2022年バッファロー銃乱射事件

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2022年バッファロー銃乱射事件
アメリカ合衆国における銃乱射事件
2022年2月時点での事件現場(事件発生前)
地図
場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク州バッファロー
1275 Jefferson Avenue
座標 北緯42度54分35秒 西経78度51分10秒 / 北緯42.90972度 西経78.85278度 / 42.90972; -78.85278座標: 北緯42度54分35秒 西経78度51分10秒 / 北緯42.90972度 西経78.85278度 / 42.90972; -78.85278
日付 2022年5月14日 (2022-05-14)
c. 2:30 – 2:36 p.m. (東部夏時間; UTC−04:00)
攻撃手段 銃乱射事件
死亡者 10
負傷者 3
被告人 Payton S. Gendron
刑罰 第一級殺人罪
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2022年バッファロー銃乱射事件(2022ねんバッファローじゅうらんしゃじけん)は2022年5月14日アメリカ合衆国ニューヨーク州バッファロースーパーマーケットで起きた銃乱射事件。10人が死亡、3人が負傷した。

容疑者は白人の18歳の男性で、犠牲者の多くは黒人であった(銃撃を受けた13人のうち、11人が黒人で、2人が白人だった)ことからヘイトクライムが背景にあるとみられた[1]

容疑者は銃撃の様子を、ライブストリーミングで動画配信した。警備員が数発撃ち返したが、防弾ベストを着ていたため止まらなかった。容疑者は警備員を殺害し、他の人に発砲しながら店内を歩き回った[2]。動画配信には米Amazon傘下のTwitchが使われたが、Twitchは配信を2分以内に遮断した[3]。しかし、4chanで動画のコピーが広く拡散され、4chanでは犯人を称賛するコメントが集中した[4]

容疑者は銃乱射後に逮捕された。殺人容疑については否認している[2]

容疑者はニュージーランドで起きたクライストチャーチモスク銃乱射事件を見て白人至上主義の影響を受けたとしている[5]

匿名掲示板「4chan」の影響[編集]

容疑者は「4chanで真実を学んだ」と述べており、容疑者の声明によると「私は差別主義者として生まれたわけでも、成長してそうなったわけでもない。ただ、真実を学んだ後で、レイシストになった」という。

容疑者いわく、4chanを使い始めたのは2020年5月、コロナ禍による「極度の退屈」からで、武器板「/k/」を経て、最終的に4chanで最も物議を醸す非ポリコレ板「/pol/」にたどりついたという[6]。容疑者はここで、白人中心の地域が非白人に乗っ取られるという「グレート・リプレイスメント」(大置換)なる極右の陰謀論に触れたことから「ようやく目が覚めた。攻撃することを考え始めた」と述べている[6]。NPO団体「メディア・マターズ・フォー・アメリカ」の調査によると、2018年7月以降、/pol/では9万回以上にわたって同様の陰謀論が言及されていた[6]。これら経緯から大手マスコミは4chanを「憎悪に満ちた掲示板」(CNN)、「インターネット上で最も卑劣な場所の1つ」(Guardian)と報道している[4][7]

2022年10月18日、ニューヨーク州知事キャシー・ホウクルと同州司法長官のレティシア・ジェームズは本掲示板が「銃撃犯を過激化させた」と指摘すると共に加害者が暴力的なコンテンツを投稿することやサイト運営者がそれを放置することについての法的責任を問う法改正などを提言する報告書を公表した[8]

反応[編集]

米大統領ジョー・バイデンは人種差別的な陰謀論を広めているとして、白人至上主義者メディアインターネット政治を非難した。「ここで起きたことははっきりしている。テロリズム、国内テロだ」「白人至上主義は毒だ。政界に広がっている毒だ」「米国に白人至上主義の居場所はないことを可能な限り明確に力強くに伝えることが必要だ」と演説した[9]

アメリカンフットボールチームのバッファロー・ビルズ基金とNFL基金が協力して地元の対応活動に40万ドル(約5,150万円)を寄付すると発表した[10]

脚注[編集]

  1. ^ NY州で乱射、10人死亡 憎悪犯罪か、18歳男性拘束”. 共同通信 (2020年5月15日). 2022年5月15日閲覧。
  2. ^ a b 米バッファローのスーパーで銃乱射、10人死亡 黒人狙った可能性”. BBCニュース (2022年5月16日). 2022年5月21日閲覧。
  3. ^ Twitch、バッファロー銃乱射容疑者によるライブ動画は「2分以内に遮断した」”. ITmedia NEWS (2022年5月16日). 2022年5月21日閲覧。
  4. ^ a b 鈴木聖子 (2022年5月25日). “言論の自由かコンテンツ規制か――銃撃映像ネットで拡散、模倣犯後を絶たず”. ITmedia. https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/25/news053.html 2022年5月25日閲覧。 
  5. ^ Buffalo supermarket shooter was radicalized by New Zealand mosque killer”. New York Daily News (2022年5月15日). 2022年5月21日閲覧。
  6. ^ a b c 藤原学思 (2022年5月21日). “米乱射、匿名掲示板「4ちゃん」が影響か 犯行声明「真実学んだ」”. 朝日新聞デジタル (ニューヨーク州: 株式会社朝日新聞社). https://www.asahi.com/articles/ASQ5N3W04Q5NUHBI005.html 2022年5月21日閲覧。 
  7. ^ Justin Ling (2022年5月1日). “‘Cheering section’ for violence: the attacks that show 4chan is still a threat”. Guardian. https://www.theguardian.com/technology/2022/may/01/4chan-extremist-online-forum-raymond-spencer 2022年5月25日閲覧。 
  8. ^ 匿名掲示板4チャンは「過激化の温床」 米銃乱射事件で報告書”. 毎日新聞 (2022年10月20日). 2022年10月20日閲覧。
  9. ^ 白人至上主義は「毒」、バイデン氏がバッファロー銃乱射非難”. Reuters (2022年5月18日). 2022年5月21日閲覧。
  10. ^ ビルズとNFLの基金が銃乱射事件を受けたバッファローの取り組みに5,150万円を寄付”. NFL日本公式サイト (2022年5月19日). 2022年5月21日閲覧。

関連項目[編集]