007/危機一発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
007/危機一発
From Russia with Love
Logo frwl uk.svg
イギリス版のロゴ
監督 テレンス・ヤング
脚本 リチャード・メイボーム
原作 イアン・フレミング
製作 ハリー・サルツマン
アルバート・R・ブロッコリ
出演者 ショーン・コネリー
ペドロ・アルメンダリス
ロッテ・レーニャ
ロバート・ショウ
バーナード・リー
ダニエラ・ビアンキ
音楽 ジョン・バリー
撮影 テッド・ムーア
編集 ピーター・ハント
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 イギリスの旗 1963年10月10日
アメリカ合衆国の旗 1964年4月8日
日本の旗 1964年4月25日
上映時間 115分
製作国 イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $2,000,000[1] 
興行収入 世界の旗 $78,900,000[1]
配給収入 日本の旗 2億6038万円[2]
前作 007は殺しの番号
次作 007/ゴールドフィンガー
テンプレートを表示

007/危機一発』(ゼロゼロセブン ききいっぱつ、原題: From Russia with Love)は、1963年のアクション/スパイ映画イーオン・プロダクションズ製作の「ジェームズ・ボンド」シリーズの第2作目であり、ショーン・コネリーMI6のエージェント、ジェームズ・ボンドとして2度目の出演を果たした作品である。監督はテレンス・ヤング、製作はアルバート・R・ブロッコリハリー・サルツマン、脚本はリチャード・メイボームとジョアンナ・ハーウッドで、イアン・フレミングの1957年の小説『ロシアから愛をこめて』を基にしている。邦題は1972年の再上映時に『007/ロシアより愛をこめて』(ゼロゼロセブン ロシアよりあいをこめて)に変更された。

1963年10月10日にイギリスで、1964年4月8日にアメリカでそれぞれ公開した。低予算で作られた『007は殺しの番号(ドクター・ノオ)』の成功により、さらにアクション要素を強めた活劇大作。屈強な殺し屋との格闘、ヘリコプターによる追跡、ボートでの脱走と、見せ場が次から次に登場する。一方で、前作の後半で見られたSF色の強い展開は、リアリティを意識して抑えられている。ダニエラ・ビアンキは、知性の中に色気とチャーミングさを覗かせ、その後のボンド・ガールの方向性を確立した。ボンドのアクションにおける強敵としてのグラントのキャラクター、支給品の秘密兵器(ここでは決まった手順であけないと催涙ガスが噴き出す仕組みのアタッシェケース)がクライマックスで重要な伏線になること、何よりもオープニング・テーマの前に「プレタイトル・シークエンス」が入るようになったことなど、後続作品に踏襲されることになるパターンの多くが、本作で形作られた。

原作小説では刊行当時(1956年)の趨勢を反映して、英国秘密情報部対ソ連特務機関スメルシュの図式となっているが、映画では政治問題を避けて前作に続き犯罪組織「スペクター」を主敵としている。しかし、映画作品内といえども当時のソ連にとって好ましくない描写もあったため、1991年ソ連崩壊まで同国ではその後007シリーズは御法度とされていたという。

ロケ地であるイスタンブールの描写やオリエント急行車内(映画では特に明言されていない)での模様など、ストーリーの展開は概ね原作に近づけてある。本作は1963年の世界興行収入で『クレオパトラ』に次ぐ第2位となり[3][4]、日本においては1964年の外国映画興行成績で第6位(第3位に次回作の『ゴールドフィンガー』が入った)だった[5]

ストーリー[編集]

犯罪組織「スペクター」は、クラブ諸島の領主ジュリアス・ノオ博士の秘密基地を破壊し、アメリカ月ロケットの軌道妨害を阻止した英国海外情報局の諜報員007ことジェームズ・ボンドショーン・コネリー)への復讐、それもソビエト情報局の美人女性情報員と暗号解読機「レクター[6]」を餌にボンドを「辱めて殺す」ことで両国に泥を塗り外交関係を悪化させ、さらにその機に乗じて解読機を強奪するという、一石三鳥の計画を立案した。

