ケン・ジャイルズ

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ケン・ジャイルズ
Ken Giles
ロサンゼルス・ドジャース (マイナー)
ヒューストン・アストロズ時代
(2017年7月21日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ニューメキシコ州アルバカーキ
生年月日 (1990-09-20) 1990年9月20日(33歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
205 lb =約93 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2011年 MLBドラフト7巡目
初出場 2014年6月12日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ケネス・ロバート・ジャイルズKenneth Robert Giles, 1990年9月20日 - )は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州アルバカーキ出身のプロ野球選手投手)。右投右打。MLBロサンゼルス・ドジャース傘下所属。愛称は100マイルズ・ジャイルズ[1]

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

2009年MLBドラフト44巡目(全体1328位)でフロリダ・マーリンズから指名されたが、ヤバパイ短期大学英語版へ進学した。

プロ入りとフィリーズ時代[編集]

2011年MLBドラフト7巡目(全体241位)でフィラデルフィア・フィリーズから指名され、8月11日に契約。契約後、傘下のルーキー級ガルフ・コーストリーグ・フィリーズでプロデビュー。3試合に登板して1勝1敗、防御率5.79、7奪三振を記録した。

2012年はまずA級レイクウッド・ブルークロウズでプレーし、29試合(先発6試合)に登板して3勝3敗5セーブ、防御率3.61、86奪三振を記録残した。7月にA+級クリアウォーター・スレッシャーズ英語版へ昇格。10試合に登板して1勝0敗3セーブ、防御率3.07、25奪三振を記録した。

2013年はA+級クリアウォーターでプレーし、24試合に登板して2勝2敗12セーブ、防御率6.31、34奪三振を記録した。

2014年はAA級レディング・ファイティン・フィルズで開幕を迎え、13試合に登板。0勝0敗7セーブ、防御率1.20と好投し、5月9日にAAA級リーハイバレー・アイアンピッグスへ昇格。AAA級リーハイバレーでは11試合に登板して2勝0敗5セーブ・防御率2.63・9奪三振の成績を残した。6月8日にマイク・アダムス故障者リスト入りしたため、フィリーズとメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[2]。6月12日のサンディエゴ・パドレス戦でメジャーデビュー。5点リードの9回表2死から登板し13回を投げたが、ヤズマニ・グランダルに本塁打を打たれ、1安打1失点1奪三振だった[3]。以後、ブルペンの重要な存在として44試合に登板し、3勝1敗1セーブ、防御率1.18、WHIP0.79という成績を残した。45.2イニングで許した本塁打は僅かに1本であり、ハイペースで三振を奪って12.6という奪三振率もマークした。

2015年シーズン途中にジョナサン・パペルボンが移籍してからはクローザーを任されている[4]。最終的には69試合にリリーフ登板し、6勝3敗15セーブ・防御率1.80という成績を残したものの、WHIPは前年より大幅に悪化し、セーブ成功率も75%にとどまるなど、抑えとしては課題を残した。奪三振率の高さは相変わらずで、2年連続で11.0を超えた。

アストロズ時代[編集]

2015年12月12日にブレット・オーバーホルツァーハロルド・アラウスマーク・アペルトム・エシェルマンビンセント・ベラスケスとのトレードで、ジョナサン・アラウスと共にヒューストン・アストロズへ移籍した[5]

2016年は2年連続69試合に登板し、一時期抑えとしても起用されて2年連続15セーブを挙げたが、メジャーデビューから2年続けて1.00台にまとめ上げていた防御率は大きく上昇して4.11となり、調子を崩した。一方で65.2イニングで102奪三振を記録して奪三振率14.0はキャリア最高の数値だった。

