2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件

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2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件
2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件の位置(ラスベガス・ストリップ内)
2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件
場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ネバダ州パラダイスラスベガス・ストリップ
座標 北緯36度5分43秒
西経115度10分17秒
座標: 北緯36度5分43秒 西経115度10分17秒
日付 2017年10月1日
午後10時8分 – 午後11時58分 (PSTUTC-7)
標的 音楽祭Route 91 Harvestの観客
攻撃手段 銃撃
武器 ダニエルディフェンスDDM4[1]
FNハースタル自動小銃[1]
SIG MCX[2]
死亡者 59人(容疑者1人を含む)
負傷者 546人
犯人 スティーブン・パドック
動機 不明
攻撃側人数 1名
対処 容疑者が自殺

2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件(2017ねんラスベガス・ストリップじゅうらんしゃじけん)とは、2017年10月1日アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスで容疑者が無差別に銃を乱射し、58人を殺害した大量殺人事件。

概要[編集]

男はマンダレイ・ベイ・ホテルの32階から大通りのラスベガス・ストリップで開かれていた音楽祭会場に向けて銃を乱射した。

現地ネバダ州在住のスティーブン・パドックマンダレイ・ベイ・リゾート アンド カジノの32階のスイートから[3]大通りラスベガス・ストリップ沿いのラスベガス・ヴィレッジで開かれていたThe Route 91 Harvestカントリー・ミュージックフェスティバル会場に向け自動式の銃を数千発砲、58人が死亡、546人が負傷した[4]。死者には北海道日本ハムファイターズブランドン・レアードのいとこも含まれていた[5]

パドックはその後、警察官の突入前に自殺したとみられる。アメリカでの単独犯による銃乱射事件としては前年のフロリダ銃乱射事件の死傷者数を超え、史上最悪の被害となった[6][7][8]

ホテルの部屋からはAR-15系ライフルおよびAK-47ライフルを含む23丁の銃と弾薬が発見され、うち2丁は三脚に固定されテレスコピックサイトが装着されていた[9][10]。ネバダ州においては警察及び軍公用以外では半自動の銃しか保有することは出来ないが、パドックは「バンプファイアストック」と呼ばれる装置を用いることで自動小銃に近い速度の連射を行ったとされる[11]

事件後、警察がラスベガス北東約130kmのメスキートにあるパドックの自宅を家宅捜索した結果、少なくとも18丁の銃と爆発物、数千発の銃弾を発見したと発表した[12][7]

この事件における死傷者は、死者はパドックを除けば58人、重軽傷者は546人であった。

沿革[編集]

