2018年の猛暑 (日本)
2018年の猛暑(2018ねんのもうしょ)は、2018年(平成30年)の夏に日本の東日本・西日本を襲った記録的な高温(猛暑)。夏(6-8月)の平均気温は、東日本(関東甲信・東海・北陸)で平年比+1.7℃となり、1946年の統計開始以降、最も高くなった[1]。西日本でも平年比+1.1℃で、統計開始以降第2位だった[2]。
目次
概況[編集]
6月[編集]
梅雨前線が日本の南海上に位置することが多く、南東海上の太平洋高気圧が強かったため、東日本・西日本では日照時間が平年よりも多く、月平均気温は例年より全国的に高かった[3]。ただし中旬は気温が低く、上旬と下旬の気温が高かったため月間の変動が大きかった[3]。また関東甲信地方では統計開始以降最速となる29日に梅雨明けした[1]。
7月[編集]
7月8日までは台風第7号や梅雨前線により、西日本を中心に記録的な大雨となった(平成30年7月豪雨)が、その後は太平洋高気圧の影響で晴れ、厳しい暑さが続いた。7月23日に埼玉県熊谷市で日本歴代最高気温の41.1℃を記録するなど、全国的に記録的な高温となった[4]。
7月の平均気温は、平年と比べて東日本で+2.8℃で1946年の統計開始以降最高となり、西日本でも+1.6℃で1994年(平成6年)に次ぐ第2位タイとなった。北日本でも+1.6℃となった[4]。
8月[編集]
東日本・西日本では、8月前半は引き続き晴れて気温が非常に高い日が多く、特に東海地方では40℃以上を複数回記録するなど猛烈な暑さになった。一方で8月中旬の後半にはこの時期としては非常に強い寒気が流入し全国的に気温が平年より低く、特に東日本や北日本を中心に広範囲で8月の最低気温の低い値を更新した。8月下旬には秋雨前線や台風の影響で曇りや雨の日もあったが、全体としては顕著な高温となった[5]。
一方、北日本では冷たい空気が流れ込む時期もあり、8月の気温は平年並みとなった[5]。
8月の平均気温は、平年と比べて東日本で+1.3℃、西日本でも+1.3℃。北日本では-0.5℃だった[5]。
原因[編集]
気象庁の8月10日時点での分析によると、7月中旬以降の記録的な高温の要因は、太平洋高気圧とチベット高気圧がともに日本付近に張り出し続けたことにあり、これによって安定した晴天が続いて気温が上がった。これらの高気圧が日本に張り出したのには、亜熱帯ジェット気流が北に大きく蛇行し続けたことと、フィリピン付近での積雲対流活動が盛んだったことが影響したという[6]。
経過[編集]
時系列[編集]
- 6月25日 - 栃木県佐野市で36.4℃など、10地点でこの年全国初となる猛暑日となる[7]。
- 6月29日ごろ - 気象庁によると、関東甲信で梅雨明けしたとみられる[1]。6月に関東甲信で梅雨明けするのは統計史上初。
- 6月28日から7月8日 - 北海道や東海から西日本で記録的豪雨(平成30年7月豪雨)。
- 7月9日ごろ - 気象庁によると、九州から東海・北陸で梅雨明けしたとみられる[1]。
- 7月16日 - 岐阜県揖斐川町で39.3℃を観測したのをはじめ、全国186の地点で猛暑日を記録した。
- 7月18日 - 岐阜県多治見市で40.7℃、同県美濃市で40.6℃を観測し、日本で5年ぶりに40℃を超えた[8]。
- 7月19日 - 近畿地方で猛烈な暑さ。京都市で39.8℃を観測し、同市の観測史上最高気温1位タイ記録となった。
- 7月20日 - 福岡市で観測史上最高の38.3℃を記録。京都市では7日連続で最高気温38℃以上となった。
- 7月22日 - 岐阜県郡上市八幡で観測史上最高タイの39.8℃、京都府舞鶴市で観測史上最高の38.9℃を記録。
- 7月23日 - 埼玉県熊谷市で日本歴代最高となる41.1℃を観測[4]。また東京都青梅市で40.8℃を観測し都内観測史上初の40℃超えとなった。また岐阜県多治見市でこの年2度目の40.7℃、山梨県甲府市で40.3℃を観測した。242地点で猛暑日となり、全国21地点で観測史上最高気温を記録した。
- 7月24日 - 岐阜県美濃市で39.3℃、兵庫県洲本市で観測史上最高となる37.1℃を記録した。
- 7月25日 - 山口市で観測史上最高となる38.8℃を記録した。
- 7月26日 - 長崎県対馬市厳原で観測史上最高となる36.9℃を記録した。
- 7月29日 - 台風12号によるフェーン現象で、新潟県上越市大潟と同県三条市で39.5℃など、北陸地方を中心に全国24地点で観測史上最高記録となった。
- 7月31日 - 北海道佐呂間町で36.4℃、同雄武町で観測史上最高となる35.2℃を記録するなど北海道や東北地方北部でも厳しい暑さとなり、全国754地点で真夏日。
- 8月1日 - 仙台市で観測史上最高となる37.3℃を記録。今季最多となる756地点で真夏日を記録した。
- 8月2日 - 岐阜県多治見市で40.2℃を観測し、日本でこの年3度目となる40℃越えとなった。
- 8月3日 - 名古屋市で40.3℃となり、五大都市で初めての40℃を超えた。岐阜県美濃市でも40.3℃を記録。
