黄海

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黄海
黄海(Yellow Sea)
中国語
繁体字 黃海
簡体字 黄海
発音記号
標準中国語
漢語拼音Huáng hǎi
朝鮮語
ハングル황해 / 서해
漢字黃海 / 西海
発音記号
RR式Hwanghae / Seohae
MR式Hwanghae / Sŏhae

黄海(こうかい、英語:Yellow Sea)は、中国大陸朝鮮半島の間にある海[1][2]

概要

黄河から運ばれる黄土により黄濁している部分があることから黄海と呼ばれている。フランスの地図製作者ダンヴィルが1737年に作成した『中国新地図帳』に黄海 (Hoang Hai ou Mer Jaune) と表記したことで国際的にも認知されるようになった。

朝鮮半島国家による呼称・日本海論争と比較

大韓民国国内では、西海서해、ソヘ)という呼称が用いられるが、日本海表記へのバッシングと違って黄海(황해、ファンヘ)が普通に用いられてる[1]朝鮮半島では「高麗史」などに「西海」や「朝鮮西海」と共に「東海」との記述が見られる。ただし、これらを根拠に日本海は東海、黄海は西海、南海は南シナ海と正統性を主張することはこれらは朝鮮半島沿海の海の呼称であり、当時に沿海と大海は区別されてきたことを考慮していない。「西海」の場合ならば、「西抵大海」(西、大海に至る)とし、「南海」では「南抵大海」(南、大海に至る)といずれも朝鮮半島沿海の外側には、大海が存在しているも認識していた。これを現在の朝鮮半島に当てはめてみると、「西抵大海」の大海とは黄海であり、「南抵大海」の大海は東シナ海であり、「東抵大海」の大海は、日本海になるのである。これは朝鮮時代には、沿海と外洋を区別して、東海とは朝鮮半島東側の沿海、外洋は日本海として認識していたということである。韓国側では東海表記主張の熱量と比較すると、黄海を西海とし、東シナ海を南海への修正または併記を全くと言っていいほど求めてない。背景には「日本海にあるから竹島は日本領土ということにされる」と信じていて、黄海や東シナ海には、独島(竹島)が存在しない区域だからと指摘されている[2][3]。日本政府を含め、日本ではは日本海呼称問題に関して、韓国側が日本海のみを「East Sea」にするよう主張し、黄海については「West Sea」に変更すべきとは主張していないことから、これが殊更に日本海のみを標的にしたものであると指摘している[4]。実際に2010年連合訓練を行う際には日本海 (Sea of Japan)と黄海 (Yellow Sea) という呼称を使アメリカ政府が従来の表現を用いたところ、韓国側が日本海の使用にのみ強く抗議した。そのために、同年7月に米韓両国は共同声明で韓日本海の呼称を使わずに、西側の黄海も含めて、朝鮮半島の東と西の海域 (off the east and west coast of the Korean Peninsula) という表現を米側の韓米連合訓練の公式文書で使用することで日本海呼称問題の解決をはかった[5][6]


朝鮮民主主義人民共和国では朝鮮西海조선서해、チョソンソヘ)[7]と呼ばれる。朝鮮半島の黄海側には黄海道と呼ばれる地域があるが、この名称は本来、同地域の主要都市である黄州海州に由来するものである。

領域

朝鮮半島沿岸部は第二次大戦以降、軍事境界線を延長する形で海上に北方限界線が設定され、韓国と北朝鮮の間の事実上の国境として機能している。しかし、北朝鮮は1999年9月2日以降これを否定し、独自の「朝鮮西海海上軍事境界線」を設定[8]している。この海域では1999年以降に第1延坪海戦第2延坪海戦延坪島砲撃事件とたびたび武力衝突が発生しており、南北間の緊張[9]の原因になっている。

中韓問題では、韓国が李承晩ラインを一方的設定して公海上で操業する中国漁船を拿捕して「国際法上の慣例を無視した措置」をした時から、中国と韓国の間では排他的経済水域に関する争いがある。蘇岩礁可居礁をめぐる領有権争いに加え、中国漁船が韓国側水域に侵入することが両国間の問題となっている。

2018年に韓国と北朝鮮は「東海と黄海の両地区」を開発することに合意したことを聯合ニュースが報じている[10]

国際水路機関発行の「大洋と海の境界(第三版)」[11]では、Yellow Sea (Hwang Hai) としている。


地理

黄海の衛星写真 NASA, 2002

黄海は太平洋縁海であり、広義の東シナ海の一部である。北西側では、山東半島遼東半島の間の渤海海峡を通じて渤海とつながっている。北東は遼東半島と朝鮮半島の間に西朝鮮湾(西韓湾)が入り込んでおり、その湾奥に鴨緑江が河口を作っている。

水深は平均44mと浅く、大陸棚となっている。北は遼東半島から、南は揚子江河口までにまたがっている。河口からは海底に三角州済州島付近にまで形成されており、かつては底引き網漁の好漁場であった。近年は中華人民共和国からの排水による海洋汚染の深刻化が懸念されている。

脚注

  1. ^ a b INC, SANKEI DIGITAL. “【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 「西海」にしたら?”. 産経ニュース. 2020年11月17日閲覧。
  2. ^ a b 島根県:実事求是第56回 (トップ / 県政・統計 / 県情報 / 竹島関係 / Web竹島問題研究所 / 調査研究 / 実事求是)”. www.pref.shimane.lg.jp. 2020年11月17日閲覧。
  3. ^ 日本海呼称について|海上保安庁 海洋情報部”. www1.kaiho.mlit.go.jp. 2020年11月17日閲覧。
  4. ^ 日本海呼称問題に関する我が国の基本的立場 - 海上保安庁 海洋情報部(archive.todayアーカイブキャッシュ)
  5. ^ 聯合ニュース・世界 2010年7月19日(朝鮮語)
  6. ^ 韓米、東海·西海 "韓半島の東·西海域"表記 国民日報 2010年7月18日(朝鮮語)
  7. ^ 朝鮮民主主義人民共和国政府公式ポータルサイト「ネナラ」
  8. ^ ハンギョレ新聞 2009年12月21日
  9. ^ 韓国軍、西海防衛で誘導弾高速艦10隻を導入 東亜日報 2011年7月13日
  10. ^ 南北が軍通信線の復旧で合意 黄海地区から=韓国国防部”. 2018年6月26日閲覧。
  11. ^ 「大洋と海の境界(第三版)」(Special Publication No.23) No51が該当海域

関連項目