飛ぶ教室 (漫画)

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飛ぶ教室
ジャンル SF少年漫画
漫画:連載版
作者 ひらまつつとむ
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプ
レーベル ジャンプ・コミックス
発表期間 1985年24号 - 38号
巻数 全2巻
話数 全15話(連載)
全11話(単行本)
漫画:読切版
作者 鷹沢圭(ひらまつつとむ)
出版社 集英社
掲載誌 フレッシュジャンプ1984年7月号
その他 連載版JC2巻に収録
テンプレート - ノート

飛ぶ教室』(とぶきょうしつ)は、ひらまつつとむによる日本SF漫画作品。

概要[編集]

読切りとして描かれた同名作品(後述)を元に、『週刊少年ジャンプ』(集英社1985年5月27日号(第24号)から、宮下あきら魁!!男塾」(22号)、天沼俊すもも」(23号)に続く新連載第3弾として開始され、第38号まで全15回連載された。題名はエーリッヒ・ケストナーの同名小説飛ぶ教室』からつけられたものであるほか、副題などにも児童文学からつけられたものがある[注 1]

埼玉小学校を舞台に、校庭に設置されていた核シェルターのおかげで核戦争を生き延びた小学生たちが、核の冬に襲われつつある過酷な世界を学校での共同生活によって生き抜こうとする姿を描く作品である。後年にひらまつが明かしたところによれば、ライフラインが整備されて資金があれば何でも買える便利な生活が無くなることを想像し、恐怖を覚えたことが、本作の執筆動機になっているという[2]

後に発売されたひらまつの短編集『ミアフィールドの少女アニー』には、本作の主要人物の3年後の姿を描き「元気です。」と題されたイラストが掲載されている[3]

2015年7月16日には多数の要望を受け、復刊ドットコムから復刻された[4]。同年10月3日には大阪のLoft PlusOne Westで「『飛ぶ教室』復刊記念 -子供たちの核戦争サバイバル- ひらまつつとむスペシャルトーク&サイン会」が開催された[5]ほか、第2部を制作中であることが公表された。

2020年5月25日には『完全版 飛ぶ教室』が発売された。当時連載された全ストーリーに加え、読み切り版ならびに描き下ろしの第2部も3話掲載されている。そのあとがきにて、作者は今後も第2部を描き続けることを出版社や雑誌掲載などの詳細は未定ながら公言している[6]

世界設定[編集]

本作は、冷戦最中にある1980年代において、198x年[7]の近未来を舞台として描かれている。サバイバルの中情報が得られない設定となっているため断定はされていないが、核戦争の理由は米国ソ連どちらかの戦略核基地付近に隕石が墜落し、自動報復システムによって開始された物であり、その中でソ連の水爆東京を襲ったのであろうと仮定されている[8]

主な舞台となるのはオサム達が通う埼玉第八小学校で、同校の校庭関東に10箇所のみ作られた民間の試作シェルター[9]の中の1つ・8号シェルターがあったため、偶然近くに居た1年3組の39人、4年2組の41人、6年2組の42人で合計122人の生徒[10]と、6年2組の担任であった北川先生が生存することができた。校舎はシェルターを脱出後のオサム達の共同生活の場となっている。

あらすじ[編集]

198x年9月3日、小学6年生の安田オサムはいつも通り彼女のみつ子と共に埼玉第八小学校に登校すると、その日は校庭の大掃除が待っていた。その校庭には夏休みの間に試作の8号シェルターが作られていた。クラスメイトのタローサトルが校庭の大掃除をさぼりシェルターの中へと忍び込んだことに気づいたサトル達は、担任の北川先生を呼び、タローを追っかけシェルターの中へと入って行く。そして警報機が鳴り、タイマーが2分を切っていることに気づく。急いでシェルターの近くに居た生徒をシェルター内へと避難させると、タイマーが切れるのと同時に東京に水爆が着弾し、衝撃で崩れた天井から生徒を救おうとして北川先生が怪我を負う。そして天井崩れによって北川先生は死の灰を浴びてしまうが、生徒達を不安にさせまいとこのことを隠し続ける。

外の放射能濃度の下がるのを待って1ヶ月をシェルターの中で過ごした後に外に出ると、見慣れたはずの風景は荒廃しており生存者を確認することは出来なかった。唯一の大人である北川先生も寝込んでいるため、6年生が中心となって学校での共同生活を始めるが、それは街の商店などから放射能で汚染されていない密封された食料や水を探し出しながらのサバイバル生活であった。

オサムとサトルは代表として他の生存者を求め、比較的近いO市とS市のシェルターの探索へと出かけるが、O市のシェルターでは生存者を確認できなかった。土砂崩れによって閉じ込められたS市の7号シェルターを発掘すると、中に居たのは立花ユウ子とカオルの小学生姉妹と25人の乳幼児のみで、こちらのシェルターにも大人はいなかった。そしてその夜、劣悪な環境の中で衰弱していた乳児が1人死亡する。オサム達は7号シェルターのメンバーと共に第八小学校へと帰って行った。

