刹那
刹那(せつな、梵: kṣaṇa[1]、巴: khaṇa)とは、仏教の時間の概念の1つで、きわめて短い時間、瞬間、最も短い時間の単位を表す[1]。念、念念[1]、叉拏(しゃな)、念頃(ねんきょう)[2]ともいう。
刹那の長さ
刹那の長さについては、指をひとはじきする(1弾指)間に65刹那ある[1]などの諸説ある。『大毘婆沙論』では、24時間=30牟呼栗多=900臘縛=54,000怛刹那=6,480,000刹那とし、1刹那の長さを1/75秒に比定している。[要出典]
しかし、中観派の開祖である龍樹は、刹那に具体的な時間的長さを設定する思想を否定している。[要出典]
極めて短い時間を念といい、一刹那、または60刹那、または90刹那などを一念とする[3]。
なお、物理学的な意味での「最も短い時間」(時間の最小の単位)は、2020年9月現在プランク時間とされている。
刹那と仏教思想
説一切有部では、人間の意識は一刹那の間に生成消滅(刹那生滅)を繰り返す心の相続運動であるとする。それについて曹洞宗の道元は、『正法眼蔵』の「発菩提心」巻で、悟りを求める意志も、悟りを開こうとするのもその無常性を前にするからであり、常に変化するからこそ、悪が消滅し、善が生まれるのであると説く。
単位としての刹那
刹那は漢字文化圏では数の単位としても用いられている。10-18(100京分の1)で、弾指の10分の1、六徳の10倍に当たる。 朱世傑『算学啓蒙』(値が異なる)や程大位『算法統宗』に見えるが、現実には使われない。
SI接頭辞ではアト(atto)に当たるが、現在の中国では音訳の「阿(ā)」を使い、「刹那」は使わない。
脚注
出典
- 中村元他『岩波仏教辞典』岩波書店、1989年。ISBN 4-00-080072-8。
関連項目
外部リンク
- 仏教語>刹那 (浄土真宗東本願寺)