2018 FIFAワールドカップ 韓国対ドイツ

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韓国対ドイツ
カザンの恥(Schande von Kasan)
カザンの奇跡(카잔의 기적)
Чаша стадиона во время матча.jpg
大会名 2018 FIFAワールドカップ
グループF 第3戦
開催日 2018年6月27日
会場 カザン・アリーナ(カザンロシア)
最優秀選手 趙賢祐(チョ・ヒョヌ) (韓国)
主審 マーク・ガイガー (アメリカ合衆国)
観客数 41,835人
天気 晴れ
28 °C (82 °F)
湿度 40%[1]

2018 FIFAワールドカップ韓国VSドイツは、2018年6月27日、ロシアのカザンのカザン・アリーナで行われた2018 FIFAワールドカップグループF第3戦。

概要[編集]

韓国ドイツが対戦するのはこの試合が4回目となる。1994 FIFAワールドカップ・グループCの第3戦が初対戦であり、この試合はドイツが3-2で勝利した。2002 FIFAワールドカップの準決勝で2回目のマッチアップとなり、この試合でもドイツが1-0で勝利した。2004年に初めて親善試合を行い、韓国が3-1で勝利している。両国の対戦はその試合以来、14年ぶりとなる。

試合前の状況[編集]

韓国は、スウェーデンとの第1戦はシュート0に抑えられ、アンドレアス・グランクヴィストのPKにより0-1で敗れた。第2戦はメキシコと対戦し、張賢秀の失策もあって1-2で敗れ、2連敗でグループ最下位に沈んでいた。しかし、混戦状態のグループにあってベスト16進出の望みは残されていた。

一方で前回王者・ドイツも初戦のメキシコ戦ではカウンターからイルビング・ロサノに決勝ゴールを許し0-1で敗れた。スウェーデンとの第2戦ではDFジェローム・ボアテングが退場、さらには先制点を献上するも、後半終了間際にトニ・クロースの逆転ゴールで2-1で勝利し、2位に浮上。ベスト16進出へ望みを残していた。

以上の結果から、韓国はベスト16進出には勝利が絶対条件で、さらにスウェーデンがメキシコに敗れた上でスウェーデンに対し得失点差で上回る必要があった。一方ドイツは、勝利すれば無条件でベスト16進出となり、引き分けてもスウェーデンが敗れるか、あるいはスウェーデンが引き分けた場合に総得点でスウェーデンを下回らないことでラウンド16での進出が可能だった。敗北した場合には敗退する状況だった。

前回の王者であることやFIFAランキングを考えればドイツ優勢は明らかであったが、2大会連続で前回大会の覇者がグループリーグで敗退し一種のジンクスとなっていることや、ドイツの低調な戦いぶり、特に決定力不足が指摘され、一部ではドイツの敗退を予測する向きもあった。

試合[編集]

出場選手[編集]

韓国は前節から4人変更。中盤に本職CBのチャン・ヒョンスが入ってチョン・ウヨンと組み、CBにはユン・ソンヨン、CFに本職中盤のク・ジャチョルが入るなど守備重視の布陣で、左SBにはホン・チョルが入った。一方ドイツはベスト16進出を見据え、前節から5人変更。CBはマッツ・フンメルスニクラス・ジューレバイエルン勢が組み、アンカーは負傷したルディに代えサミ・ケディラ、右サイドはトーマス・ミュラーに休養を与えレオン・ゴレツカ、トップ下はメスト・エジルが入った。

前半[編集]

序盤からドイツがボールを回して押し込む。ヨナス・ヘクターヨシュア・キミッヒの両SBも積極的に攻撃参加し、事実上フンメルスとジューレを除く残りのすべての選手が攻撃に加わったが、守備を徹底しカウンターを伺う韓国は攻撃を水際で食い止め続け、シュートは打たせない。8分にチョン・ウヨンがヘクターへのタックルで警告を受けたことから守備の激しさが伺える。19分、ここまで守備で粘っていた韓国だがゴール手前30m、中央右寄りの地点からのFKを獲得。これをチョン・ウヨンが直接狙うと、鋭いシュートをドイツGKマヌエル・ノイアーがファンブルし、ソン・フンミンが詰めるがノイアーがなんとかクリアして凌いだ。その後もドイツが攻め込み続けるが、ファイナルサードで精度を欠きシュートを打てない時間が続く。韓国もソンを中心に速攻でチャンスを作って対抗。前半終了間際にはイ・ヨンのクロスが中央の競り合いでこぼれたところをソンがボレーで狙うが、枠の左上に逸れた。前半は0-0で終了。ドイツはボール支配率75.4%・デュエル勝率64.9%と圧倒するが、肝心のシュートは6本、枠内シュートに至っては2本と得点の気配がなかった。また同時刻開催のメキシコvsスウェーデンも同じく0-0で折り返し、この時点ではドイツが2位、スウェーデン3位、韓国は4位であった。

