1999年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ

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1999年アメリカンリーグ
チャンピオンシップシリーズ
チーム 勝数
ニューヨーク・ヤンキース 4
ボストン・レッドソックス 1
シリーズ情報
試合日程 10月13日–18日
観客動員 5試合合計:21万4726人
1試合平均:04万2945人
MVP オーランド・ヘルナンデス(NYY)
ALDS NYY 3–0 TEX
BOS 3–2 CLE
殿堂表彰者 ジョー・トーリ(NYY監督)
デレク・ジーター(NYY内野手)
マリアノ・リベラ(NYY投手)
ジム・ライス(BOSコーチ[注 1]
ペドロ・マルティネス(BOS投手)
チーム情報
ニューヨーク・ヤンキース(NYY)
シリーズ出場 2年連続8回目
GM ブライアン・キャッシュマン
監督 ジョー・トーリ
シーズン成績 98勝64敗・勝率.605
東地区優勝

ボストン・レッドソックス(BOS)
シリーズ出場 9年ぶり5回目
GM ダン・デュケット
監督 ジミー・ウィリアムズ
シーズン成績 94勝68敗・勝率.580
東地区2位=ワイルドカード

 < 1998
ALCS
1999

2000 > 

 < 1998
NLCS
1999

2000 > 
ワールドシリーズ

1999年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)ポストシーズンは10月5日に開幕した。アメリカンリーグの第30回リーグチャンピオンシップシリーズ(30th American League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、13日から18日にかけて計5試合が開催された。その結果、ニューヨーク・ヤンキース東地区)がボストン・レッドソックス(同)を4勝1敗で下し、2年連続36回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。

両球団はスポーツ界屈指のライバル関係にあるが、ポストシーズンで対戦するのはこれが初めて[1]。この年のレギュラーシーズンでは両球団は12試合対戦し、レッドソックスが8勝4敗と勝ち越していた[2]。今シリーズは、第3戦こそヤンキースにとって球団ポストシーズン史上最大となる12点差の大敗となったものの[3]、その他の4試合はヤンキースが全勝した。シリーズMVPには、第1戦と第5戦の2試合に先発登板して計15.0イニングを投げ、1勝0敗・防御率1.80という成績を残したヤンキースのオーランド・ヘルナンデスが選出された。このあとヤンキースは、ワールドシリーズでもナショナルリーグ王者アトランタ・ブレーブスを4勝0敗で下し、2年連続25度目の優勝を成し遂げた。結果的には、ヤンキースがこの年のポストシーズン全12試合で喫した敗戦は、今シリーズ第3戦の1試合のみとなった[1]

今シリーズ第2戦が開催されたヤンキー・スタジアムの客席に、当時日本プロ野球読売ジャイアンツに所属する松井秀喜の姿があった[4]。松井は、球場の持つ空気に触れ「当時、3年後にFAを取れることは分かっていた。FAを取って、じゃあ行きたいとなったら、ここでやりたいと思った」と意識するようになった[5]。実際に松井は、2002年シーズン終了後にFA権を行使してヤンキースへ移籍し、2009年にはワールドシリーズ制覇を経験、自身も同シリーズMVPを受賞する活躍を見せることとなる。

試合結果[編集]

1999年のアメリカンリーグ優勝決定戦は10月13日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月13日(水) 第1戦 ボストン・レッドソックス 3-4x ニューヨーク・ヤンキース ヤンキー・スタジアム
10月14日(木) 第2戦 ボストン・レッドソックス 2-3 ニューヨーク・ヤンキース
10月15日(金) 移動日
10月16日(土) 第3戦 ニューヨーク・ヤンキース 1-13 ボストン・レッドソックス フェンウェイ・パーク
10月17日(日) 第4戦 ニューヨーク・ヤンキース 9-2 ボストン・レッドソックス
10月18日(月) 第5戦 ニューヨーク・ヤンキース 6-1 ボストン・レッドソックス
優勝:ニューヨーク・ヤンキース(4勝1敗 / 2年連続36度目)

第1戦 10月13日[編集]

