高山正之

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高山 正之髙山 正之、たかやま まさゆき、1942年 - )は、日本ジャーナリストコラムニスト。元産経新聞記者、元帝京大学教授

経歴[編集]

東京都出身。東京都立九段高等学校を経て、1965年東京都立大学法経学部法学科卒業後、産経新聞社に入社。警視庁クラブ、羽田クラブ詰、夕刊フジ記者を経て、産経新聞社会部次長(デスク)。1985年から1987年までテヘラン支局長を務め、1980年代のイラン革命やイラン・イラク戦争を現地で取材。また、アジアハイウェイ踏査隊長としてアジア諸国を巡る。1980年代後半、芸能方面へ異動となる。当時の編集局の上司と、国際報道についての報道方針を巡って対立があった為とされる。この頃テレビ朝日の昼の番組で、芸能解説をやっていたのもこれが原因だという[1]。1992年から1996年までロサンゼルス支局長。

1998年より3年間、産経新聞夕刊1面にて時事コラム「高山正之の異見自在」を執筆。定年後、2001年から2007年3月まで帝京大学教授を務める。現在、『週刊新潮』誌上で「変見自在」、『テーミス』誌上で「日本警世」、『Voice』誌上で「日本の事件簿」を連載中。

論調・主張[編集]

コラムにおける批判対象は国外においては中華人民共和国大韓民国朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・アメリカ合衆国をはじめとした欧米諸国(特にオーストラリア)、国内では官僚とマスコミ(特に朝日新聞社)、原発反対者などである。産経新聞の論調と同じく、日本社会党社会民主党日本共産党などの革新政党左翼勢力)や民主党に対しても批判的である。これらの政党を支持する労働組合に対しても強い批判を加えている。ニューヨークタイムス記者のノリミツ・オオニシ帰化人扱いしている[2]

タイ中華民国(台湾)、ミャンマー政府には好意的である。「変見自在」ではタイの親日ぶりを示すエピソードを何度も紹介し、台湾については「異見自在」で「(日本は)しばらく台湾に統治してもらってリップンチェンシン(日本精神)を再移植してもらうのもいいアイデアかもしれない」[3]と書いたこともある。また、ミャンマーを統治する国家平和発展評議会についても北朝鮮やパキスタン、中国のような「軍事政権[4]と同列に批判すべきではないと主張している[5]。そのほか、サッダーム・フセイン等イスラム圏におけるバアス党の政治家にも好意的かつ同情的。

新聞記者としての唯一の特ダネは、初代羽田空港長の中尾純利朝鮮動乱のさなか米軍機でソビエト連邦や中国にスパイを運ぶ仕事を請け負っていたというものだったが、米国の思惑を気にした編集長が不採用とし、紙面には載らなかった。反発した高山が他所で発表した為、「業務怠慢」と判断され再度異動となったとしている[6]

国鉄労働組合批判[編集]

1987年国鉄分割民営化時にJR各社へ採用されなかった国鉄労働組合(国労)の組合員とその遺族が続けてきた裁判(JR採用差別闘争)の和解(2010年)に際し、「その労組から1億円近い献金を受けていた民主党の三日月大造衆議院議員の骨折りもあって、JR移行時に不採用になった国労のワルたち約1000人に、一人当たり2200万円もの掴み金が国費から出されることになった。」「彼らが人間ならば受け取ったカネを丸ごと国に返上し、彼らのつくった負債28兆円の返済の足しにするだろう。」と非難した。

また、過去の国労の悪行として、高山は米軍燃料輸送列車事故1967年)や東中野駅列車追突事故1988年)を指摘し、2005年に起きたJR福知山線脱線事故についても「不行跡を続けた職員は口を拭ってJRに移ったが、素行はいまだに変わっていない。100人を超える死者を出した福知山線事故は、どう見ても新宿駅事放と同じに不適格運転士の暴走が事故の原因だった。」と国労の責任を追及している[7]

朝日新聞に対して[編集]

