青山学院大学陸上競技部
青山学院大学陸上競技部(あおやまがくいんだいがくりくじょうきょうぎぶ)は、青山学院大学の陸上競技チームである。青山学院大学体育連合会並びに関東学生陸上競技連盟に所属する。1918年創部。活動は主に神奈川県相模原市に構えている。
長距離ブロック[編集]
長距離ブロック・男子の部は1943年の靖国神社・箱根神社間往復関東学徒鍛錬継走大会で東京箱根間往復大学駅伝競走へ初出場。その22年後の1965年の第41回大会に再び出場を果たし、以降12年連続出場・シード権獲得を2回達成している。しかし、アンカー4年の杉崎孝がゴール150 m手前で脱水症状のため転倒、意識を失って途中棄権[1]をした1976年の第52回大会を最後に箱根路から遠ざかる。
2004年、かつて中国電力所属の元陸上選手で、陸上部を退部後は当社の営業マンを務めていた原晋を招聘。5年後の第85回箱根駅伝(2009年)記念大会に於いて、史上最大のブランクとなる33年ぶりに同陸上部の出場を果たしたが、総合22位だった[2]。
2009年の第41回全日本大学駅伝対校選手権大会に初出場・15位。翌年の第86回箱根駅伝(2010年)大会では8位に躍進し、41年ぶりのシード権を獲得[3]。
2010年、第22回出雲全日本大学選抜駅伝競走に初出場・11位。2年ぶり2回目出場の第43回全日本大学駅伝は9位。第87回箱根駅伝(2011年)は、10区・アンカーにおいて他3校(日本体育大学・國學院大学・城西大学)とゴール寸前迄壮絶なシード権争いのデッドヒートを展開し、9位と2年連続してシード権獲得[4]。
2011年、2年連続2回目出場の第23回出雲駅伝で10位。2年ぶり2回目出場の第43回全日本大学駅伝は9位。第88回箱根駅伝(2012年)は往路・復路共に7位ながら、青山学院大学としては当時史上最高位の総合5位に食い込んだ。
2012年、3年連続3回目の第24回出雲駅伝で「三大大学駅伝」初優勝を達成[5]。だが、第89回箱根駅伝(2013年)では8位に終わった。
2013年からアディダスとのパートナーシップ契約を結んだ。
2013年、第25回出雲駅伝は5位、第45回全日本大学駅伝は6位。第90回箱根駅伝(2014年)でも最高位タイの総合5位に留まった。
2014年、第26回出雲駅伝は平成26年台風第19号の上陸に伴い、同大会初の開催中止[6]。第46回全日本大学駅伝は3位。第91回箱根駅伝(2015年)では、ついに青山学院大としても史上初となる悲願の総合初優勝を成し遂げた[7]。
2015年、第27回出雲駅伝で3年ぶり2回目の優勝。第47回全日本大学駅伝で2位。第92回箱根駅伝(2016年)で 2年連続の総合優勝を果たした。全区間を首位で通過する完全優勝は、第53回大会の日体大以来、39年ぶりのことである[8]。
2016年、第28回出雲駅伝で2年連続3回目の優勝を皮切りに、第48回全日本大学駅伝でも初優勝。第93回箱根駅伝(2017年)で完全優勝による3連覇と「大学駅伝三冠」を初めて達成した[9]。
2017年、第29回出雲駅伝で2位。第49回全日本大学駅伝で3位。第94回箱根駅伝(2018年)において、往路は東洋大学に36秒差で先を越されたが、翌日の復路では圧倒して史上6校目となる4連覇を果たした[10]。
2018年、第30回出雲駅伝で2年ぶり4回目の優勝、第50回全日本大学駅伝も2年振り2回目の優勝を達成。第95回箱根駅伝(2019年)で2年ぶり2回目の「大学駅伝三冠」と、及び史上3校目となる5連覇を狙ったが、往路6位の出遅れが響いて総合では2位に留まった(但し5年連続での復路優勝を果たす。総合優勝は東海大学)[11]。
2019年4月、原晋が青山学院大・地球社会共生学部の教授職を兼任[12]。第51回出雲駅伝で5位。第51回全日本大学駅伝は2位。第96回箱根駅伝(2020年)において、2年振り5回目の総合優勝に返り咲いた。
2020年4月、長距離ブロック男子新コーチに加藤学園高等学校・元監督の勝亦祐一が就任[13]。第32回出雲駅伝は新型コロナウイルス (COVID19) 感染拡大による影響で、6年ぶり2度目の同大会中止[14]。第52回全日本大学駅伝で4位。第97回箱根駅伝(2021年)においては、往路12位と大きく後手に回ってしまい、総合4位に終わった(復路では2年振り6回目の優勝を達成。総合優勝は駒澤大学)。
