食人族

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食人族
Cannibal Holocaust
監督 ルッジェロ・デオダート
脚本 ジャンフランコ・クレリチ
製作 ジョヴァンニ・マッシーニ
F・D・チネマトグラフィカ
音楽 リズ・オルトラーニ
撮影 セルジオ・ドフィッツィ
配給 イタリアの旗 ユナイテッド・アーティスツ
アメリカ合衆国の旗 日本の旗 20世紀フォックス
公開 イタリアの旗 1980年2月7日
日本の旗 1983年1月15日
アメリカ合衆国の旗 1984年6月19日
上映時間 95分
製作国 イタリアの旗 イタリア
言語 英語
スペイン語
製作費 $100,000
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食人族』(しょくじんぞく、原題:Cannibal Holocaust)は、イタリアの映画監督、ルッジェロ・デオダートによるホラー映画である。日本では1983年1月に公開され、そのインパクトの強いCMの影響もあり、大ヒットを記録した。カニバリズムを題材とした映画の金字塔ともいえる作品となっている。

概要[編集]

本作は、焼却を命じられたフィルムが流出されたという設定で、ドキュメンタリー映画調に構成されたフィクション(モキュメンタリー)である。しかし、配給側は意図的にドキュメンタリー映画のように宣伝したため、実際に起こった事件だと誤解する観客が続出した[1]

「ドキュメンタリーに見せかけたフィクション」という宣伝方法は、十数年の時を経て『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』で再び花開く。

ストーリー[編集]

ドキュメンタリー制作のためにアマゾン川上流の“グリーン・インフェルノ”と呼ばれる密林地帯に向かった、フェイ・ダニエル、アラン・イェーツ、ジャック・アダム、マーク・トンマーの4人の探検隊が消息を絶った。捜査に向かったニューヨーク大学のジョン・モンロー教授は、原住民の襲撃や残虐な儀式などを目の当たりにしながら、ヤマモモ族に接触、4人の白骨死体の周囲に遺されたフィルムを入手する。

そのフィルムには、密林の奥でヤマモモ族と出逢ってからの4人の行動が克明に記録されていた。彼らはカメラの前でセックスするなどの異常性をのぞかせながら、原住民の少女をレイプし、部族間の抗争を演出するために、放火した家に原住民たちを閉じ込めて焼き殺すなど、さまざまな蛮行を繰り返し、ついにヤマモモ族を怒らせたのだ。フィルムには次々と襲い掛かる原住民によって4人が狩り出され、犯され、殺害された末に食われる様が最後まで収められていた。試写の後、フィルムは焼却されることになった。

モンロー教授は呟いた。「文明人と食人族、本当の野蛮人はどっちなんだろう」。

キャスト[編集]

  • モンロー教授:ロバート・カーマン(吹替:野村達也
    行方不明になった4人を調べるため仲間と共に現地に飛び、ヤマモモ族と接触をはたす。そしてガイドのはからいにより、ヤマモモ族や樹族の村人たちと友好関係的に親しくなる。その後、ヤマモモ族の案内により行方不明の4人の白骨死体とカメラを発見する。
  • フェイ:フランチェスカ・チアルディ(吹替:塩谷綾子
    ヤマモモ族に直接手出しはしなかったが、アランやジャックのとばっちりによりヤマモモ族の男性にレイプされ、首を切断された後に食い殺されるという悲惨な最期を遂げる。
  • アラン:ガブリエル・ヨーク(吹替:里卓哉
    ヤマモモ族の家を燃やし、少女をレイプするなどの悪逆を働くが、最後にヤマモモ族に食い殺されるという末路をたどる。
  • ジャック:ペリー・ピルカネン(吹替:加藤優季
    アランと同じく、ヤマモモ族の家を燃やし少女をレイプするなどの悪逆を働くが、最後にヤマモモ族に食い殺されるという末路をたどる。
  • マーク:ルカ・バルバレスキー(吹替:斎藤亮太
    カメラマン。4人の中では最後まで生き残るも、最終的にはヤマモモ族に殺害された。
  • フェリペ:リカルド・フュエンテス
    ガイド。ヤマモモ族の村に着く直前、毒蛇に噛まれたためアランに片足を切断されるが、毒が全身に回って死亡する。

スタッフ[編集]

  • 監督:ルッジェロ・デオダート
  • 製作:ジョヴァンニ・マッシーニ
  • 脚本:ジャンフランコ・クレリチ
  • 音楽:リズ・オルトラーニ

作品解説[編集]

本作の「野蛮を撮影する文明人こそ野蛮」というモチーフは、ドキュメンタリーを装ってさまざまなヤラセを行ってきた、グァルティエロ・ヤコペッティの『世界残酷物語』などに代表されるモンド映画に対するセルフパロディともいえる。それを意識してか、音楽に関しても『世界残酷物語』の「モア」など、モンド映画に分不相応なほど美しい曲の数々を提供してきたリズ・オルトラーニを起用しており、映画の内容とは程遠い美しいテーマ曲が流れている。

ポスターのイメージとなった串刺し女性は、映画のスタッフである。彼女は杭の先端を口にくわえ、地面に突き刺したサドル付きの杭の上に腰掛けて、撮影に臨んだという。

本作は1983年1月に日本で公開されたが、正月映画第2弾として公開されたにもかかわらず、「あなた、食べる? 食べられる?」という不気味なナレーションと共に、ショッキングな映像を小出しにして「テレビではこれ以上お見せできません」と銘打ったインパクトのあるテレビCM、その内容からドキュメンタリー映画のように見せかけた宣伝方法などで注目を浴び、10億円近い配給収入を上げる(この年の洋画配給収入ベスト10にランクインする数字である)大ヒットを記録した。

ちなみに劇中で、やらせという設定で銃殺刑の映像が流れるが、これは実際の銃殺刑の映像である。また、映画内で行われる動物虐待は全て本物であり、実際に動物を殺しているため内臓類は全て本物である。監督は「殺した動物は食べたから問題ない」という意見を述べている。

なお、ヘア解禁と謳ったDVD版は廃盤になり、一時は入手は困難であったが、2008年新編集を含む再発版がリリースされている(ヘア以外は修正されている)。

備考[編集]

  • 「テレビではこれ以上お見せできません」という惹句は、その後のホラー映画のテレビCMの定番となり、本作に便乗して公開された『食人大統領アミン』でも使用されている。
  • デオダート監督は以前にも『カニバル』という、これまた食人族映画の佳作を撮っているが、それが公開されたときも配給会社は「カメラマンが喰われた」「監督は精神病院に入院している期間のほうが長い」などと宣伝していた。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 映画の内容を事実だと信じている人もいるが、完全なフィクションであり、作中で「食べられた」4人はその後も別の作品に出演している。動物虐待については全て本物である。

外部リンク[編集]