2017年は開幕から抑えとして起用され、63試合に登板。奪三振率こそと11.9と前年から減ったが、リーグ4位タイである34セーブを記録し、防御率も2.30に改善された。特にホームでの防御率は0.84と無類の強さだった。ポストシーズンでも抑えとして起用された。ボストン・レッドソックスとのアメリカンリーグディビジョンシリーズ(ALDS)では2度の登板でいずれも失点。ニューヨーク・ヤンキースとのアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)でも3度の登板で2度の失点。特に第4戦ではピンチの場面で登板したものの1つしかアウトを奪えず、自責点2で敗戦投手となった。ロサンゼルス・ドジャースとのワールドシリーズでは、第2戦で9回から登板。このイニングを三者凡退として延長戦に持ち込んだが、10回にアストロズが2点を勝ち越したその裏の投球で2点を失ってセーブに失敗。その後第4戦でも同点の9回に登板したが、2本のヒットと四球を与え、一つもアウトを奪えないまま降板。自責点3で敗戦投手となった。この試合はホームのミニッツ・メイド・パークでの試合だったが、降板時には地元ファンから容赦ないブーイングが送られた。試合後の会見ではA.J.ヒンチ監督が次の試合以降もジャイルズを起用することを示唆したが、残りの試合での登板は無かった。ポストシーズン合計では7試合の登板中6試合で失点し、防御率11.74と精彩を欠いた[6]

2018年も抑えを務めたが、7月までに34試合登板で0勝2敗12セーブ・防御率4.99と芳しくない成績であった。

ブルージェイズ時代[編集]

2018年7月30日にロベルト・オスーナとのトレードで、デビッド・ポーリーノヘクター・ペレスと共にトロント・ブルージェイズへ移籍した[7]。移籍後も抑えとして起用され、8月7日のレッドソックス戦で5失点を喫して敗戦投手となった以外は概ね好投し、21試合で0勝1敗14セーブ、防御率4.12という成績を挙げた。

2020年9月22日、右肘のトミー・ジョン手術を受けると発表した[8]。同年オフの11月1日にFAとなった[9]

マリナーズ時代[編集]

2021年2月18日にシアトル・マリナーズと2年総額600万ドルの契約を結んだ[10]。2023年は選手オプションとなり、バイアウトの際は50万ドルが支払われる。

2021年は前年の怪我の影響で登板は無かった。

2022年は開幕を故障者リストで迎えた。6月20日にメジャーのアクティブ・ロースターに登録され[11]、翌21日のオークランド・アスレチックス戦にて2年ぶりにメジャー登板を果たした[12]。8月12日にDFAとなり、そのまま自由契約となった[13]

ジャイアンツ傘下時代[編集]

2022年8月22日にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んだ[14]。30日に自由契約となった[15]

ドジャース傘下時代[編集]

2023年6月4日にロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ[16]

投球スタイル[編集]

MLBでは救援投手として、最速101.3mph(約163km/h)・平均97mph(約156km/h)のフォーシームと、平均86mph(約138km/h)の縦のスライダーの2球種を使用する。スライダーの空振り率はMLB通算29%と高い。 MiLBでは速球は最速103mph(約166km/h)を記録している[17]

人物[編集]