2021年、第53回出雲駅伝で2位、第51回全日本大学駅伝も2位。第98回箱根駅伝(2022年)において、2年ぶり6回目の総合優勝(往・復路共に完全首位)と、及び10時間43分42秒の大会新記録をマークした。
原晋の指導方法、タレント・コメンテーターとして活動、多数のメディア出演など[編集]
原晋・長距離ブロック男子監督のその独特な指導方法は、NHKテレビでのインタビュー番組によれば、徹底した対話重視や、生徒自身からの自律・自主性を重んじるルール作りを特徴とする。監督の立場からの高圧的な指示を一切せず、生徒達の自律的な相互対話の中から、前向きの動きが出てくることを大事にしている。その上で原晋は「監督が毎日居なくても一々指示を出さなくても、部員達がそれぞれがやるべきことを考えて、実行できるチームだから強くなるのです。つまり『指示待ち集団』ではなく、『部員自らで考える集団』。そういう意味でも私の定位置は、やはりチームから離れた場所で全体を見ていないと、監督の仕事が出来ないというのがモットーです」とコメント[15]。
さらに原曰く、生徒の長所を伸ばす為には選手をとにかく褒める事と、原自ら少年時代に日本の教育へ疑問を感じたのも切っ掛けで、「私の考えは、強みをどう活かしていくかという視点で、強み=褒めてあげる事は大切だと思います。最近の学生は都合が良いから、そういう選手に『見てるよ』っていう雰囲気を出して、通りすがりに『頑張ってるな』と声を掛けます。その時は“ロー”な言葉で、低音でさり気なく。まぁ“ツンデレ手法”ですね」「私自身もですが、人格迄否定されるとテンションも上がりませんよね。『どうせなら楽しくやった方が良い』っていうのが私の発想なんです。正しく伝えて褒める所は全力で、そういう世界を作らないとイカンと思います」などと語っている[16]。
しかしその反面で、大学入学時から全く結果が出ない選手に対しては2軍の寮へ降任、原監督からの指導を一切受けさせない。さらに2軍選手の芽が出なさそうと感じたり、毎日の生活習慣が乱れていたり、怪我・体調不良の治癒が見込めない等と判断すれば、監督自ら強制的に選手達へ即マネージャーの転向や、陸上部から退部を厳命するなど、非常にシビアな部分も持っている[17][18]。
第91回箱根駅伝・総合初優勝以降の原はタレント業も積極的に行い、テレビ・ラジオを始めとするマスメディア関連の出演が急激に増加中。TBSテレビ系のスポーツ・バラエティ番組『消えた天才』(2019年8月25日限りで不祥事発覚の為打ち切り)へはかつて準レギュラーとしての登場や、2017年10月期のTBS系連続ドラマ『陸王』では、陸上競技総監修の任務と及び本人役での出演に留まらず、またTBS系期首特別番組『オールスター感謝祭』では、2015年秋から現在までほぼ毎回「赤坂5丁目ミニマラソン」の実況解説者を務めたり、TBS系『炎の体育会TV』、日本テレビ系『踊る!さんま御殿!!』、フジテレビ系『VS嵐』などにも時折ゲスト出演している。さらに『月刊ハラスポ』(2021年4月~2022年3月の月1回放映・中京テレビ、中京圏内ローカル番組)では1年の間、当番組の司会進行役を担当していた。
他にも、朝のワイドショー番組『ビビット』(TBSテレビ系・2019年9月27日限りで番組終了)へは、2018年4月から2019年9月まで1年半に毎週水曜日のレギュラー生出演を始め、『真相報道 バンキシャ!』(日本テレビ系)、『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ系)『ひるおび!』(TBS系)等情報番組へ、コメンテーター・評論家としての不定期登場や、さらには日本のマラソン国際大会(福岡国際マラソン・別府大分毎日マラソン等)での実況解説者を任務するなど、原独自による陸上界の活性化を平行して活動を行っている。そして、2018年度の中学校向けの道徳の教科書には箱根連覇の話題が採用され、選手達の日々の生活を通じてライフスタイルを考えさせる教材としても使われている。
大学駅伝成績[編集]
(太字は総合優勝達成・及び大作戦名[19]、取り消し線は開催中止の駅伝大会)
年度 | 主将 | 出雲駅伝 | 全日本大学駅伝 | 箱根駅伝 |
---|---|---|---|---|
2004年度 | 佐藤良仁 | 第16回 | 第36回
不出場 |
第81回
不出場(予選会16位) |
