ヒオリテス

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ヒオリテス
ヒオリテスの一種Haplophrentisの想像図
分類
: 動物界 Animalia
階級なし : 触手冠動物 Lophophorata[2]
: (ステムグループ)
腕足動物門 brachiopoda[3]
: ヒオリテス綱 Hyolitha
Marek, 1963
英名
Hyoliths
アイダホ州で見つかったカンブリア紀中期のHyolithes cerops
エストニア北部で見つかったオルドビス紀中期の化石。中身の化石である。

ヒオリテスHyoliths学名Hyolitha)は円錐形の殻を持つ古生代動物の1グループ。通常はヒオリテス綱とされるが、ヒオリテス門として扱われることもある。

形態

殻の構造

カルシウム質でできた円錐形の殻の正面には、上側が蝶番のように繋がった1枚の蓋(operculum)をもつ。一部の種類は、下の開口部からヘレンズ(helens)と呼ばれる2本のヒゲ状の附属体が両側へ張り出している。ほとんどの化石は体長1~4センチメートルであり、楕円または三角の断面形状として観察される。環状あるいは螺旋状の場合もある。

軟組織と内部構造

円錐形の殻と蓋の内側から多くの筋組織の付着面が確認されており、蓋の開閉動作を操作できたと考えられる。の前端にあり、その両側は数本の触手をもった1対の触手冠がある。消化管は殻の中でUターンして折り返し、終端の肛門は口と同様に開口側に向かっていた[2]

分類

ヒオリテスはすでに絶滅しており、一見で現存する動物門のどれにも似ていない。軟組織が発見される以前、ヒオリテスの動物界における系統的位置は不明であった。ヒオリテスを軟体動物門の1綱と考え[4]、他の動物との関係を明らかにしていない独立な動物として扱う研究者[1]や、腸管が螺旋状になっていることから、星口動物に近いと考える研究者もいる[5]

有力視される新しい学説としては、腕足動物に近い触手冠動物であるというものが挙げられる。従来は不明であった軟組織の構造も確認できる化石を解析した結果、内蔵や摂食器官の構造が触手冠動物のと共通であると判明した[2]腕足動物のような肉茎を持つ種も後に発見されており、ヒオリテスは基盤的な腕足動物であることが示唆される[3]

参考文献

  1. ^ a b Malinky, j. 2009 "Permian Hyolithida from Australia: The Last of the Hyoliths?" Journal of Paleontology 83(1):147-152.
  2. ^ a b c Moysiuk, Joseph; Smith, Martin R.; Caron, Jean-Bernard (2017-01). “Hyoliths are Palaeozoic lophophorates” (英語). Nature 541 (7637): 394–397. doi:10.1038/nature20804. ISSN 0028-0836. http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature20804.html. 
  3. ^ a b Sun, Haijing; Smith, Martin R.; Zeng, Han; Zhao, Fangchen; Li, Guoxiang; Zhu, Maoyan (2018-09-26). “Hyoliths with pedicles illuminate the origin of the brachiopod body plan” (英語). Proc. R. Soc. B 285 (1887): 20181780. doi:10.1098/rspb.2018.1780. ISSN 0962-8452. PMID 30257914. http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/285/1887/20181780. 
  4. ^ Wotte, T. 2006. "New Middle Cambrian mollucs from the Láncara Formation of the Cantabrian Mountains (north-western Spain)". Revista Española de Paleontología 21(2):145-158
  5. ^ Introduction to the Sipuncula, by UCMP”. www.ucmp.berkeley.edu. 2018年11月4日閲覧。

関連項目

外部リンク