※日時はすべて現地時間

  • 2017年10月1日
    • 当時、銃撃現場ではライブ・ネイションが主催するThe Route 91 Harvestカントリー・ミュージックフェスティバルが開かれており、約2万2千人以上の観客とスタッフ、警備中の警察官などが居た。
    • 午後10時前、「マンダレイ・ベイ・ホテル」32階の警報が鳴りホテルの警備員1名が調査へ向かう。(パドックが銃撃用か監視用の穴をドリルで開けていた所、セキュリティシステムに感知され警報が鳴ったものと思われる。)
    • 午後9時58分、パドックが部屋の前に警備員が居るのに気づき、室内より廊下側へ銃弾、約200発を発砲した。警備員は足を負傷するも自力で脱出して警備員室に無線で連絡[13][14]
    • 午後10時5分、パドックが音楽祭会場へ向け発砲を開始[15]。銃撃は約10分間に渡って行われた[16]。また、銃弾は千発近く聞こえたという証言もある[17]
    • 当初、観客は銃声が聞こえても、何が起きたのかわからない様子だったが、演奏が止まり、異変に気づいた人々は悲鳴を上げたり、「頭を下げろ」と叫んだりしながら、その場にしゃがみこんでいた[18]
    • 午後10時8分頃、現場に居た警察官が「銃撃されている」「自動火器のようだ」と無線連絡[19]
    • 午後10時15分頃、射撃が終了。避難誘導や警察官、民間人による人命救助活動が始まる。
    • 武装した警察官が付近のホテルへ派遣され避難誘導が始まる[20]
    • 午後10時25分頃、「ラスベガス大通りとトロピカーナを避けるように。マンダレイ・ベイから銃撃発生。容疑者3人の可能性」と運行中のタクシーに警察活動を知らせる通知が現れた。
    • 午後10時15分~10時30分の間、犯人が回転式拳銃を自身の口腔内に向け発射し自殺したと思われる。
    • 午後10時26分~30分、警察官8人がホテルの32階に到着。負傷者や一般人などの捜索を開始。
    • 午後10時38分、ラスベガス警察公式Twitterにて「マンダレー ベイ カジノ周辺にて銃撃事件が発生。このエリアに近づかないように。」と発表[21]
    • 午後10時55分、警察が32階付近の宿泊客などの避難を完了。
    • 午後11時20分、特殊部隊がドアを爆破し1部屋目へ突入。パドックの遺体を確認。
    • 午後11時27分、特殊部隊が2部屋目へ突入し安全を確認。
    • 午後11時44分、銃撃会場に隣接するマッカラン国際空港がテロ対策としてすべての航空機の離発着を停止。また、後の調査で射撃位置より約600m離れた空港内のジェット燃料のタンクに銃弾2発が着弾していた。内1発はタンクを貫通しているのが確認されたほか[22]、付近から焼夷弾も回収された。パドックがタンク燃料の爆発を引き起こす狙いで撃ったものとした[23]
    • 午後11時58分、ラスベガス警察公式Twitterにて「容疑者1人の死亡を確認」と発表[24]
  • 2017年10月2日
    • 午前0時31分、ラスベガス警察公式Twitterにて「事件が終結したと思われる」と発表[25]

被害拡大の要因[編集]

  • バンプファイアストック
    • パドックが犯行に使用した銃火器は非常に速度が速く立て続けに何十発もの銃弾を発射可能なもので、軍用のいわゆるフルオート射撃の可能な「自動小銃」かそれに近い改造のなされた著しく殺傷能力の高い物だった事が分かっている。しかしながら、銃社会と言われるアメリカでも、フルオート射撃のできる自動小銃は通常販売されてはいない。軍用の銃を民間用に販売する場合、フルオート機能を廃しセミオートのみとなるのが普通である。しかし、反動で前後するようなストックと交換することで、「バンプファイア」という手法を利用し、擬似的なフルオート射撃を可能にするパーツが百数十ドル程度で販売されており、合法に入手する事が可能である。そして、今回の事件の犯人から押収された複数の重火器の中の12丁にそのバンプファイアストックが取り付けられているのが確認されており[26]、これを用いた可能性がある。また、一部の報道では同じく高速射撃を可能にする機構である回転式のトリガー・クランクが用いられたとの見解も出されている[27]
  • その他銃の改造・準備
    • 上記以外に銃には、安定性を増すトライポッド(三脚)やグリップ、多数の弾丸を収納できるマガジン、狙いやすくするためのサイトやスコープなどの改造がおこなわれていた。
    • 故障に備えて二丁を三脚に固定した上、合計23丁の銃器と大量の弾薬を部屋に持ち込んでいた。
  • 周到な場所選び
    • ホテルの32階からの銃撃により、上から下へは見通しがよく、また、一か所に2万人以上もの人々が密集していたため、素人であっても、あるいはバンプファイアストックにより命中精度が落ちても誰かに当たるという状態であった。
    • 事件発生時に観客はどこから銃撃があったか分からなかったので、銃弾から身を守る為に地面に伏せた。そのため上から銃撃していたパドックからは動かなくて狙いやすい格好の的となってしまった。
    • 夜間でもあり、警察がホテルの多くの部屋から狙撃地点を割り出し、犯人の部屋に辿り付くまでに時間を要した。
    • パドックはホテルの廊下やドアにカメラを装着し、警察の接近に備えていた[28]
  • 弾道計算
    • 銃撃現場の写真が公開された時、部屋の机の上にメモが置かれているのが見つかった。当初、メディアやネット上では遺書ではないかと憶測が飛んだが、実際はパドックが自身の高度(高さ)、会場までの距離等を元に「どこを狙えばより多くの人間を殺害できるか」という弾道学を元にした高度な計算を行ったメモであることが捜査当局の情報筋が明かした[29]。これにより、初弾より多くの人が密集していた場所を正確に狙えた可能性がある。

