2009年千葉県知事選挙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2009年千葉県知事選挙
千葉県
2005年 ←
2009年3月29日 (2009-03-29)
→ 2013年

投票率 45.56% (増加)
 
候補者 森田健作 吉田平 白石真澄
政党 無所属 無所属 無所属
得票数 1,015,978 636,991 346,002
得票率 45.11% 28.28% 15.36%

選挙前知事

堂本暁子
無所属

選出知事

森田健作
無所属

2009年千葉県知事選挙(にせんくねんちばけんちじせんきょ)は、2009年3月29日に執行された千葉県知事選挙である。

概要[編集]

この選挙は2009年4月4日任期満了に伴うもので、2008年12月26日の千葉県選挙管理委員会の決定により、2009年3月12日告示、3月29日投票の日程で執行された[1]。告示に先立ち、現職の堂本暁子は2月5日、いすみ鉄道社長(2月7日付で辞任)吉田平に立候補を正式要請。いわば名指しで吉田を後継に推す形で、2月7日に正式に引退を表明した[2][3]

新人5人が出馬し、元国会議員で俳優の森田健作(本名:鈴木栄治)が当選した。

投票率は前回2005年の選挙を2.28ポイント上回る45.56%であった[4][5]

立候補者[編集]

立候補届出順、2009年3月29日現在のもの[1][4][5]

候補者名 ()内は通称 年齢 性別 所属党派 新現元別 備考
鈴木栄治(森田健作) 59 無所属 衆議院議員。元参議院議員。俳優。
八田英之 64 無所属 社会福祉法人理事長。
西尾憲一(西尾けんいち) 58 無所属 前千葉県議会議員。
白石真澄(白石ますみ) 50 無所属 関西大学教授。
吉田平(吉田たいら) 49 無所属 いすみ鉄道社長。

通称が漢字ひらがなにしただけ候補については、以下では漢字表記する。また、鈴木栄治については通称名の「森田健作」を使用する。

選挙結果[編集]

2009年千葉県知事選挙結果

  森田健作 (45.11%)
  吉田たいら (28.28%)
  白石ますみ (15.36%)
  八田英之 (6.06%)
  西尾けんいち (4.23%)
  無効票 (0.95%)

投票結果を得票数順に以下に記す[1][4]

※当日有権者数:4,943,809人 最終投票率:45.56%(前回比:+2.28pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
鈴木栄治
(森田健作)
59無所属1,015,978票45.11%支持…自民の一部。
吉田平
(吉田たいら)
49無所属636,991票28.28%推薦…民主社民国民日本
支持…自民の一部。
白石真澄
(白石ますみ)
50無所属346,002票15.36%推薦…公明
支持…自民の一部。
八田英之64無所属136,551票6.06%推薦…共産
西尾憲一
(西尾けんいち)
58無所属95,228票4.23%

得票率は投票総数2,252,147に対する率。無効投票数は21,397 (0.95%)。小数第3位四捨五入。

選挙の論点[編集]

千葉県政の課題は地域医療の再生や産業振興などで、どの候補もこれらを公約に掲げていた。

「無所属」選挙と政党[編集]

この選挙では、候補者5人がいずれも無所属として立候補しており、5人が立候補を届け出た当初は政党色が薄い選挙戦が予想されており[6]共産党推薦の八田、民主党社会民主党国民新党新党日本が推薦する吉田を除いては、政党が表立った選挙戦は行われなかった。

しかし、小沢一郎民主党代表(当時)の公設秘書が違法献金に関する嫌疑で起訴された後の初の知事選挙となったことで[4][5]、国政への影響の観点から注目されることとなった。特に、野党4党(主に民主党)が選挙戦を通じて「千葉から政権交代を」と積極的にアピールした[7]ことで、吉田の得票が小沢の代表続投表明の評価に繋がるとして注目を集めることとなった。結果、得票数は森田の約7割程度に留まる惨敗となった[4][5]。この結果について、民主党幹事長(当時)の鳩山由紀夫は選挙翌日の3月30日、知名度の差とともに小沢一郎代表の秘書の問題を挙げ、「選挙に影響がなかったとは言えない」として陳謝した[8][9]