1984年10月31日付けの朝日新聞1面で藤原彰が日本軍による毒ガス戦と断定した「これが毒ガス作戦と元将校」という見出しの写真つき記事に対して、産経新聞社記者で後に論説委員となった石川水穂が、毒ガスではなく煙幕であるという原稿を書き上げた。産経新聞社会部ではどのデスクも朝日新聞に遠慮してこの原稿を採用しなかったが、当時デスクに就いたばかりの高山はこの原稿を採用し、1984年11月11日付サンケイ新聞(当時)社会面のトップに記事が掲載された。

これに対し、当時朝日新聞社の佐竹昭美学芸部長が産経新聞編集局に抗議に訪れ、高山が一人で対応した。その際、「朝日に盾突くとはいい度胸だ」「有難うございます」「馬鹿野郎、褒めたんじゃない。産経など潰してしまうぞ」というようなやり取りが交わされたとされる[8]。なお、この「毒ガス」は、実際は石川が指摘したように「煙幕」だったことが判明している。朝日新聞は誤報を認め、11月14日付で訂正記事を出した[9]

ロッキード事件について[編集]

ロッキード事件に関して、東京地検特捜部副部長の吉永祐介が、対潜哨戒機P3Cの導入がらみの事件を全日空トライスター受注をめぐる事件として捏造した、と主張。吉永副部長はいぶかる新聞記者に対して「黙れ」「とにかく今後P3Cと書くことはならん」と言い、違反したら地検の会見には出させないと脅すと、翌日からP3Cが紙面からきれさっぱり消えたという。そして、ロッキード社幹部のコーチャンに、偽証しても罪に問わないなどの免責を与えて証言させ、裁判所も怪しい証言を証拠採用し、田中角栄は逮捕された。吉永副部長は首を捻る新聞記者に対して「米国人は聖書に手を置いて証言するから嘘は言わない」と言ったという[10]

支那事変以降の中国を巡る国際情勢について[編集]

支那事変日中戦争)に関して、日本は、有為の人材を育て、金を与え、英仏に負けないよう軍の近代化も手助けし、中国と組んでアジアの開放をめざしたが、植民地を失うことを恐れた白人国家がこれを潰すために、ドイツは武器を、英米は金と戦闘機を蒋介石に与えて中国を買収し、日本にけしかけた。裏切りの報酬として、中国は日本に代わって大国扱いされ、国連の常任理事国になり、中国人の領土でなかった満州チベットウイグルをもらった、と主張している[11]

TV出演[編集]

タイトル 放送日
庇を借りて母屋を乗っ取る? 2008年10月4日

著作[編集]

単著[編集]

  • 『アテンション・プリーズ』(航空新聞社、1978年)
  • 『飛行25000時間』(文藝春秋、1983年)
  • 『鞭と鎖の帝国 ホメイニ師のイラン』(文藝春秋、1988年)
  • 『チェレンコフの業火』(文藝春秋、1993年) ※テヘランが舞台の国際陰謀小説
  • 『情報鎖国・日本 新聞の犯罪』(廣済堂出版、2001年)
  • 『異見自在 世界はみんな腹黒い』(PHP研究所、2001年)
    • 『世界は腹黒い 異見自在』(高木書房、2004年) 上記の完全版
  • 『歪曲報道 巨大メディアの「騙しの手口」』(PHP研究所、2006年→新潮文庫、2015年)
  • 『日本人が勇気と自信を持つ本 朝日新聞の報道を正せば明るくなる』(テーミス、2007年)
  • 『「モンスター新聞」が日本を滅ぼす メディア閻魔帳』(PHP研究所、2008年)
  • 『日本人の目を覚ます痛快35章 朝日新聞・米国・中国を疑え』(テーミス、2010年)
  • 『「官僚は犯罪者」は世界の常識』(PHP研究所、2010年)
  • 『白い人が仕掛けた黒い罠 アジアを解放した日本兵は偉かった』(ワック、2011年)
    • 改題『アジアの解放、本当は日本軍のお陰だった! 』(ワック、2014年) 上記の改訂版
  • 『高山正之が米国・支那・韓国・朝日を斬る 日本人をますます元気にする本』(テーミス、2013年)
  • 『アメリカと中国は偉そうに嘘をつく』(徳間書店、2015年2月)