犯人の動機[編集]

未だ犯行の動機に至っては解明されていない。

  • 親族、友人、恋人に至っては口を揃え「そのような事をする人物とは思えない」「予兆はなかった」と話す[12][30]
  • 大きな金銭的トラブルもなかった模様。
  • 刑事事件や心理学に詳しい者は、一種の拡大自殺ではないかと考える者が多い。
  • 一部報道では、犯人は「ベンゾジアゼピン」を服用していたと報道された。本来は「抗不安薬」として治療用に処方されるが、乱用や使用を停止した際に「うつ・幻覚・非現実感・記憶欠如」などが現れ、国によっては使用期限や非推奨とする場合が多い。ただし、これによる事件との因果関係はまだ不明[31]

反応[編集]

  • ドナルド・トランプ米大統領は「ラスベガスで発生した悲惨な銃乱射事件の犠牲者と家族に深い哀悼の意を表する」とツイートした[32]
  • バラク・オバマ前大統領は「無分別な悲劇」と表現し、犠牲者に祈りをささげた[33][34]
  • ヒラリー・クリントンはツイッターで「犠牲者やその家族、現場に駆けつけた警察官たちなど、冷血な虐殺者の被害にあった人たち全員に対して、深い悲しみの気持ちでいっぱいです」とし「政治的立場を超えて、NRA(全米ライフル協会)に立ち向かい、このようなことが二度と起きないように力を合わせなければならない」とNRAに対抗する立場を表明した[33][34]
  • アメリカ議会上院では10月4日、野党・民主党の議員らが「殺傷能力を高める部品の一般への販売などを禁止する」などの規制を強化するための法案を提出。与党・共和党にも賛同するよう求めた[35]
  • 全米ライフル協会は、「法を遵守するアメリカ人が銃を所持する権利を、一人の狂人の行動に基づいて禁止しても襲撃事件がなくなるわけではない」と声明を発表し、銃規制の強化に反対した[36]。10月5日には、容疑者が所持していた「バンプストックなどの部品が連邦法に適合しているか直ちに再検討するよう要求する」との立場を打ち出した。これにより、銃規制がわずかながら前進する可能性が出てきた[37]
  • ISISがホームページに「数ヶ月前に入信した人物だ」と掲載するも裏付けとなる事実は提示がなされておらず、家族や周囲の親しい人物らは「そういった話は聞いたこともない。ガンマニアでもないし、お金にも困ってなかった。」「弟家族と同居する母の誕生日には連絡をくれたし。特に関係性が悪いとかはなかった。」と語った[12]
  • 犯人の弟は動揺しつつも取材に応じ「単独犯だ」と言い切り、「何故、あんな大惨事を起こしたのか?」という質問には「こっちが聞きたいです。とにかく驚いていて…」と答え「被害者たちにどんな言葉をかけますか?」と聞かれると、とても困惑しながら「兄が僕の子供を銃殺したような気持ちです。どうすればいいかわからないんです。」と答えた[12]
  • YouTubeは事件を受け、同サービスに投稿されていた、銃の改造に関する動画を公開停止とする措置を実施した[38]
  • 被害に遭ったカリフォルニア州の学生が11日、容疑者の滞在していたホテルの所有企業、標的となったコンサートイベントの運営会社、さらに犯行に使われた「バンプストック」と呼ばれる銃の改造装置のメーカーを相手取って訴訟を起こした。弁護士は今回の訴訟について、賠償金目的ではなく、ホテルやコンサート会場での安全に関する規定や手順を改善するために起こしたと説明した[39]

出典[編集]

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外部リンク[編集]