他方、自由民主党千葉県連では、森田、白石、吉田それぞれを推薦する動きがあり、最終的には特定候補を支持・推薦せず自主投票としたことから、むしろ県連や県議団の内部対立を露呈させる格好となった[10]

一部の出口調査では、無党派層はおろか(共産党を除く)野党支持層ですら吉田に投票しなかったとの回答が多く見られた一方、すぐに総選挙があった場合に比例代表で投票する政党では民主党との回答もなお多く、単純に小沢の公設秘書の疑惑と自身の進退を巡る経緯のみを選挙結果の原因と評価することは難しい。また、吉田の立候補に至る経緯(自ら公募に応募して就任したいすみ鉄道の社長職を、2年の任期の半分にも満たない1年足らずで辞任したこと)や、後継として指名した堂本の説明責任(説明不足)に対する批判なども少なからずあったとされており、これが投票に影響した可能性もある[11][12][13]

一方、元自民党の国会議員で、一部の同党県議などの支援を受けたとはいえ、森田の当選を自民党への支持と評価できるものとは到底言い難いが、「負け続きの現状に歯止めがかかった」との評価も聞かれた[14]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 平成21年3月29日執行千葉県知事選挙: 千葉県選挙管理委員会サイト。投開票結果はリンク先ファイルも参照した。
  2. ^ 千葉県知事選、吉田平氏が出馬を正式表明 - NIKKEI NET2009年5月23日閲覧。(2009年2月8日時点のアーカイブ
  3. ^ asahi.com 千葉県知事選、吉田平氏が出馬を正式表明 - (1/3ページ): 朝日新聞社「アサヒ・コム」: 2009年2月8日.(2009年4月1日時点のアーカイブ
  4. ^ a b c d e 千葉知事に森田健作氏=民主推薦候補に大差-小沢氏辞任論、再燃も:時事通信社「時事ドットコム」: 2009年3月30日. アーカイブ 2013年1月31日 - ウェイバックマシン
  5. ^ a b c d 千葉県知事選、森田健作氏が初当選: 読売新聞社「YOMIURI ONLINE」: 2009年3月30日.(2009年3月31日時点のアーカイブ
  6. ^ 千葉知事選告示、5人が立候補 政党色薄めた戦いに: 朝日新聞社「アサヒ・コム」: 2009年3月12日.(2009年3月16日時点のアーカイブ
  7. ^ 千葉から政権交代のうねりを 菅代表代行、市川駅前で訴え(2009年3月20日、民主党ニュース) アーカイブ 2009年5月15日 - ウェイバックマシン
  8. ^ 民主幹事長、千葉知事選敗北を陳謝「秘書問題影響否めず」: 読売新聞社「YOMIURI ONLINE」: 2009年3月30日.(2009年3月31日時点のアーカイブ
  9. ^ Archived 2013年4月7日, at the Wayback Machine.
  10. ^ 【千葉県知事選】吉田氏と森氏の政策協定白紙に: 産経新聞社「MSN産経ニュース」: 2009年2月28日.(2010年10月30日時点のアーカイブ
  11. ^ 【週刊知事】堂本知事 進退決着へいらだち?: 産経新聞社「MSN産経ニュース」: 2009年2月8日.(2010年11月6日時点のアーカイブ
  12. ^ 【週刊知事】千葉・堂本暁子知事 ”花道”淡々と迎える: 産経新聞社「MSN産経ニュース」: 2009年2月22日.(2010年11月6日時点のアーカイブ
  13. ^ 【週刊知事】千葉・堂本知事 引き抜きの説明責任: 産経新聞社「MSN産経ニュース」: 2009年3月1日.(2010年11月6日時点のアーカイブ
  14. ^ 「自民の支援大きかった」「小沢氏影響も」…森田氏当選で自民側 - 産経ニュース 2009.3.30 12:37 2009年5月23日閲覧。(2009年4月2日時点のアーカイブ

関連項目[編集]

外部リンク[編集]