2018年バーレーングランプリ

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バーレーンの旗 2018年バーレーングランプリ
レース詳細
日程 2018年シーズン第2戦
決勝開催日 4月8日
開催地 バーレーン・インターナショナル・サーキット
バーレーンの旗 バーレーン サヒール
コース 恒久的レース施設
コース長 5.412km
レース距離 57周(308.238km)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:27.958
ファステストラップ
ドライバー フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス
タイム 1:33.740 (22周目)
決勝順位
優勝
2位
3位

2018年バーレーングランプリ (2018 Bahrain Grand Prix) は、2018年のF1世界選手権第2戦として、2018年4月8日バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催された。

正式名称は「FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX[1]

レース前[編集]

本レースでピレリが供給するドライタイヤのコンパウンドは、ミディアム、ソフト、スーパーソフトの3種類[2]

オーバーテイク機会を増やすため、ターン15以降に設けられている2つ目のDRSゾーンが前年より100m延長され、170mとした[3]

ホンダは前戦オーストラリアGPで発生したピエール・ガスリーのMGU-HのトラブルがICE(エンジン)にも及んでいたことを明らかにし、2基目のICE、MGU-H、ターボに交換する。万全を期して、チームメイトのブレンドン・ハートレイのMGU-Hとターボも対策を施したものに交換する[4]

エントリーリスト[編集]

フリー走行[編集]

開催日時は現地時間 (UTC+3、以下同じ)。

1回目(FP1)
2018年4月6日 14:00 気温:30 路面温度:42度 天候:晴(ドライ)[6]
セッション開始後5分、マックス・フェルスタッペンが無線で「クルマが全然加速しない」と訴え、最終コーナー手前でマシンを止める。フェルスタッペンはマーシャルの手を借りながらピットまでマシンを押していった。電気系統のトラブルが原因で[7]、フェルスタッペンはタイムを記録できなかった。チームメイトのダニエル・リカルドは終了14分前に1:31.060のトップタイムを記録した[6][8]
2回目(FP2)
2018年4月6日 18:00 気温:27度、路面温度:32℃ 天候:曇(ドライ)[9]
FP1でトラブルに見舞われ走行できなかったフェルスタッペンが復帰。終了15分前、キミ・ライコネンが前戦オーストラリアGP決勝のハース2台と同様、タイヤ交換の失敗でマシンを止めざるを得なかった。ライコネンは1:29.817でトップタイムを記録し、チームメイトのセバスチャン・ベッテルが僅差の2位に続いた[9][10]フェラーリ勢の後塵を拝したルイス・ハミルトンはギアボックスの交換により5グリッド降格が決まった[11]
3回目(FP3)
2018年4月7日 15:00 気温:29度 路面温度:40度 天候:晴(ドライ)[12]
ベッテルを先頭に数台がコースインするがすぐに周回をやめ、15分過ぎまで1台もコースに現れなかった。ここから各車がタイムを記録していくが、ベッテルのマシンのデフレクターが外れかかりピットインするハプニングがあった[12]。トップタイムはライコネンの1:29.868で、レッドブルのフェルスタッペン、リカルドが2-3位に続く[13]。ベッテルはパワーユニットのドライバビリティに問題を抱え4位に終わり、予選を前に2基目の電子制御装置(CE)に交換した[14]

予選[編集]

2018年4月7日 18:00 気温:28度 路面温度:32度 天候:晴(ドライ)[14]

ベッテルがポールポジションを獲得、ライコネンが2位に続き、フェラーリがフロントローを独占した。

経過[編集]