2005年度 | 大中健嗣 | 第17回 | 第37回
不出場 |
第82回
不出場(予選会13位) |
2006年度 | 古矢真志 | 第18回 | 第38回
不出場 |
第83回
不出場(予選会16位) |
2007年度 | 檜山雄一郎 | 第19回 | 第39回
不出場 |
第84回
不出場(予選会10位) |
2008年度 | 先崎祐也 | 第20回 | 第40回
不出場 |
第85回 |
2009年度 | 荒井輔 | 第21回 | 第41回
15位 |
第86回 |
2010年度 | 小林駿祐 | 第22回 | 第42回
不出場 |
第87回 |
2011年度 | 川村駿吾 | 第23回 | 第43回 | 第88回 |
2012年度 | 出岐雄大 | 第24回 | 第44回
不出場 |
第89回
総合8位 「マジンガーZ大作戦」 |
2013年度 | 井上尚樹 | 第25回 | 第45回 | 第90回
総合5位 「S大作戦」 |
2014年度 | 藤川拓也 | (台風19号接近により開催中止) |
第46回 | 第91回
総合優勝 「ワクワク大作戦」 |
2015年度 | 神野大地 | 第27回
優勝 「青トレ大作戦」 |
第47回
2位
「あっぱれ大爆走大作戦」
|
第92回
総合優勝 「ハッピー大作戦」 |
2016年度 | 安藤悠哉 | 第28回
優勝 「神ってるぞ 青山大作戦」 |
第48回
優勝 「エビフライ大作戦」 |
第93回
総合優勝 「サンキュー大作戦」 |
2017年度 | 吉永竜聖 | 第29回
2位 「陸王大作戦」 |
第49回
3位 「青山祭大作戦」 |
第94回
総合優勝 「ハーモニー大作戦」 |
2018年度 | 森田歩希 | 第30回
優勝 「ヨロシク大作戦」 |
第50回
優勝 「メラメラ大作戦」 |
第95回
総合2位 「ゴーゴー大作戦」 |
2019年度 | 鈴木塁人 | 第31回
5位 「出てこい! 駅伝男大作戦」 |
第51回
2位 「私、失敗しないんで大作戦」 |
第96回
総合優勝 「やっぱり大作戦」 |
2020年度 | 神林勇太 | 第52回
4位 「コロナに負けるな!大作戦」 |
第97回
総合4位 「絆大作戦」 | |
2021年度 | 飯田貴之 | 第33回
2位「結(むすび)大作戦」 |
第53回
2位「男前大作戦」 |
第98回
総合優勝 「パワフル大作戦」 |
2022年度 | 宮坂大器 | 第34回 | 第54回 | 第99回 |
短距離ブロック女子[編集]
短距離ブロック女子も2013年の第82回日本インカレにて4×400mリレー初優勝[20]。2014年の第83回同大会にて4×100mリレーで初優勝を果たし、メンバーの藤森安奈は100mでも初優勝の2冠[21]。
主な関係者[編集]
指導者[編集]
- 原晋 - 男子長距離ブロック監督・元陸上競技選手
男子部員[編集]
- 出岐雄大 - 元陸上・マラソン選手・2012年度主将・元中国電力所属
- 藤川拓也 - 陸上・マラソン選手・2014年度主将・中国電力所属
- 高橋宗司 - 元陸上選手
- 神野大地 - 陸上・マラソン選手・2015年度主将・元箱根駅伝5区区間記録保持者(3代目山の神と称された)・元コニカミノルタ、現プロランナー
- 小椋裕介 - 陸上・マラソン選手・ヤクルト所属・男子ハーフマラソン日本記録保持者
- 久保田和真 - 元陸上選手・元九電工所属
- 橋本崚 - 陸上・マラソン選手・GMOアスリーツ所属
- 安藤悠哉 ー 元陸上選手・2016年度主将
- 秋山雄飛 ー 陸上選手・中国電力所属
- 一色恭志 - 陸上・マラソン選手・GMOアスリーツ所属
- 下田裕太 - 陸上・マラソン選手・2017年度副主将・10代フルマラソン日本記録保持者・GMOアスリーツ所属
- 田村和希 ー 陸上選手・元箱根駅伝4区区間記録保持者・住友電工所属
- 中村祐紀 ー 陸上・マラソン選手・住友電工所属
- 森田歩希 ー 陸上選手・2018年度主将・元箱根駅伝3区区間記録保持者・GMOアスリーツ所属
- 小野田勇次 ー 陸上選手・元箱根駅伝6区区間記録保持者・トヨタ紡織所属
- 梶谷瑠哉 - 陸上選手・SUBARU所属
- 橋詰大慧 - 陸上選手・SGホールディングス所属
- 林奎介 - 陸上選手・元箱根駅伝7区区間記録保持者・GMOアスリーツ所属