映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
2回裏、スコット・ブロシアスの2点本塁打でヤンキースが1点差に詰め寄る(40秒)
7回裏、デレク・ジーターの適時打でヤンキースが同点に追いつく(1分28秒)
ヤンキースの抑え投手マリアノ・リベラが9回表から登板、2イニングを無失点に抑える(2分2秒)
延長10回裏、先頭打者バーニー・ウィリアムスの本塁打でヤンキースがサヨナラ勝利(48秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 R H E
ボストン・レッドソックス 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 3 8 3
ニューヨーク・ヤンキース 0 2 0 0 0 0 1 0 0 1x 4 10 1
  1. マリアノ・リベラ(1勝)  ロッド・ベック(1敗)  
  2. 本塁打
    NYY:スコット・ブロシアス1号2ラン、バーニー・ウィリアムス1号ソロ
  3. 審判
    [球審]ティム・マクレランド
    [塁審]一塁: ダン・モリソン、二塁: リック・リード、三塁: アル・クラーク
    [外審]左翼: デイル・スコット、右翼: ティム・チダ
  4. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後8時17分 試合時間: 3時間39分 観客: 5万7181人 気温: 66°F(18.9°C)
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ボストン・レッドソックス ニューヨーク・ヤンキース
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 J・オファーマン 1 C・ノブロック
2 J・バレンティン 2 D・ジーター
3 DH B・ドーバック 3 P・オニール
4 N・ガルシアパーラ 4 B・ウィリアムス
5 T・オレアリー 5 DH C・デービス
6 M・スタンリー 6 T・マルティネス
7 J・バリテック 7 J・ポサダ
8 D・ルイス 8 S・スペンサー
9 T・ニクソン 9 S・ブロシアス
先発投手 投球 先発投手 投球
K・マーカー O・ヘルナンデス

第2戦 10月14日[編集]

映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
4回裏、ティノ・マルティネスのソロ本塁打でヤンキースが先制(54秒)
5回表、ノマー・ガルシアパーラの2点本塁打でレッドソックスが逆転(1分9秒)
9回表をマリアノ・リベラが無失点で締めて試合終了、ヤンキースが連勝(1分2秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ボストン・レッドソックス 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 10 0
ニューヨーク・ヤンキース 0 0 0 1 0 0 2 0 X 3 7 0
  1. デビッド・コーン(1勝)  ラモン・マルティネス(1敗)  Sマリアノ・リベラ(1勝1S)  
  2. 本塁打
    BOS:ノマー・ガルシアパーラ1号2ラン
    NYY:ティノ・マルティネス1号ソロ
  3. 審判
    [球審]ダン・モリソン
    [塁審]一塁: リック・リード、二塁: アル・クラーク、三塁: デイル・スコット
    [外審]左翼: ティム・チダ、右翼: ティム・マクレランド
  4. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後8時17分 試合時間: 3時間46分 観客: 5万7180人 気温: 50°F(10°C)
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ボストン・レッドソックス ニューヨーク・ヤンキース
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 J・オファーマン 1 C・ノブロック
2 J・バレンティン 2 D・ジーター
3 DH B・ドーバック 3 P・オニール
4 N・ガルシアパーラ 4 B・ウィリアムス
5 T・オレアリー 5 T・マルティネス
6 M・スタンリー 6 DH D・ストロベリー
7 J・バリテック 7 R・レディ
8 D・ルイス 8 S・ブロシアス
9 T・ニクソン 9 J・ジラルディ
先発投手 投球 先発投手 投球
R・マルティネス D・コーン

第3戦 10月16日[編集]

映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
初回裏、ジョン・バレンティンの2点本塁打でレッドソックスが先制(46秒)
3回裏、ブライアン・ドーバックの2点本塁打でレッドソックスのリードが6点に広がる(48秒)
レッドソックス先発投手ペドロ・マルティネスが7回12奪三振無失点の好投(2分8秒)
7回裏、ノマー・ガルシアパーラの2点本塁打でレッドソックスが12点目を挙げる(1分)
9回表、パット・ラップがリッキー・レディを二ゴロに打ち取り試合終了、レッドソックスがシリーズ初勝利(39秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ニューヨーク・ヤンキース 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 3 3
ボストン・レッドソックス 2 2 2 0 2 1 4 0 X 13 21 1
  1. ペドロ・マルティネス(1勝)  ロジャー・クレメンス(1敗)  
  2. 本塁打
    NYY:スコット・ブロシアス2号ソロ
    BOS:ジョン・バレンティン1号2ラン、ブライアン・ドーバック1号2ラン、ノマー・ガルシアパーラ2号2ラン
  3. 審判
    [球審]リック・リード
    [塁審]一塁: アル・クラーク、二塁: デイル・スコット、三塁: ティム・チダ
    [外審]左翼: ティム・マクレランド、右翼: ダン・モリソン
  4. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後4時22分 試合時間: 3時間14分 観客: 3万3190人 気温: 73°F(22.8°C)
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ニューヨーク・ヤンキース ボストン・レッドソックス
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 C・ノブロック 1 J・オファーマン
2 D・ジーター 2 J・バレンティン
3 P・オニール 3 J・バリテック
4 B・ウィリアムス 4 N・ガルシアパーラ
5 T・マルティネス 5 T・オレアリー
6 DH C・デービス 6 M・スタンリー
7 R・レディ 7 DH B・ドーバック
8 S・ブロシアス 8 D・ルイス
9 J・ジラルディ 9 T・ニクソン
先発投手 投球 先発投手 投球
R・クレメンス P・マルティネス

第4戦 10月17日[編集]

