報徳会宇都宮病院

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報徳会宇都宮病院
情報
正式名称 宇都宮病院
英語名称 Utsunomiya Hospital
標榜診療科 精神科、内科、神経内科、消化器科、外科、呼吸器科、皮膚科、歯科
許可病床数 653床
一般病床:60床
精神病床:533床
療養病床:60床
機能評価 精神科病院(200床以上)(主たる機能)、一般病院1(副機能)、慢性期病院(副機能):3rdG:Ver.2.0
開設者 医療法人報徳会
管理者 鈴木三夫(病院長)
開設年月日 1961年昭和36年)
所在地
320-8521
栃木県宇都宮市陽南四丁目6番34号
位置 北緯36度32分11秒 東経139度52分0秒 / 北緯36.53639度 東経139.86667度 / 36.53639; 139.86667
二次医療圏 県東・央
特記事項 1984年宇都宮病院事件が発覚した
PJ 医療機関
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報徳会宇都宮病院(ほうとくかいうつのみやびょういん)は、栃木県宇都宮市にある私立精神科病院である。設置者は医療法人報徳会

1983年、入院患者2名が死亡した宇都宮病院事件が発生した。その後、院内で行われていた虐待や違法な診療、無資格者による遺体解剖、院長のファミリー企業における作業療法と称した患者の労働搾取など、さまざまな問題が明らかになり、当時の石川文之進院長を含む数人の職員が実刑判決を受けて服役した。[1]

単に宇都宮病院とも呼ばれる[注釈 1]。なお、国立病院機構宇都宮病院栃木県済生会宇都宮病院など、他の「宇都宮病院」を名乗る医療機関とは全く関係がない[注釈 2]

医療法人報徳会の「報徳」とは、栃木県に由縁のある二宮尊徳の教えに由来するものである[2]

公益財団法人日本医療機能評価機構認定病院(病院評価は3rdG:Ver.2.0〈4回目、2020年1月6日認定、2024年8月22日認定有効期限[3]〉)。

沿革[編集]

  • 1960年昭和35年) - 医療法人報徳会設立許可[4]
  • 1961年(昭和36年) - 医療法人報徳会宇都宮精神病院開設[5]
  • 1983年(昭和58年) - 4月12月に看護職員による精神科入院患者2名が暴行・虐待死する事件が発生(宇都宮病院事件)。人権を無視した精神医療が社会的な非難を浴びた。
  • 2002年平成14年) - 宇都宮病院および併設の老人保健施設「陽南」で病原性大腸菌O-157による食中毒が発生し、8名が死亡[6]
  • 2022年(令和4年) - 何の精神疾患も認知症症状もないにもかかわらず37日間にわたり強制的な入院と向精神薬投与などを受け心身に損害を受けた男性が、報徳会宇都宮病院と担当医師らに損害賠償を求めて提訴した。[7]強制的に長期間入院させたのは監禁罪にあたるとして、宇都宮地検に刑事告訴もしている。[8]

病院概要[編集]

診療科目[編集]

2020年時点での診療科目は以下の通り[9]

医療機関の認定[編集]

(この節の出典[9]

不祥事[編集]

  • 宇都宮病院事件 - 看護職員が金属パイプで患者を約20分にわたって乱打し死亡させた事件。死者2名。
  • 宇都宮病院事件以前から「看護師診療を違法に行わせる」「患者の虐待」「作業療法と称して石川院長一族の企業で違法に働かせる」「病院裏の畑で農作業に従事させ違法に収穫物を職員に転売する」「ベッド数を上回る患者を違法に入院させる」「死亡した患者を違法に解剖する」などの違法行為が行われていた。
  • 石川文之進院長を無資格診療指示の疑いで逮捕。その後起訴され懲役8カ月の実刑判決が確定。厚生労働省の医道審議会は同氏に対し医業停止2年の処分を決定した。[10]

交通アクセス[編集]

関連施設[編集]

  • 社会福祉法人報徳会 特別養護老人ホーム「葛生ホーム」
  • 社会福祉法人大恵会 特別養護老人ホーム「今市ホーム」「ひかりの里」
  • 医療法人報徳会付属平畑静塔記念介護老人保健施設「陽南」
  • 医療法人報徳会付属援護寮「みなみ」
  • 精神障害者地域生活援助グループホーム
  • 学校法人大恵会 石川幼稚園
  • 医療法人大恵会 大恵痛みクリニック
付属学校
  • 医療法人報徳会 宇都宮病院附属准看護学校 - 1973年開校。宇都宮市陽南4-6-34(宇都宮病院本館7階)。
  • 医療法人報徳会 報徳看護専門学校 - 2007年4月開校。宇都宮市上横田町1302-12。

周辺[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ とちぎ医療情報ネットにおける医療法上の届出名称は、法人名を冠さず単に「宇都宮病院」である。これに対し、院内報は『報徳会宇都宮病院だより』であり、公式サイトには医療法人報徳会宇都宮病院の名前も見られる。
  2. ^ 地元では他の宇都宮病院と区別するため、所在地の地名から「陽南の宇都宮病院」と呼ばれる場合もある[要出典]

出典[編集]

  1. ^ https://www.facebook.com/mainichimedical.+“滝山病院問題から考える~精神科病院の不祥事はなぜ繰り返されるのか | 人生100年時代を生きる~精神科医の視座2~ | 斎藤正彦”. 毎日新聞「医療プレミア」. 2023年6月2日閲覧。
  2. ^ 沿革”. 宇都宮病院. 2020年5月31日閲覧。
  3. ^ 病院評価結果の情報提供”. 公益財団法人日本医療機能評価機構. 2020年5月31日閲覧。
  4. ^ 法人設立”. 宇都宮病院. 2020年5月31日閲覧。
  5. ^ 法人設立以後の沿革”. 宇都宮病院. 2020年5月31日閲覧。
  6. ^ 病院給食:宇都宮の病院・老健、O157で8人死亡、原因経路の特定急務”. 日本食糧新聞電子版 (2002年8月30日). 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ 報徳会宇都宮病院の驚愕実態とは 強制入院させられた男性が病院を提訴”. 週刊金曜日オンライン. 2023年6月2日閲覧。
  8. ^ 「文春オンライン」特集班. “「患者を鉄パイプで殴り暴行致死」「無許可で脳摘出手術」「酒に酔っただけの“患者”を20年間入院」“誤認入院”で提訴『報徳会宇都宮病院』の恐ろしすぎる悪名”. 文春オンライン. 2023年6月2日閲覧。
  9. ^ a b とちぎ医療情報ネット”. 栃木県. 2020年5月31日閲覧。
  10. ^ https://www.facebook.com/ToyokeizaiOnline+(2021年7月14日).+“報徳会宇都宮病院に今も君臨する95歳社主の正体”. 東洋経済オンライン. 2023年6月2日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]