変見自在シリーズ[編集]

  • 『サダム・フセインは偉かった 変見自在』(新潮社、2007年→新潮文庫、2011年)
  • 『スーチー女史は善人か 変見自在』(新潮社、2008年→新潮文庫、2011年)
  • 『ジョージ・ブッシュが日本を救った 変見自在』(新潮社、2008年→新潮文庫、2011年)
  • 『オバマ大統領は黒人か 変見自在』(新潮社、2009年→新潮文庫、2015年)
  • 『偉人リンカーンは奴隷好き 変見自在』(新潮社、2010年→新潮文庫、2016年)
  • 『サンデルよ、「正義」を教えよう 変見自在』(新潮社、2011年)
  • 『日本よ、カダフィ大佐に学べ 変見自在』 (新潮社、2012年)
  • 『マッカーサーは慰安婦がお好き 変見自在』(新潮社、2013年)
  • 『プーチンよ、悪は米国に学べ 変見自在』(新潮社、2014年)
  • 『習近平よ、「反日」は朝日を見倣え 変見自在』(新潮社、2015年9月)
  • 『朝日は今日も腹黒い 変見自在 』(新潮社、2016年10月)

共著[編集]

  • 『「訴訟亡国」アメリカ 標的にされる在米日系企業』(文藝春秋、1995年) ※立川珠里亜との共著
    • 改題『弁護士が怖い! 日本企業がはまった「米国式かつあげ」』(文春文庫、1999年)
  • 『日本はどれほどいい国か 何度でも言う、「世界はみんな腹黒い」』(PHP研究所、2008年) ※日下公人と共著
  • 『アメリカはどれほどひどい国か』(PHP研究所、2009年) ※同上
  • 『世界は邪悪に満ちている だが、日本は……。』(ワック、2015年12月) ※同上
  • 『日・米・独―10年後に生き残っている国はどこだ』(ベストセラーズ 、2016年10月) ※川口マーン惠美と共著

脚注[編集]

  1. ^ 高山『ジョージ・ブッシュが日本を救った 変見自在』(新潮社、2008年)96-97頁
  2. ^ 高山正之「変幻自在 207: 似非日本人」、『週刊新潮』第2554号、新潮社、2006年6月13日、 146項、 ISSN 0488-7484
  3. ^ 「異見自在」2000年7月1日の「日本人の忘れ物 今度は台湾の植民地になろう」。なお、“リップンチェンシン”とは李登輝の発言によるもの
  4. ^ なお、これらの3国は明確な軍事政権国家であるミャンマーと違い、いずれも軍事政権ではない。
  5. ^ 「変見自在」2008年5月22日の「不信感」
  6. ^ 高山正之『ジョージ・ブッシュが日本を救った 変見自在』(新潮社、2008年)197頁
  7. ^ ただし、三日月は日本鉄道労働組合連合会(JR連合)の幹部、ATSを解除して東中野駅事故を招いた運転士は全日本鉄道労働組合総連合会(JR総連)系の東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)の組合員、カーブでの速度超過により福知山線脱線事故を起こした運転手はJR連合系の西日本旅客鉄道労働組合(JR西労組)の組合員と、いずれも国労とは競合関係にある労働組合に所属していた。また、福知山線脱線事故では航空・鉄道事故調査委員会による最終報告書の中で西日本旅客鉄道(JR西日本)の「日勤教育」との関係が指摘されたが、高山はこの点については言及していない。高山正之 (2010年8月23日). “国労に良心はないのか?”. Voice. 2011年2月13日閲覧。
  8. ^ 高山「本多勝一には書けない本当の「中国の旅」」月刊『WILL』2008年7月号[要ページ番号]
  9. ^ 矢吹晋煙幕が毒ガスに化けた化学戦の怪」、『蒼蒼』第3号、蒼蒼社、1985年1月、2011年2月2日閲覧。
  10. ^ 高山正之『サンデルよ、「正義」を教えよう』[要ページ番号]
  11. ^ 高山正之『歪曲報道』[要ページ番号]、『サダム・フセインは偉かった』[要ページ番号]、『スーチー女史は善人か』[要ページ番号]