先が長くないことを悟った北川先生は、事後のリーダーを決めるため大統領選を提案し、サトルが選ばれる。そして北川先生は息を引き取り、彼女の死を乗り越え子供達は再び歩み出す。

第2部は北川先生の死後から1ヶ月を過ぎた時点から話が始まる[11][注 2][注 3]

登場人物[編集]

埼玉第八小学校[編集]

安田 オサム(やすだ オサム)
6年2組。本作の主人公。どこにでもいる平凡な少年だが逆境にくじけず頑張るひたむきさを持つ。両親と幼稚園児の妹との4人家族であったが、他の仲間同様家族の安否は不明。ただし母親が山梨へと疎開したことだけは、自宅跡に残された手紙から判明している[12]。作者自身がモデル[13]。第2部では過労により倒れたサトルの代理をつとめる[14]
みつ子(みつこ)
6年2組。オサムの彼女でオサムからは「みっちゃん」と呼ばれる。男勝りな少女で一人称はボク[15]。その明るさと元気で皆を引っ張っているが、オサムの前では涙を見せる等女の子らしい可愛い一面も見せている。モデルは本田美奈子[13]。第2部での年齢は12才。厚生大臣となる[16]
サトル
6年2組。知識・統率力共にクラス一で、作者自身が「いるわけない」と言う[17]様な理想的な少年。その能力から生徒達のリーダー格として信頼されており先生を補佐し続け、後には先生の提案による大統領選挙で圧倒的な票を集めて大統領となる[18]。モデルは吉川晃司[13]。第2部での年齢は12才。大統領の他、医学班長兼電気班副長となる[19]。キヨシの緊急手術後、過労のため倒れる[20]
タロー
6年2組。粗暴だが行動力のある少年。みつ子といつも喧嘩している。タローが掃除をさぼってシェルターに忍び込んだために水爆の襲来を知ることができ、近くにいた生徒達が避難することができた[21]。モデルは衣笠祥雄[13]。第2部での年齢は12才。食料大臣となり[22]、食料調達担当のリーダーとなる。
ノボル
6年2組。食いしん坊だが、心優しく面倒見が良い少年。関西弁を喋る。モデルは笑福亭鶴瓶[13]。第2部での年齢は12才。建設大臣となる[23]
北川ひろみ(きたがわ ひろみ)
6年2組の担任の女性教師でシェルターに入った中では唯一の大人。学校創設者の娘で[24]、前任者の産休中の代理として1年前に赴任して来た[25]。美人でスタイルも良く、凛とした性格で生徒からも慕われている。シェルターの非常口を確認しに地表近くまで上がった際に、誤って「死の灰」を浴びて被曝[26]。作品は彼女の死とそれを乗り越え再び歩みだす子供達により幕切れを迎える。第2部では故人となっているが、生前に核の冬を生きるための知識をまとめた47冊の未来ノートを残している[27]
アキラ
4年生。ハムの資格を持つ。サトルに無線機修理のための部品集めを依頼する。第2部では電気班に所属、風力発電の状況を説明する[28]

7号シェルター[編集]

第八小学校から比較的近いS市の公民館に設置されたシェルター。婦人会のおばさんと幼児や乳児ばかりが避難していたが、乳児達のためにと大人達が外にミルクを探しに出た所で入り口が塞がれてしまい、生存者を求めてオサム達が訪れた頃には子供しか中にはいなかった[29]。脱出後第八小学校へと合流する。

立花 ユウ子(たちばな ユウこ)
夏風邪をこじらせ学校を休んでいたため、シェルターに避難することができた少女[29]。オサム達と同じ小学6年生[30]で閉じ込められ中では最年長。控えめながら、しっかりした性格で大人がいないシェルターで2週間もの間、乳幼児の面倒を見続けていた。ロングヘアが似合う楚々とした美少女。第2部での年齢は12才。服食大臣となり[31]、炊事と裁縫担当のリーダーとなる。
立花 カオル
ユウ子の妹。体が弱く、学校を休んでいたため姉と共にシェルターに避難することができた[29]。第八小学校へ合流後もほとんどを保健室ベッドの上で過ごしている。ジロと言う名のを飼っている。心優しく純真な性格と姉に似た愛らしい容貌から皆から(特にタロー)可愛がられる。第2部での年齢は6才。学校のアイドル的存在、体が弱いため、専用の部屋で療養している。[32]
クミ
シェルターに閉じ込められた乳児。厳しい環境の中で衰弱し、オサム達がシェルターの入り口を開いたその日の夜に息絶える[33]

第2部から登場の人物[編集]

城崎 キヨシ(しろさき キヨシ)
6年生。カメラ小僧。狼に右肩を咬まれ、サトルを中心とした医学班による血管縫合止血手術を受ける[34]
ナナミ
1年生(6才)。サンシャインビルの上階[注 4]。の調査についてオサムとみつ子に許可を求める[35]
ツバサ、カイ
1年生(6才)。サンシャインビルの上階の調査に参加する[36]
綾辻 レナ
1年生(7才)。帰国子女。母親からピアノの英才教育を受けており、サンシャインビルから回収したグランドピアノでショパンノクターンを演奏する[37]