Q1
1回目のアタックはフェラーリ勢とバルテリ・ボッタスがソフト、その他の各車はスーパーソフトでコースイン。ブレンドン・ハートレイバードストライクでフロントウイングにダメージを負ったためアタックを断念する。2回目のタイムアタックではフェルスタッペンがクラッシュして赤旗中断となる。8分後にセッションは再開され、改めて最後のアタックが開始される。トロ・ロッソは2台ともQ2進出を果たした。アロンソは15位で辛うじてQ1を突破、グロージャンは最終コーナーでワイドになったのが響き、アロンソと同じタイムだったため[15]16位でQ1敗退に終わった。グロージャンの他、ウィリアムズザウバーの各2台がQ1敗退となった[14]
Q2
グリッド降格が決まっているハミルトンは決勝を踏まえて[16]ソフト、その他の各車はスーパーソフトでコースイン。ハミルトンはソフトでトップタイムのベッテルと0.117秒差の2位。2回目のアタックは上位3チーム(メルセデス、フェラーリ、レッドブル)以外の各車がアタックし、ハートレイ、バッテリーの不調でタイムが伸びなかったセルジオ・ペレスマクラーレンの2台、Q2不参加のフェルスタッペンがQ2敗退となった[14]
Q3
1回目のアタックはライコネンがトップタイムを出し、最終コーナーでタイムを失ったベッテルが2位、ハミルトンは3位に留まった。ベッテルは2回目のアタックでライコネンのタイムを上回りポールポジションを獲得、ライコネンは自己ベストを更新できず2位、ボッタスは自己ベストを更新したが3位、ハミルトンは自己ベストを更新できず4位に終わった。ピエール・ガスリーは6位と健闘し、決勝の5番グリッドを掴み取った[14]

結果[編集]

Pos. No. ドライバー コンストラクター Q1 Q2 Q3 Grid
1 5 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 1:29.060 1:28.341 1:27.958 1
2 7 フィンランドの旗 キミ・ライコネン フェラーリ 1:28.951 1:28.515 1:28.101 2
3 77 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:29.275 1:28.794 1:28.124 3
4 44 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:29.396 1:28.458 1:28.220 9 1
5 3 オーストラリアの旗 ダニエル・リカルド レッドブル-タグ・ホイヤー 1:29.552 1:28.962 1:28.398 4
6 10 フランスの旗 ピエール・ガスリー トロ・ロッソ-ホンダ 1:30.121 1:29.836 1:29.329 5
7 20 デンマークの旗 ケビン・マグヌッセン ハース-フェラーリ 1:29.594 1:29.623 1:29.358 6
8 27 ドイツの旗 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 1:30.260 1:29.187 1:29.570 7
9 31 フランスの旗 エステバン・オコン フォース・インディア-メルセデス 1:30.338 1:30.009 1:29.874 8
10 55 スペインの旗 カルロス・サインツ ルノー 1:29.893 1:29.802 1:29.986 10
11 28 ニュージーランドの旗 ブレンドン・ハートレイ トロ・ロッソ-ホンダ 1:30.412 1:30.105 11
12 11 メキシコの旗 セルジオ・ペレス フォース・インディア-メルセデス 1:30.218 1:30.156 12
13 14 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ マクラーレン-ルノー 1:30.530 1:30.212 13
14 2 ベルギーの旗 ストフェル・バンドーン マクラーレン-ルノー 1:30.479 1:30.525 14
15 33 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン レッドブル-タグ・ホイヤー 1:29.374 No Time 15
16 8 フランスの旗 ロマン・グロージャン ハース-フェラーリ 1:30.530 16
17 9 スウェーデンの旗 マーカス・エリクソン ザウバー-フェラーリ 1:31.063 17
18 35 ロシアの旗 セルゲイ・シロトキン ウィリアムズ-メルセデス 1:31.414 18
19 16 モナコの旗 シャルル・ルクレール ザウバー-フェラーリ 1:31.420 19
20 18 カナダの旗 ランス・ストロール ウィリアムズ-メルセデス 1:31.503 20
107% time: 1:35.177
ソース:[17]
追記
  • ^1 - ハミルトンはFP3で6戦以内のギアボックス交換を行ったため5グリッド降格[11][18]

決勝[編集]

2018年4月8日 18:10 気温:28度 路面温度:33度 天候:晴(ドライ)[19]

セバスチャン・ベッテルバルテリ・ボッタスの猛追に耐えて開幕2連勝を飾った。

展開[編集]

