非同期IO

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非同期I/O (Asynchronous I/O) あるいは非ブロッキングIO (non-blocking I/O) とは、入出力の完了を待たずに、システムコールが終了する入出力処理の実装のことである。

概要[編集]

たとえば、ダイレクト・メモリ・アクセスで動作するファイル操作であれば、メインメモリ上に存在するデータに対してDMA転送を開始しても、ディスク上に転送が終了するまで、数msの待ち時間が必要になる。

この間に、コンピュータはマルチタスク処理で多重処理を行うことができるが、処理を発行したプロセスタスクは、処理の完了を待たなくてはならない。

しかし非同期I/Oでは、処理を発行したプロセスやタスクは、入出力処理の完了を待つことなく、自身の処理を進めることが可能になる。

したがって、入出力命令を連続して発行することが可能になり、シングルプロセスのプログラムでも、自身の入出力を多重し、複数の入出力処理を同時並行化できる。

このため、時間制約の厳しい、リアルタイムオペレーティングシステム (RTOS) の入出力システムコールでは、このタイプの実装が多い。

Linuxでは、POSIX-XSIあるいはPOSIX 1003.1bの実装が行われている。

使用方法[編集]

基本的な呼び出し方法は、以下のステップである。

  1. 実行するシステムコールの内容をリンクリストで記述する。
  2. リンクリストをパラメータとして、非同期システムコールを発行する(呼び出す)。
  3. エラーあるいは、終了しているかどうかを、問い合わせるシステムコールを発行する。
  4. 終了待ちシステムコールを発行するか、既に発行したシステムコールをキャンセルするシステムコールを発行する。

組込型RTOSやミニコンピュータでの実装は、非同期システムコール発行時に、システムサービスコールをOSの処理として行うが、UNIXやLinuxの処理では、ユーザースレッドとして処理を行っている実装が多い。

下記の例では、lio_listio(...);に続いて、aio_suspend(...);を実行しているため、実質的にwrite()と同じになる。

Linuxでのサンプルプログラム[編集]

/* 非同期IOによるファイル出力の例 */
#include <sys/types.h>
#include <sys/stat.h>
#include <fcntl.h>
#include <unistd.h>
#include <string.h>
#include <aio.h>
#include <sys/mman.h>
#define DATA_BUF_SIZE 4096
#define DATA_BUF_NUM 128

int main(void)
{
    int fd;
    int n, status;
    unsigned char *Aio_buff[DATA_BUF_NUM];
    struct aiocb Aiocb[DATA_BUF_NUM];
    struct aiocb *List[DATA_BUF_NUM];

    if ((fd = open("datafile", (O_CREAT | O_WRONLY), 0666)) < 0)
    {
        exit(1);
    }
    /* リンクリストの作成 */
    for (n = 0; n < DATA_BUF_NUM; n++)
    {
        Aio_buff[n] = (unsigned char*)memalign(sysconf(_SC_PAGESIZE), DATA_BUF_SIZE);
        memset((void *)(Aio_buff[n]), n, DATA_BUF_SIZE); /* データはページ単位にnで埋めている */
        Aiocb[n].aio_buf = Aio_buff[n];
        Aiocb[n].aio_offset = (long long)(DATA_BUF_SIZE * n);
        Aiocb[n].aio_nbytes = (long long)DATA_BUF_SIZE;
        Aiocb[n].aio_fildes = fd;
        Aiocb[n].aio_reqprio = 0;
        Aiocb[n].aio_lio_opcode = LIO_WRITE;
        Aiocb[n].aio_sigevent.sigev_notify = SIGEV_NONE;
        List[n] = &Aiocb[n];
    }
    /* 非同期IOの発行 */
    lio_listio(LIO_WAIT, (struct aiocb **)&List[0], DATA_BUF_NUM, &sig);
    /******/
    /* この間ファイル出力と並行して、別の処理を記述できる */
    /******/
    /* 非同期IOの終了待ち */
    aio_suspend((const struct aiocb **)&List[0], DATA_BUF_NUM, &timeout);
    /* エラーステータスの確認 */
    for (n = 0; n < DATA_BUF_NUM; n++)
    {
        status = aio_error(&(Aiocb[n]));
        if (status) printf("%d is error %d:%s\n", n, status, strerror(status));
    }
    /* 終了ステータスの確認 */
    for (n = 0; n < DATA_BUF_NUM; n++)
    {
        status = aio_return(&(Aiocb[n]));
        if (status != DATA_BUF_SIZE) printf("%d is write error\n", n);
    }
    close(fd);
    return 0;
}

Windows[編集]

Microsoft Windows環境では、WinsockなどのWindows APIに非同期バージョンの関数がいくつか用意されているほか、.NET FrameworkWindowsランタイムの一部に非同期I/Oをサポートするメソッドが実装されている。C#などの.NET言語やC++においてこれらの非同期I/Oを利用するインフラとして、TPLPPLが用意されている。

関連項目[編集]