- 鈴木塁人 - 陸上選手・2019年度主将・SGホールディングス所属
- 吉田祐也 - 陸上・マラソン選手・2019年度副主将・箱根駅伝4区区間記録保持者・GMOアスリーツ所属
- 中村友哉 - 陸上選手・大阪ガス所属
- 竹石尚人 - 元陸上選手(1年留年後に卒業)
- 岩見秀哉 - 陸上選手・住友電工所属
- 𠮷田圭太 - 陸上選手・住友電工所属
- 神林勇太 - 元陸上選手・2020年度主将
- 飯田貴之 - 陸上選手・2021年度主将
- 岸本大紀 - 陸上選手・在学中・箱根駅伝2区日本人1年生歴代最速記録
- 中倉啓敦 - 陸上選手・在学中・箱根駅伝10区区間記録保持者
- 中村唯翔 - 陸上選手・在学中・箱根駅伝9区区間記録保持者
- 佐藤一世 - 陸上選手・在学中
- 太田蒼生 - 陸上選手・在学中
- 若林宏樹 - 陸上選手・在学中
女子部員[編集]
脚注・参考文献[編集]
- ^ リタイアしたエースは何を語るか
- ^ “【箱根への道】知られざる青学の歴史”. 報知新聞 (2015年1月21日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ 第86回箱根駅伝 本学は総合8位でゴール! 41年ぶりにシード権を獲得しましたご声援ありがとうございました 青山学院大学
- ^ 第87回箱根駅伝、シード権を巡るゴール寸前のギリギリバトルの中でコースを間違えるアクシデント - GIGAZINE
- ^ 青山学院大学が箱根駅伝を面白くする(かも)。- ほぼ日刊イトイ新聞
- ^ 「第26回出雲駅伝」は、天候の急変により安全確保が出来ない為、中止いたしました。 第26回出雲駅伝公式サイト・2014年10月13日掲載
- ^ 青学大 独走で初優勝/箱根駅伝詳細 日刊スポーツ・2015年1月3日掲載
- ^ “青学、2年連続2度目の総合優勝…全区間で首位”. 読売新聞. (2016年1月3日)
- ^ “青学、箱根3連覇…「大学駅伝3冠」も達成”. 読売新聞. (2017年1月3日) 2017年1月4日閲覧。
- ^ “【箱根駅伝】青学大・原監督「ライバルはサッカー界、野球界」熱い言葉の裏で大学院で方程式学ぶ”. スポーツ報知. (2018年1月3日) 2018年1月4日閲覧。
- ^ 青学大、無念…5連覇ならず総合2位 意地の区間賞連発も届かず スポニチ・2019年1月3日掲載
- ^ 青山学院大学地球社会共生学部 教員紹介・一覧 原晋
- ^ 青学大、新コーチに元加藤学園高監督の勝亦祐一氏が就任…原晋監督、V6へ“参謀”補強 スポーツ報知・2015年3月15日掲載
- ^ 「第32回出雲全日本大学選抜駅伝競走」開催中止について 第32回出雲駅伝公式サイト・組織委員会、2020年7月27日掲載
- ^ 青学・原監督「強いチームは指示待ちしない」 2年ぶり王座奪還、名将が作ってきた強い組織 東洋経済オンライン スポーツ・2020年1月3日掲載
- ^ 青学・原晋監督、きっかけは“日本の教育への疑問”選手によって使いわける“ツンデレ育成法” テレ朝POST・2020年11月14日掲載
- ^ ユーモラスな言葉や笑顔が印象的な青学・原監督の「別の顔」 Livedoor NEWS・2015年11月19日掲載
- ^ 青学V「最弱」から「格好いい4年」厳しさで変化 日刊スポーツ・2020年1月4日掲載
- ^ 青学大・原晋監督「コロナに負けるな!大作戦」発令 11・1全日本大学駅伝スポーツ報知・2020年10月31日掲載
- ^ “【陸上競技】女子短距離、マイルリレー念願の優勝!!”. 青山スポーツ (日刊スポーツ). (2013年9月9日) 2015年1月3日閲覧。
- ^ “陸上競技部(短距離)女子が「第83回 日本学生陸上競技対校選手権大会」において2種目で優勝” (プレスリリース), 学校法人青山学院, (2014年9月10日) 2015年1月3日閲覧。
外部リンク[編集]
- 青山学院大学陸上競技部(長距離ブロック)
- 青山学院大学陸上競技部(短距離ブロック)
- 青山学院大学(大学本部公式サイト)
- 青学 × アディダス aogaku is all in
- 青学大陸上競技部(長距離ブロック) (@aogaku_rikujyou) - Twitter
- 青学大陸上競技部(短距離ブロック) (@agu_athletics) - Twitter