韓国海軍レーダー照射事件

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韓国海軍レーダー照射事件
防衛省が公開したP-1哨戒機から撮影した現場の動画
事件・インシデントの概要
日付 2018年12月20日 (2018-12-20)
概要 韓国海軍駆逐艦による火器管制レーダーの照射
現場 能登半島沖の日本海
死者数 無し
機種 P-1哨戒機
運用者 海上自衛隊
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海上自衛隊のP-1哨戒機
韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」

韓国海軍レーダー照射事件(かんこくかいぐんレーダーしょうしゃじけん)とは、2018年(平成30年)12月20日午後3時頃能登半島沖の日本海において韓国海軍駆逐艦広開土大王」(クァンゲト・デワン、DDH-971)が、海上自衛隊P-1哨戒機に対して火器管制レーダー(射撃管制用レーダー)を照射したとされる事件である[1]

日本の安倍政権が「レーダー照射があった」と主張する一方で、韓国の文政権が「レーダー照射がなかった」と主張するという、そもそものレーダー照射の有無について両国の政権の言い分が真っ向から食い違う事態になっている。

韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射[編集]

Map of DIZ
Map of DIZ
推定位置
韓国海軍の駆逐艦「広開土王」にも搭載されているSTIR-180射撃指揮レーダー
(画像は中華民国海軍のフリゲート「蘭陽」に搭載のもの)

海上自衛隊第4航空群(厚木)所属P-1哨戒機が日本の排他的経済水域 (EEZ) 内の能登半島沖で、国籍不明漁船とその救助活動をしているとみられる韓国海洋警察庁所属の5,000トン級警備艦「参峰」(サンボンギョ、ARS-5001)及びその搭載艇と思われるゴムボート2隻、そして韓国海軍駆逐艦「広開土王」(クァンゲト・デワン、DDH-971)を視認。サンボンギョとクァンゲト・デワンとの間隔は約1,000ヤード(約914.4メ-トル)。P-1は通常の活動である艦艇の撮影を実施するために、サンギョンボの右船尾から右舷側を通過、そのまま飛行しクァンゲト・デワン左艦尾へ接近、艦尾を左に見たまま通過した。

その後旋回し、クァンゲト・デワン右艦尾から右舷側を通過、次いで右旋回したのち2艦をいれた全景を撮影するために1,500フィートまで上昇を開始する。クァンゲト・デワンの左舷約5,000メートルになったところでP-1がFC(火器管制)レーダーを探知する。乗員が砲の指向等を確認しているなか、FCレーダーは継続して照射されており、機長は機体を右旋回させ一時離隔する。離隔中にも照射されており、乗員が「めちゃくちゃすごい音だ」と発言している。

その後、クァンゲト・デワンに対して、VHF緊急周波数 (121.5MHz) 、国際VHF (156.8MHz) 、UHF緊急周波数 (243.0MHz) で各2回ずつ計6回、照射の意図を尋ねたものの、一切の応答はなかった。

時系列等の推移詳細[編集]

2018年[編集]

