利益団体

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利益団体(りえきだんたい、: interest group)とは、特定の集団の利益を図るべく政治活動を行う団体で、目的を実現するために政治に組織的に影響力を及ぼすが、政党とは異なり、政治活動を専門とはせず、政権をとろうとすることはない団体である。圧力団体(あつりょくだんたい)などともいう。

概要

利益団体の具体的な活動形態として政治家や政党への献金(政治献金)、請願、票集め、パブリック・コメントにおける政策提言や情報提供、各種メディアを通じた広告キャンペーンの展開などがある。

政党は有権者全ての利益を集約する機能(利益集約機能)が主なため、利益を表出する機能が殆ど失われているとされる。 そこで利益団体によって、その団体に属する者の利益を表出する(利益表出機能)ことにより政党の機能を補完しているという特徴がある。つまりこの点において、利益団体は民主主義の徹底に資するものだといえる[独自研究?]

反例として、比例代表制で選ばれる政党がある。比例代表制に於いては、一定以上の割合の有権者から支持を受ければ、他の大多数の有権者から非難を受けても議席を獲得することが出来る。このため、利益集約機能を一部の有権者に特化させ、集約機能が有権者全てに汎用化されている政党から議席を奪う戦略が有効となる。よって、比例代表制を勝ち抜いた政党の多くは、有権者全体の利益を集約する機能を失っており、代わりに、特化先に選んだ有権者層の利益集約機能を得る。結果として、比例代表制に於ける政党と利益団体との違いは、利益を表出される有権者の、団体への加入タイミングのみである。前者では、団体側が表出利益を先に提示し、個々の有権者は自分の利益を正しく表出した団体への投票という形で加入する。後者では、有権者が先に特定の団体に加入し、団体は加入者の利益を集約する。比例代表制を採る諸国に於いては、政党が利益表出機能の殆どを完備しているため、政党に加えて利益団体が存在しても民主主義の徹底に殆ど寄与しない。

NPONGOは公益利益団体と呼ばれ、負担を国民に強いる事なく全体の利益を目指すために、フリーライダー問題が起きやすい。

またロビー活動と呼ばれる政治の院外活動に関して、日本では、利益団体が議員を通して官僚へ働きかけることが多い。

アメリカで発達し、利益団体が政治に与える影響の強さを示すエピソードとしてしばしば挙げられるものに、の所持の問題がある。銃による犯罪や事故が相次ぐアメリカでは、犯罪銃規制を強化しようとする動きがあるが、全米ライフル協会は政治献金や広告キャンペーンを通じてこれに反対し、一般人による銃の所持を規制しないように働きかけている。同協会の活動がなければアメリカの銃事情は大きく違っていただろうとする見方も多い。

関連項目

関連図書

  • Dahl, R. A. 1981. Dilemmas of Pluralist Democracy. New Haven: Yale Univ. Press.
  • Katzenstein, P. 1984. Corporatism and Change: Austria, Switzerland and the politics of industry. Ithaca: Cornell Univ. Press.
  • Katzenstein, P. Small States in World Markets. Ithaca, New York: Cornell Univ. Press.
  • Keeler, J. 1987. The Politics of Neocorporatism in France. New York: Oxford Univ. Press.
  • Moe, T. 1980. The Organization of Interests. Chicago: Univ. of Chicago Press.
  • Olson, M. 1965. The Logic of Collective Action: Public Goods and the Theory of Groups. Cambridge, Mass.: Harvard Univ. Press.
    • オルソン著、依田博、森脇俊雅訳『集合行為論 公共財と集団理論』ミネルヴァ書房、1983年、新装版1996年
  • Olson, M. 1982. The Rise and Decline of Nations. New Haven: Yale Univ. Press.
    • オルソン著、加藤寛監訳『国家興亡論 「集合行為論」からみた盛衰の科学』PHP研究所、1991年
  • Richardson, J. J. and Jordan, A. G. 1985. Government under Pressure: The Policy Process in a Post Parliamentary Democracy. Oxford: Basil Blackwell.
  • Schlozman, K. and Tierney, J. E. 1986. Organized Interests and American Democracy. New York: Harper & Row.
  • Wilson, G. 1985. Business and Politics. Chatham, N.J.: Chatham House.
  • Zeigler, H. 1988. Pluralism, Corporatism, and Confucianism, Philadelphia: Temple Univ. Press.