アストロズからブルージェイズへ移籍後の2018年9月にアストロズではチームに馴染めなかったことを公表し、チームぐるみでサイン盗み英語版をしていたことすら知らなかった[18]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2014 PHI 44 0 0 0 0 3 1 1 13 .750 166 45.2 25 1 11 1 0 64 1 0 7 6 1.18 0.79
2015 69 0 0 0 0 6 3 15 12 .667 298 70.0 59 2 25 2 1 87 1 0 23 14 1.80 1.20
2016 HOU 69 0 0 0 0 2 5 15 18 .286 286 65.2 60 8 25 1 2 102 14 0 32 30 4.11 1.29
2017 63 0 0 0 0 1 3 34 2 .250 247 62.2 44 4 21 0 1 83 3 0 16 16 2.30 1.04
2018 34 0 0 0 0 0 2 12 1 .000 129 30.2 36 2 3 0 0 31 1 0 17 17 4.99 1.27
TOR 21 0 0 0 0 0 1 14 0 .000 83 19.2 18 4 4 0 1 22 1 0 11 9 4.12 1.12
'18計 55 0 0 0 0 0 3 26 1 .000 212 50.1 54 6 7 0 1 53 2 0 28 26 4.65 1.21
2019 53 0 0 0 0 2 3 23 0 .400 208 53.0 36 5 17 1 0 83 2 0 11 11 1.87 1.00
2020 4 0 0 0 0 0 0 1 1 ---- 19 3.2 4 2 4 0 0 6 0 0 4 4 9.82 2.18
2022 SEA 5 0 0 0 0 0 0 0 0 18 4.1 1 0 4 0 0 6 1 0 0 0 0.00 1.15
MLB:8年 362 0 0 0 0 14 18 115 47 .438 1454 355.1 283 28 114 5 5 484 24 0 121 107 2.71 1.12
  • 2022年度シーズン終了時

年度別守備成績[編集]



投手(P)












2014 PHI 44 1 3 0 1 1.000
2015 69 1 4 1 0 .833
2016 HOU 69 4 5 0 0 1.000
2017 63 3 6 1 0 .900
2018 34 1 2 0 0 1.000
TOR 21 4 3 1 0 .875
'18計 55 5 5 1 0 .909
2019 53 3 2 0 1 1.000
2020 4 0 0 0 0 ----
2022 SEA 5 0 0 0 0
MLB 362 17 25 3 2 .933
  • 2022年度シーズン終了時

背番号[編集]

  • 53(2014年 - 2018年7月29日)
  • 51(2018年8月3日 - 2020年)
  • 58(2022年 - )

脚注[編集]

  1. ^ Astros Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月2日閲覧
  2. ^ Todd Zolecki (2014年6月7日). “Phillies place Adams on DL, call up Giles”. MLB.com. 2015年12月15日閲覧。
  3. ^ Scores for Jun 12, 2014”. ESPN (2014年6月12日). 2015年12月15日閲覧。
  4. ^ 『月刊スラッガー』2015年10月号、日本スポーツ企画出版社 
  5. ^ Brian McTaggart (2015年12月12日). “Astros introduce new bullpen ace Giles” (英語). MLB.com. 2015年12月15日閲覧。
  6. ^ https://www.baseball-reference.com/
  7. ^ Brian McTaggart (2018年7月30日). “Astros acquire Osuna from Blue Jays” (英語). MLB.com. 2018年8月5日閲覧。
  8. ^ Blue Jays' Giles to have Tommy John surgery”. MLB.com. Blue Jays (2020年9月22日). 2020年9月22日閲覧。
  9. ^ 2020-21 free agents, position by position” (英語). MLB.com. 2020年11月3日閲覧。
  10. ^ Mariners Sign Ken Giles” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年2月18日閲覧。
  11. ^ Steve Adams (2022年6月20日). “Mariners Designate Sergio Romo, Roenis Elias For Assignment” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年6月23日閲覧。
  12. ^ Seattle Mariners at Oakland Athletics Box Score, June 21, 2022” (英語). Baseball-Reference.com. 2022年6月23日閲覧。
  13. ^ Mariners Designate Ken Giles For Assignment” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年8月13日閲覧。
  14. ^ Giants Sign Ken Giles To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年8月24日閲覧。
  15. ^ Giants Release Ken Giles” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年8月31日閲覧。
  16. ^ Dodgers Roster & Staff Transaction June 2023”. MLB.com. 2023年6月21日閲覧。
  17. ^ Meet Ken Giles, the Phillies' 100-mph man”. Comcast Sportsnet (2014年1月20日). 2015年12月15日閲覧。
  18. ^ 17年アストロズ守護神がリング返還「従う」 サイン盗み知らず「ただクレイジー」”. Full-Count (2020年3月3日). 2022年2月13日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]