  • 12月20日 - 午後3時頃、能登半島沖において海上自衛隊第4航空群所属P-1哨戒機(厚木)が韓国海軍の駆逐艦から[2]数分間、複数回に渡りレーダーを照射された[3]。現場は日本排他的経済水域内で、竹島からは離れている[4]防衛省の当該航空機は照射を受けた後、韓国側の艦船に無線で意図を問い合わせたが応答はなかった[5]
  • 12月21日 - 岩屋毅防衛大臣記者会見を開き事件の内容を明らかにした[2]。記者団に「韓国側の意図ははっきりと分からない」としつつ、「極めて危険な行為だ」と批判した[6]
  • 12月22日 - 防衛省は本事案について、慎重かつ詳細な分析を行い、当該照射が火器管制レーダーによるものと判断し、広範囲の捜索に適するものではなく、火器管制レーダーの照射は不測の事態を招きかねない危険な行為であり、仮に遭難船舶を捜索するためであっても、周囲に位置する船舶や航空機との関係において非常に危険な行為で、韓国も採択しているCUES(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準)において、火器管制レーダーの照射は船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき動作として挙げられていることをあげ、韓国側に再発防止を強く求めて行くことを発表した[7]。また、韓国海軍は「火器管制用レーダーを作動させたことは事実だが、日本の哨戒機を狙う意図は全くなかった」と話している[8]
  • 12月23日 - 河野太郎外務大臣は直接的な批判を抑制し「日韓関係を前向きに進めるためにも政府一丸となった対応を(韓国側に)お願いしたい」と述べた[9]
  • 12月24日 - 金杉憲治外務省アジア大洋州局長がソウル大韓民国外交部を訪れ、強い遺憾の意を表するとともに、再発防止を強く求めたが[10]韓国政府は今までの説明から一転して、「レーダー照射を行った事実はない」として、日本が事実と異なる発表を行ったと主張した[11]。22日時点では韓国軍は「火器管制レーダーを作動した」と自ら説明しており、説明に矛盾が発生している[8]。これに対し岩屋防衛大臣は「事実関係の一部に誤認がある」と記者会見で指摘し、防衛省名義の文書で「火器管制レーダー特有の電波を、一定時間継続して複数回照射された」と反論する声明を発表した[12][13][14]。‬
  • 12月28日 - 17時12分、防衛省はP-1が撮影した当時の映像を公表した[15]

2019年[編集]

  • 1月2日 - 大韓民国国防部は、海自機が駆逐艦に「威嚇的な低空飛行」をしたとして謝罪を求める声明を発表した[16]。‬
  • 1月4日 - 大韓民国国防部は、日本側が以前撮影・公開した映像に英語やハングルで字幕を足すなどして一部加工した、韓国側の主張を示した映像を公開。映像内では、『わが海軍は、人道主義的な救援活動を正当に行っていたにも関わらず、海自機が駆逐艦に威嚇的な低空飛行を行った』などと主張した。一方日本側は、反論の声明を発表する方針を固めた。公開された韓国側の映像を巡っては、『サムネイルに低空飛行しているように見せかける加工が施されている』[17]、『殆どが日本が撮影した映像で、低空飛行の根拠は一切ない』などの指摘が相次いでいる。防衛省は同日、ホームページにて、「大韓民国国防部の主張は、我々(防衛省)の立場とは異なるものである」という見解を示した[18]
  • 1月7日 - 大韓民国国防部のシム・スンソプ韓国海軍参謀総長は、海軍第1艦隊司令部を訪問。「すべての諸隊は外国艦艇・航空機遭遇など海洋で発生し得るいかなる偶発状況にも作戦例規や規定、国際法に則り即刻に対応し、現場で作戦を終結させなければならない」と注意・叱責している[19]。同日夜、先日から公開していた反論動画に関し、新たに6ヵ国語を追加した計8ヵ国語分の映像を公開した。また、防衛省も新たに韓国語の字幕等を追加した動画を同日公開。何れも動画の内容は変わっていない。
  • 1月8日 - 防衛省は、友好国の軍用機が威嚇行動をした際のマニュアルを具体的に作成していることを明らかにした[20]防衛省は同日、レーダー照射の決定的証拠となる電波情報を韓国側へ提示する用意があると発表した。一方、韓国政府がレーダーの周波数を含むデータの日本側への提供を拒否していたことが、韓国の軍事関係筋により明らかになった。
  • 1月19日 - 防衛省は新証拠として、照射されたレーダーの電波信号を音に変換したものを公開することを決めた[21]

映像公開[編集]

2019年1月に韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題で韓国がYouTubeに上げた反論動画のサムネイルには「日本の哨戒機が接近した」とした加工がされていた。韓国側は「自衛隊機の低空飛行」主張のために韓国海軍の駆逐艦の画像に海上自衛隊が公開している機体番号の違うP1哨戒機の画像を合成して、色合い加工や機体番号消しまでしていた[22]。反論動画のサムネイルはコラージュ画像であり[17]、加工による印象操作だと指摘されると、韓国側は映像のサムネイル加工していたことを認めた[22]。 他にも韓国語版と英語版で駆逐艦が意図的に消されている、音声が日本語からのコピーと加工であることが判明し韓国を有利に世論操作していたことが露見した。

