伽藍岳

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伽藍岳(硫黄山)
別府市街地からの伽藍岳(右端)
標高 1,045.3 m
所在地 日本の旗 日本
大分県由布市
位置 北緯33度19分02.5秒 東経131度25分38.9秒 / 北緯33.317361度 東経131.427472度 / 33.317361; 131.427472座標: 北緯33度19分02.5秒 東経131度25分38.9秒 / 北緯33.317361度 東経131.427472度 / 33.317361; 131.427472
種類 溶岩ドーム活火山ランクB・常時観測火山)
伽藍岳の位置(日本内)
伽藍岳
伽藍岳の位置
プロジェクト 山
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伽藍岳噴火口
伽藍岳噴気孔群

伽藍岳(がらんだけ)は、大分県由布市にあるトロイデ型活火山。標高は1,045mで、別名を硫黄山という。行政上は由布市にあるが別府市の後背地に位置しており、別府市市街地からも近い[1]。西側の山腹には塚原温泉がある。

概要

鶴見岳(標高1,375m)を主峰とする火山群の北端にあり、標高は1,045.3m。中腹には直径300m の円弧状の火口地形があり、噴気活動が活発である。その北側の斜面(西峰)には溶岩ドームの崩落によると思われる溶岩が多数認められる。2003年には、気象庁の見直しによって、活火山として認識すべき範囲に加えられた。気象庁指定の火山としては、鶴見岳と合わせて鶴見岳・伽藍岳と呼ばれる。

過去の噴火

伽藍岳は、約9500年前より若干古い時代に生成されたと考えられている。伽藍岳では1200年前と1000年前に小規模な水蒸気爆発が発生し、火山灰が南部や西麓に堆積した。1000年前の噴火では土石流が発生し、西麓の沢沿いに堆積したと考えられる。867年(貞観9年)に噴火した記録がある[1]

最近の火山活動

867年の噴火の記録以降は噴火の記録はない[1]。火口がある周辺はシリカの露天掘り鉱山跡であり、1966年頃には珪酸白土鉱床が「別府白土」の名称で採掘されていたが[2]、海外からの安価なシリカ鉱石の輸入に押され、1990年代に廃坑となっている(別府白土砿業株式会社塚原鉱山)。噴気帯をもつ地獄(塚原地獄)と認識されていたが、1995年、パワーショベルで作業中に一部が陥没し熱泥が噴出するようになった[3]。熱泥の噴出部分は年々拡大し、2008年現在、直径10メートル以上に成長し火口を形成している。火口内には熱泥が滞留しており、気象庁は泥火山に分類している。塚原地獄のちょうど反対側が別府温泉の明礬地区に相当し、同地区の熱源になっているのが、この鶴見岳・伽藍岳である。

火口周辺にも噴気が出現し、元からあった噴気帯は陥没の恐れが出てきた為、入場禁止となった。火口部分は塚原温泉から徒歩3分で到達できるが、近年入場が有料化された。

気象庁は2009年度補正予算により伽藍岳の山麓(伽藍岳山頂から2〜3km)に短周期地震計(地上型)、GPS及び検知網を整備した。また、大分県が伽藍岳の山麓(伽藍岳山頂から6km)に監視カメラを設置している。伽藍岳の直下5kmに存在する低比抵抗領域は地震の空白域にもあたり、マグマの存在が示唆される[4][5]

脚注

  1. ^ a b c 2 常時観測 6 火山ごとの調査結果”. 総務省. 2021年2月18日閲覧。
  2. ^ 550.378:550, 835(52a6) 大分県別府白土地帯の放射能強度分布調査報 清島信之、原田種成 地質調査所月報(第18巻第9号)
  3. ^ 日本活火山総覧(第2版)気象庁編、1996
  4. ^ 大沢、ほか(1996):1995年伽藍岳塚原鉱山跡に出現した泥火山, 火山41, 103-106
  5. ^ 藤沢・他(2002):九州北東部, 鶴見火山の最近3万年間の噴火活動, 地質學雜誌108, 48-58

関連項目

外部リンク