音声反訳

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音声反訳(おんせいはんやく)または音声起こし(おんせいおこし)とは、会議・講演・座談・対談などで録音された音声を反訳(文字化)する作業である。多種多様な音声データの文書化には、反訳者の豊かな知識とノウハウが必要とされる。

作業内容[編集]

録音された音声ファイルを音声反訳ソフトに取り込み、音声データを再生。音声を聞き取りながら文字化(パーソナルコンピュータに入力)する。反訳ソフトに付随する専用フットスイッチを使用して、効率よく作業を行う。

音声を反訳する際の文章の整え方[編集]

  • 逐語反訳会話分析などの場合、登場人物の語り口や言葉ぐせは、一言一句をすべて正確に厳密に「聞こえたとおり」に反訳する。
  • ケバ取り反訳。間合いをとる言葉などのケバ(無機能語)を省く。ダブリ(重複言葉)は削る。会話中、間違った言葉の後に正しい言葉が続いた場合、正しい言葉で文字化する。うろ覚えの数字や固有名詞が間違っていた場合、正しく処理する。助詞(てにをは)の誤りを訂正したり、補ったりする。この整え方は、その場の雰囲気が伝わる仕上げとなる。すべて「話したとおり」に反訳する。
  • 整文反訳。ケバやダブリは削る。明らかな間違いは直す。助詞の誤りを訂正、補完する。適切な句読点を打つ。必要ならば倒置を直す。センテンスを短くするために(文意を変えずに)語尾をつくる。以上の限定された範囲内で「発言の趣旨は絶対に変えない」ということに注意を払いながら、書き言葉風に文章を整え、読みやすく誤りのない原稿にするのが整文反訳である。 → 参考文献『絵とき・テープ起こしのテクニック』から引用

日本における音声データ文書化の推移[編集]

  • 1933年 - ドイツの電機メーカーAEGテープレコーダーを開発。「マグネトフォン(Magnetophon)」名で発売。
  • 1950年 - 戦後、東京通信工業(現:ソニー)が日本初のオープンリール式「テープレコーダーG型」を発売。
  • 1951年 - 髙橋鐵雄氏(株式会社写言堂)がG型を購入。埼玉県議会を録音。カナタイプ―モノタイプで速記録を作成。
  • 1956年 - 藤村勝巳氏が連合通信社デスクとして、大阪からの電話送稿を東京で復唱録音、テープ起こしを行う。
  • 1963年 - 田鎖式速記者の渡辺博史氏が、発売されたばかりのテープレコーダーを業務に導入。録音された音声を文字化する手法を開発する(後のテープリライト株式会社)。
  • 1973年 - 藤村勝巳氏(テープリライト株式会社)が、話し言葉と書き言葉の違いを前提にした「テープ起こし原稿」の作成を提唱する。
  • 1978年 - 日本語ワードプロセッサ「JW-10」が東芝から発売。トランスクライバーカセットテープ再生専用機・ソニー「BM-76」など)が普及。
  • 1996年 - 最高裁事務局の指導により、ソクタイプ方式だった全国の裁判記録を「テープ起こし」に変更。
  • 1998年 - ICレコーダーが、各社一斉に発売される。米国などでは、ICレコーダーで録音された音声ファイルを各レコーダーメーカーの音声反訳ソフトに取り込み、付随する専用フットスイッチの使用で、音声反訳作業が可能になる。残念ながらこのフットスイッチは、永らく日本国内では販売されず、オリンパスがメーカーでは唯一、音声反訳専用フットスイッチの国内販売を開始する。
  • 2009年 - 国会・参議院において、議事録の作成を「手書き速記」から音声聴取によるパソコン入力に変更。120年に及ぶ速記による議事録作成に終止符が打たれる。
  • [1]  → 「テープリライト 企業ヒストリー」から一部引用

脚注[編集]

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  1. ^ [1]」「テープリライト 企業ヒストリー」から一部引用

参考文献[編集]

  • 藤村勝巳『話し言葉と書き言葉 テープ取材のテクニック』(株式会社廣松書店)、1983年2月。
  • 藤村勝巳『絵とき・テープ起こしのテクニック』(出版研究センター)、1989年10月。
  • 吉川欽二『地方議会の記録事務』(公益社団法人日本速記協会)、1997年10月。
  • 吉川欽二『整文・仕上げのプロテクニック実例集』(株式会社人材工房)、1998年1月。
  • 吉川欽二『会議録作成入門 200のノウハウ・テクニック』(株式会社ぎじろくセンター)、2000年4月。

外部リンク[編集]