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2020年ミャンマー総選挙

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2020年ミャンマー総選挙
ミャンマー
2015年 ←
2020年11月8日
→ 2025年


最低過半数:113議席


民族代表院(上院) 改選161/全224議席
人民代表院(下院) 改選315/全440議席[1]
  第1党 第2党
 
党首 アウンサンスーチータン・テイ(英語版)
政党 国民民主連盟連邦団結発展党
党首就任日 1988年9月27日2016年8月23日
前回選挙 135 (上院)
255 (下院)
11 (上院)
30 (下院)
獲得議席 138 (上院)
258 (下院)
7 (上院)
26 (下院)
議席増減 増加3 (上院)
増加3 (下院)
減少4 (上院)
減少4 (下院)

選挙結果

選挙前大統領

ウィンミン
国民民主連盟

選出大統領

未定

2020年ミャンマー総選挙(2020ねんミャンマーそうせんきょ、ビルマ語: အထွေထွေ ရွေးကောက်ပွဲ၊ ၂၀၂၀)は、2020年11月8日に行われたミャンマー連邦共和国の立法府である連邦議会の総選挙である。結果、アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝したが、翌2021年2月に国軍がクーデターを引き起こし、同年7月26日に選挙が自由かつ公正に執行されなかったとして結果を無効にすると宣言した[2]。

概要

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4年半に及ぶNLD政権の是非を問う選挙だった。NLD政権に対する評価は芳しいものではなく、憲法改正は実現せず、少数民族武装勢力との和平は進展せず(連邦和平会議 - 21世紀パンロン)、経済はせいぜい及第点だった。特に2017年に発生したロヒンギャ危機の際、スーチー国家顧問がジェノサイドを否定したことにより、彼女の国際的名声は失墜した[注釈 1]。また、スーチーの独裁的手法に対する批判も集まっていた[3]。このような理由からNLDの苦戦を予測する声が多く、実際、2017年4月1日の補欠選挙(人民代表院9議席、民族代表院3議席、地方議会7議席)では、NLDはぞれぞれ5議席、3議席、1議席を獲得し、中央・地方合わせた得票率(軍人枠除く)は55.2%で、2015年総選挙の57.4%に比べても遜色なかったが、2018年11月3日の補欠選挙(人民代表院4議席、民族代表院1議席、地方議会8議席)では、NLDが人民代表院で3議席、地方議会で4議席獲得するにとどまっていた[4][5]。

選挙戦は、コロナ禍により移動の自由が一部制限される中で行われ、また、内戦の影響で、ラカイン州北部の9郡区とシャン州北東部6郡区での投票が中止された[6]。そして、2020年11月8日に実施された総選挙の結果、後述するように、大方の予想に反してNLDが2015年総選挙を上回る地滑り的勝利を上げた[3]。

しかし、USDPおよびミャンマー軍(国軍)はこの結果に対し、有権者名簿に大きな不正があったと主張。2021年1月30日、国軍はあらためてNLD政権に対し選挙管理委員会の交代・議会召集の延期・票の再集計を要求したが、政権はこれを黙殺した。そして2021年2月1日、国軍はクーデターを決行し、スーチーとがウィンミン大統領らNLD幹部を多数拘束、非常事態宣言を発令して、国家行政評議会(SAC)の設立を宣言した[7][8]。

その後、SACはミャンマー語、英語、中国語、ロシア語、日本語で「2020年複数政党制民主党総選挙不正投票と違法行為の調査結果[9]」と題するレポートを発表した。

選挙制度

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ミャンマーの選挙制度[注釈 2][10]

人民代表院、民族代表院、地方域/州議会のレベルで、それぞれ軍人議員枠を除いた330議席、168議席、665議席で争われた[11]。

人民代表院の330ある郡区に対応する選挙区で1議席を争い、民族代表院は14ある各地方域/州に12議席が割り当てられ、人民代表院とは異なる選挙区で争われた[11]。

地方域/州議会(一院制)選挙では、各郡区に2議席割り当てられ、さらに当該地方域・州内に国家の全人口の0.1%(約5万人)以上の人口を擁する民族で、当該地方域・州の主要民族ではなく、その地方域・州内に自治管区・自治区を有していない民族に対して1議席割り当てられた(161条)[11]。

選挙結果

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投票用紙。

2020年11月8日に実施された総選挙の結果、NLDは人民代表院の82%、民族代表院86%、地方議会でもラカイン州とシャン州を除いて第一党となる大勝利を収め、対照的にUSDPは、両院で8議席減らして33議席にとどまった。ミャンマー学者の中西嘉宏は、NLDの勝因として(1)絶大なスーチー人気、(2)NLDの組織力、(3)野党の弱さ、(4)コロナ禍[注釈 1]を挙げている[3]。

他には前回もアラカン民族党(英語版)(ANP)[注釈 3]、シャン諸民族民主連盟(SNLD)[注釈 4]、タアン民族党(TNP)、モン統一党(MUP)などの少数民族政党が議席を獲得したが、ラカイン州の一部で投票が中止となったことから、ANPは前回よりも議席を減らした。一方、トゥラ・シュエマンの連邦改善党(UBP)、NLDから造反したテッテッカイン(英語版)の人民さきがけ党(英語版)(PPP)、88年世代のコーコージーの人民党(ビルマ語版)は1議席も獲得できなかった[3]。

