青木亮人

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青木 亮人(あおき まこと、1974年 - )は近現代俳句研究者。愛媛大学教育学部准教授。学術研究では正岡子規高浜虚子山口誓子等を論じ、評論・エッセイでは近現代俳句全般を扱っている。

経歴[編集]

北海道小樽市生まれ。北海道小樽潮陵高等学校卒業後、同志社大学文学部文化学科国文学専攻を卒業。同大学院博士前期課程、同大学院博士後期課程修了。文学博士(国文学)。

中高校生の頃に文学作品を読むうち、松尾芭蕉や高浜虚子、西東三鬼等の俳句に興味を持ち、大学院進学後に本格的に俳句を研究し始める。学部の卒業論文は村上春樹だった[1]。大学院では近代俳句の始祖である正岡子規及び子規派を研究し、革新的とされた彼らのどの点が斬新だったかを、評価の定まった現代の価値観から捉えるのではなく、旧弊と批判された俳諧宗匠らの作風や価値観と比較することで当時の子規派の新鮮さを浮き彫りにしている[2]

2008年、正岡子規と心理学関連の学術論文で若手研究者を対象とする柿衞賞を受賞。同志社国際中学校・高等学校、同志社大学、京都橘大学京都精華大学滋賀大学の非常勤講師を経て2012年、愛媛大学教育学部准教授に赴任[3]。2015年、評論集『その眼、俳人につき』で第30回愛媛出版文化賞大賞、第29回俳人協会評論新人賞を受賞。同年に「明治期俳句革新における「写生」の内実について」で第1回俳人協会新鋭評論賞を受賞。2019年、評論集『近代俳句の諸相』で第33回俳人協会評論賞を受賞した。

学術研究以外に各俳句雑誌で評論、エッセイを発表し続け、明治期から現在までの俳人及び俳句を幅広く手がけている。テレビ、ラジオ、イベント等の出演を通じ、俳句の魅力や特徴を研究者の立場から発信している。最近の学術研究では戦前期の台湾、満州、朝鮮、シンガポール等のアジア各地、またドイツ、フランス、イギリス等のヨーロッパ各地における日本人及び日本語俳句の研究、またアメリカ西海岸の日系移民強制収容所内で発行された雑誌や自筆資料に掲載された日本語俳句・短歌の研究を行うなど、戦前期に海外へ渡った俳句の変容や受容、伝播のあり方等も研究している[4]

愛媛ゆかりの文学・文化にも強く関心を抱き、愛媛新聞でのエッセイ(「四季録」2013年~2014年)、愛媛文化振興財団の定期講座(2015年~)、愛媛新聞社カルチャー講座(2019年~)及び各講演を通じ、愛媛ゆかりの俳句以外に小説や詩、短歌、映画、写真、美術、アニメ、建築、著名人等にも愛媛文学・文化の豊かな魅力があることを紹介している[5]

受賞歴[編集]

  • 2021:共著『四国遍路の世界』で第回愛媛出版文化賞研究部門賞を受賞(担当章は「俳句・文学から見る近現代の四国遍路」)。
  • 2019:松山市制施行130周年記念式典、文化振興功労者として表彰(松山の俳句文化振興に寄与)
  • 2019:単著『近代俳句の諸相-正岡子規、高浜虚子、山口誓子など-』で第33回俳人協会評論賞を受賞。
  • 2015:単著『その眼、俳人につき 正岡子規、高浜虚子から平成まで』で第30回愛媛出版文化賞大賞(愛媛新聞社)を受賞。
  • 2015:同書で第29回俳人協会評論新人賞を受賞。
  • 2015:論文「明治期俳句革新における「写生」の内実について―高浜虚子「遠山に日の当りたる枯野かな」を例に―」で第1回俳人協会新鋭評論賞を受賞。
  • 2008:論文「「天然ノ秩序」の「連想」―正岡子規と心理学」(「連歌俳諧研究」112号、2007年)で第17回柿衞賞(兵庫県伊丹市柿衞文庫)を受賞。

著書[編集]

  • 単著『さくっと近代俳人入門 正岡子規・河東碧梧桐・高浜虚子編』マルコボ.コム、2019 ISBN 978-4904904480
  • 単著『近代俳句の諸相 ―正岡子規、高浜虚子、山口誓子など―』創風社出版、2018 ISBN 978-4860372637
  • 単著『NHKカルチャーラジオ 俳句の変革者たち 正岡子規から俳句甲子園まで』NHK出版、2017 ISBN 978-4149109671
  • 単著『その眼、俳人につき 正岡子規、高浜虚子から平成まで』邑書林、2013 ISBN 978-4897097411
  • 編著『コレクション都市モダニズム詩誌22 俳句・ハイクと詩2』ゆまに書房、2012
  • 共著『遠隔でつくる人文社会学知―2020年前期の授業実践報告―』雷音学術出版、2020
  • 共著『大学的愛媛ガイド こだわりの歩き方』昭和堂、2020
  • 共著『四国遍路の世界』ちくま新書、2020
  • 共著『新興俳句アンソロジー』現代俳句協会青年部編、2018
  • 共著『俳句のルール』笠間書院、2017
  • 共著『村上春樹と小説の現在』和泉書院、2011
  • 共著『戦後詩のポエティクス1935-1959』世界思想社、2009
  • 共著『スポーツする文学』青弓社、2009