読切版[編集]

1984年の『フレッシュジャンプ』(集英社)7月号に鷹沢圭の名義で掲載された同名読み切り作品。連載版のプロトタイプとなった[注 5]。連載版『飛ぶ教室』のジャンプ・コミックス2巻に併録されている。

「7号シェルターは登場しない」といったいくつかの差異はあるが、既に設定はほぼ出来上がっており、主な登場人物や大筋は連載版と同一。

書誌情報[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 第3話「夏への扉」はロバート・A・ハインライン同名SF小説から、第10話「最後の授業」はアルフォンス・ドーデ同名短編小説から題が取られている[1]
  2. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』426頁では災害の日(9月3日)からあと5カ月で1年となっており、3月後半から4月前半と推測されるが、第1部では食料を集めだしてから二ヶ月で北川先生が亡くなったと思われる表現があり、生徒の多くがシェルターから出た日(10月9日)から食料を集めだしたとすると、北川先生が亡くなったのは12月となり、第2部は1月頃とも解釈できる。
  3. ^ 第二部の冒頭(「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』383-391頁)では新幹線E6系電車が描かれており、少なくても2013年以降とも推測ができる描写もあるが、「天空探検の巻」533-4頁では1970-80年代のスーパーカーランボルギーニ・カウンタックデ・トマソ・パンテーラマセラティ・ボーラ)が描かれており、第1部の198x年を舞台とした描写もある。また、416頁にはセーラームーン(1992年から連載開始された武内直子による漫画)の語を見ることができる。
  4. ^ サンシャインビルは水爆の爆風で吹き飛ばされたさい、ひっくり返った状態で地面に突き刺さっているため、この場合の上階は本来のサンシャインビルの下層階になる。
  5. ^ 執筆の経緯については作者の公式ホームページ内「飛ぶ教室のこと」に詳しい。

出典[編集]

ひらまつつとむ『飛ぶ教室』〈ジャンプ・コミックス〉については『○巻』の形で表記。ひらまつつとむ『完全版 飛ぶ教室』〈潮出版社〉については『飛ぶ教室完全版』の形で表記

  1. ^ 「なるほど ザ 飛ぶ教室クイズ」『2巻』68頁。
  2. ^ 『1巻』表紙そで。
  3. ^ 「元気です。」『ミアフィールドの少女アニー』56頁。
  4. ^ “核戦争を生き延びた小学生と女教師描く「飛ぶ教室」復刻、原画販売も”. コミックナタリー (ナターシャ). (2015年6月8日). https://natalie.mu/comic/news/149850 2021年3月28日閲覧。 
  5. ^ 『飛ぶ教室 全2巻(ひらまつつとむ)』 販売ページ”. 復刊ドットコム. 2021年3月28日閲覧。
  6. ^ 「あとがき 作者からのメッセージ」『完全版 飛ぶ教室』(潮出版、2020年、p.551)
  7. ^ 「災害(わざわい)の日の巻」『1巻』20頁。なお、2020年刊行の「完全版」においては“19xx年”としている。
  8. ^ 「核のボタンを押したのは…!?の巻」『1巻』161-163頁。
  9. ^ 「探検…失われた世界への巻」『1巻』115頁。
  10. ^ 「夏への扉の巻」『2巻』100頁。
  11. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』394頁。
  12. ^ 「夏への扉の巻」『1巻』79-82頁。
  13. ^ a b c d e 「なるほど ザ 飛ぶ教室クイズ」『1巻』84頁・87頁欄外。
  14. ^ 「天空探検の巻」『飛ぶ教室完全版』518頁。
  15. ^ 「災害(わざわい)の日の巻」『1巻』13頁他。
  16. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』407頁。
  17. ^ 「なるほど ザ 飛ぶ教室クイズ」『2巻』46頁。
  18. ^ 「大統領選挙の巻」『2巻』64頁。
  19. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』424頁。
  20. ^ 「野生の叫びの巻」『飛ぶ教室完全版』497頁。
  21. ^ 「災害(わざわい)の日の巻」『1巻』51-57頁。
  22. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』402頁。
  23. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』413頁。
  24. ^ 「最後の授業の巻」『2巻』115頁。
  25. ^ 「最後の授業の巻」『2巻』110-113頁。
  26. ^ 「明日への誓いの巻」『2巻』136-139頁。
  27. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』398頁。
  28. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』432頁。
  29. ^ a b c 「希望の帰還の巻」『2巻』14-6頁。
  30. ^ 「希望の帰還の巻」『2巻』37頁。
  31. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』430頁。
  32. ^ 「大いなる遺産の巻」『飛ぶ教室完全版』418頁。
  33. ^ 「希望の帰還の巻」『2巻』20頁。
  34. ^ 「野生の叫びの巻」『飛ぶ教室完全版』490頁。
  35. ^ 「天空探検の巻」『飛ぶ教室完全版』519頁。
  36. ^ 「天空探検の巻」『飛ぶ教室完全版』520頁。
  37. ^ 「天空探検の巻」『飛ぶ教室完全版』545頁。

外部リンク[編集]