が大幅に改善されている[3]

AutoDockとVinaは、現在スクリプス研究所、特にオルソン博士が率いる計算構造生物学センター (Center for Computational Structural Biology (CCSB)) によってメンテナンスされている[4][5]

AutoDockは広く使用されており、メルク・アンド・カンパニー社が初めて臨床承認を取得したHIV-1インテグラーゼ阻害剤の開発においてその役割を果たした[6][7]

プログラム[編集]

AutoDockは2つの主要なプログラムによって構成されている。[8]

  • AutoDock - 標的タンパク質を表現するグリッドのセットに対してリガンドをドッキングする
  • AutoGrid - これらのグリッドを前持って計算する

AutoDockはHIVインテグラーゼ阻害剤を含むいくつかの医薬品の開発に貢献している[6][6][7][9][10][11]

プラットフォームサポート[編集]

AutoDockは、LinuxMac OS XSGI IRIXMicrosoft Windows上で動作する[12]。Debian[13][14]、Fedora[15]、Arch Linux[16]など、いくつかのLinuxディストリビューションでパッケージとして提供されている。

Microsoft Windows上でネイティブ64ビットモードでアプリケーションをコンパイルすることで、より高速な浮動小数点演算が可能になっている[17]

改良版[編集]

AutoDock for GPUs[編集]

OpenCLCUDAを使用して改良された計算ルーチンがAutoDockスクリプス研究チームによって開発された[18]。その結果、CPU上のオリジナルのシリアルAutoDock 4.2 (Solis-Wets) と比較して、最大4倍 (クアッドコアCPU) と56倍 (GPU) の高速化が測定された。

CUDA版は、スクリプス研究チームとNvidiaの共同研究で開発され、現在はOpenCL版よりも高速である[9][18]

AutoDock Vina[編集]

AutoDockには改良バージョンであるAutoDock Vinaがあり、ローカル検索ルーティンが改善され、マルチコア/マルチCPUコンピュータを使用することができる[3]

AutoDock Vinaは、64ビットLinuxオペレーティングシステムの下で、このソフトウェアを使用したいくつかのWorld Community Gridプロジェクトにおいて、かなり高速に動作することが知られている[19]

サードパーティーの改良版とツール[編集]

AutoDockはオープンソースプロジェクトとして、次のようなサードパーティ製の改良版をいくつか取得している:

  • AutoDock Vina (smina) によるスコアリングと最小化は、AutoDock Vinaのフォークであり、スコアリング関数の開発とエネルギー最小化のサポートが強化されている[20]
  • Off-Target Pipelineにより、より大きなプロジェクト内でのAutoDockの統合が可能になった[21]
  • Consensus Scoring ToolKitは、複数のスコアリング関数を使用したAutoDock Vinaポーズの再スコアリングと、コンセンサス・スコアリング方程式のキャリブレーションを提供する[22]
  • VSLABは、VMDから直接 AutoDock を使用することができるようにするVMDプラグインである[23]。このプログラムによって非常に容易にタンパク質-リガンドドッキングを行うことができる。
  • PyRxはAutoDockでバーチャルスクリーニングを実行するためのすばらしいGUIを提供する。PyRxにはドッキングウィザードが含まれており、これを使ってクラウドやHPCクラスタでAutoDock Vinaを実行できる[24]
  • POAPは、シェルスクリプトベースのツールで、リガンドの準備からドッキング後の解析まで、AutoDockによる仮想スクリーニングを自動化する[25]
  • VirtualFlowでは、AutoDock Vinaベースのドッキングプログラムを使用して、コンピュータークラスターやクラウド上で超大規模なバーチャルスクリーニングを実行し、数十億種類の化合物を日常的にスクリーニングすることができる[26]

FPGAアクセラレーション[編集]

一般的なプログラマブル・チップをコ・プロセッサとして、特にOMIXON実験製品を使用することで[27]、標準的なIntel Dual Core 2 GHz CPUの10倍速から100倍速の範囲内でスピードアップした[28]