後半[編集]

両者ともハーフタイムの交代は無し。後半もドイツが押し込む展開となる。すると48分にキミッヒのクロスに中央で完全フリーのゴレツカが頭で合わせたが、枠の右に飛んだショットは韓国GKチョ・ヒョヌが右手一本でファインセーブ。51分にはエジルとマルコ・ロイスのコンビネーションで左サイドを突破し、クロスにティモ・ヴェルナーがボレーで合わせるが、これは枠の右に逸れた。56分、韓国はク・ジャチョルが負傷しファン・ヒチャンとの交代を余儀なくされた。ここで他会場ではスウェーデンがルドビク・アウグスティンソンのゴールで先制、ドイツは暫定だが3位に転落した。この情報が入ると、得点を挙げるしかなくなったドイツは58分にマリオ・ゴメス、63分にはミュラーも投入し猛攻を仕掛ける。スウェーデンはさらに66分にグランクヴィストのPK、72分にオウンゴールで点差を広げ、勝利をほぼ手中に収める。1点さえ挙げればいいドイツは、ユリアン・ブラントを投入してさらに攻勢に出る。だが、シュートは打つものの枠を大きく外したりブロックされたりが続き、さらにカウンターによりピンチとなる場面も散見された。終盤にはフンメルスも前線に上げパワープレーに出るが、88分には右サイドからエジルのクロスにフンメルスがフリーで飛び込むもののシュートは枠の左、89分にはクロースがエリア手前から右足で狙うがこれもチョ・ヒョヌが好セーブと、なかなか韓国の牙城を崩せない。93分、韓国が左コーナーキックから、ゴール前での混戦の末ゴール目の前にいたキム・ヨングォンが左足で蹴り込みゴールを挙げたと思われたがオフサイドの判定でゴールは認められなかった。しかし、VARによる判定の結果がゴールが認められ、韓国がこの時間で先制に成功する。VAR介入のため追加タイムは9分に延びたとはいえ、ドイツは残り6分で2点が必要とかなり追い込まれた。再開と同時にドイツが攻撃を仕掛けるも、95分のフンメルスのヘディングシュートも枠を捉えられなかった。GKノイアーも攻撃に参加し1点を狙うが、中盤でボールを受けたノイアーが途中出場のチュ・セジョンにボールを奪われ、そのまま前線にボールを送られると、反応したソンが追いつき左足で冷静に流し込み、韓国が2点目を決めた。その後も攻撃を続けたドイツだが、最後までシュートは枠に飛ばず、韓国が2-0でドイツに勝利し、2002年の雪辱を果たした。ドイツはボール支配率74%、後半だけで22本、計28本のシュートを放つも、枠内シュートはわずかに6本と課題の決定力不足が最後まで重くのしかかり、グループリーグ敗退となった。


詳細[編集]

2018年6月27日
17:00 MSK (UTC+3)
韓国  2 - 0  ドイツ
キム・ヨングォン 90+3分にゴール 90+3分
ソン・フンミン 90+6分にゴール 90+6分
レポート
カザン・アリーナ (カザン)
観客数: 41,385人[2]
主審: マーク・ガイガー (アメリカ合衆国)[2]
韓国[3]
ドイツ[3]
大韓民国の旗
韓国
GK 23 チョ・ヒョヌ
RB 2 イ・ヨン
CB 5 ユン・ヨンソン
CB 19 キム・ヨングォン
LB 14 ホン・チョル
RM 17 イ・ジェソン 23分に警告 23分
CM 15 チョン・ウヨン 9分に警告 9分
CM 20 チャン・ヒョンス
LM 18 ムン・ソンミン 48分に警告 48分 69分に交代退場 69分
CF 13 ク・ジャチョル 56分に交代退場 56分
CF 7 ソン・フンミン キャプテン 65分に警告 65分
控え
GK 1 キム・スンギュ
DF 3 チョン・スンヒョン
DF 4 オ・バンソク
DF 6 パク・チュホ
MF 8 チュ・セジョン 69分に交代出場 69分
FW 9 キム・シヌク
MF 10 イ・スンウ
FW 11 ファン・ヒチャン 56分に交代出場 56分 79分に交代退場 79分
DF 12 キム・ミヌ
MF 16 キ・ソンヨン
GK 21 キム・ジニョン
DF 22 コ・ヨハン 79分に交代出場 79分
監督
大韓民国の旗 シン・テヨン
KOR-GER 2018-06-27.svg
ドイツの旗
ドイツ
GK 1 マヌエル・ノイアー キャプテン
RB 18 ヨシュア・キミッヒ
CB 5 マッツ・フンメルス
CB 15 ニクラス・ジューレ
LB 3 ヨナス・ヘクター 78分に交代退場 78分
CM 6 サミ・ケディラ 56分に交代退場 56分
CM 8 トニ・クロース
RW 14 レオン・ゴレツカ 63分に交代退場 63分
AM 10 メスト・エジル
LW 11 マルコ・ロイス
CF 9 ティモ・ヴェルナー
控え
DF 2 マルヴィン・プラッテンハルト
DF 4 マティアス・ギンター
MF 7 ユリアン・ドラクスラー
GK 12 ケヴィン・トラップ
FW 13 トーマス・ミュラー 63分に交代出場 63分
DF 16 アントニオ・リュディガー
MF 19 セバスティアン・ルディ
MF 20 ユリアン・ブラント 78分に交代出場 78分
MF 21 イルカイ・ギュンドアン
GK 22 マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン
FW 23 マリオ・ゴメス 58分に交代出場 58分
DF 17 ジェローム・ボアテング (出場停止)
監督
ドイツの旗 ヨアヒム・レーヴ

