100ミリちょっとの

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100ミリちょっとの
フィッシュマンズシングル
初出アルバム『KING MASTER GEORGE
B面 あの娘が眠ってる (P.W.M.Version)
リリース
規格 CDシングル
録音 日本
ジャンル ロック
時間
レーベル ヴァージン・ジャパン
作詞・作曲 佐藤伸治
プロデュース 中原信雄、フィッシュマンズ
フィッシュマンズ シングル 年表
いなごが飛んでる
(1991年)
100ミリちょっとの
(1992年)
Walkin'
(1993年)
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100ミリちょっとの」は、日本のバンド・フィッシュマンズの楽曲であり、3枚目のシングルである。1992年2月5日発売。発売元はヴァージン・ジャパン。

概要[編集]

「100ミリちょっとの」はフジTV系ドラマ『90日間トテナム・パブ』のテーマ曲として書き下ろされた楽曲であり、 フィッシュマンズにとって初めてのタイアップ曲である。のちに2ndアルバム『KING MASTER GEORGE』に収録された(ヴァージョンの差異については後述)。

「あの娘が眠ってる (P.W.M.Version)」は前年(1991年)にリリースされたミニ・アルバム『Corduroy's Mood』に収録の楽曲に打ち込みアレンジを加えた別ヴァージョンとなっている。

収録曲[編集]

  1. 100ミリちょっとの(4分3秒)
    作詞・作曲:佐藤伸治/編曲:中原信雄、フィッシュマンズ
    初演は1991年12月13日のインクスティック鈴江ファクトリーでの『コーデュロイズ・ムード』発売記念ライヴ[1]
    本曲の音源には複数のヴァージョン違いがあり、そのうちリリースされたものとしては、以下の4種類がある。
    1. 本シングル・『THE ORIGINAL SOUNDTRACK THE 90 DAYS(90日間・トテナム・パブ・オリジナル・サウンドトラック)』・ベスト盤『1991-1994 singles & more』に収録のもの(ここでは便宜的に「シングル・ヴァージョン」とする。以下同様)
    2. 『KING MASTER GEORGE』に収録のもの(「アルバム・ヴァージョン」)
    3. ベスト盤『宇宙 ベスト・オブ・フィッシュマンズ』Disc-1に収録のもの(「宇宙ヴァージョン」)
    4. ベスト盤『空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ』Disc-2に収録のもの(「Rehearsal 1991」)
    これらのヴァージョンについて、主な差異は以下の通り。
    • シングル・ヴァージョンとその他では一部の歌詞が異なる。具体的には、シングル・ヴァージョン以外のヴァージョンでは「笑いを忘れた恋人たちには 新しい明日が見えてくる」という歌詞が3回登場するのに対し、シングル・ヴァージョンでは2回目のみ「消えてく笑顔をぶらさげてさ 遠くの場所まで行くのだろう」となっている。
    • シングル・ヴァージョンとアルバム・ヴァージョンでは佐藤のヴォーカルの節回しなどに若干の差異が認められる。
    • アルバム・ヴァージョン以外はフェード・アウトで曲が終了するが、アルバム・ヴァージョンのみフェード・アウトされず、演奏の最後まで収録されている。そのため、アルバム・ヴァージョンは曲の長さがこれらのヴァージョンの中で最も長い(4分46秒)。
    • 宇宙ヴァージョンは、ヴォーカルの大部分はシングル・ヴァージョンと同じだが、歌詞がアルバム・ヴァージョンと同じになっている。
    • 「Rehearsal 1991」はリハーサル音源であり、演奏テイクそのものがその他のヴァージョンと異なる。
    『90日間トテナム・パブ』の番組中で用いられたヴァージョンでは、歌い出しの歌詞が(後のシングル・ヴァージョンで見られる)「消えてく笑顔をぶらさげてさ(後略)」となっており、2回目もこれが繰り返されている[2]。また、アコースティック・ギターとキーボードのみでのイントロが追加された放送回もあった[3]。これらのヴァージョンはリリースされていない(同番組のサウンドトラックには先述のとおりシングル・ヴァージョンが収録されている)。
    これらのほか、代理店からの要望で作られたという英語詞ヴァージョンがあるが、これは公開されていない[4]
  2. あの娘が眠ってる (P.W.M.Version)(4分1秒)
    作詞・作曲:小嶋謙介/編曲:中原伸雄、フィッシュマンズ

エピソード[編集]

100ミリちょっとの[編集]

タイアップは番組プロデューサーがフィッシュマンズのミニアルバム(『Corduroys Mood』)を気に入ってのオファーだったという[5]