参照項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Sousa, Sérgio Filipe; Fernandes, Pedro Alexandrino; Ramos, Maria João (2006-07-21). “Protein-ligand docking: Current status and future challenges” (英語). Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics 65 (1): 15–26. doi:10.1002/prot.21082. ISSN 0887-3585. PMID 16862531. 
  2. ^ OpenPandemics - COVID-19: Project Overview”. World Community Grid. 2020年7月24日閲覧。
  3. ^ a b Trott, O.; Olson, A.J. (2010), “AutoDock Vina: Improving the speed and accuracy of docking with a new scoring function, efficient optimization, and multithreading”, Journal of Computational Chemistry 31 (2): 455–461, doi:10.1002/jcc.21334, PMC 3041641, PMID 19499576, http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=3041641 
  4. ^ The Center for Computational Structural Biology”. The Center for Computational Structural Biology (2020年5月15日). 2020年5月15日閲覧。
  5. ^ Arthur Olson | Scripps Research”. www.scripps.edu. 2019年5月22日閲覧。
  6. ^ a b c “The AutoDock suite at 30”. Protein Science 30 (1): 31–43. (August 2020). doi:10.1002/pro.3934. PMC 7737764. PMID 32808340. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7737764/. 
  7. ^ a b “Discovery of a novel binding trench in HIV integrase”. Journal of Medicinal Chemistry 47 (8): 1879–81. (April 2004). doi:10.1021/jm0341913. PMID 15055986. 
  8. ^ “Critical assessment of the automated AutoDock as a new docking tool for virtual screening”. Proteins 65 (3): 549–54. (November 2006). doi:10.1002/prot.21183. PMID 16988956. 
  9. ^ a b Racing the Clock, COVID Killer Sought Among a Billion Molecules”. Nvidia (2020年5月26日). 2020年9月26日閲覧。
  10. ^ “Discovery of a novel binding trench in HIV integrase”. Journal of Medicinal Chemistry 47 (8): 1879–81. (April 2004). doi:10.1021/jm0341913. PMID 15055986. 
  11. ^ Molecules in Motion: Computer Simulations Lead to a Better Understanding of Protein Structures” (English). www.nsf.gov. 2019年5月22日閲覧。
  12. ^ AutoDock — AutoDock”. autodock.scripps.edu. 2019年5月22日閲覧。
  13. ^ Debian Package Tracker - autodocksuite”. tracker.debian.org. 2019年5月22日閲覧。
  14. ^ Debian Package Tracker - autodock-vina”. tracker.debian.org. 2019年5月22日閲覧。
  15. ^ Package autodocksuite”. apps.fedoraproject.org. 2019年5月22日閲覧。
  16. ^ AUR (en) - autodock-vina”. aur.archlinux.org. 2019年5月22日閲覧。
  17. ^ Wojciech (2010年1月22日). “How to compile autodock as native 64 bit windows application”. The Scripps Research Institute. 2012年1月19日閲覧。
  18. ^ a b GitHub - ccsb-scripps/AutoDock-GPU: AutoDock for GPUs using OpenCL., Center for Computational Structural Biology, (2019-08-23), https://github.com/ccsb-scripps/AutoDock-GPU 2019年9月15日閲覧。 
  19. ^ Windows 10 or Linux”. World Community Grid (2019年10月31日). 2020年4月4日閲覧。
  20. ^ smina” (英語). SourceForge. 2019年9月15日閲覧。
  21. ^ Off-Target Pipeline. https://sites.google.com/site/offtargetpipeline/ 2012年1月19日閲覧。. 
  22. ^ Consensus Scoring ToolKit | consensus scoring optimization for protein ligand docking” (英語). 2019年5月22日閲覧。
  23. ^ Turning Docking and Virtual Screening as simple as it can get...”. www.fc.up.pt. 2019年5月22日閲覧。
  24. ^ Welcome to the PyRx Website”. 2020年7月24日閲覧。
  25. ^ Samdani, A.; Vetrivel, Umashankar (2018-06-01). “POAP: A GNU parallel based multithreaded pipeline of open babel and AutoDock suite for boosted high-throughput virtual screening” (英語). Computational Biology and Chemistry 74: 39–48. doi:10.1016/j.compbiolchem.2018.02.012. PMID 29533817. 
  26. ^ “An open-source drug discovery platform enables ultra-large virtual screens”. Nature 580 (7805): 663–668. (April 2020). Bibcode2020Natur.580..663G. doi:10.1038/s41586-020-2117-z. PMID 32152607. 
  27. ^ Omixon - Products - Docking” (2010年3月5日). 2010年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月22日閲覧。
  28. ^ Pechan, Imre. “FPGA-Based Acceleration of the AutoDock Molecular Docking Software”. BME MDA, a Műegyetem Digitális Archivuma. 2019年5月22日閲覧。

外部リンク[編集]