2022年カザフスタン反政府デモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
2022年カザフスタン反政府デモ
2022 Kazakhstan protests — Aqtobe, January 4 (01).jpg
アクトベのデモ参加者 (2022年1月4日)
日時2022年1月2日 - 1月11日
場所カザフスタンの旗 カザフスタン
原因
目的
手段デモ活動暴動ストライキ
結果
参加集団
デモ参加者
指導者
なし
死傷者数
30人死亡[1]
10人以上死亡[1]

2022年カザフスタン反政府デモ(2022ねんかざふすたんはんせいふでも)は、2022年カザフスタンで起こった反政府デモ

背景[編集]

ソビエト連邦構成国だったカザフ・ソビエト社会主義共和国共産党第一書記・同共和国大統領(それぞれ1989年1991年に就任)からそのまま1991年12月にカザフスタン共和国大統領に就任したヌルスルタン・ナザルバエフが、独立以来2019年まで一貫して大統領の地位にあり、強力な指導力を発揮した。

経過[編集]

1月2日-1月4日[編集]

2022年1月2日、燃料価格の上昇に抗議するため、ジャナオゼンでデモが行われた。デモ参加者は、価格を120テンゲから60テンゲに引き下げることを要求した。抗議行動は、首都のヌルスルタンや最大都市のアルマトイなどに拡大した。翌日には、一部のデモ参加者からNurlan Noghaev地方知事の辞任を求める声も上がった[2]

1月5日-1月6日[編集]

1月5日カシムジョマルト・トカエフ大統領は事実上の最高指導者であるヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領を国家安全保障会議議長から解任して自らが後任の議長に就任し、首相アスカル・マミン英語版内閣が総辞職することを発表した[3][4]。これは、ナザルバエフの失脚を意味する。また、一部都市に発令された非常事態宣言を全土に拡大した。暴動はテロと位置づけられ、「対テロ作戦」が発動された。治安部隊8人が死亡し、300人以上が死傷したとされる[5]。また、ロシアが主導する集団安全保障条約機構(CSTO)はカザフスタンへの平和維持部隊の派遣を決定した[6]

アルマトイでは国際空港にデモ隊が侵入し[7]、大統領居宅が占拠された[4]ほか、インターネットは停止し、政府機関近くの建物では明かりが消された[7]。5日夜から6日朝にかけて、アルマトイではデモ隊数十人が死亡し、2000人以上が拘束された。また、治安部隊18人が死亡した[8]

1月7日-1月8日[編集]

トカエフ大統領は7日、「憲法秩序が全土でおおかた取り戻された」と述べた[9]

8日、国家保安委員会は、ナザルバエフの側近のカリム・マシモフ同委員会前議長(5日に解任)らを国家転覆容疑で拘束したと発表した[10]

1月9日-1月11日[編集]

1月9日、トカエフ大統領や治安機関幹部らが参加する会議が開かれ、「状況の安定」が強調された[11]。警察当局の発表によると、拘束者は8000人に達した。拘束者には多数の外国人が含まれるという。死者数は164人に達した[12]

各国の反応[編集]

