毛布
毛布(もうふ)は、羊毛などを厚く織って(編んで)起毛などの処理を施した製品[1]で、おもに寝具として用いられる。ブランケット(英: blanket)とも呼ばれる。また、略して「ケット」(ket)とも呼ばれる[2]。主な用途は、睡眠中の暖かさを保つことである。寒さの程度に応じて、複数枚を使用したり、掛け毛布、敷き毛布として利用方法を変える。日本へは明治時代初頭に寝具というよりも防寒具として導入された[1]。
種類
毛布には織毛布と編毛布がある[2]。
織毛布
- 羊毛毛布
- 羊毛を用いたもの。暖かく弾力性がある[1]。カシミア、アルパカ、キャメルなどの獣毛を混ぜた製品は最高級品とされる[1]。
- アクリル毛布
- アクリル繊維を用いた毛布。機能性付与が容易であるとされる[1]。軽い、耐久性に富む、染色性が良いなどの特徴がある。なお、アクリル製のアクリル毛布には編毛布のものもある[2]。
- 綿毛布
- 綿(超長綿)を用いた毛布[1]。軽くて吸湿性がある。洗濯が容易。
- シルク毛布
- 絹を用いた毛布。他の繊維に比べて軽くて保温性が高く、静電気も起きにくい。
編毛布
- マイヤー毛布
- 長い立毛を持つ最高級の毛布。ドイツ製のカールマイヤー編み機によって作られるニット毛布。
- タフト毛布
- 基布にアクリルのパイル糸を起毛した毛布。縦糸の代わりに綿布が用いられる。災害用として使用される。
電気毛布
電熱線を内蔵し、加熱・保温を行う毛布。
詳細は「電気毛布」を参照
加重毛布
ウェイトブランケットともいい(正しくは weighted blanket)、一定の圧迫感(圧迫刺激)によって安心感を得る感覚過敏の子どもなどのために、ガラスペレットなどで敢えて重量を増した毛布。Comfort_object#Weighted_blanketsを参照。近年では一般向けの安眠グッズとしても販売されている。
赤ゲット
幕末期に日本に毛布をもたらしたイギリスの貿易商は、赤い毛布を導入した。日本と同じくイギリスからみれば東国であるインドでは赤色が好まれたからである。これを戊辰戦争の兵士が防寒用に用い、明治になって一般市民も用いるようになって「赤ゲット」と呼ばれた。地方から上京する際に、この赤い毛布を角巻のように身にまとう者が多く、そこから転じて「田舎者」を指すことばとなり[3]、エッセイなどにおいては1970年代まで使われている[4]。2019年の大河ドラマ『いだてん』でも描写されている。
用途
寝具以外の用途として次のような用途がある。
- 敷物 - ピクニックブランケットとも呼ばれる。ラグと呼ぶほうが多い。
- 消火 - 出火したものに毛布をかぶせることで消火あるいは火を抑えることができる。防火用毛布、防火毛布、消火カバーと呼ばれる専用のものもある。
- 緩衝材 - 使用済みとなった古い毛布を荷物の運送時の緩衝材として使用することがある。引越しの場合の家具の損傷防止や、空間を埋めることで転倒や振動を防ぐことが出来る。
- 保温 - 病人の体温低下を防ぐために使用される以外に、使用済みとなった古い毛布を自動車のラジエーター冷却水の温度低下を防ぐために巻き付けて使用することがある。
- 馬着 - 馬着は英語でhorse blanketと呼ばれる。