日本語学

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日本語学(にほんごがく)とは、日本語研究の対象とする学問である。

概要

いわゆる個別言語学の一種で、その目的は、日本語の諸現象についての組織立った知識を得ることである。そのため、日本語に熟達し、自由に理解して使用するための実用的な学習語学)とは大いに異なる。

日本語学を専攻する学者日本語学者という。また、国語学(こくごがく)という語もある。ニュートラルな表現である「日本語学」への移行という全体的な緩やかな方向性はあるが、一方で、例えば関連分野である言語教育において「国語教育」と「日本語教育」という表現は使い分けられており(教科名が「国語」である、という事情もあるが、前者は主に日本語が第一言語という前提での教育、後者は主に非日本語話者に対する第二言語教育という前提での教育で、実際の内容的にも大きく異なる)、それぞれの語の印象まで含めれば必ずしも同一視できるものでもない[1]

日本国で、中学校および高等学校「国語」の免許を取得する際、教育職員免許法施行規則第四条および第五条に基づいて、規定単位数以上履修する必要がある科目の一種として、「国語学」が設けられている。この場合、音声言語および文章表現に関するものを含む。

歴史

日本語学は近世において、国学の一分野(古語の研究、仮名遣いの研究、歌学など)として業績を残した。明治以降は、欧米言語学も取り入れ、日本文学研究と関係し合いながら発展し、日本の国語・標準語形成や国語国字問題にも影響を与えてきた。1948年昭和23年)に「国語学会」が結成されたが、日本語研究を取り巻く環境の変化から、2004年平成16年)に「日本語学会」に改称された。

また言語学の側から[2]計算言語学を扱う学会が設立されたのが世界的に見ても早い部類であることも特筆される。国語学を主とした計量言語学の学会である計量国語学会の結成は1956年である。

日本語学と国語学

「日本語学」と「国語学」は同義に扱われることが多いが、大阪大学文学部などでは別の研究室にあり、日本語学は現代日本語を中心とした共時的言語学的研究、国語学は古代から近世までの古い日本語を文献学的・通時的に研究するものとしている[3]

また国語学は標準語・中央語の研究に偏重し、言語変種(方言など)が周辺に位置づけられがちだが、日本語学は変種を広く包括できるという意見もある[4]

脚注

  1. ^ 「民俗学」と「文化人類学」など、第三者からの視点では同様な学術分野であっても、研究者自身と対象との距離の違いにより学術的にも違ってくる。
  2. ^ 暗号学(数理的な側面よりも軍事学をベースとしたそれ)などでは言語の統計的特徴の探索には古い歴史がある。
  3. ^ [1][2]
  4. ^ 方言研究から見た「国語学」「日本語学」小林隆、『国語学』53巻2号(209号)、2002年。

関連項目

外部リンク