はだし教育

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はだし教育(はだしきょういく)とは主に小学校幼稚園保育園で、体を鍛えるために児童・幼児をなるべく裸足で生活させる活動である。

歴史

福島県白河市白河市立関辺小学校で、当時の校長であった理崎三郎が児童が裸足で水溜りで遊んでいるのを見て、足を自然の状態にするという発想が起こる。その後、足の指を自由に使う・土踏まずの成長に良い・暑い日でも足が蒸れない・風邪をひきにくくなる・足の裏を刺激することで脳の活性化・自然をじかに踏むことが大切・開放感を持つといった効果があるとのことで、全国の温暖な地域の学校ではだし教育が認められ、広まった。窮屈な上履きの靴が問題になって、足に無理がないように、足を開放する発想でもある。

問題点

運動場校庭に大きな石やガラスくずが落ちていたり、校舎内に画鋲などが落ちていることがあるなど校内の安全管理が問題になったり、また周囲が過保護な場合があったりして、実施に消極的な学校もある。

これに対し、裸足での生活を問題なく行うため物を散らかさないことや石拾いなど危険物をなくすようにきちんと校内の管理をすることをこまめにするよう気をつけるようにしたり、一部の学校では環境整備として裸足で運動しやすく、足の裏が心地よいようにと、運動場の一部に芝生を植えた学校もある。

逆に、過度に実施し、冬季に足がしもやけになった子供に無理をさせた例もある。

衛生面の問題も指摘され、足をきれいに洗う習慣をつけさせる必要がある。

現在ではどの学校も強制的な発想では行っていない。

評価

概して好評な場合が多く、新聞やテレビでは好意的に扱われる活動である。新聞・テレビ・ラジオの学校自慢には「元気の象徴」「発育・成績の向上に効果」「土踏まずの形成に効果が大きい」と好評価されがちである。体力づくりの実践として、大学の研究の対象となっている。

実態

学校生活のどの場面で裸足になるのかは、学校によって異なる。1年間の全ての学校生活を裸足で過ごす学校、運動場で活動する体育運動会の時のみ裸足になる学校、夏場のみ裸足になる学校、初夏から初冬までは裸足で冬季は自由な学校など、様々である。裸足で生活する時間が場合によりかなり違うので、はだし教育を行なう学校がどの程度あるとみなすべきかは不可能である。もともと上履きを使用する習慣がなく、昔から今まで「校内(校舎内外とも)は裸足で生活するもの」という認識で、児童全員とも裸足の生活をすることに抵抗なく、裸足で生活するような指導があるわけではなく、沖縄県の一部地域などでは昔から伝統として校舎内では常に裸足で生活していて、結果としてはだし教育になっている学校もある。山村の学校の一部などに見受けられる。また、特に理由を示さず、運動会の日は裸足とする、あるいは運動会及び体育の時間は裸足とする学校は多く見受けられる。靴下・上履きを使用する学校でも、児童が裸足で生活しようとすると、注意する学校、自由にさせる学校ともにある。さらに、素足の生活、鼻緒付きの履物を履くことが健康によいとして靴をなるべく履かせないようにと、上履きとして、あるいは登下校用の履物として草履奈良県三郷町で特産の健康草履、手作りの布ぞうり、わらぞうり、竹皮草履など)やビーチサンダルを用いる例もある。一部の地方では学校向けとして上履き・登下校用に開発された鼻緒付きのサンダルといった履物を取り入れる場合もある。この履物は神戸市長田区の特産である。

現在は上履きあるいは登下校の履物としてビーチサンダル草履など鼻緒付きの履物を素足に履くことなど、従来のはだし教育が認められつつはだし教育に絡めた健康教育が行なわれている学校もある。土踏まずを鍛える青竹踏みや、綱引き用のロープの上を足の指を使ってバランスよく歩く、タオルを床に広げ足の指で掴んで動かす、足の指でビー玉など細かいものをつまんで動かすなどのトレーニング、足の指を開いて動かして遊ぶ足指ジャンケン相撲や裸足でのランニング、竹馬棒のぼりといった裸足になって足の指、足の裏を使うことが重要な運動は、はだし教育の学校によく取り入れられている。

土踏まずの形成を重視する学校では、足の裏にインクを付けて紙に乗って足形をとったり、「ピドスコープ」という、足の形成を調べる機械の上に乗って土踏まずの形や大きさといった状態を調べるなどの「足形測定」を行事として行う例も多い。定期的に行うことで、はだし教育によって低学年から高学年にかけて成長とともに土踏まずが効果的に形成されることを知ることができる。

外部リンク