スタートでボッタスがキミ・ライコネンの前に出て2位に上がる。ピエール・ガスリーダニエル・リカルドの前に出たが、リカルドは抜き返す。後方ではブレンドン・ハートレイセルジオ・ペレスに接触し、ペレスは大きく順位を落とした。2周目のターン1でマックス・フェルスタッペンルイス・ハミルトンを抜こうとしたが、前にフェルナンド・アロンソがいたため行き場を失い両者は接触してしまう。この接触でフェルスタッペンの左リアタイヤのホイールが壊れてエアが抜けたため、フェルスタッペンはピットまでの1周弱の間3輪で走行することになる。ピットに戻りタイヤを交換したもののダメージが大きく、ピットアウト後すぐにリタイアした。同時にリカルドも電気系統のトラブルでコース上にマシンを止めてリタイアし、レッドブルのレースは早々に終わった。リカルドのストップによりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入された。

4周目にVSCが解除された直後、ガスリーとケビン・マグヌッセンが激しいバトルを繰り広げ、その間隙を縫ってハミルトンはその2台をパスして4位に上がる。ハートレイは1周目のペレスとの接触に対して10秒ペナルティが科された。

18周目、首位ベッテルがソフトに交換、次の周にライコネンもソフトに交換する。20周目にボッタスはミディアムに交換して最後まで走る作戦を選んだ。ソフトでスタートしたハミルトンが首位に浮上するが、26周目にベッテルが追いついてあっさりと追い抜かれ、その周でミディアムに履き替えた。

35周目に前戦であったハース勢のピット作業ミスがまたもや起こった。ライコネンは2度目のピットインを行うが、左リアが交換されないまま発進させてしまいクルーに接触してしまう。クルーはタイヤに脚を巻き込まれる形になり、脛骨と腓骨を骨折した。FP2と同じミスによりライコネンはリタイアを余儀なくされ、スチュワードはチームに罰金を科した。ベッテルはライコネンと同様2ストップ作戦だったが、メルセデス勢とのマージンが少なかったことから最後まで走り切ることにした。

レース終盤、ミディアムで走るボッタスがソフトで走行し続けるベッテルへ徐々に迫っていく。残り2周でDRS圏内まで接近したがベッテルは首位を守りきった。ガスリーも4位を守りきり、ホンダ2015年に復帰してからの最高順位となった。マクラーレンはアロンソが7位、ストフェル・バンドーンが8位と、2戦続けて2台とも入賞した。マーカス・エリクソンは9位で2015年イタリアGP以来約3年ぶりの入賞となった。

結果[編集]

Pos. No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 Grid Pts.
1 5 ドイツの旗 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 57 1:32:01.940 1 25
2 77 フィンランドの旗 バルテリ・ボッタス メルセデス 57 +0.699 3 18
3 44 イギリスの旗 ルイス・ハミルトン メルセデス 57 +6.512 9 15
4 10 フランスの旗 ピエール・ガスリー トロ・ロッソ-ホンダ 57 +1:02.234 5 12
5 20 デンマークの旗 ケビン・マグヌッセン ハース-フェラーリ 57 +1:15.046 6 10
6 27 ドイツの旗 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノー 57 +1:39.024 7 8
7 14 スペインの旗 フェルナンド・アロンソ マクラーレン-ルノー 56 +1 Lap 13 6
8 2 ベルギーの旗 ストフェル・バンドーン マクラーレン-ルノー 56 +1 Lap 14 4
9 9 スウェーデンの旗 マーカス・エリクソン ザウバー-フェラーリ 56 +1 Lap 17 2
10 31 フランスの旗 エステバン・オコン フォース・インディア-メルセデス 56 +1 Lap 8 1
11 55 スペインの旗 カルロス・サインツ ルノー 56 +1 Lap 10
12 11 メキシコの旗 セルジオ・ペレス フォース・インディア-メルセデス 56 +1 Lap 12
13 28 ニュージーランドの旗 ブレンドン・ハートレイ トロ・ロッソ-ホンダ 56 +1 Lap 11
14 16 モナコの旗 シャルル・ルクレール ザウバー-フェラーリ 56 +1 Lap 19
15 8 フランスの旗 ロマン・グロージャン ハース-フェラーリ 56 +1 Lap 16
16 18 カナダの旗 ランス・ストロール ウィリアムズ-メルセデス 56 +1 Lap 20
17 35 ロシアの旗 セルゲイ・シロトキン ウィリアムズ-メルセデス 56 +1 Lap 18
Ret 7 フィンランドの旗 キミ・ライコネン フェラーリ 35 タイヤ 2
Ret 33 オランダの旗 マックス・フェルスタッペン レッドブル-タグ・ホイヤー 3 ホイール 15
Ret 3 オーストラリアの旗 ダニエル・リカルド レッドブル-タグ・ホイヤー 1 電気系統 4
ソース[20]
ファステストラップ[21]
ラップリーダー[22]