脚注[編集]

  1. ^ 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案”. 防衛省. 2019年1月15日閲覧。
  2. ^ a b 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(12/21)”. 防衛省 (2018年12月21日). 2018年12月24日閲覧。
  3. ^ “韓国軍レーダー照射は数分間で複数回 「偶然とは考えにくい」”. FNN. (2018年12月23日). https://www.fnn.jp/posts/00408353CX 2018年12月24日閲覧。 
  4. ^ “韓国側「追跡目的ではない、説明を予定」 レーダー照射”. 朝日新聞. (2018年12月21日). https://www.asahi.com/articles/ASLDP66MZLDPUTIL061.html 2018年12月24日閲覧。 
  5. ^ “哨戒機、韓国艦へ「威嚇的飛行」 軍が撮影と報道”. 共同通信. (2018年12月23日). https://this.kiji.is/449521147471496289?c=110564226228225532 2018年12月24日閲覧。 
  6. ^ “レーダー照射「あとは引き金引くだけ」 政府に強い衝撃、日韓悪化避けられず”. 毎日新聞. (2018年12月21日). https://mainichi.jp/articles/20181221/k00/00m/010/240000c 2018年12月24日閲覧。 
  7. ^ 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(12/22)”. 防衛省 (2012年12月22日). 2018年12月24日閲覧。
  8. ^ a b “韓国駆逐艦が日本の哨戒機にレーダー照射、日本の抗議に韓国軍困惑”. 朝鮮日報. (2018年12月22日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/12/22/2018122280003.html 2018年12月24日閲覧。 
  9. ^ “河野外相、韓国批判を抑制 レーダー照射問題”. 毎日新聞. (2018年12月23日). https://mainichi.jp/articles/20181223/k00/00m/010/123000c 2018年12月24日閲覧。 
  10. ^ 「カメラで海自機監視」 日韓局長協議 火器レーダーは否定東京新聞2018年12月25日 朝刊
  11. ^ “韓国が一転「レーダー照射せず」 日韓主張 真っ向対立”. FNN. (2018年12月24日). https://www.fnn.jp/posts/00408436CX 2018年12月24日閲覧。 
  12. ^ “「火器管制レーダー特有の…」防衛省、韓国軍に反論の声明「低空飛行した事実はない」”. zakzak. (2018年12月26日). https://www.zakzak.co.jp/soc/amp/181226/soc1812260010-a.html 2018年12月26日閲覧。 
  13. ^ 「韓国側の主張に防衛省が反論 レーダー照射問題カテゴリ:国内 2018年12月26日 水曜 午前0:51」FNN
  14. ^ 「韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(12/25)」 防衛省 2018年12月25日
  15. ^ 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(12/28) 防衛省 2018年12月28日
  16. ^ “韓国国防省が日本に謝罪要求「事実歪曲するな」レーダー照射問題”. 産経新聞. (2019年1月2日). https://www.sankei.com/smp/world/news/190102/wor1901020024-s1.html 2019年1月2日閲覧。 
  17. ^ a b 韓国レーダー照射問題、反論動画サムネイルに「自衛隊機の低空飛行」見せかける加工(篠原修司) - Yahoo!ニュース” (日本語). Yahoo!ニュース 個人. 2019年1月5日閲覧。
  18. ^ 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(1/4) 2019年1月4日、防衛省
  19. ^ 韓国海軍参謀総長「いかなる偶発状況にも国際法に則り直ちに対応・終結を」
  20. ^ 好国機の威嚇飛行の対応マニュアル作成 韓国国防省
  21. ^ “韓国国防省が日本に謝罪要求「事実歪曲するな」レーダー照射問題”. 産経新聞. (2019年1月19日). https://www.sankei.com/politics/news/190119/plt1901190006-n1.html 2019年1月19日閲覧。 
  22. ^ a b 反論動画、閲覧200万回突破=計8カ国語公開へ―韓国” (日本語). 時事通信. 2019年1月6日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]