カタログ販売
カタログ販売(カタログはんばい)は、通信販売の原初的形式で、年1回から数回発行するカタログを通して商品を販売するものである。
アメリカ
カタログ販売の起源は19世紀後半のアメリカで、通信販売の起源ともなった[1]。
1886年、ミネソタ州の駅員だったリチャード・ウォーレン・シアーズが、容易に都市部に出られない農民向けに通販で安く販売する商売を始めた[1]。1893年には時計商アルヴァ・C・ローバックとともにシカゴで「シアーズ・ローバック」を設立し、消費者にカタログを郵送する形態のマーケティングを展開した[1]。
日本
日本では1876年(明治9年)、津田梅子の父である農学者の津田仙が、学農社農学校が発行する『農業雑誌』でアメリカ産トウモロコシの種を販売したのが通信販売の最初とされる[1]。また、伝統的な古書店や骨董店などで発行される目録は、一種の通販用カタログとみなすことができる。
しかし、日本で通信販売が発達したのは戦後であり、1960年代にカタログ販売の会社が次々と出現した[1]。
1970年代には婦人服を中心としたファッションのカタログ販売を行う会社が増え[1]、1974年にフジサンケイリビングサービス(現:ディノス・セシール)の『ディノス』[1]、1975年には『ニッセン』[2]と『セシール』[1]、1976年には千趣会の『ベルメゾン』が創刊されている[1]。1986年には『ベルーナ』[3]が創刊された。
現代の日本では、通販カタログはコンビニエンスストアやスーパーマーケット、100円ショップなどにフリーマガジンとして設置されることが多い。またカタログ通販専門業者だけでなく、百貨店や郵便局のように店舗や窓口に自社の通信販売用カタログを設置する場合もある。このほか『通販生活』のように雑誌の形で市販されるものもある。
カタログ通販は、雑誌広告掲載型の通信販売、テレフォンショッピング、テレビショッピング、ラジオショッピングと並び、1990年代までは通信販売の主流であった。しかし2000年代以降はインターネットの普及により、楽天市場やAmazonなどのネット通販に押されて軒並み業績が悪化。業界大手のディノスとセシールが合併し、その他のカタログ通販会社も買収され傘下入りするなどして生き残りを図った。そのため現在では、カタログ通販から出発した企業も多くは通販サイトを開設し、紙のカタログ配布による通販からネット通販に主軸を移している。
主な企業
ファッション
- スクロール - 旧:ムトウ。静岡県浜松市。
- ディノス - 現:ディノス・セシール 、フジサンケイグループ。
- ニッセンホールディングス - 京都市。セブン&アイHDグループ。
- 千趣会(ベルメゾン)- 大阪市。地域経済活性化支援機構により経営再建。
- ベルーナ - 埼玉県上尾市。
- ノース・モール - 旧:オットージャパン、オットーグループを離脱。
- ピーチ・ジョン - 女性用下着通販、ワコールグループ。
その他
- カタログハウス(通販生活)- 雑誌形式で販売される有料カタログ。
- オルビス - 化粧品通販。ポーラグループ。実店舗も増えている。
- はぴねすくらぶ - 福岡市。テレビショッピングを中心とする総合通販。
- STV開発センター - 通販番組『北海道 味の物産市!』と連動したカタログ販売。
- 大塚商会(たのめーる)- オフィス用OA機器・事務用品のカタログ販売。
- 郵便局物販サービス