Man of the Match:
チョ・ヒョヌ (韓国)[2]

副審:[2]
ジョー・フレッチャー (カナダ)
フランク・アンダーソン (米国)
第4の審判:
フリオ・バスクニャン (チリ)
予備副審:
クリスチャン・シーマン (チリ)
ビデオ副審:
ダニー・マッケリ (オランダ)
アシスタントビデオ副審:
チアゴ・マルティンス (ポルトガル)
コーリー・ロックウェル (米国)
アルトゥル・ソアレス・ジアス (ポルトガル)

統計[編集]

試合後[編集]

ドイツが韓国に軽く勝つという予想が支配的であったが、そんな大方の予想を覆し、韓国が2-0で勝利した。これによりドイツは1勝2敗・得失点差-2で、グループ最下位で敗退した。一方もう1戦の方は、スウェーデンがメキシコに3-0で勝利したため、韓国はグループ3位になり、ベスト16への進出はならなかった。

この試合は、ドイツでは「カザンの恥(Schande von Kasan)」と呼ばれるようになり、逆に韓国では「カザンの奇跡(카잔의 기적)」と呼ばれるようになった[要出典]

世界各国の反応[編集]

ドイツ[編集]

ハンブルクのファンパークで応援している途中絶望したドイツ人

この試合の敗戦によってドイツのW杯敗退が決定したが、グループリーグで敗退するのは史上初、本大会で1勝しか挙げられなかったのは40年ぶり、本大会総得点数”2”は過去最低記録を80年ぶりに更新するなど、ドイツのサッカー史に残る、記録ずくめの屈辱的敗退となってしまった。それまでドイツは自国代表が16大会連続ベスト8、4大会連続ベスト4などとW杯で良い成績を収める場合が多く、自国の代表に誇りを持つ国民が多かったが、この敗北によりその多くは失望を受けることになった。ドイツの代表的な新聞であるビルトは1面に「Ohne Worte!(言葉はいらない!)」というタイトルで、4年前、ブラジルとの試合で歓呼するトニ・クロースの姿と、この日の試合で沈み込みしているクロースの様子を対照的に載せた。4年前の「言葉はいらない!」はワールドカップ最多優勝国であり、その時点でホームチームだったブラジルの7対1という圧倒的な点数差で勝利すると、ドイツ代表の高い技量に賛辞を送るという意味で書いた表現であり、この試合での意味は、FIFAランキング57位のチームであり、グループの最弱体で数えられた韓国に0対2であっけなく敗れるという衝撃を受け、「言うことはない」という表現を使ったのである。

試合前には、ビルトは韓国の監督の申台龍(シン・テヨン)に「ファッション、ヘアスタイルのようにレーヴに外見だけ基づいている。」と言って彼を「偽レーヴ」と笑っていたが、韓国が勝つとすぐに「偽レーヴ韓国が勝った!」と言って、自国の代表を大きく非難した。

韓国[編集]

韓国では「ドイツに勝ったのはいいが、ベスト16進出には失敗して残念だ」という反応もあった。選手たちも、メキシコがスウェーデンに0-3で敗れたということを後々知って、悔しさを表わにした。しかし、スウェーデン、メキシコとの対決で不甲斐ないパフォーマンスを見せた代表に叱咤を送っていた韓国のファンは、この金星を受け「敗退しても大丈夫!」と勝利に惜しみない賛辞を送って選手たちを慰め、讃えた。

メキシコ[編集]

