羅卿瑗

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羅卿瑗

羅 卿瑗[注釈 1](ナ・ギョンウォン、: 나경원1963年12月6日 - )は、大韓民国裁判官弁護士政治家。第17・18・19・20・22代韓国国会議員。カトリック教徒ソウル出身[2]

経歴[編集]

  • 1982年ソウル大学校法科大学入学
  • 1986年、ソウル大学校法科大学卒業
  • ソウル大学校大学院法学修士
  • ソウル大学校大学院国際法学博士修了
  • 1992年、司法試験合格

判事・政治家としての活躍[編集]

司法研修院42期修了後、1995年釜山地方法院判事に任命され4年間務める。以降1999年仁川地方法院、2002年ソウル行政法院まで7年6か月間で判事として活動していた。

2002年セヌリ党の前身であるハンナラ党の李会昌大統領候補の女性特別補佐官となり政治活動を開始。2004年にハンナラ党から国会議員に立候補し当選した。2011年ソウル市長補欠選挙では、保守系の統一候補として戦うも朴元淳に敗れる[3]2015年2月からは女性初の外交統一委員長に就任した。

2018年12月11日、セヌリ党から改名した自由韓国党の院内代表に選出された[4]。在任中の2019年3月12日韓国国会文在寅政権の政策を批判する演説の中で、文大統領を「金正恩の首席報道官」と表現し物議を醸した[5]。2019年7月23日、来韓したジョン・ボルトンと会談。野党指導者としては唯一の会談相手とみられている[6]

尹錫悦政権では2022年10月14日より大統領直属の低出産・高齢社会委員会副委員長、気候環境大使を務めたが、2023年1月に辞職した[7]

2024年の第22代総選挙では安哲秀と共に国民の力共同選対委員長を務め[8]銅雀区乙選挙区から出馬することとなった[9]

対日関係[編集]

2015年4月1日に来日。岸田文雄外相谷垣禎一自民党幹事長土屋品子外務委員長など国会議員と会談。野田聖子に対しては、韓国を訪問して慰安婦被害者と面会するよう提案を行っている。帰国後、インタビュー竹島に関する日本政府の姿勢に対して、もっと積極的な措置を取るべきだと主張[10]

2015年6月13日ソウルワールドカップ競技場で開催された日韓国会議員によるサッカー大会に参加。試合後に、当時、日本が進めていた軍艦島のユネスコ世界文化遺産登録申請に触れ、「強制徴用された韓国人がいた。この部分の歴史的事実を明確に記載してほしい」と述べている[11]

2016年には、10人の国会議員からなる「国会独島訪問団」の団長に就任。同年8月15日、日本政府からの抗議を無視する形でヘリコプターで竹島を訪問して独島警備隊を激励した[12]。同島には2018年11月にも、他の国会議員らとともに上陸した[13]

文在寅政権に対して厳しい姿勢を取り続けていることから、政権与党革新派からは親日派として「安倍首相の首席報道官」、羅卿ウォンと安倍を掛けて「ナベ」と批判の対象になっている[14]

エピソード[編集]

祖父は全羅南道霊岩郡出身、父親は忠清北道永同郡出身、本人はソウル市銅雀区出身である[15]

夫の金載昊朝鮮語版も判事で、ダウン症候群を患う娘がいる[16]

曹国ソウル大学校法科大学82学番の同級生である。曹は2011年の対談録で羅について、「社会問題に関心がない模範生」「ノートが上手で、たまに借りたこともある」とした[17]

2019年4月29日、選挙制度改革法案のファストトラック(無修正一括承認手続き)指定をめぐり、国会会議場の前に横たわって抗議デモを行った。その際、くまモンの靴下を履いていたために「親日派」との批判を浴びた。これに対し、「随行室長に渡された靴下を履いただけ」と弁明している[18]

2020年の第21代総選挙選挙運動で、「民主党が私を殺しに出た」「私は彼らにとって最も厄介で怖い人だ」と言った[19]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 第22代総選挙の候補者名簿での漢字表記は羅景垣であった[1]

出典[編集]

  1. ^ [4·10 총선] 22대 국회의원 지역구-비례대표 당선자 명단” (朝鮮語). 포쓰저널 (2024年4月12日). 2024年4月13日閲覧。
  2. ^ 대한민국헌정회”. www.rokps.or.kr. 2022年3月13日閲覧。
  3. ^ ソウル市長選、美しすぎる与党候補が惨敗した理由”. JBpress (2011年10月28日). 2018年4月24日閲覧。
  4. ^ 韓国最大野党「自由韓国党」院内代表に羅卿ウォン氏”. 朝鮮日報 (2018年12月11日). 2019年1月4日閲覧。
  5. ^ 「大統領は金正恩の首席報道官」韓国最大野党幹部が演説:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年3月21日閲覧。
  6. ^ 「ボルトン氏の訪韓目的は防衛費、5倍をはるかに超える50億ドル要求」”. 中央日報. 2019年7月30日閲覧。
  7. ^ 가깝되 멀던 윤석열과 나경원, 끝내 결별하다” (朝鮮語). 신동아 (2023年1月17日). 2023年10月9日閲覧。
  8. ^ 이유미 (2024年3月18日). “안철수 "단계적 의대 증원"·나경원 "담대한 저출산정책 나서야"” (朝鮮語). 연합뉴스. 2024年3月18日閲覧。
  9. ^ 이유미 (2024年3月13日). “나경원 "민주당의 동작 선거에는 '동작'과 '민생' 없어"(종합)” (朝鮮語). 연합뉴스. 2024年3月18日閲覧。
  10. ^ 中国高官も嘆息した韓国の「美しすぎる議員」…やはり「嫌日」だった?! 野田元郵政相に「慰安婦」面会求める”. 産経新聞社 (2015年4月21日). 2018年4月24日閲覧。
  11. ^ 韓国の「美しすぎる」議員、日本の世界遺産登録を遠回しに批判”. レコードチャイナ (2019年6月15日). 2019年4月21日閲覧。
  12. ^ 韓国与野党議員10人、きょう独島訪問”. 中央日報 (2016年8月15日). 2018年4月24日閲覧。
  13. ^ 10月に続き…韓国の野党議員、26日に竹島上陸へ”. 朝日新聞 (2018年11月21日). 2018年11月21日閲覧。
  14. ^ 元韓国駐在武官が指摘「文在寅大統領は“反日”で“北への接近”を誤魔化している」”. 文藝春秋 (2019年5月5日). 2019年9月24日閲覧。
  15. ^ 오주영 (2018年12月10日). “[정치펀치]충청의 딸, 나경원 한국당 원내대표 승리할까?” (朝鮮語). 중도일보. 2023年10月9日閲覧。
  16. ^ 나경원, 다운증후군 딸과의 평범한 일상...시청자들 “잘 커준 유나 멋져”” (朝鮮語). 조선일보 (2021年1月6日). 2023年10月9日閲覧。
  17. ^ 정제혁·허남설 (2018年12月30日). “조국 vs 나경원···외나무 다리서 만나는 ‘82학번 동기’” (朝鮮語). m.khan.co.kr. 2023年10月9日閲覧。
  18. ^ 「くまモンの靴下を履いただけ!」韓国議員が“親日派論争”を一蹴も、ネットはさらに炎上”. レコードチャイナ (2019年6月21日). 2019年11月21日閲覧。
  19. ^ 이수진 '통합당 '막말' 논란에 보수 결집'…나경원 '제가 민주당에 가장 무서운 사람'” (朝鮮語). 서울경제 (2020年4月14日). 2023年10月9日閲覧。