  • 「番組のプロデューサーが、秋に出したミニ・アルバム『コーデュロイズ・ムード』を気に入ってくれて、その中に入ってる<あの娘が眠ってる>のような曲をちょいちょいと書いてくれって言ってきたんですよ。それから曲を作り始めたんだけど」(小嶋)[6][7]

タイアップ曲であるため、代理店・スポンサーの依頼に応じ作詞・作曲するという、フィッシュマンズとして初めての経験となった。

  • 「その依頼というのが、クールな感じの曲とか、詞はロンドンの雨が降ってるような感じで書いてくれとか、最初のイントロの4小節はスパッとくるようにとか、もういろいろと難題を持ってくるんですよ。しかもそれが3日おきにコロッコロと変わるし…(中略)しまいにはTV用のサイズで指定されたおかげで、時間を計りながらレコーディングしてました」(佐藤)[6][5][7]
  • 「最初、TV側からロンドンぼくとか、能天気な明るさじゃなくどこか皮肉めいたとか、いろいろ注文があったんですよ。詞もずいぶんモメた。でも曲をつくる段階にきたら、ロンドンぽいとか考えるのがバカらしくなってきたんで、開き直ってつくりました。でも初めてちゃんとシングルを出したような気がする。これまではアルバムからのカットだったから」(佐藤)[8][9]
  • 「ポイントは、まずきれいなコーラスワークに、ドアーズを彷彿させるハカセのキーボード。そして60年代の伝統を引き継いだサウンド。そこに加えた90年代のエッセンス。まさにこれは売りですね」(佐藤)[6][9]
  • 「TVバージョンとCDバージョンと、没になった英語バージョンの3パターンあるんです。しかもTVとCDでは曲のイントロや歌詞の一部が違ってるんですよ。ちなみに個人的には CDバージョンのほうが気に入ってますね」(佐藤)[6][10]
  • 「1分30秒でサビまで聴かせるという"インパクトのあるシングル"を目指して作られた曲」(茂木)[11]

あの娘が眠ってる (P.W.M.Version)[編集]

  • 「初めはこの曲も主題歌候補だったけど、結局B面に決まって、じゃあアルバムとは変えてムチャしようってハウスにした。どっちも両極端で気に入ってるよ」(小嶋)[8][7]
  • 「これからは、歌と演奏の流れを違えて、スキを広げていきたいです」(佐藤)[8]
  • 「下手するとただのフォークソングになりそうなあの曲を、歌メロはそのまんまに、バックのサウンドを最新テクノロジーを駆使してサンプリングビシバシのハウスに昇華させた、偉大なるフィッシュマンズの第一歩のような曲ですね」(小嶋)[6][9][10]
  • 「やはり時代の波には逆らえませんから・・・なぁんて、誰もハウスとか聴いたことないけど」(佐藤)[9][10]
  • 「打ち込みをやってみたかった。打ち込みの成り立ちを知りたかった俺たち。…ハウス?」(茂木)[11]

収録アルバム[編集]

100ミリちょっとの[編集]

あの娘が眠ってる (P.W.M.Version)[編集]

映像作品[編集]

  • フィッシュマンズ in SPACE SHOWER TV(episode.1)』 - 1992年2月24日の渋谷CLUB QUATROでのワンマン・ライブにて演奏された「あの娘が眠ってる」(ただしP.W.M. Versionではない)と「100ミリちょっとの」が収録されている(同年4月18日にSPACE SHOWERでオンエアされたもの)。

タイアップ[編集]

100ミリちょっとの[編集]

  • 1992年1月9日から3月まで毎週木曜24:40〜25:10にオンエアされたフジ系TVドラマ『90日間トテナム・パブ』のテーマ曲として使用された。

参加ミュージシャン[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『宇宙語 日本語 世田谷語辞典』、113頁より。
  2. ^ 第3話オープニングなど
  3. ^ 第1話
  4. ^ 『宇宙語 日本語 世田谷語辞典』、59頁より。
  5. ^ a b 『宇宙語 日本語 世田谷語辞典』、114頁より。
  6. ^ a b c d e 『GB』1992年3月号より。
  7. ^ a b c 小学館『フィッシュマンズ全書』、49頁より。
  8. ^ a b c 『CDでーた』1992年2月20日号より。
  9. ^ a b c d 『宇宙語 日本語 世田谷語辞典』、130〜131頁より。
  10. ^ a b c 小学館『フィッシュマンズ全書』、50頁より
  11. ^ a b c 『空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ』ブックレット内「Disc-2 ひとこと解説 by 茂木欣一」より。
  12. ^ 『THE ORIGINAL SOUNDTRACK THE 90 DAYS(90日間・トテナム・パブ・オリジナル・サウンドトラック)』ブックレットより。