ドルドン

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ドルドン
生息年代: 新生代古第三紀始新世後期, 45–36 Ma
Dorudon atrox
Dorudon atrox
地質時代
新生代古第三紀始新世後期
(約4,500万 - 3,600万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : 原クジラ亜目 Archaeoceti
: バシロサウルス科 Basilosauridae
亜科 : ドルドン亜科 Dorudontinae
: ドルドン属 Dorudon
学名
Dorudon Gibbes, 1845
  • Dorudon atrox
  • Dorudon serratus

ドルドン (Dorudon, '槍の歯'の意) は新生代古第三紀始新世後期(約4,500万 - 3,600万年前)に生息していた初期クジラ類絶滅した哺乳綱 - 鯨偶蹄目 - 原クジラ亜目に属する。現生のクジラの祖先あるいは祖先に近縁な生物であるといわれている。化石北アメリカ大陸エジプトなどから発見されている。学名は「の様な」の意[1]

形態

ドルドン・アトロクス(Dorudon atrox)の骨格標本。国立科学博物館の展示。

体長約4.5 - 5メートル。イルカに似た筋肉質な流線型の身体を持つ。同時に近縁のバシロサウルスにも形態が似ており、発見当初はその幼体であると誤認された[1]。後肢は現生群ほど退化しておらず、脊柱から遊離した一連の骨を持つ[2]。この脚は、僅かながら体外に突き出ていたのではないかとされる。噴気孔は頭頂部とのほぼ中間にあり、現生群との過渡的な形態を示す。しかし現生のイルカの様なメロン体を持たないため、かれら程のエコロケーション能力は持たなかったと推定される。が、近距離の仲間とは高音を使ったコミュニケーションをとる事は出来たであろう。鋭い歯を持ち、イカなどを捕食していたとされる[1]

生態

かつて存在したテチス海などの温暖な海で暮らしていたと考えられている。エジプトのファイユーム県の砂漠から多数の化石が一度に見つかっている事から、おそらくは群れで生活していたのであろう。これは、より大型のバシロサウルスなどの外敵の存在があったためとされる。ドルドンの幼体の化石の中には、頭部を大型の捕食者によって噛み砕かれたと思われるものも存在する[1]

脚注

  1. ^ a b c d 『よみがえる恐竜・古生物』 168頁
  2. ^ 『地球を支配した恐竜と巨大生物たち』 120頁

関連項目

参考文献

  • ティム・ヘインズ、ポール・チェンバーズ 著、椿正晴 訳『よみがえる恐竜・古生物』群馬県立自然史博物館、ソフトバンククリエイティブ、2006年、168頁頁。ISBN 4-7973-3547-5 
  • 日経サイエンス編集部 編『地球を支配した恐竜と巨大生物たち』日経サイエンス社〈別冊日経サイエンス〉、2004年、112 - 123頁頁。ISBN 4-532-51145-3