オーストラリア空軍

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オーストラリア空軍旗

王立オーストラリア空軍英語: Royal Australian Air Force、 RAAF)は、オーストラリア国防軍空軍組織。オーストラリア国防軍三軍の一つである。

歴史

1914年3月オーストラリア陸軍の組織、オーストラリア飛行軍団(Australian Flying Corps,AFC)として航空部門が設立されている。第一次世界大戦においては、大英帝国の一員として連合国側で参戦し、ドイツ領ニューギニアに送られた。後に中東戦線および西部戦線にも投入されている。大戦末期には8個飛行隊を擁し、士官460名、兵員2,234名の規模となっていた。

大戦終結に伴いオーストラリア帝国軍が解散されると、AFCも解散した。飛行学校のみが残されたが、1920年にはオーストラリア航空軍団(Australian Air Corps)として再編されている。オーストラリア航空軍団は、1921年3月31日に独立軍種であるオーストラリア空軍(Australian Air Force)として改編された。同年6月21日にジョージ5世が王立('Royal')の称号を与え、8月31日より王立オーストラリア空軍に改称された。

第二次世界大戦においても、連合国として参加しており、戦闘機爆撃機欧州戦域対独戦と、太平洋戦域対日戦の双方に投入している。太平洋戦域においては、初期のマレー半島インドネシアにおける防空戦闘や、ニューギニアソロモン諸島において戦闘を行なっている。

第二次世界大戦後も、積極的に本土外にて活動を行っている。1948年ベルリン封鎖に際して輸送機部隊を送り、朝鮮戦争に際しても戦闘機などを、1950年代にかけてのマラヤ危機でもマレー半島へ爆撃機を派遣した。1964年から1972年にかけては、ベトナム戦争にも参加している。近年ではイラク戦争にも戦闘機を派遣し、アフガニスタンにおける国際治安支援部隊(ISAF)に参加している。

現在では戦乱の続く中東地域にF/A-18 ホーネット戦闘爆撃機空中給油機などといった主力機を展開させている他、南シナ海中華人民共和国による環礁埋め立て問題に対しては、アメリカ合衆国海軍と協調し、造成された人工島付近へ哨戒機を飛ばし、アジア太平洋地域における西側諸国の一員として国際法を守る立場を鮮明に示している。

2019年には、日本国内では初めての航空自衛隊との共同訓練「武士道ガーディアン19」を実施した[1]

組織

空軍には17,375人が所属している。また2,800人の予備役が所属している。

ノーザンテリトリー

  • ダーウィン空軍基地(RAAF Base Darwin) - ダーウィン国際空港に隣接
  • ティンダル空軍基地(RAAF Base Tindal)

クイーンズランド州

  • タウンズビル空軍基地(RAAF Base Townsville) - タウンズビル空港に隣接
  • アンバーリー空軍基地(RAAF Base Amberley)
  • シャーガー空軍基地(RAAF Base Scherger)

ニューサウスウェールズ州

  • ウィリアムタウン空軍基地(RAAF Base Williamtown)
  • グレンブルック空軍基地(RAAF Base Glenbrook)
  • リッチモンド空軍基地(RAAF Base Richmond)
  • ウォガ空軍基地(RAAF Base Wagga)

オーストラリア首都特別地域

  • ラッセルオフィス - 空軍本部

ビクトリア州

  • イーストセール空軍基地(RAAF Base East Sale)
  • ウィリアムズ空軍基地(RAAF Base Williams)

南オーストラリア州

  • エディンバーグ空軍基地(RAAF Base Edinburgh)

西オーストラリア州

  • ピアース空軍基地(RAAF Base Pearce)
  • カーティン空軍基地(RAAF Base Curtin)
  • ラーモンス空軍基地(RAAF Base Learmonth)

マレーシア ペナン州

  • バターワース空軍基地(RMAF Base Butterworth) - 一部部隊が駐留

装備

主力戦闘機のF/A-18のほか、早期警戒管制機、空中給油機などを装備している。対潜哨戒機であるAP-3Cも空軍が運用している。

戦闘機

F/A-18F戦闘機
2007年F-111の更新機種としてF/A-18F ブロックII スーパーホーネット24機の採用を決定。2010年3月からクイーンズランド州アンバーレイ基地に順次配備。24機全てのFOC(完全作戦能力)は2012年中に達成予定。RAAFのF/A-18の半数は将来F-35が配備された時点でEA-18Gグラウラーに改修できるよう内部の配線などが配慮された設計となっているが、実際に改修を実施するかは2012年に決定されることとなっている。
1981年10月に、多用途戦闘機ダッソー・ミラージュIIIの後継機として採用。A型55機、B型16機を装備。航法・通信・識別システム改修。AN/APG-73レーダーへの変更などの能力向上が実施されている。JDAM-ER(統合型直接攻撃弾-射程延長型)の投下試験がF/A-18Aを使用して実施されている。

練習機

1987年から導入され、1989年から基本練習機としてパイロット養成に使用されている。また、アクロバットチーム「ルーレッツ」の使用機でもある。
Mk127型を33機装備。アエルマッキ MB-326の後継として採用された転換訓練機。F/A-18への移行を容易にするため操縦席がグラスコックピットになっており、前・後席にそれぞれ3基のカラーCRTが付けられ、前席にはヘッドアップディスプレイがある。二義的に近接航空支援任務も有している。

電子戦機・早期警戒管制機

6機を発注し、ウィリアムタウン基地ニューサウスウェールズ州)に配備。

哨戒機

P-3Cに独自のアップグレードを施した機体。2002年から運用している。P-8Aの導入により順次退役。
2016年からAP-3Cに代わり導入された機体。
  • ヘロン
イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ製のUAV。4機を運用する。
P-8Aの監視能力を補完するUAV。

輸送機・空中給油機

1999年から12機を導入している。C-130Hは2012年11月30日に運用を終了した[2]
国外展開用としてA400Mとの比較検討の上、2006年に4機の導入を決定、2008年までに受領した。2011年には2機の追加発注を行い、2012年11月までに受領している。6機が第36飛行隊に配備されている。今後さらに2機導入される予定である[3]
空中給油機として使用していたボーイング707の後継として、2004年に5機を発注した。2011年より配備を開始している。
要人輸送用として2002年7月から3機が第34飛行隊で運用されている。
要人輸送用として2002年から2機が第34飛行隊で運用されている。
練習機、軽輸送機としての使用されるほか、哨戒任務など汎用的に運用されている。

今後の装備計画

SDDプログラムにレベル3(出資割合1-2%程度)で参加している。2014年9月29日にオーストラリア空軍向けF-35A初号機(AU-1)、10月1日に2号機(AU-2)が初飛行した。2014年後半にオーストラリア空軍に引き渡され、アメリカ合衆国内で乗員訓練が行われる予定[4]。最終的には100機のF-35Aの導入を計画している。
F-35Aの配備後、F/A-18F12機をEA-18Gに改造して電子戦機として運用する計画がある。
DHC-4カリブーの後継として10機を導入する。2014年以降にアメリカ国内で引き渡しと乗員訓練が始まり、2017年にはオーストラリアでの運用体制が確立される予定である[5]
AP-3Cの後継として2014年2月に8機の導入を決定した。2017年に初期作戦能力(IOC)を獲得、2021年までに全機の導入が完了する予定である[6]
P-8Aと組み合わせて運用するために導入される予定である。

脚注

関連項目

外部リンク

  • RAAF.gov.au オーストラリア空軍公式サイト (英語)