第2戦終了時点のランキング[編集]

  • :ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

脚注[編集]

  1. ^ Bahrain”. The Official F1 Website. 2018年4月6日閲覧。
  2. ^ 2018年F1オーストラリア、バーレーン、中国GPのタイヤ選択が発表”. AUTOSPORTweb (2017年12月13日). 2018年4月6日閲覧。
  3. ^ F1バーレーンGP、2つ目のDRSゾーンの距離を延長”. F1-Gate.com (2018年4月5日). 2018年4月6日閲覧。
  4. ^ ホンダF1 「ガスリーの開幕戦のMGU-HトラブルはICEにもダメージ」”. F1-Gate.com (2018年4月5日). 2018年4月6日閲覧。
  5. ^ Entry List”. FIA (2018年4月5日). 2018年4月6日閲覧。
  6. ^ a b F1第2戦バーレーンGP FP1:トップはリカルド。トロロッソ・ホンダのガスリーは7番手タイム”. AUTOSPORTweb (2018年4月6日). 2018年4月7日閲覧。
  7. ^ フェルスタッペン「トラブルは気にしていない。決勝に向け好感触得た」レッドブル F1バーレーンGP金曜”. AUTOSPORTweb (2018年4月7日). 2018年4月7日閲覧。
  8. ^ FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - PRACTICE 1”. The Official F1 Website (2018年4月6日). 2018年4月7日閲覧。
  9. ^ a b F1バーレーンGP FP2:好調ライコネンがタイヤ交換ミスでストップ。ガスリーは8番手”. AUTOSPORTweb (2018年4月7日). 2018年4月7日閲覧。
  10. ^ FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - PRACTICE 2”. The Official F1 Website (2018年4月6日). 2018年4月7日閲覧。
  11. ^ a b パフォーマンスに懸念のハミルトンにさらなる痛手。ギヤボックス交換で5グリッド降格ペナルティ”. AUTOSPORTweb (2018年4月7日). 2018年4月7日閲覧。
  12. ^ a b 【タイム結果】F1第2戦バーレーンGP フリー走行3回目/ガスリーが9番手タイムをマーク”. AUTOSPORTweb (2018年4月7日). 2018年4月8日閲覧。
  13. ^ FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - PRACTICE 3”. The Official F1 Website (2018年4月7日). 2018年4月8日閲覧。
  14. ^ a b c d e F1バーレーンGP予選:フェラーリがフロントロー独占、ガスリーは6番手の好位置”. AUTOSPORTweb (2018年4月8日). 2018年4月8日閲覧。
  15. ^ 複数人が同じタイムを記録した場合、先に記録した方が上の順位となる。
  16. ^ Q3進出者は、Q2でベストタイムを出したタイヤが決勝スタート時のタイヤとなる。
  17. ^ FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - QUALIFYING”. The Official F1 Website (2018年4月7日). 2018年4月8日閲覧。
  18. ^ Stewards Decision Doc16 - L.Hamilton”. FIA (2018年4月7日). 2018年4月8日閲覧。
  19. ^ F1バーレーンGP決勝:ベッテルが開幕2連勝。トロロッソ・ホンダのガスリーは4位の快挙!”. AUTOSPORTweb (2018年4月9日). 2018年4月9日閲覧。
  20. ^ FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - RACE RESULT”. The Official F1 Website (2018年4月8日). 2018年4月9日閲覧。
  21. ^ FORMULA 1 2018 GULF AIR BAHRAIN GRAND PRIX - FASTEST LAPS”. The Official F1 Website (2018年4月8日). 2018年4月9日閲覧。
  22. ^ Lap Chart”. FIA (2018年4月8日). 2018年4月9日閲覧。
前戦
2018年オーストラリアグランプリ
FIA F1世界選手権
2018年シーズン
次戦
2018年中国グランプリ
前回開催
2017年バーレーングランプリ
バーレーンの旗 バーレーングランプリ 次回開催
2019年バーレーングランプリ