鬼の舌震
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鬼の舌震(おにのしたぶるい)は島根県奥出雲町にある峡谷。斐伊川支流の大馬木川上流に位置するV字谷で、1927年(昭和2年)4月8日に国の名勝及び天然記念物に指定された[1]。正式指定名称は鬼舌振(おにのしたぶる)。1964年(昭和39年)4月17日には鬼の舌震県立自然公園に指定されている[2]。
地名は『出雲国風土記』の一文にある「和仁のしたぶる」が転訛したものといわれている。
概要
[編集]一帯は粗粒黒雲母花崗岩からなっており、それらが長年に亘って浸食されたものである。谷底には無数の甌穴、巨岩が至る所に露出しており、得も言われぬ奇観を呈している。
両岸は樹木に覆われ、イヌブナ、シデ、ナツハゼ、カエデ等の広葉樹林となっている[2]。また、河川は清流で知られ、オイカワ、ウグイなどが泳ぐほか、ヤマセミ、カワガラスなど清流に棲む鳥類も見られる。
探勝用に遊歩道が整備されており、遊歩道はバリアフリー化されている[2]。
近年、下流に出来たダム湖の影響により河床が上がり、峡谷の最下部では以前の景観が失われつつある。
与謝野晶子、鉄幹夫妻は昭和5年にこの鬼の舌震を訪れており、その際に詠んだ歌は『碧雲抄』にまとめられている[3]。
参考文献
[編集]- 加藤陸奥雄他編『日本の天然記念物』、講談社、1995年3月20日 第1刷 862、864ページ ISBN 4-06-180589-4
脚注・出典
[編集]- ^ 文化庁国指定文化財等データベース
- ^ a b c 「鬼の舌震県立自然公園(S39.4.17指定)」『島根県』。2024年11月5日閲覧。
- ^ 国立国会図書館. “与謝野晶子が昭和5年5月に島根を訪れた際、「鬼の舌震(したぶるい)」で詠んだ歌が知りたい”. レファレンス協同データベース. 2022年11月2日閲覧。