人民代表院(下院)

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党派別議席数[12]
党派 議席数 +/– 議席率[注釈 5]
国民民主連盟(NLD) 258 増加3 81.9%
連邦団結発展党(USDP) 26 減少4 8.3%
シャン諸民族民主連盟(SNLD) 13 増加1 4.1%
アラカン民族党(英語版)(ANP) 4 減少8 1.3%
タアン民族党(TNP) 3 増減なし 1.0%
パオ民族機構(英語版)(PNO) 3 増減なし 1.0%
モン統一党(MUP) 2 増加2 0.6%
カヤー州民主党(英語版)(KSDP) 2 増加2 0.6%
カチン州人民党(KSPP) 1 増減なし 0.2%
アラカン前衛党(英語版)(AFP) 1 増加1 0.2%
ワ民族党(WNP) 1 増減なし 0.2%
ゾミ民主連盟(英語版)(ZCD) 1 減少1 0.2%
軍指名枠 110 増減なし 25.0%
合計 440 – 100%

民族代表院(上院)

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党派別議席数[12]
党派 議席数 +/– 議席率[注釈 5]
国民民主連盟(NLD) 138 増加3 85.7%
連邦団結発展党(USDP) 7 減少4 4.3%
アラカン民族党(ANP) 4 減少6 2.5%
モン統一党(MUP) 3 増加3 1.9%
カヤー州民主党(KSDP) 3 増加3 1.9%
シャン諸民族民主連盟(SNLD) 2 減少1 1.2%
タアン民族党(TNP) 2 増減なし 1.2%
パオ民族機構(PNO) 1 増減なし 0.6%
新民主党 (カチン)(英語版)NDP (Kachin) 1 増加1 0.6%
軍指名枠 56 増減なし 25.0%
合計 224 – 100%

脚注

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注釈

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  1. 1 2 ただし、国民はスーチーのその姿勢を支持し、かえって結束が強まった。
  2. ↑ 地方議会の定員は2010年のもの。変動の可能性あり。
  3. ↑ 2013年にラカイン民族発展党(RNDP)とラカイン民主連盟(ALD)が合併して誕生した政党。RNDPは2010年総選挙で、人民代表院で9議席、民族代表院で7議席、計16議席を獲得した。一方、ALDは2010年総選挙をボイコットしたが、1990年総選挙ではラカイン州の27議席中11議席を獲得した。
  4. ↑ 1988年設立。1990年総選挙で全485議席中23議席(4.7%)を獲得し、NLDに次いで第2党となった。2010年総選挙はボイコット。
  5. 1 2 軍人枠除く。

出典

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  1. ↑ Naing, Shoon; Aung, Thu Thu (9 November 2020). “Aung San Suu Kyi's ruling party claims resounding election win in Myanmar”. Reuters (英語). 2020年11月10日閲覧.
  2. ↑ “ミャンマー軍事政権、総選挙の結果無効に スー・チー氏政党圧勝”. AFPBB News. フランス通信社. 2021年7月27日. 2021年7月27日閲覧.
  3. 1 2 3 4 “(2020年ミャンマー総選挙) アウンサンスーチー圧勝の理由と、それが暗示する不安の正体(中西 嘉宏)”. アジア経済研究所. 2025年12月10日閲覧。
  4. ↑ 長田, 紀之「過去最大の難民危機:2017年のミャンマー」『アジア動向年報 2018年版』2018年、[433]–456。
  5. ↑ 長田, 紀之 (2019). “2018年のミャンマー 任期の折り返し点を迎えた国民民主連盟政権”. アジア動向年報 2019: 435–458. doi:10.24765/asiadoukou.2019.0_435.
  6. ↑ “(2020年ミャンマー総選挙)特集にあたって――アウンサンスーチー政権の成果を問う選挙(長田 紀之)”. アジア経済研究所. 2025年12月10日閲覧。
  7. ↑ “(2020年ミャンマー総選挙)クーデター後、国軍は何をしようとしているのか?(長田 紀之)”. アジア経済研究所. 2025年12月10日閲覧。
  8. ↑ 長田紀之「2021年のミャンマー 軍クーデタの発生と複合危機の進行」『アジア動向年報』第2022巻、日本貿易振興機構アジア経済研究所、2022年、409–440頁、CRID 1390293180217691776、doi:10.24765/asiadoukou.2022.0_409、ISSN 0915-1109。
  9. ↑ “Union Election Commission”. 2020election.uec.gov.mm. 2025年12月10日閲覧。
  10. ↑ “ミャンマー総選挙とその後(工藤 年博)”. アジア経済研究所. 2025年12月17日閲覧。
  11. 1 2 3 アジ研 2016, p. 79.
  12. 1 2 “(2020年ミャンマー総選挙)選挙結果速報――国民民主連盟が再び地滑り的な勝利(長田 紀之)”. アジア経済研究所. 2025年12月10日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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