実はスペクターのNo.3であるソビエト特殊諜報部隊スメルシュのクレッブ大佐(ロッテ・レーニャ)は、真相を知らない保安局の情報員タチアナ・ロマノヴァ伍長(ダニエラ・ビアンキ)を騙し、暗号解読機を持ってイギリスに亡命すること、また亡命時にはボンドが連行することが条件だと言うように命令する。英国海外情報局のトルコ支局長・ケリム(ペドロ・アルメンダリス)からタチアナの亡命要請を受けたボンドは、罠の匂いを感じつつも、トルコイスタンブールに赴いた。イスタンブールは各国の工作員が半ば公然と監視し合う、国際諜報戦の舞台であった。さらに、同地にはスペクターの屈強な刺客・グラント(ロバート・ショウ)が待っていた。

キャスト[編集]

主人公のショーン

日本語吹替[編集]

役名 俳優 TBS版1 TBS版2 DVDBD
ボンド ショーン・コネリー 日高晤郎 若山弦蔵
タチアナ ダニエラ・ビアンキ 鈴木弘子 林真里花
グラント ロバート・ショウ 内海賢二 山野井仁
ローザ ロッテ・レーニャ 林洋子 沼波輝枝 定岡小百合
ケリム・ベイ ペドロ・アルメンダリス 小松方正 大宮悌二 長島雄一
M バーナード・リー 大宮悌二 今西正男 藤本譲
マニーペニー ロイス・マクスウェル 北村昌子 花形恵子 泉裕子
ブロフェルド アンソニー・ドーソン 大平透 早川雄三 稲垣隆史
モーゼニー ウォルター・ゴテル 飯塚昭三 島香裕
Q デスモンド・リュウェリン 杉田俊也 緒方敏也 白熊寛嗣
クロスティーン ウラデク・シェイバル 寺島幹夫 田原アルノ
車掌 ジョージ・パステル 小関一 西村知道
ケリムの女 ナジャ・レジン 高島雅羅 加川三起
ケリムの運転手 ネヴィル・ジェイソン 円谷文彦 若本紀昭
ローダ ピーター・ブレイアム 木原正二郎 広瀬正志
イリーナ ブルドン・ブルース 水野谷佐絵 日比野美佐子

※キングレコードから発売の特別版DVDにはTBS版の2バージョンの吹替を収録。テレビ放送吹替完声版の補完部分のキャストはDVD・BD版の流用。

TBS版1 - 1975年4月7日21:00-22:55 『月曜ロードショー』放送

※TBSが初めて日本での初回放映権を獲得。

TBS版2 - 1976年3月29日21:02-22:55 『月曜ロードショー』放送

  • 日本語版制作
    • 担当 - 熊谷国雄
    • 演出 - 佐藤敏夫
    • 翻訳 - 飯島永昭
    • 選曲 - 重秀彦
    • 調整 - 前田仁信
    • 効果 - 遠藤グループ
    • 製作 - 東北新社/TBS
    • 解説 - 荻昌弘

DVD新録版 - 初出、2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション

ボンドガール[編集]

ボンドガールはローマ出身の[7]ダニエラ・ビアンキが選ばれた。ミス・ユニバース1960で準優勝(およびミス・フォトジェニック)に選ばれたことで知られる[8]

彼女にとって本作は10年の映画キャリアの間に出演した唯一の英語フィルムである[9]。ただし彼女の本当の声は作品に残っていない。イタリアなまりの強い英語はBarbara Jeffordによって吹き替えられた[10]。イタリア語版はそれをMaria Pia Di Meoが吹き替えた[11]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

ライオネル・バート英語版1930年 - 1999年)が作曲、バラード・シンガーのマット・モンロー英語版1932年 - 1985年)が唄う同名タイトルの主題歌が大ヒットした。イギリスの「メロディ・メーカー」誌では、最高位20位を獲得、また、ジョン・バリー・オーケストラの演奏による同主題歌もチャートに登場し、最高位39位を記録している。日本では文化放送ユア・ヒット・パレード』で1964年度の年間1位[12]を記録。アメリカではチャート入りは果たしていないが、サウンドトラック・アルバムは、アメリカの「ビルボード」誌アルバム・チャートで最高位27位を獲得している。「ジェームズ・ボンドのテーマ」(作曲:モンティ・ノーマン)も使用されている。