映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
2回表、ダリル・ストロベリーのソロ本塁打でヤンキースが先制(58秒)
9回表、代打リッキー・レディの満塁本塁打でヤンキースが7点差に突き放す(52秒)
ヤンキースの抑え投手マリアノ・リベラが8回裏一死から登板。レッドソックス不利の判定が続いたため客席から次々と物が投げ込まれて試合が中断するハプニングもありながら、無失点で締める(3分56秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ニューヨーク・ヤンキース 0 1 0 2 0 0 0 0 6 9 11 0
ボストン・レッドソックス 0 1 1 0 0 0 0 0 0 2 10 4
  1. アンディ・ペティット(1勝)  ブレット・セイバーヘイゲン(1敗)  Sマリアノ・リベラ(1勝2S)  
  2. 本塁打
    NYY:ダリル・ストロベリー1号ソロ、リッキー・レディ1号満塁
  3. 審判
    [球審]アル・クラーク
    [塁審]一塁: デイル・スコット、二塁: ティム・チダ、三塁: ティム・マクレランド
    [外審]左翼: ダン・モリソン、右翼: リック・リード
  4. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後7時50分 試合時間: 3時間39分 観客: 3万3586人 気温: 72°F(22.2°C)
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ニューヨーク・ヤンキース ボストン・レッドソックス
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 C・ノブロック 1 J・オファーマン
2 D・ジーター 2 J・バレンティン
3 P・オニール 3 N・ガルシアパーラ
4 B・ウィリアムス 4 M・スタンリー
5 T・マルティネス 5 DH B・ハスキー
6 DH D・ストロベリー 6 T・オレアリー
7 S・ブロシアス 7 J・バリテック
8 C・カーティス 8 D・ルイス
9 J・ジラルディ 9 D・ビュフォード
先発投手 投球 先発投手 投球
A・ペティット B・セイバーヘイゲン

第5戦 10月18日[編集]

映像外部リンク
MLB.comによる動画(英語)
初回表、デレク・ジーターの2点本塁打でヤンキースが先制(55秒)
7回裏、ヤンキース先発投手オーランド・ヘルナンデスがこの日9個目の三振をジョン・バレンティンから奪ってイニング終了(19秒)
9回表、ホルヘ・ポサダの2点本塁打でヤンキースがリードを5点に広げる(1分9秒)
その裏、ラミロ・メンドーサがジェイソン・バリテックを左飛に打ち取り試合終了、ヤンキースのリーグ連覇が決定(1分10秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ニューヨーク・ヤンキース 2 0 0 0 0 0 2 0 2 6 11 1
ボストン・レッドソックス 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 5 2
  1. オーランド・ヘルナンデス(1勝)  ケント・マーカー(1敗)  Sラミロ・メンドーサ(1S)  
  2. 本塁打
    NYY:デレク・ジーター1号2ラン、ホルヘ・ポサダ1号2ラン
    BOS:ジェイソン・バリテック1号ソロ
  3. 審判
    [球審]デイル・スコット
    [塁審]一塁: ティム・チダ、二塁: ティム・マクレランド、三塁: ダン・モリソン
    [外審]左翼: リック・リード、右翼: アル・クラーク
  4. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後8時17分 試合時間: 4時間9分 観客: 3万3589人 気温: 49°F(9.4°C)
    詳細: Baseball-Reference.com
両チームの先発ラインナップ
ニューヨーク・ヤンキース ボストン・レッドソックス
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 C・ノブロック 1 J・オファーマン
2 D・ジーター 2 J・バレンティン
3 P・オニール 3 J・バリテック
4 B・ウィリアムス 4 N・ガルシアパーラ
5 DH C・デービス 5 T・オレアリー
6 T・マルティネス 6 M・スタンリー
7 J・ポサダ 7 DH B・ドーバック
8 S・スペンサー 8 D・ルイス
9 S・ブロシアス 9 T・ニクソン
先発投手 投球 先発投手 投球
O・ヘルナンデス K・マーカー

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 殿堂入りは指導者としてではなく、外野手としての功績が評価されてのもの。

出典[編集]

  1. ^ a b Chad Thornburg, "Yanks-Sox rivalry goes up a notch for playoffs / Longtime foes set for fourth postseason series, first in ALDS," MLB.com, October 4, 2018. 2021年5月12日閲覧。
  2. ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年5月12日閲覧。
  3. ^ Ben Walker, The Associated Press, "POSTSEASON BASEBALL: The Rocket crashes at Fenway," Kitsap Sun, October 17, 1999. 2021年5月12日閲覧。
  4. ^ Bryan Hoch, "Matsui's birthday includes Old-Timers' Day HR," MLB.com, June 13, 2016. 2021年5月12日閲覧。
  5. ^ 松井秀喜氏、生観戦で『何だこの興奮は』 高橋由伸氏、現役で来てたら『メジャー挑戦してたかも』…NY対談、テレ東で21日放送」 『スポーツ報知』、2019年4月19日。2021年5月12日閲覧。

外部リンク[編集]