  • ロシアの旗 ロシア - 外務省は1月6日、「外部から訓練された武装集団を使って国家の安全を損なおうとする試みだ」という声明を発表し、テロ行為だとしたうえで、カザフスタン政府と連携していく姿勢を強調した[13]プーチン大統領は、「騒乱を起こしたのは外国で訓練を受けた戦闘部隊だ」とし、外部からの干渉があったと主張した[12]
  • アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 - アントニー・ブリンケン国務長官は、事態の収束に向け、カザフスタンの憲法上の制度や報道の自由への全面的な支持を表明し、平和的解決を提言した[14]
  • イギリスの旗 イギリス - 政府は6日、「暴力行為や建物の破壊を批判する。また、当局は言論と表現の自由を尊重するよう求める」という声明を発表した[15]
  • 中華人民共和国の旗 中華人民共和国 - 習近平国家主席党総書記)は7日、トカエフ大統領へのメッセージで、「中国は外部勢力が下心をもって混乱を引き起こし、カラー革命を画策することに断固反対する。兄弟の隣国としてできる限り必要な支援を行う用意がある」。と伝えた。また、外交部汪文斌副報道局長は、上海協力機構(SCO)が情勢安定化へ積極的役割を果たすよう促した[16]
  • 欧州連合の旗 欧州連合 - ジョセップ・ボレル上級代表は、Twitterで「深い懸念」を表明した[17]
  • 国際連合の旗 国際連合 - ミシェル・バチェレ人権高等弁務官は6日、「人々には平和的な抗議と表現の自由の権利がある。同時に、抗議する人は、どんなに怒り、苦しんでいても暴力に訴えるべきではない」という声明を発表し、暴力を控え、平和的な解決を模索するよう促した[15]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b “デモ隊30人死亡 カザフスタン大統領「秩序は回復」”. テレ朝news. (2022年1月8日). https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000240788.html 2022年1月8日閲覧。 
  2. ^ Kazakhstan: Gas price hike fuels Zhanaozen protests eurasianet 2022-01-06閲覧
  3. ^ “実力者ナザルバエフ氏失脚 カザフで反政府デモ、混乱拡大”. 時事通信. (2022年1月6日). オリジナルの2022年1月6日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/xS55l 2022年1月6日閲覧。 
  4. ^ a b カザフスタン内閣総辞職 燃料上げでデモ、大統領宅占拠 日本経済新聞 2022-01-06閲覧
  5. ^ カザフ暴動、死傷者多数か ロシア主導CSTOが平和維持部隊派遣へ 産経新聞 2022-01-06閲覧
  6. ^ ロシア軍事同盟がカザフ介入へ 流血拡大の恐れ 時事通信 2022-01-06
  7. ^ a b カザフスタンで非常事態宣言、燃料費高騰で抗議デモ広がるCNN 2022-01-06閲覧
  8. ^ ロシア主導組織、カザフスタンに部隊派遣 抗議デモに介入REUTER 2022-01-07閲覧
  9. ^ “カザフスタンでデモ隊26人死亡”. 共同通信. (2022年1月8日). https://nordot.app/852088765108764672 2022年1月8日閲覧。 
  10. ^ カザフ前大統領、所在めぐり混乱 一時「国外脱出」報道 側近ら拘束”. 産経新聞 (2021年1月8日). 2022年1月9日閲覧。
  11. ^ デモ混乱で164人死亡 6000人近く拘束―カザフ”. 時事通信 (2022年1月9日). 2022年1月11日閲覧。
  12. ^ a b ロシアら、カザフスタンのデモへの武力鎮圧を正当化 拘束者8000人に”. 東京新聞 (2022年1月10日). 2022年1月11日閲覧。
  13. ^ “カザフスタン大規模抗議活動 政権側が抑え込む姿勢強める”. NHKNEWSWEB. (2022年1月7日). オリジナルの2022年1月7日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/38QKa 2022年1月7日閲覧。 
  14. ^ 米国務長官 カザフスタン外相と会談 平和的解決を提言 広島ホームテレビ 2022-01-07閲覧。
  15. ^ a b “カザフスタン 政府へ抗議活動で死傷者多数 国連やEU自制求める”. NHK NEWS WEB. (2022年1月7日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220107/k10013419261000.html 2022年1月8日閲覧。 
  16. ^ “中国がカザフスタン政府を支援へ 抗議制圧を称賛、米国の介入を警戒”. 朝日新聞デジタル. (2022年1月8日). https://www.asahi.com/articles/ASQ1861XVQ18UHBI00P.html 2022年1月11日閲覧。 
  17. ^ “カザフ情勢懸念、自制要求”. 京都新聞. (2022年1月7日). https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/707070 2022年1月8日閲覧。 

関連項目[編集]