メキシコはスウェーデン戦で0-3で敗れ、先に2勝を収めたにも関わらずベスト16進出に失敗する可能性もあったが、韓国が金星を収めたことでグループ2位でベスト16進出に成功した。メキシコのファンは韓国代表チームに惜しみない感謝の気持ちを表し、韓国のファンにも「韓国人たちよ!兄弟よ!すでに君たちはメキシコ人である!(Coreano! Hermano! Ya eres Mexicano!)」と叫んで、韓国を兄弟の国として賞賛した。

スウェーデン[編集]

スウェーデンは第2戦・ドイツ戦でドイツのジェローム・ボアテングが退場し数的優位だったにもかかわらず、試合終了間際にトニ・クロースのFKゴールを許して1-2で逆転負けを喫した。その試合終了後、ドイツサッカー協会の職員2人が突然スウェーデンのベンチに行って非常に侮辱的なジェスチャーを取ると、激憤したヤン・アンデション監督とコーチ陣、選手が飛びかかり、乱闘に発展。その後ドイツサッカー協会はスウェーデンに謝罪したが、わだかまりは完全に解消されないままであった。

第3戦が始まるまで、グループリーグの順位は2連勝のメキシコが1位、ドイツとスウェーデンが1勝1敗・2得点2失点と、勝ち点と得失点差、得点で同率だったが、直接対決の成績によりドイツが2位、スウェーデンが3位であった。試合前には韓国がドイツに勝つ可能性は低いという予想が支配的だったため、得失点差(メキシコが+2、スウェーデンが0)を考慮すると、スウェーデンは少なくとも2点差以上でメキシコに勝たなければならない難しい状況にあった。もちろん韓国がドイツの足元を掬って勝利するのが最善であり、その場合は韓国の得失点差(第2節終了時点で-2)を考慮すると小さい点数差でなければならないが、韓国が勝利すれば自国の負担は軽減されるため、スウェーデンも韓国を応援する立場にいた。

メキシコとスウェーデンの試合では、引き分けている前半にはスウェーデンのファンが韓国を応援し、スウェーデンがリードした後半にはメキシコのファンが韓国を応援した。結局、スウェーデンはこの試合に3-0で勝利しグループ首位でベスト16進出を確定、ドイツは韓国に0-2で敗れ、グループリーグ最下位で敗退した。メキシコとの試合が終わった後、カザンでの試合結果を確認したアンドレアス・グランクヴィストは爆笑をし、ドイツの敗退を嘲笑した。

ブラジル[編集]

ブラジルは、4年前に自国で開かれたこの大会で、ドイツに1対7で大敗。「ミネイロンの惨劇」と呼ばれるブラジルサッカー史上最悪の惨事を経験した。ブラジルはグループE首位通過を果たしたため、試合結果次第ではラウンド16で再び相見える可能性があった。

しかし、ドイツが韓国に負け敗退すると、ブラジルのファンとメディアもドイツの敗退を喜んだ。ブラジルメディアは2017年にドイツのトニ・クロースがTwitterで新年のお祝いをしながら2017年の1と7にそれぞれブラジルとドイツの国旗を上げ「ミネイロンの惨劇」を皮肉ったことを覚えており、その復讐として2018年を祝う文の中で2018の2と0にそれぞれ韓国とドイツの国旗を上げてクロースを嘲笑した。

しかしその後ブラジルは準々決勝でベルギーに敗れ、ベスト8に終わった。 奇しくもベルギー国旗はドイツの国旗に色が似ている為、ドイツを嘲笑した仇討ちとして、ブラジルサッカー協会のTwitterアカウントに対しドイツとベルギーの国旗を載せて嘲笑する人々が相次いだ。

中国[編集]

中国はW杯本選進出に失敗することがほとんどで、国民は他の国を応援し代理満足していることが多かった。ドイツは中国でも非常に人気が高いチームのひとつであり、カザン・アリーナには韓国のファンよりも多い1万人の観客が訪れ、ドイツを応援した。またスポーツくじにこのゲームで「ドイツの勝利」に賭けた国民が多かったが、試合は予想に反して韓国の勝利に終わり、この試合に巨額のお金を賭けたがために破産し家を失う者、夜逃げを余儀なくされる者、自殺する者が続出した。

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

内容注[編集]


参考注[編集]

  1. ^ 2018 FIFAワールドカップ・公式サイト (韓国 2-0 ドイツ 統計)
  2. ^ a b c d Match report – Group F – Korea Republic v Germany (PDF)”. FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (2018年6月27日). 2018年6月28日閲覧。
  3. ^ a b Tactical Line-up – Group F – Korea Republic v Germany (PDF)”. FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (2018年6月27日). 2018年6月28日閲覧。