高橋五郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search

高橋五郎(たかはし ごろう、1948年 - )は日本の中国研究農学者農学博士(1991、千葉大学)。新潟県出身。専門は中国農村経済学、中国と日本の食品問題。現在、愛知大学現代中国学部教授。同大学の国際中国学研究センター(ICCS)所長を務めている。中国とアジアの農業と食品問題を幅広く研究、両国の農民・消費者の実践的な利益を考えるためのシンクタンク「中国アジア農業食品問題研究所」(名古屋市)代表。中国の大学主催の国際シンポジュウムには年数回、完全招待(航空機、宿泊、交通費等が先方負担のこと)され、講演・発言をしている。中国には、農村経済調査・シンポジュウム参加・討論等のため、ほぼ毎月のように訪問。

新聞、著名週刊誌等のコメンテーターも務めることが多いなどマスコミへの登場機会も多く、テレビでは、NHK BS1「国際報道2014」の特集、”日本の中国農業ビジネス進出”、北京、ハルビン、鄭州などを現地取材した同「国際報道2014」”中国の不動産業で何が起きているのか”にもゲスト出演、これを基にしたニュースなどにも援用報道されるなどして注目された。

その他のラジオ・テレビ出演も多数。NHK「ニュース9」電話出演、NHK「ニュースウエーブ」コメント、TBSNEWS23」特集主演出演、テレビ朝日「グッドモーニング」電話出演、荻上チキ「Session22」電話出演など多数。2015年には日本テレビの中国食品問題を報じた1時間番組のドキメンタリーの制作に関わった。地元の東海ラジオの長寿番組「チャイナ・ナウ」にもしばしば登場。

全国へ講演に招かれる機会も多数。

各国への渡航歴も多く、これまで中国を筆頭に、香港、台湾、韓国、インド、タイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、その他アジア各国、アメリカ、欧州各国、豪州など多数。海外の研究者を中心に各国に友人が多く、得意な英語を使って、現地の友人とともに、欧米・東南アジア圏に調査に出かける機会も少なくない。

教育にも熱心で、学部教育には定評があり、ゼミ生の人気も高いという。大学院中国研究科では博士前期・博士後期の指導に取組み、中国の南開大学と中国人民大学などから来ている留学生には、日中農業経済関係論などを中心に、中国語で教育をしている。内外の卒業生からの信望も厚い。 

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:%E9%AB%98%E6%A9%8B%E4%BA%94%E9%83%8E%E8%BF%91%E5%BD%B1.jpg

学歴[編集]

  • 愛知大学法経学部経済学科卒業。
  • 1991年千葉大学大学院自然科学研究科(生産資源生産科学専攻)博士課程修了(農学博士)。論文の題は「農業生産協同組合への論理構造」(教条的・社会主義的生産協同組合論や思想たとえばスターリン型の旧ソ連・東欧型農業生産協同組合を批判。中国式の人民公社も、同じ系譜に属するとして論理的に批判。土地の国有自体を批判、土地の「私的・類的所有」が本来的生産協同組合的土地所有のあり方と規定)[1]
  • 1960年代中期、北京放送が良く聞こえる新潟に住んだ高橋は毎夜ラジオに流れる「北京放送」を聞き、中国が文化大革命に向かう様を窺っていた。一方で、”アメリカ帝国主義は張子の虎である”ということばを繰り返す中国人女性アナウンサーの日本語に魅せられる。

研究対象[編集]