公開[編集]

世界[編集]

日本[編集]

「007危機一発」の題名で1964年4月25日、東京はミラノ座・パンテオン・丸の内東映パラス浅草東映ホールの松竹東急系でロードショー公開され、配給収入は2億6038万円であった。因みに前作「007は殺しの番号」は配給収入5780万円で、4倍の収入増であった[13]

タイトル『007 危機一発』は、髪の毛一本の僅差で生じる危機的状況を意味する「危機一髪」と銃弾「一発」をかけた一種の洒落で、ユナイト映画の宣伝部にいた映画評論家水野晴郎が考案した[14]。この表記は1956年の東映映画に『御存じ快傑黒頭巾危機一発』のタイトルがあり、水野の独創ではなく、以前から使われていた[15]。しかし本作により「危機一発」との表記が浸透、新聞社から苦情が来た[14]

1972年のリバイバル公開時には、タイトルを小説の題名に近い『007 ロシアより愛をこめて』に変えている。これは「ロシア経由で」と「ロシアへの愛(母国愛)以上に」の2つの意味を持たせるためだったという可能性がある(「ロシアから」だと後者の意味が欠ける)[16]しかし、初公開時から主題歌の邦題は「ロシアより愛をこめて」であり、単純にそれにあやかった可能性もある[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ a b From Russia With Love” (英語). The Numbers. 2009年6月26日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)211頁
  3. ^ List movies by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月26日閲覧。
  4. ^ List of highest-grossing films(ウィキペディア英語版)
  5. ^ 興行成績一覧”. キネマ旬報DB. 2009年6月26日閲覧。
  6. ^ ソ連の暗号解読器の名前は原作ではスペクターだが、映画では敵がスペクターに変えられたため、混同を避けるためレクターに変更された。
  7. ^ Enrico Lancia; Roberto Poppi (2003) (イタリア語). Le attrici: dal 1930 ai giorni nostri. Gremese Editore. p. 36. ISBN 9788884402141 
  8. ^ Ron Milione (英語). 007 HISTORY OF GADGETS. Lulu.com. p. 175. ISBN 9781387472536 
  9. ^ Chris Strodder (2007-03-01) (英語). The Encyclopedia of Sixties Cool: A Celebration of the Grooviest People, Events, and Artifacts of the 1960s. Santa Monica Press. pp. 53-54. ISBN 9781595809865 
  10. ^ Terence Young(監督), Sean Connery(出演) (2006年) (英語). From Russia with Love, Ultimate Edition (DVD). MGM 
  11. ^ Antonio Mustara (2016年6月25日). “Daniela Bianchi, 10 cose da sapere sulla prima Bond girl italiana”. sorrisi.com. Arnoldo Mondadori Editore Spa. 2020年7月14日閲覧。
  12. ^ 小藤武門『S盤アワーわが青春のポップス』巻末掲載「ポピュラー音楽年表 1945〜1982」アドパックセンター、1982年、95頁。ISBN 4-900378-02-X。(この章のみ本文とは別にノンブルが打たれている)
  13. ^ 「映画を知るための教科書 1912~1979」140P参照 斉藤守彦 著 洋泉社 2016年3月発行
  14. ^ a b フジテレビトリビア普及委員会 『トリビアの泉〜へぇの本〜 1』講談社、2003年。 
  15. ^ 浦崎浩實「映画人、逝く 水野晴郎」『キネマ旬報』2008年7月下旬号、キネマ旬報社
  16. ^ 「キネマ旬報」007特集号への寄稿で「シリーズベスト10投票」にて訳者が、「苦心の邦題を勝手に…」(邦題に苦心した他作品も含め)とコメントしている。[要出典]

外部リンク[編集]