論文[編集]

連載[編集]

連載中

  • 句の手触り、俳人の響き:「俳句四季」2019.9~。現存俳人の評伝的エッセイ。
  • 句の面影、逸話のさざめき:「俳句界」2020.1~。物故俳人の評伝エッセイ。
  • 会話形式で語る超近代俳句入門:「100年俳句計画」2014~2015、2017~。正岡子規から昭和戦前期俳句の著名俳人を論じる対話形式のエッセイ。
  • 時のうつろい、句の響き:「子規新報」2018.6~。愛媛ゆかりの文学についてのエッセイ。
  • いつでもそこに、俳句があった 郷愁の昭和俳句:「俳壇」2018.1~。昭和期の暮らしや文化を俳句とともに紹介。洗濯機・冷蔵庫・野球・美空ひばりなど。
  • 季節と追憶:「氷室」2019.1~。四季折々の季節感と文学、俳句を綴るエッセイ。
  • 刻まれた句、漂う夢:「円座」2012~。昭和~平成俳誌を手がかりに時代の変遷や俳句史の消長を論じる評論。
  • はるかな帰郷 ―田中裕明論―:「静かな場所」2011~。田中裕明の詩情を論じるエッセイ。

連載終了

  • 句の面影、今の風景1~10:「花信」2018.6~2019.12。松山を中心とした愛媛ゆかりの俳句についてのエッセイ。
  • 俳句時評:「朝日新聞」2018.4~2020.3。俳句時評。
  • 俳句遺産1~24:「現代詩手帖」2014.1~2015.12。俳句時評。
  • 四季録:「愛媛新聞」2013.4~2014.3。愛媛県各地のゆかりの文学、文化を綴るエッセイ。
  • 俳句と、周りの景色1~20:「白茅」2012~2020.4。詩や写真、骨董、絵画、音楽、落語等と俳句の共通点を綴るエッセイ。
  • 批評家たちの「写生」1~25:「翔臨」2010~2019。保田與重郎、小林秀雄等の評論を通して「写生」を考察する評論。
  • あの頃、俳句は1~60:「円虹」2009~2013。俳句評論。
  • 俳諧いまむかし1~50:「氷室」2006~2011。俳句評論。

メディア出演[編集]

テレビ

  • 俳句王国がゆく 松山編:NHK総合、2017.10.15。道後界隈の正岡子規ゆかりの地を案内。
  • 学生俳句チャンピオン決定戦2017 瀬戸内の島で俳句サバイバル:NHK総合、2017.5.28。審査員。
  • 四国えかとこ! 生誕150年正岡子規 苦難を楽しんだ人生:NHK松山、2017.1.8。正岡子規の解説。
  • モストのお天気歳時記:南海テレビ、2013.4~9。正岡子規の俳句解説担当。
  • NHK俳句:NHK総合、2011.8.7、10。三村純也氏のゲスト。

ラジオ

  • ことばの花束:エフエムいたみ、2010~定期出演中。各回ごとに俳句を数句紹介。
  • 坂の上のラジオ:南海放送、2020.9.11。
  • 坂の上のラジオ:南海放送、2019.10.5,12。
  • NHKカルチャー 俳句の変革者たち:NHKラジオ、2017.4~7。近現代俳句史を解説。
  • 赤シャツの逆襲2 ドラマ&シンポジウム:南海放送、2016.5.29。松山時代の漱石について語る。
  • 近代国家の形成、子規と帝国大学:南海放送、2016.3.6。明治期の帝国大学と正岡子規についてのシンポジウム。
  • 一筆差し上げ候 正岡子規の書簡:南海放送、中四国ライブネット、2014.9.14。子規書簡についてnコメントなど。
  • えひめ・熱中・夢中人:エフエム愛媛、2013.2.2、9。中村時広知事との対談。

脚注[編集]

  1. ^ [1]"君がいる俳句のセカイ第6回 スペシャルインタビュー"
  2. ^ 青木亮人『その眼、俳人につき』(邑書林、2013年)、89頁。
  3. ^ [2]"公式サイト"
  4. ^ 科学研究費助成事業データベース:アメリカ日系移民一世の強制収容所における伝統短詩文学の包括的研究
  5. ^ 青木亮人『近代俳句の諸相』(創風社出版、2018)、巻末著者紹介頁。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]