  • 土地制度の経済学的理論について磯部俊彦、斉藤仁(宇野弘蔵門下)、土地合体資本論について旗手勲(古島敏雄の直系)、玉城哲(水利制度、灌漑制度の経済学的理論を構築、ウイットフォーゲルを批判)、協同組合理論については近藤康男批判を通じて独自の理論を構築した三輪昌男(「協同組合の基礎理論」は不朽の名作)や竹中久二夫、中国農業問題についての研究方法や成果は、これらの理論的蓄積を踏まえて各地における実態調査の経験を軸に自身が形成。
  • 高橋は独特の中国研究方法を持っている。俗にいう中国そのものについての研究家ではなく、「中国における農業・農村・農民および食料社会・経済問題」の研究家である。言い換えると、現在の研究対象となっている中国農業も中国国家に属する農業そのものが研究対象なのではなく、中国内における農作物がどのような環境(農地、農民)によって作られ、どのような生産がなされているかについて研究しているのである。高橋にとって、中国そのものは研究の舞台である。ここから、国や地域比較農業研究の視座が明確に見えている。高橋は日本全国の農村を隈なく歩くことはもちろん、アメリカ、西欧、旧東欧、アジア、オセアニア各国の農村を歩き、比較するために、統一された農業研究方法の必要性を痛感したという。現代中国の研究方法論に強い関心を寄せ、加々美光行等と「現代中国学」構築をめざす研究活動にも参加してきた。
  • このような高橋独特の方法による中国農業研究のきっかけは、1970年代に始まる。その後1980年代中盤になってから日本の食生活は「おふくろの味」から加工食品を中心にした「袋の味」が幅を利かせるようになって行った。食品の加工度が高くなればなるほど、原材料は見えにくくなり、食品の安全性にかかわるリスクも大きく広がっていた。こうした加工食品の多くは、やがて中国産の原料を使用するようになり、あるいは中国で生産されていたため、その生産現場、中国農業の実態を知らなければ、日本の食生活崩壊、食料自給率改善の提言ができないと考えたからである。最近、自給率を金額で計算すべきだといった荒唐無稽な見解も生まれているが、高橋がいう食料自給率はあくまでも正統的な熱量ベースである。
  • 最近の著作(「新型世界食料危機―中国と日本の挑戦」、「日中食品汚染」)等の中で、高橋は「デジタル食品」「食品モジュール」「食品アンブレラ」といった氏独特の発想による新しい概念や考え方を次々に打ち出している。従来の研究方法になかったもので、関係業界や食品行政、学界等から注目を集めている。
  • 高橋は40年以上に渡る中国農業問題の専門家として名が通っているが、同時に、隠れた中国金融問題の研究家でもある。それは、氏が若いころ農中系調査機関に草鞋を脱ぎ国内・国際調査に従事していたことによるとも云われている。査読付き国際研究誌に発表したある英語論文(中国・アメリカのベース・マネー分析とアベノミクスの問題を言及したものや中国バブルをめぐる議論の多くを批判的に考察、緻密な現地実態調査をもとにした論文など)は掲載後、毎月100本ほどダウンロードされている。

著作[編集]

  • 「農家の借金」 (農文協 1987年)
  • 「生産農協への論理構造」 (日本経済評論社 1993年)
  • 「国際合作経済論文集」(共著) (中国商業出版社 1993年)
  • 「世界食料の展望」(翻訳)(農林統計協会 1998年)
  • 「国際社会調査」 (農林統計協会 2000年)
  • 「新版 国際社会調査―中国・旅の調査学」 (農林統計協会 2007年)
  • 「中国経済の構造転換と農業」 (日本経済評論社 2008年)
  • 「海外進出する中国経済」(編著)(日本評論社 2008年)
  • 「農民も土も水も悲惨な中国農業」 (朝日新書 2009年)
  • 「新型世界食料危機―中国と日本の戦略」 (論創社 2011年)
  • 「中国多国籍企業の海外経営」(共著)(日本評論社 2013年)
  • 「日中食品汚染」(文春新書 2014年)
  • 「中国社会の基層変化と日中関係の変容」(代表執筆/共著)(日本評論社 2014年)
  • 「デジタル食品の恐怖」(新潮新書 2016年7月)
  • その他論文、評論、書評など数百編(ここでは省略)。

(論文はここでは掲載されていないが、海外で発行された英文論文数編は高い評価を得ている)

所属学会[編集]

  • 留美中国経済学会(国際学会)
  • 国際農業経済学会(国際学会)
  • 香港経済学会(国際学会)
  • 中国経済学会(日本国内学会)
  • アジア政経学会(日本国内学会)

複数の国際経済誌の編集委員も務める。

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 博士論文書誌データベース