全国銀行データ通信システム

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一般社団法人 全国銀行資金決済ネットワーク
Japanese Banks' Payment Clearing Network
団体種類 一般社団法人
設立 2010年4月1日
所在地 東京都千代田区大手町二丁目6-1
朝日生命大手町ビル
法人番号 8010005015233 ウィキデータを編集
主要人物 岩本秀治(理事長)
基本財産 5億円
従業員数 57名
親団体 全国銀行協会
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全国銀行データ通信システム(ぜんこくぎんこうデータつうしんシステム、全銀システム)とは、日本国内の金融機関相互の内国為替取引をコンピュータと通信回線を用いてオンライン処理を行えるようにした手形交換制度[1]1973年4月9日に稼働を開始した。以後処理能力の向上と設備増強を繰り返し、2019年11月4日からは第7次全銀システムが稼働している[1]全国銀行協会(全銀協)傘下の一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが運営する。

概要

1973年4月9日に稼働を開始し、世界に先駆けて平日日中の即時送金を実現した。全銀協傘下の一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークが運営し、維持管理の等の費用は利用する金融機関が拠出している[2]

参加金融機関

参加している金融機関銀行だけでなく、信用金庫信用協同組合農業協同組合等を含めた日本国内のほぼすべての民間金融機関が加盟しているが、例外は日本銀行である[1]。また、郵政民営化によって2007年10月1日に発足したゆうちょ銀行は、2009年1月5日に接続を開始した[3]

モアタイム

全銀協は、2018年10月9日、LINEなどフィンテック勢の24時間送金サービスに対する危機感などを背景に、これまで平日午前8時30分~午後3時30分までだった全銀システムの稼働時間に、午後3時30分以降も稼働する「モアタイム」と呼ぶシステムを追加した。これによって、給与や賞与の振り込みをのぞく1億円未満の送金は、原則24時間365日可能となった。この24時間振込に当初から参加する金融機関は計504(全銀システムを利用する金融機関は1275)であった[2][4]。システム更新作業が完了したみずほ銀行は2019年5月7日から対応[5]みずほ信託銀行は2019年7月16日から対応[6]農林中央金庫は当初参加せず全国のJAバンクも不参加であったが、2019年11月11日より対応した[7]

口座名義に使用できる文字

全銀協が定めたデータ伝送フォーマット(全銀協規定フォーマット)に従って振込情報等を取り扱うため、振込依頼人名と口座名義に使用できる文字は半角英数字片仮名のみで、文字数は振込依頼人名が半角40文字、口座名義が半角30文字までという制限がある[8][9][10][11][12]

接続方式

全銀システムは、その中枢である全銀センターのホストコンピュータと各加盟金融機関の事務センター(共同接続の場合は共同センター)に設置されている中継コンピュータおよびこれらを結ぶ通信回線から構成されている[1]。 全銀センターは、東京・大阪の2か所に設置され、各センターのコンピュータはマルチホスト構成とし、加盟金融機関には中継コンピュータを2セット以上設置している[1]。 また、基幹網としてIP-VPN網をバックアップ網としてISDN網を備え、それぞれを結んでいる[1]。 全銀センターと中継コンピュータとの間は、基幹網として国際標準の動向等を踏まえて閉域 IP-VPN 網を利用している[1]。 新ファイル転送ではエントリーVPN網を、情報系システムではIP-VPN網などから複数選択することができる[1]。 さらに、東京センター・大阪センター間では常にデータを同期している[1]。 なお、全銀センターと中継コンピュータの間は暗号化され、通信が行われている[1]。 接続方法としては、銀行接続センターを設け、そこから全銀センターに直接接続する個別接続方式と、複数の金融機関が集まって共同センターを開設し、そこから全銀センターに接続する共同接続方式がある[1]

決済方式

取引金額1億円未満の為替通知については、手形交換と同様に、金融機関間で行われた取引についてネッティングを行い、その差額を決済する[1]。差額は全銀ネットから日本銀行に通知され、これにもとづき日本銀行においてその日の午後4時15分に全銀ネットの当座預金口座と加盟金融機関の当座預金口座との間で為替決済が行われる[1]

なお、信用金庫等の共同センターによる接続方式をとっている業態では、信金中央金庫等がその業態に属する金融機関(代行決済委託金融機関)の貸借を一括して決済する[1]。また、それぞれの業態内における個別金融機関の貸借は、その業態内の制度によって決済される[1]

1億円以上の為替取引(給与・賞与振込を除く)は、それぞれの為替通知毎に、仕向金融機関と被仕向金融機関の間において資金決済を行ったうえで、被仕向金融機関に為替通知を送信する[1]。各取引の資金決済が完了するまでの間、為替通知は、全銀センターに保留される[1]。資金決済は、各為替通知毎に、日銀ネットの流動性節約機能付RTGS(即時グロス決済)によって行われる[1]

システム

日本において現在稼働している中でも、非常に大規模なシステムであり、コンピュータおよびデータセンター、銀行と全銀センターを繋ぐ通信ネットワークなどが大規模に必要となるので、多くの技術者(システムエンジニア)がこのシステムの開発に携わった。また、日本の銀行は全体的に数も多く、勘定系システムの構築を各システムインテグレータが行っているので、それらを結ぶというのは銀行個々のシステムを熟知している必要があり、多くの企業が開発に参加した[要出典]

全銀システムの開発・保守は株式会社NTTデータによって、極めて安全性・信頼性の高いシステムとして今日まで順調に推移してきた[1]。全銀システムは、金融機関の内国為替業務の発展に貢献するとともに、金融機関間の集中決済システムの先導的役割を果たしており、その取扱量や加盟金融機関数等において世界に例を見ないシステムとして、世界各国の関係者の間で「ZENGIN」の名称で広く知られている[1]

また全銀センターと各銀行支店などを結ぶ通信回線(パケット網)は自営設備であるが、地方の山間部などでは共同センターまでVPN技術を用いている所もある[要出典]

システム改訂の沿革

  • 1973年4月9日 - 第1次全銀システムが稼働[1]
  • 1979年2月13日 - 第2次全銀システムが稼働[1]
  • 1987年11月16日 - 第3次全銀システムが稼働[1]
  • 1995年11月13日 - 第4次全銀システムが稼働[1]
  • 2003年11月17日 - 第5次全銀システムが稼働[1]
  • 2011年11月14日 - 第6次全銀システムが稼働[1]
  • 2019年11月4日 - 第7次全銀システムが稼働[13]

以下は、このシステムを開発・構築するにあたり参加・人材協力を行った企業である[要出典]

以下に挙げる金融機関は、開発に参加と言うよりはシステム使用者側からの目線で先述のシステムインテグレータとの意見交換・仕様調整などを行った[要出典]

脚注

関連項目

外部リンク