すり身
すり身(すりみ、英: surimi)は、魚類の身(魚肉)の食品加工法。広義には、その加工法により作られた魚肉製品のことを指す。
概要
魚肉練り製品として、魚肉ソーセージ・蒲鉾・つみれなどの原料となる。
- 原料には、スケトウダラ・イワシ・ホッケ・エビなどを用いる[1][2]。
- 日本発の発明で、それまでミールとしてしか使われなかった魚を、非常に受け入れやすい形で食用に利用できるようにした[3]。
- すり身の開発から、北太平洋の日本のスケトウ漁業が大発展し[4]、今では北米がそれにとって代わって大量生産している。
- 下ごしらえ済みのすり身がスリミと称して販売されている場合もある。(スリミ汁・スリミ団子など)
- つみれと混同されることがあるが、鶏卵や澱粉などのつなぎを加えていることから、厳密には別のもの。
利用
その歴史は非常に古く、900年前の平安時代の文献にも紹介されているおり、その後蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等色々な食材へと発展した。
- 多くの練り製品(かまぼこ・カニかまぼこ・さつま揚げ類・ちくわなど)の原料として国内外で使われている。
- 地方の郷土料理、汁物(つみれ汁)など。
- 海外では、カニ・エビ・オマールエビ・アングラス(ウナギのシラス)の代用品としての練り製品が作られ、サラダ・サンドイッチなどに極めて広く利用されている。カニサンドと称したものはほとんどが、この練り製品を使っている。
- 海外では、魚肉練り製品のことを英: surimiと称して販売される[5]。
歴史
- 北海道の水産試験場において、1960年代初頭にスケトウダラ冷凍すり身の加工法を確立し[1][6]、1963年に特許を取得した[7]。
- この発明を基盤に、1960年代後半・1970年代に、日本の北太平洋・ベーリング海の、主にスケトウダラを目標とした底引き網漁業・トロール漁業が大発展をした[7]。
- 特に当時段々規制が厳しくなり、公海から締め出されたサケマス流し網漁業の受け皿として、非常に重要な役割を果たす。
- 1980年台に入り、世界は200マイル時代に移行、主漁場がアメリカの専管経済水域にあったため、徐々に沿岸国の漁船(合弁事業を含む)にとって代わられる[4][8]。現在はアメリカ合衆国が、世界一の漁獲量を挙げており、一大産業となっている。
- 日本で開発された、すり身を原料としたカニ風味や、ロブスター風味の製品は世界中に広く受け入れられ[9]、今や欧米ではサラダ・サンドウィッチの食材として欠かせないものとなり、スーパーでも広く売られている。
- 日本ではかまぼこ・ちくわなどの練り物に多く使われているが、カニ・ロブスター風味の製品の製造流通量は欧米には遠く及ばない。
関連項目
脚注
参考文献
- 岡田, 稔「SURIMIとかまぼこ」『化学と生物』第25巻第8号、1987年、doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.25.535。
- 山澤, 正勝「技術用語解説」『日本食品工業学会誌』第35巻第6号、1988年、doi:10.3136/nskkk1962.35.6_456。
- 野口, 敏「冷凍すり身に関する最近の動向」『日本食品工業学会誌』第40巻第9号、1993年、doi:10.3136/nskkk1962.40.9_689。
- 北上, 誠一「冷凍すり身の昨日, 今日, 明日」『日本食品保蔵科学会誌』第23巻第3号、1997年、doi:10.5891/jafps.23.145。
- 福田, 裕「II-4. 利用・加工技術」『日本水産学会誌』第79巻第1号、2013年、doi:10.2331/suisan.79.70。