高濃縮ウラン

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1953年に行われたW9核砲弾の実験。M65 280mmカノン砲で発射。核出力は広島に投下されたのと同じ15kt。W9はアメリカ陸軍初の核砲弾であり、ガンバレル型の核分裂弾頭である。核物質には50kgの高濃縮ウランを用い、砲弾状のものとリング状のものとを衝突させることにより臨界量に達し、核分裂反応を開始させる。

高濃縮ウラン(こうのうしゅくウラン、HEU,High Enriched Uranium)とは、核分裂を起こすウラン235の濃縮度を20%以上に高めたウランのことであり[1][2]原子爆弾[2]研究用原子炉[3]、軍事用艦艇の原子力推進機関などに使用される。

天然ウランに含まれるウラン235は、およそ0.7%程度である為、濃縮度を高めるにはウラン濃縮を行う必要がある。 高濃縮ウランは、原子炉で用いられる低濃縮ウラン燃料に対し、相対的に核暴走を引き起こしやすいため、取り扱いに注意を要する。原子爆弾向けには最低20%以上、実用上90%以上の濃縮度が必要とされている[4]。高濃縮ウランは、核兵器転用・核テロの可能性があるため、それを燃料としていた原子炉の低濃縮ウラン利用への転換も進められている[5]

原子力推進機関を備えた艦艇で、高濃縮ウランが使用されるのは、燃料の交換を不要にするためである。原子力空母原子力潜水艦の核燃料交換には、船体を大きく切り開く必要があり、多大な費用が必要となるが、高濃縮ウランを使用することで、艦齢より長い原子炉稼動期間を実現し、理論的に核燃料の交換作業を不要とした。

脚注[編集]

関連項目[編集]