- 8月5日 - 名古屋市で39.9℃、京都市で39.5℃、前橋市で39.1℃など今季最多となる全国256地点で猛暑日を記録。
- 8月6日 - 岐阜県下呂市金山で41.0℃を観測し、日本歴代2位タイ記録となる。また同県多治見市で40.4℃となりこの年4度目の40℃越え、美濃市でも40.3℃を記録。
- 8月7日 - 愛媛県松山市で観測史上最高となる37.4℃を記録。
- 8月8日 - 岐阜県美濃市で41.0℃を観測し、日本歴代2位タイ記録となる。美濃市でもこの年4度目の40℃超え。国内で41℃を越えたのはこの年3度目。また、同県下呂市金山でも40.5℃を記録した。この年国内で40℃を越えた件数は計14回となった。
- 8月13日 - 大分県日田市で観測史上最高となる39.9℃を記録。これは現時点で1994年の佐賀、2013年の天草市牛深で記録した39.6℃を上回り九州史上最高気温となっている。
- 8月22日 - 福岡県福岡市で観測史上2番目に高い最低気温30.5℃を観測。その他、長崎県佐世保市で最低気温29.6℃を観測。
- 8月23日 - 台風20号などの影響によるフェーン現象などにより北陸や東北で気温が上がり、新潟県胎内市で40.8℃、同県三条市で40.4℃、同県上越市大潟で40.0℃を観測。北陸で観測史上初めて40℃以上を記録した。[9]
- 10月6日 - 台風25号などの影響によるフェーン現象などにより北陸や関東で気温が上がり、新潟県三条市で36.0℃を観測。これで10月の日本歴代最高気温を更新した[10]。
被害・影響[編集]
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日本全国で7月に熱中症により緊急搬送された人は5万4220人、死者は133人で、2010年8月の搬送者2万8448人、2010年7月の死者95人を上回り、2008年の統計開始以降、月別で最多となった。[11]
記録[編集]
- 日最高気温(全国歴代20位以内)
- 41.1℃ - 埼玉県熊谷市 (全国歴代1位・7月23日)[注釈 1]
- 41.0℃ - 岐阜県下呂市金山 (同2位・8月6日)
- 41.0℃ - 岐阜県美濃市 (同2位・8月8日)
- 40.8℃ - 東京都青梅市 (同6位・7月23日)
- 40.8℃ - 新潟県胎内市中条 (同6位・8月23日)
- 40.4℃ - 新潟県三条市 (同13位・8月23日)
- 40.3℃ - 愛知県名古屋市 (同15位・8月3日)
※順位は当時のもの。[12]
期間ごとの記録[編集]
- 7月 - 月平均気温の最高値を47地点で更新、6地点でタイ記録となった。月降水量の最低値を1地点で、月間日照時間の最高値を5地点で、最低値を1地点で更新した。日最高気温が91地点で記録更新され、17地点でタイ記録となった。[4]
新語・流行語大賞[編集]
7月23日に気象庁が臨時記者会見を開き、「命の危険があるような暑さ」「一つの災害と認識している」という内容のコメントを発表し[13]、これ以降、各種メディアで用いられた「災害級の暑さ」という語が同年の新語・流行語大賞トップテンに選出された。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 従前の最高記録は2013年(平成25年)8月12日の高知県四万十市江川崎で41.0℃。
出典[編集]
- ^ a b c d 夏(6~8月)の天候、別紙、気象庁、2018年9月3日。
- ^ 朝日新聞(東京本社版)2018年9月4日朝刊社会面。
- ^ a b “6月の天候 (PDF)”. 気象庁 (2018年7月2日). 2018年8月5日閲覧。
- ^ a b c d “7月の天候 (PDF)”. 気象庁 (2018年8月1日). 2018年8月5日閲覧。
- ^ a b c “8月の天候 (PDF)”. 気象庁 (2018年9月3日). 2018年10月9日閲覧。
- ^ 「平成30年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因について、気象庁、2018年8月10日。
- ^ “真夏日などの地点数(昨日まで)6月”. 気象庁. 2018年8月5日閲覧。
- ^ “岐阜・多治見で40.7度=40度超、5年ぶり-猛暑連続、熱中症警戒・気象庁”. 時事ドットコム. (2018年7月18日) 2018年8月10日閲覧。
- ^ 新潟・胎内で40.8度=北陸初の40度台-気象庁時事ドットコム、2018年8月23日。
- ^ 季節外れ猛暑、新潟で36度 10月の国内最高気温更新、産経ニュース、2018年10月6日。
- ^ 7月の熱中症、最多の5万4千人、ロイター(共同通信)、2018年8月22日。
- ^ “歴代全国ランキング”. 気象庁. 2018年8月6日閲覧。
- ^ 猛暑・多湿列島を襲う 「一つの災害と認識」気象庁会見 - 日本経済新聞、2018年7月23日
参考文献[編集]
気象観測値・猛暑の影響に関するデータ・分析は特に断りのない場合、以下のウェブサイトに基づいている。