飛んでイスタンブール
「飛んでイスタンブール」 | ||||
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庄野真代 の シングル | ||||
B面 | 潮風のサーファー | |||
リリース | ||||
ジャンル | ポップス | |||
レーベル | BLOW UP/日本コロムビア | |||
作詞・作曲 |
ちあき哲也(作詞) 筒美京平(作曲) | |||
ゴールドディスク | ||||
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チャート最高順位 | ||||
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庄野真代 シングル 年表 | ||||
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「飛んでイスタンブール」(とんでイスタンブール)は、庄野真代の楽曲で、5枚目のシングルとして1978年4月1日に発売された。
解説[編集]
庄野の最大のヒット曲として知られており、オリコンセールスは46.3万枚。累計売上は60万枚を超える[1](80万枚とも[2])。
元々は筒美京平が野口五郎のために作った曲で、野口の音域等を意識しながら完成させた作品だった[3][4]。しかし仕上がり具合から筒美は「この曲は野口より女性ヴォーカルの方が合ってる」と判断[5]。結局はレコード化されること無いまま、女性歌手用にストックされた。[要出典]
1978年当時は昭和50年代に入ってからの円高も手伝い、日本人にとって海外旅行がようやく身近なものになっていた(若い日本人女性が海外に出始めた時期がこの頃である)。このような背景から、庄野の担当だった日本コロムビアの三野明洋ディレクター(当時)は、「無国籍なイメージの曲を」ということで筒美に作曲を依頼する[6]。庄野の過去の楽曲を聴いた筒美は、ストックしてあった作品がヴォーカルに合うと確信し、ちあき哲也に作詞を依頼。ちあきはメロディーに“イスタンブール”の語呂合わせを駆使した歌詞を付けてくる[3]。さらに筒美はギリシャの民族楽器「ブズーキ」の使用を船山基紀に提案[3]。船山はそれを基調にイントロのフレーズやオブリガートを考え、全体をエキゾチックな雰囲気の楽曲に仕上げる[5]。
本作は失恋した女性のセンチメンタル・ジャーニーを描いた歌だが、歌詞の中にはトルコの最大の都市であるイスタンブールとは、地理学上全く無関係な「砂漠」が登場している。庄野は、ヒットから2年後の1980年(昭和55年)にイスタンブールを初めて訪れたが、歌詞にある砂漠のエキゾチックなイメージと、実際のトルコの風景が全く違うことを知り、その時の様子を、
と述べている。
なお、NHKで歌った時は「こんなジタンの空箱」という歌詞が『「ジタン」は(広告・宣伝放送を禁止した放送法83条1項及び日本放送協会定款51条に抵触する)たばこの商標である』という法律上の判断から「そんな煙草の空箱」と改変して歌った[8]。
本作の大ヒットにより、日本におけるイスタンブールの知名度は飛躍的に上がり、日本人にとって「トルコといえば『飛んでイスタンブール』」と云われるほどトルコで一番有名な都市、地名となった。[要出典]
発表当時は、日本からイスタンブールへの直行便はなかったが、1989年に日本 – トルコ間にトルコ航空便が就航(現在、成田国際空港および関西国際空港 – イスタンブール・アタテュルク国際空港間を運航)した。2015年からはトルコのフラッグ・キャリア、ターキッシュ・エアラインズが、日本向けの宣伝に「飛んでイスタンブール、そこから飛ぶのがルール」と本作を意識し、韻を踏んだキャッチコピーを採用した。
レコード[編集]
リリースから3ヶ月後の7月3日付オリコンシングルチャートでトップ10にランクイン。その後も順位を上げ、7月24日付チャートで3位まで上昇(最高位)。庄野自身初のヒット曲でかつ最大のセールスを記録する。庄野は本作のヒットで、『第29回NHK紅白歌合戦』の出場を果たした。
収録曲[編集]
カバー[編集]
- 飛んでイスタンブール
- 岩崎宏美(1978年12月20日・アルバム『ラブ・コンサート・パート2 〜ふたりのための愛の詩集〜』収録)
- 石川さゆり(1979年3月25日・アルバム『春一輪』収録)
- 小林幸子(1988年9月10日・アルバム『芸能生活二十五周年記念 飛翔』収録)
- 日野美歌(1991年11月25日・アルバム『Tastily』収録)
- チェリッシュ(1995年5月21日・アルバム『チェリッシュ ベスト・コレクション』収録)
- 米米CLUB
- 門倉有希
- 石原詢子・田川寿美
- Misono
- 里田まい
- 小柳ルミ子
- 林あさ美
- 荒牧陽子
- 夏川りみ
- 牧野雅己 (Vo:AKIKO)(2005年2月2日・アルバム『フラワーケース』収録)
- 森下玲可(2006年11月22日・アルバム『Romantic Woman Trance〜あゝ無情〜』収録)
- ARAHIS(2007年4月6日・アルバム『МЕЧТА(メチター)』収録)
- 秋川雅史(2007年7月11日・アルバム『筒美京平トリビュート the popular music』収録)
- 平山みき(2007年10月24日・アルバム『恋の気分で』収録)
- 山口かおる(2009年3月4日・アルバム『〜山口かおる歌謡曲集「哀愁フラメンコ」〜』収録)
- 柴田淳(2012年10月31日・アルバム『COVER 70's』収録)
- 八代亜紀(2013年11月20日・アルバム『カバーコレクション・シリーズ 八代亜紀〜日本のポップスを唄う〜』収録)
- ハン・ジナ(2017年6月7日・アルバム『時の記憶 〜カバー・コレクション〜』収録)
- 平原綾香
脚注[編集]
- ^ 富澤一誠『フォーク名曲事典300曲〜「バラが咲いた」から「悪女」まで誕生秘話〜』ヤマハミュージックメディア、2007年、459頁。ISBN 978-4-636-82548-0
- ^ 読売新聞社文化部『この歌この歌手―運命のドラマ120〈下〉』現代教養文庫、1997年、67頁。ISBN 4390116029。
- ^ a b c 榊ひろと『筒美京平ヒットストーリー 1967‐1998』白夜書房 1998年、115頁。ISBN 4-89-367563-X
- ^ BSジャパン 「武田鉄矢の昭和は輝いていた」 第128回 2015年11月25日 「筒美京平」
- ^ a b コンピレーション・アルバム『HITSTORY〜筒美京平 アルティメイトコレクション 1967〜97』解説書。1997年。
- ^ 『この歌この歌手―運命のドラマ120〈下〉』65-66頁。
- ^ 『トルコとは何か』藤原書店〈別冊 環〉、2008年、186–187ページ。ISBN 978-4-89434-626-0。
- ^ “NHKスキャンダル紅白 迷シーンを誌上再放送(5)”. アサヒ芸能. (2011年12月10日) 2016年4月25日閲覧。
関連項目[編集]
- トルコ
- イスタンブール
- つボイノリオ:『飛んでスクランブール』
- THE HIT MAKER -筒美京平の世界- - 筒美京平の作曲家生活40周年記念コンピレーション・アルバム
- 歌姫 〜センチメンタル女性ヴォーカリスト〜 - 70年代・80年代にヒットした女性ヴォーカル・ソング集
- 1978年の音楽